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フリーランス独立前に知っておきたい5つのポイントを税理士が解説

フリーランス独立前に知っておきたい5つのポイントを税理士が解説
e_zeirishi

会社員からフリーランスに転向する前に必ず知っておきたい5つのポイントを解説します。

会社員から自営業・フリーランスになると、生活環境がガラッと変わります。「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、事前に知っておくべき5つの項目について順番に解説していきます。結論として、経理と税金の知識は必須です。

📌 本記事で解説する5つのポイント

  1. 社会保障が薄いという現実
  2. 会社員にはない税金がある
  3. 経費はただではない
  4. 事業主勘定について
  5. 時間単価の勘違い

① 社会保障が薄いという現実

会社員と自営業・フリーランスを比較すると、社会保障が薄いという現実があります。まずこの現実をしっかりと知ることが大切です。対策方法はありますので、安心してください。

項目会社員フリーランス・自営業対策方法
有給休暇ありなし(休んだ分は収入ゼロ)仕事が回る仕組み化・スタッフ雇用
ボーナスありなししっかり稼いで資金繰りを管理する
出張の旅費・交通費会社が負担自腹ビジネスの経費として計上
育休・産休ありなし仕事の計画とすり合わせる
退職金あり(会社による)なし小規模企業共済に加入する
病気・怪我時の収入保証有給消化・傷病手当等なし(収入がストップ)収入保証保険・商品に加入する

特に注意したいのが、病気や怪我をした時の収入保証がないという点です。会社員であれば有給の消化や傷病手当金などで対応できますが、フリーランスは自分が動けなくなった瞬間に収入がストップしてしまいます。

また、退職金の代わりになる制度として「小規模企業共済」があります。自営業・フリーランスならではの退職金積立の仕組みですので、加入を検討してみてください。

📌 ポイント

社会保障が薄い分、自分でしっかりと準備することが必要です。普段からいざという時に備えてお金を積み立てておく習慣をつけましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 有給・ボーナス・育休・退職金・病気時の収入保証など、会社員の保障はフリーランスには存在しない
  • 退職金の代わりに「小規模企業共済」への加入が有効
  • 病気・怪我に備えて収入保証保険の加入を検討する
  • 普段からいざという時のための資金を積み立てておく

② 会社員にはない税金がある

フリーランスになると、会社員時代にはなかった税金が新たに発生します。どのような税金を払わなければいけないのかを把握しておきましょう。

税金の種類納付先会社員との違い
所得税国(税務署)会社員は給与から天引き(前払い)。フリーランスは確定申告後に後払い
住民税お住まいの市区町村確定申告をもとに市区町村が計算し、通知書が届く。自分で納付
事業税(フリーランスのみ)都道府県ビジネスをしている方にかかる税金。会社員にはない
消費税(インボイス登録者)インボイス制度登録で申告・納付が発生

所得税と住民税は会社員時代にも支払っていますが、会社員の場合は給与から天引きされているため負担感が少なく感じます。フリーランスになると確定申告をして自分で計算・納付する後払い方式になるため、負担感が強くなります。注意してください。

事業税について

事業税は、ビジネスをしている方にかかる税金で、住んでいる都道府県へ納める税金です。計算の仕組みは次のとおりです。

📌 事業税の計算の仕組み

(青色申告控除前の所得)- 290万円(控除額)= 課税対象額
課税対象額 × 税率(3〜5%)= 事業税額

※ 青色申告控除(65万円・55万円・10万円)を引く前の金額が基準になります。
※ サービス業の税率は5%です。

業種区分事業税の税率
第1種事業(物品販売業など)5%
第2種事業(畜産業など)4%
第3種事業(医業・弁護士業など)5%(一部3%)
サービス業5%

消費税(インボイス制度)について

令和5年10月からインボイス制度がスタートしたため、従来の考え方と変わっています。以前は課税売上高が1,000万円を超えた場合に消費税の申告・納付が必要でしたが、インボイス制度に登録すると、売上規模に関わらず消費税の申告・納付が発生します。

この消費税は、皆さんが普段の買い物で払う消費税とは別途必要となってくるものです。詳しくはインボイス制度の専門動画を参考にしてください。

その他の支払い

  • 国民健康保険:会社員時代は社会保険として給与天引きされていたものを、自分で手続きして納付する
  • 国民年金:同様に自分で手続きして納付する
  • 固定資産税・自動車税:今まで通り納付が必要
  • 予定納税:所得税・消費税が一定金額を超えると、税金の前払い(予定納税)が発生する

⚠️ 注意

これだけ多くの種類の税金をいつ支払うのかというスケジュールを把握しておかないと、支払いが厳しくなりがちです。税金の種類と納付時期をしっかり管理し、お金の管理・資金繰りを必須項目として取り組みましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 所得税・住民税はフリーランスになると後払い・自分払いになり、負担感が増す
  • 事業税(都道府県税)はフリーランス・自営業ならではの税金。290万円控除後に3〜5%課税
  • インボイス登録をすると売上規模に関わらず消費税の申告・納付が発生する
  • 国民健康保険・国民年金も自分で手続き・納付が必要
  • 予定納税(税金の前払い)が発生する場合もある

③ 経費はただではない——「経費=無料」という勘違い

フリーランス初心者の方に多い勘違いが、「経費に計上すれば無料になる」という考え方です。経費は確かに節税につながりますが、ただになる魔法の方法ではありません。

仕組みを整理すると次のとおりです。

📌 経費と税金の仕組み

売上経費利益(所得)
利益(所得)に対して所得税がかかる

→ 経費を計上することで利益が圧縮され、税金額が下がる仕組みです。

つまり、経費に計上すると税金は確かに下がりますが、実際にはお金(現金・預金)が流出しています。例えば新しい機械を購入すればその分お金は減ります。会社員のように後から精算してどこかからお金が降ってくるということはありません。

ビジネスを継続していくためには、ある程度の資金を確保しておくことが必須です。税金・スタッフへの支払い・外注費など、さまざまな支払いが発生するなかで、キャッシュが底をついたらビジネスは終わりになってしまいます。

⚠️ 注意:借り入れは即日では間に合わない

「資金が足りなくなったら借り入れをすればいい」と思う方もいますが、銀行融資は書類提出・審査があり、1〜2週間ではすぐに降りるものではありません。また、希望金額が通過する保証もありません。資金が足りなくなってからでは遅いため、普段から資金を確保しておくことが重要です。

  • 無駄な支出は節税ではなく浪費
  • 経費は現実にお金が減る行為
  • 経費=ただになる魔法の方法ではない

📝 このセクションのまとめ

  • 経費計上で税金は下がるが、現金・預金は実際に減る
  • 無駄な支出は節税ではなく浪費になる
  • 資金繰りを意識して、常に一定の資金を確保しておくことが大切
  • 資金不足になってから借り入れを検討しても、すぐには対応できない

④ 事業主勘定——個人事業主ならではの勘定科目

個人事業主・フリーランスならではの勘定科目が「事業主貸」と「事業主借」です。この勘定科目がわからないために経理が進まないという方が非常に多い項目です。

📌 事業主勘定とは?

仕事とプライベートのお金を区別するための勘定科目です。個人事業主はどうしても事業用とプライベートのお金が混じり合ってしまいがちです。この2つの勘定科目を使ってきちんと区別することが経理の基本になります。

また、自営業には給料という概念がありません。事業主貸・事業主借を使って、自分の生活費を事業から引き出したり、逆に補填したりします。

勘定科目使う場面仕訳例
事業主貸事業のお金を生活費として引き出す時事業主貸 80,000円 / 普通預金 80,000円
事業主借プライベートのお金を事業に充てる時普通預金 70,000円 / 事業主借 70,000円

具体例①:事業主貸の使い方

生活費のために事業用口座からお金を引き出したい場合に使います。例えば、生活費8万円を事業用口座から引き出した時の仕訳は次のとおりです。

  • (借方)事業主貸 80,000円
  • (貸方)普通預金 80,000円

具体例②:事業主借の使い方

事業の資金が足りなくて、プライベートの口座から7万円を事業用に一時的に充てる場合の仕訳は次のとおりです。後々返してもよいですし、フリーランス・自営業の場合は返さなくても問題ありません。

  • (借方)普通預金 70,000円
  • (貸方)事業主借 70,000円

⚠️ 注意

事業主貸・事業主借を使えないと、個人事業主の経理は正確にできません。フリーランス・自営業の方は必ず覚えておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 「事業主貸」「事業主借」は個人事業主のみが使う独特な勘定科目
  • 仕事とプライベートのお金を区別するために使う
  • 個人事業主には給料という概念がなく、この勘定科目で生活費のやり取りを記録する
  • 事業→生活費の引き出しは「事業主貸」、プライベート→事業への補填は「事業主借」

⑤ 時間単価の設定ミスに注意

5つ目は、時間単価・料金設定の勘違いです。最初に料金設定をミスると、ビジネスがうまくいかなくなります。後から取り返しがつきにくい部分ですので、起業初期にしっかりと押さえておきましょう。

料金設定では、自分の時間単価だけでなく、次の要素もすべて料金に乗せる必要があります。

  • 自分の作業時間に見合った報酬
  • 経費の支払い分
  • スタッフを雇っている場合はスタッフへの支払い分

⚠️ 注意:無料・低価格設定は絶対にやめましょう

「自信がないから」「まだ経験が浅いから」という理由で無料や低価格に設定しがちですが、これは後々自分が困ることになります。作業時間をきちんとカウントして、適切な報酬・料金メニューを設定してください。

作業時間の見積もりミスが引き起こす問題

例えば「5時間で終わるだろう」と見積もって料金を設定したのに、実際は10時間かかったという場合、次のような問題が起きます。

問題内容
納期遅延のリスク想定より時間がかかるため、納期ギリギリまたは遅延する可能性がある
品質低下ギリギリの納品では良いものができない
信用を失う納期遅延が続くと信用を失い、仕事を失う可能性がある
利益が残らない働いても働いても利益が残らない、または赤字になる
プライベートがなくなるオンとオフの区別がなくなり、休みが一切なくなる

📌 ポイント:料金設定の正しい考え方

起業前に、自分の提供するサービスにかかる作業時間をしっかりと見積もり、経費・スタッフ費用も含めたうえで料金を設定しましょう。時間単価の設定ミスは、ビジネス全体の収益性に直結します。

📝 このセクションのまとめ

  • 料金設定は起業初期に慎重に決めることが重要
  • 無料・低価格設定は後々自分が困る原因になる
  • 作業時間・経費・スタッフ費用を含めて料金を設定する
  • 作業時間の見積もりミスは、納期遅延・信用失墜・利益消失につながる
  • 時間単価の設定ミスは休みがなくなる原因にもなる

まとめ:起業前に知識と情報を得ることがスムーズなフリーランスライフへの近道

以上、フリーランス・個人事業主になる前に知っておきたい5つのポイントを解説しました。会社員時代と比べてガラッと変わる部分ばかりですので、「こんなはずじゃなかった」とならないよう、事前にしっかりと把握しておきましょう。

📌 5つのポイント おさらい

  1. 社会保障が薄い:有給・ボーナス・育休・退職金・病気時の収入保証がなくなる。小規模企業共済や収入保証保険で対策を
  2. 会社員にはない税金がある:事業税・消費税(インボイス登録者)が新たに発生。国民健康保険・国民年金も自分で納付
  3. 経費はただではない:経費計上で税金は下がるが現金は減る。無駄な支出は浪費。資金繰りの管理が必須
  4. 事業主勘定を理解する:「事業主貸」「事業主借」は個人事業主ならではの勘定科目。仕事とプライベートのお金を区別するために必須
  5. 時間単価の設定ミスをしない:作業時間・経費・スタッフ費用を含めた適切な料金設定を起業前に行う

無知だと本当に損をします。税金額がガラッと変わったり、知っていれば提出するだけで済んだ書類を出し忘れたりというケースが実際に起きています。きちんと情報を得て、調べるという習慣をつけることが、スムーズなフリーランスライフへの近道です。

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士河南のYouTubeチャンネル! の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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