ギリギリ経費8選を税理士が解説!フリーランスの経費判断の考え方
「これって経費になる?」迷いやすい8つの支出を、経費判断の考え方とともに解説します。
今回取り上げる「ギリギリ経費」8項目
フリーランスや個人事業主が確定申告をするとき、「これは経費になるのかな?」と迷う支出はたくさんあります。今回は、特によく質問を受けるギリギリ経費を8つ取り上げて、それぞれの考え方を解説していきます。
| カテゴリ | 具体的な項目 |
|---|---|
| プライベート系 | ジム代など、プライベートと仕事が混在する支出 |
| 車関連 | 車両購入費・ガソリン代・駐車違反の反則金・高級車の是非 |
| 交際・慶弔費 | ご祝儀・香典・交際費 |
| 美容・衣装 | 美容代・衣装代・スーツ代 |
| 外見の変化 | 整形費用・かつら・植毛 |
| 視力矯正 | レーシック・ICL・カラーコンタクト |
| 税金 | 所得税・住民税・事業税・固定資産税など |
| 離婚費用 | ビジネス上の事情による離婚に関わる費用 |
それぞれを深掘りする前に、まず「経費とは何か」という基本の考え方をおさらいしておきましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 今回は8つのカテゴリのギリギリ経費を取り上げる
- 個別の判断の前に「経費とは何か」を理解することが重要
経費の基本:判断するのはあなた自身
経費とは、次の2つの条件を満たすものです。
- 自分の財布から出ていく支出であること
- 自分の事業・仕事に関係するものであること
シンプルにまとめると、この2点だけです。そして、これを誰が決めるのかというと——あなた自身です。確定申告は自分で計算して自分で申告していく作業ですから、まず自分が判断することになります。
📌 ポイント
あなたの仕事に一番詳しいのは、世界中であなた自身です。「世間一般では経費にならない」と言われているものでも、自分の仕事にこういう理由で関係があると説明・証明できるなら、経費として確定申告書に入れていくべきです。
世間の一般論は参考程度にとどめておきましょう。大切なのは、「自分はこう思いました」という理由を理論的に説明できるかどうかです。
📝 このセクションのまとめ
- 経費の条件は「支出であること」「仕事に関係すること」の2点
- 判断するのはあなた自身。世間の一般論は参考程度でよい
- 説明・証明できるなら経費に入れていくべき
①プライベート系の支出:家事按分の考え方が重要
プライベートの支出なんだけれど、なんとなく仕事にも関係しそう——こういうケースはたくさんあります。完全にプライベートな支出なら疑う余地もなく経費にはなりませんが、仕事とプライベートにまたがっているものは、家事按分という考え方を使います。
📌 家事按分とは?
仕事とプライベートにまたがる支出を、仕事に使っている割合で按分して経費に算入する考え方です。
例:1万円の支出のうち仕事での使用割合が30%なら、3,000円を経費に計上できます。
家事按分をうまく使いこなすためには、仕事とプライベートの割合をしっかりと区分して、証明・説明できる準備をしておくことが重要です。これが経費を増やしていく作業になります。
具体例として、ジム代を考えてみましょう。一般的には経費にならないと言われることが多いですが、あなたの仕事によって話は変わります。
| 職種・状況 | 経費になる可能性 | 理由 |
|---|---|---|
| 一般的なフリーランス | 難しい | 仕事との関連が説明しにくい |
| パーソナルトレーナー | 十分にある | ジムの設備調査・お客さんへのレッスン場所として使用など |
このように、同じジム代でも職種や使い方によって経費になるかどうかは変わります。自分の立場・仕事に照らし合わせて考えることが大切です。
📝 このセクションのまとめ
- 仕事とプライベートにまたがる支出には「家事按分」を活用する
- 按分割合を自分で区分・説明できる準備をしておく
- 同じ支出でも職種・状況によって経費になるかどうかが変わる
②車関連の費用:反則金は経費にならない
車関連の費用もよく質問を受けます。仕事で使っている車なら、購入費用やガソリン代は当然経費になります。ただし、個人事業主の場合は100%経費にするのは現実的ではないケースが多いです。
特に家族がいる場合、自分が仕事で使う部分は経費ですが、家族も乗る・家族に使わせるということは普通にあるでしょう。そのため、車両費用は家事按分の代表選手と言えます。
📌 法人と個人の違い
法人の場合は、法人の車庫に保管して法人の仕事として使うという形を取れるため、100%経費になっているケースが多いです。一方、個人の場合は家事按分が必要になることが多いです。
次に、駐車違反の反則金についてです。仕事で車を運転して出かけた先で駐車禁止の切符を切られてしまった場合、仕事との関連は明らかにあります。しかし——
⚠️ 注意
反則金は経費になりません。これは経費の考え方云々の前に、法律で決められていることです。駐車違反などの反則金は、仕事との関連があっても経費に算入できないと定められています。知識として必ず覚えておきましょう。
また、高級車の是非についても触れておきます。「高級すぎると経費にならない」という情報をインターネット上で見かけることがありますが、これは参考程度にとどめておきましょう。仕事において高級車を所有することにそれなりの理由があれば、経費になります。
- バリバリの営業マンがボロボロの車で顧客先に行くわけにはいかない
- 自分の仕事のブランドイメージとして高級な車が必要である
このような場合は、高級車であることを理由に経費にならないということはありません。「高すぎるから」という理由だけで経費が否認されるわけではなく、あくまで仕事に関係があるかどうかが判断基準です。
📝 このセクションのまとめ
- 仕事で使う車の費用は経費になるが、個人の場合は家事按分が必要なことが多い
- 反則金は経費にならないと法律で定められている
- 高級車も仕事上の必要性があれば経費になる。「高すぎる」だけでは否認されない
③ご祝儀・香典・交際費:仕事上の関係かどうかが鍵
ご祝儀・香典・交際費については、個人的にはほぼ経費にならないものが多いかなと思います。ただ、「ほぼ」です。万が一経費になるとすれば、どんなケースかを考えてみましょう。
📌 ポイント
「仕事がなければ未来永劫会うことがない」「仕事がなければ連絡を取ることがない」という関係性の相手に対するご祝儀・香典であれば、経費になる可能性があります。仕事上の関係でなければ絶対に連絡を取らない相手というのは、誰にでも確実に存在するはずです。
ただし一般的には、ご祝儀も香典も「経費にならない」というのが基本的な考え方です。それでも、あなたの仕事に関係するかどうかという基準で判定していくことが重要です。
📝 このセクションのまとめ
- ご祝儀・香典は一般的には経費になりにくい
- 「仕事上の関係でなければ絶対に連絡しない相手」への支出なら経費になる可能性がある
- 判断基準はやはり「仕事に関係があるかどうか」
④美容代・衣装代・スーツ代:家事按分か純粋経費か
美容代・衣装代・スーツ代については、全部が全部経費にはならないことはみんな分かっています。とはいえ、仕事でも使っている部分があるから一部は経費になるよね、全部が経費じゃないなんてことはないよね、ということも分かっているはずです。
考え方は2つあります。
- 家事按分を使う:何パーセントかは仕事に使っているとして、自分の仕事との関係を説明できる準備をして経費に算入する
- 純粋に仕事専用のものは全額経費にする:プライベートでは一切使わないものであれば、全額経費として計上できる
例えば、自分の著書の表紙が印刷されたTシャツがあるとします。5,000円弱のものでも、プライベートでは着ないわけですから、純度100%で全額経費になります。なぜなら仕事にしか使わないからです。
⚠️ 注意
インターネット上では「税理士は衣装代を経費に落とせない」といった情報を見かけることがあります。しかしそれは、一般的な税理士の一般的な働き方の場合の話です。職種で経費が決まるわけではありません。自分がその職種においてどういう活動をしていて、その活動にどうその支出が関わってくるか——それが全てです。
📝 このセクションのまとめ
- 美容・衣装・スーツは家事按分で一部経費にする方法と、仕事専用なら全額経費にする方法がある
- 職種で経費が決まるわけではなく、自分の活動との関連性が全て
- プライベートで一切使わないものは全額経費として計上できる
⑤整形・かつら・植毛:着脱可能かどうかが判断基準
整形・かつら・植毛については、明確な判断基準となる判例があります。あるバンドのメンバーが名古屋国税局と争った際の事例です。
| 項目 | 着脱 | 経費の判定 | 理由 |
|---|---|---|---|
| かつら | 着脱可能 | 経費になりうる | 衣装として認められる。仕事のときだけ使用していれば経費 |
| 植毛 | 着脱不可能 | 経費にならない | 人体にくっついてしまっているため衣装とならない |
端的に言うと、着脱可能かどうかが判断基準です。かつらは着脱可能なので衣装として認められ、仕事のときだけ使用しているなら経費になります。植毛は人体にくっついて離れないので経費にならないという考え方です。
この考え方はかつらと植毛だけでなく、他にも応用できます。
- 整形費用:顔にくっついてしまって離れないため、着脱不可能。植毛と同じ考え方をされると思われ、経費にするのは相当に厳しい
- 着脱可能なものであれば、かつらと同じ議論が出てくる可能性がある
📝 このセクションのまとめ
- かつら(着脱可能)は衣装として経費になりうる
- 植毛・整形(着脱不可能)は経費にするのは厳しい
- 「着脱可能かどうか」が判断の分かれ目
⑥視力矯正系(レーシック・ICL・コンタクト):医療費控除を活用
レーシックやICL(眼球内にレンズを入れる手術)といった視力矯正系も、経費になるのかという議論があります。基本的には難しいと考えます。
| 項目 | 着脱 | 経費の判定 | 補足 |
|---|---|---|---|
| レーシック | 着脱不可能(角膜を削るため復元不可能) | 経費にならない | 医療費控除の対象になる可能性あり |
| ICL | 手術なしには着脱不可能 | 経費にならない(植毛と同様の判定) | 医療費控除の対象になる可能性あり |
| 視力矯正用コンタクト・メガネ | 着脱可能 | 経費・医療費控除ともに難しい | 治療としての医療費とは認められにくい |
| カラーコンタクト | 着脱可能 | 衣装の範囲で検討できる | 仕事との関連次第 |
📌 ポイント
レーシックやICLは視力を矯正する、つまり治療にあたります。そのため経費云々というよりも、医療費控除の範囲に入ってくる可能性があります。ほとんどの場合は治療として医療費控除を使っていくことになるでしょう。
カラーコンタクトについては衣装という範囲に入ってくるので、先ほどの衣装の考え方と同様に、あなたの仕事に関係があるかどうかで判断していくことになります。
📝 このセクションのまとめ
- レーシック・ICLは着脱不可能なため経費にするのは難しい
- 治療にあたるため、医療費控除の活用を検討する
- 視力矯正用のメガネ・コンタクトは医療費控除も経費も難しい
- カラーコンタクトは衣装として仕事との関連次第で経費になりうる
⑦税金:所得税・住民税はNG、事業税は経費になる
税金の経費算入については、まず知識として覚えておくべきことがあります。
⚠️ 注意
所得税と住民税は経費になりません。これは経費の考え方云々の前に、反則金と同様に法律で定められていることです。必ず覚えておきましょう。
| 税金の種類 | 経費になるか | 備考 |
|---|---|---|
| 所得税 | ❌ ならない | 法律で定められている |
| 住民税 | ❌ ならない | 法律で定められている |
| 事業税 | ✅ なる | 忘れがちなので確定申告書に確実に反映すること |
| 不動産取得税(事業用) | ✅ なる | 不動産賃貸業など事業のために払った場合 |
| 固定資産税(事業用) | ✅ なる | 不動産賃貸業など事業のために払った場合 |
| 不動産取得税(マイホーム) | ❌ ならない | プライベートの取得のため |
特に事業税は忘れがちです。事業税を支払っている方は、確実に確定申告書に反映させましょう。
不動産取得税や固定資産税についても、マイホーム取得のために払ったものは当然経費になりませんが、不動産投資業・不動産賃貸業のために払ったものは間違いなく経費になります。その他の税金も、いつもの考え方——あなたの仕事と関連があるかどうか——で判断していきましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 所得税・住民税は経費にならないと覚えておく
- 事業税は経費になる。忘れずに確定申告書に反映する
- その他の税金は仕事との関連次第で経費になる
⑧離婚費用:基本はならないが、ゼロではない
最後は離婚費用です。一般論としても、個人的にも「経費にはならない」と思います。ただ、一縷の望みがまったくないかというと、ひょっとしたら、というケースはあるかもしれません。
考えられるケースは2つあります。
- ビジネス結婚・ビジネス離婚:世の中には少数ながら存在するとされており、その場合は検討の余地がある
- 仕事をするためだけに家族を捨てて離婚するケース:仕事のためだけに払った支出であれば、あるいは……という感じがしないでもない
⚠️ 注意
仮に「仕事のためだけに別れた」と主張するには、心の底から仕事のためだけに分かれたということを証明しなければなりません。自分がそう思っているだけでなく、相手方も「仕事のために捨てられた」と認識していて、それをちゃんと証明できなければなりません。なかなか厳しい話ではありますが、ゼロではないという話です。
なぜこんな話をするかというと、考え方が重要だからです。仕事に関係があるかどうか——これが全てです。一般論は参考であって、あなたの人生・あなたの仕事が基準です。全ての支出はそれに照らし合わせながら考えてください。
📝 このセクションのまとめ
- 離婚費用は基本的には経費にならない
- ビジネス上の事情や仕事のためだけの離婚であれば検討の余地はゼロではない
- 証明が非常に難しいため、現実的には厳しい
まとめ:経費の判断はあなたの仕事への関連性が全て
今回の8項目を通じて、何度も繰り返してきた考え方があります。最後に整理しておきましょう。
📌 経費判断の基本原則
- 経費とは「支出であること」+「仕事に関係すること」
- 判断するのはあなた自身。あなたの仕事に一番詳しいのはあなた
- 世間の一般論は参考程度。あなたの人生・仕事が基準
- 説明・証明できる準備をしておくことが重要
- 税務調査が来た場合にも、準備した説明をしっかり行う
やましい気持ちをゼロにして、理論的に考える。その基準は仕事に関係があるかどうか——これが全てです。行き当たりばったりで「なんとなく経費かな」というのはやめておきましょう。
⚠️ 特に覚えておくべき知識
- 反則金は経費にならない(法律で定められている)
- 所得税・住民税は経費にならない(法律で定められている)
- 事業税は経費になる(忘れずに確定申告書に反映する)
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 大河内薫のマネリテ学園 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは 大河内薫のマネリテ学園を応援しています!
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