年内ギリギリ間に合う!個人事業主・フリーランスの駆け込み節税策5選【税理士が解説】
12月決算を前に、今すぐできる正統派節税策を税理士が5つ厳選して解説します。
個人事業主・フリーランスの税金の基本構造
まず、個人事業主・フリーランスの税金がどれくらいかかるのか、全体像を確認しておきましょう。
商売をする場合、最も重要なのが売上です。そこから売上を獲得するためにかかった費用(必要経費)を差し引いたものが事業所得と呼ばれます。青色申告の方は「青色申告決算書(4枚)」、白色申告の方は「収支内訳書」にこの計算を記載していきます。
事業所得からさらに所得控除を引いて課税所得を算出します。所得控除とは、配偶者控除・生命保険料控除・医療費控除など、個人の生活的事情を考慮した控除制度で、経費とは異なりますが節税につながるものです。
この課税所得に対して税率をかけるのですが、所得税は超過累進税率が採用されており、最低5%から最高45%の税率が適用されます。さらに以下の税金も加算されます。
| 税金の種類 | 税率・概要 |
|---|---|
| 所得税 | 5%〜45%(超過累進税率) |
| 復興特別所得税 | 所得税額の2.1%上乗せ |
| 住民税 | 一律10% |
| 個人事業税 | 事業所得などに対して約5%前後 |
この図から、税負担を減らす方法(節税)は以下の3つしかありません。
- 売上を減らす
- 必要経費を増やす
- 所得控除を増やす
ただし、売上を不当に減らすのは脱税になりますし、商売の根幹であるビジネスと逆行します。現実的な節税手段は、必要経費を増やすか、所得控除を増やすか、あるいはその両方を実行することになります。
📝 このセクションのまとめ
- 個人事業主・フリーランスは全員12月決算
- 節税の手段は「経費を増やす」か「所得控除を増やす」の2択
- 売上を減らして節税するのは脱税リスクがあり論外
年内に急いでやる必要がある節税策とそうでないものの違い
青色申告や家族従業員への給与支払いによる節税など、よく聞かれる手法もありますが、これらは事前に届け出が必要なため、今の段階では今年の所得に対して適用することができません。すでに間に合わない手法です。
一方、家事按分(生活費の一部を経費に落とす方法)などは、年をまたいでも対応できるため、今回は対象外とします。今回ご紹介するのは、12月末日の決算日をまたぐ前に急いで対応しなければならない節税策に絞った5つです。
📌 ポイント
個人事業主・フリーランスは全員12月31日が決算日です。この日をまたいでしまうと、ほとんどの節税策が使えなくなります。今からできることを今すぐ実行しましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 青色申告・家族従業員給与など事前届け出が必要なものは今年分には間に合わない
- 家事按分など年をまたいでも対応できるものは別途検討でよい
- 今回は「12月末日までに対応必須」の節税策5つを厳選
節税策①:少額減価償却資産の特例を活用した設備投資
まず、減価償却という概念を押さえておきましょう。車・機械・建物など長期間使用する設備を購入した場合、その購入金額を一括で経費に落とすことはできません。国税庁が定めた耐用年数に基づいて、少しずつ経費に分散させていく必要があります。
| 資産の種類 | 耐用年数 |
|---|---|
| RC(鉄筋コンクリート)建物 | 47年 |
| 一般的な乗用車 | 6年 |
| パソコン | 4年 |
例えば新品のパソコン(20万円)を購入した場合、耐用年数4年・定額法(償却率0.25)で計算すると、初年度に経費計上できるのは5万円のみです。翌年以降も毎年5万円ずつ、4年かけて償却していきます。
一方、中古パソコン(20万円・使用済み4年超)の場合は耐用年数が2年に短縮され、償却率0.5で計算すると1年あたり10万円とスピーディに償却できます。ただし、中古品は後から修理費が発生することもあり、節税になっても結果的に損するケースもあるため注意が必要です。
📌 ポイント:少額減価償却資産の4つの区分
| 区分 | 取得価格 | 経費処理の方法 | 条件 |
|---|---|---|---|
| A(原則) | 制限なし | 耐用年数に基づき減価償却 | なし |
| B | 10万円未満 | 全額一括経費計上 | なし(無条件) |
| C | 20万円未満 | 3年間均等償却(1/3ずつ) | なし |
| D(特例・目玉) | 30万円未満 | 全額一括経費計上 | 青色申告者・年間合計300万円まで |
特に注目すべきは区分D(少額減価償却資産の特例)です。1点あたり30万円未満のものであれば、購入年度に全額一括で経費計上できます。ただし、青色申告をしていることが前提条件で、年間の合計取得価格が300万円までという上限があります。
⚠️ 注意
- 区分AとDは固定資産税(償却資産税)の申告対象になります(BとCは対象外)
- 物を購入しただけではなく、実際に事業で使用を開始していることが経費計上の条件です
- 金額が大きいものほど税務調査でターゲットになりやすいため注意が必要です
- 減価償却の計算は年度の途中で購入した場合、月按分が必要です
- 青色申告の申請がまだの方は、急いで青色申告承認申請書を提出しましょう
本当に必要な設備・今買うべきものがあるのであれば、これらの制度を活用して購入してください。ただし、必要もないのに無理に購入するのは手元の資金が減るだけです。節税よりもビジネスと資金繰りの優先順位を守ることが重要です。
📝 このセクションのまとめ
- 30万円未満の資産は青色申告者なら全額一括経費計上できる(年間300万円上限)
- 中古資産は耐用年数が短縮されスピーディに償却できるが、修理費リスクに注意
- 「使用開始」が経費計上の条件。購入しただけではNG
- 必要のない設備を無理に買う節税は資金繰りを悪化させるだけ
節税策②:マーケティング投資(広告宣伝費)
集客や求人のための広告宣伝費も節税に活用できます。看板・雑誌広告・Web広告・SNS広告など、不特定多数を対象とするものが該当します。
ただし、年末までに役務提供(広告の掲載)が完了しているかどうかが経費計上の重要なポイントです。来年1月以降に掲載される広告を今年支払っても、会計上は「前払費用」となり、今年の経費には一切なりません。
- 雑誌掲載:今から申込むと間に合わない恐れあり
- ネット広告:年内に消化できれば十分間に合う
よく質問されるチラシ・パンフレット・ホームページ制作費については以下の通りです。
| 広告物の種類 | 経費計上の条件・注意点 |
|---|---|
| チラシ・パンフレット | 消耗品扱い。在庫が残っている分は「貯蔵品」として資産計上が必要。年内に全部消化すれば経費OK |
| チラシ・パンフレット(特例) | 毎年一定数量購入・毎年経常的に消費・全額経費計上を継続適用、の3要件を満たせば在庫に関係なく全額経費計上可 |
| ホームページ制作費 | 年内に完成・公開されていることが条件。未公開のものは経費計上不可 |
⚠️ 注意
広告宣伝費は「年内に役務提供が完了しているか」が経費計上の鉄則です。支払いのタイミングではなく、広告が実際に掲載・消化された時期で判断されます。経費計上のタイミングにくれぐれもご注意ください。
📝 このセクションのまとめ
- 年内に広告掲載が完了するものだけが今年の経費になる
- 来年以降掲載分を今払っても前払費用扱いで今年の経費にならない
- チラシは在庫が残ると棚卸し(貯蔵品計上)が必要。年内に消化することが重要
- ホームページは年内に完成・公開されていることが必須
節税策③:従業員への決算賞与
従業員に対する賞与は、原則として決算時点で未支給のものは経費になりません。しかし、一定の要件を満たすことで未支給でも経費計上できる特例があります。
📌 未支給賞与を経費計上するための2つの要件
- 決算日(12月31日)までに賞与額を確定し、支給額を各従業員に通知していること
- 決算日翌日から1ヶ月以内(=翌年1月31日まで)に支給し、経費処理を行うこと
つまり、年内に支払わなくても、来年1月31日までに支払いを完了していれば今年の経費として計上できます。もちろん年内に支払っても問題ありません。
⚠️ 注意
税務調査対策として、各従業員に本当に通知したかどうかが疑われるケースがあります。賞与支給通知書に各従業員から署名・捺印をもらっておくのが無難です。また、決算賞与はキャッシュアウトを伴いますし、社会保険に加入している場合は社会保険料の事業主負担も増加します。従業員のモチベーションアップや売上増加につながるかどうかを十分に検討した上で実施してください。
📝 このセクションのまとめ
- 12月31日までに賞与額を確定・通知し、翌年1月31日までに支給すれば今年の経費になる
- 通知の証拠として賞与支給通知書への署名・捺印を取得しておくと安心
- 社会保険料の事業主負担も増えるため、実際の効果を見極めて判断する
節税策④:小規模企業共済への加入・年払い
個人事業主・フリーランスに非常に人気の高い節税兼貯蓄の制度が小規模企業共済です。従業員数5人〜20人以下の中小企業の役員や個人事業主が加入できる退職金制度で、貯蓄しながら節税できる点が大きな特徴です。
掛金は所得控除として扱われるため、経費にはなりませんが節税効果を生み出します。また、予定利回りは約1%程度で運用される投資の側面もあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加入対象 | 個人事業主・フリーランス、中小企業の役員(従業員5〜20人以下) |
| 掛金 | 月額1,000円〜70,000円(前納・一括払いも可) |
| 最大年間掛金 | 84万円(月7万円×12ヶ月) |
| 満期 | なし(廃業・死亡・65歳以上で解約可) |
| 予定利回り | 約1% |
| 解約時の税制 | 退職所得または雑所得として税制優遇あり |
| 緊急借入れ | 可能(金利1.5%) |
⚠️ 注意:元本割れ・メリット消滅のリスク
- 廃業・死亡・65歳以上以外の理由(任意解約)で20年未満の場合は元本割れします
- 廃業・死亡・65歳以上による解約でも15年未満の払込では元本割れします
- 15年以上支払い続ける見込みがない方は加入を慎重に検討してください
iDeCo(個人型確定拠出年金)も所得控除を受けられる類似制度ですが、投資リスクが高い面があります。個人事業主の方はまず小規模企業共済を優先し、その後必要に応じてiDeCoを検討する順番がおすすめです。
📌 年払いを活用した年内の節税テクニック
小規模企業共済は年払い(前納)が可能です。月額7万円で加入している場合、12月にさらに84万円を一括前納することで、今年の所得控除をその分増やすことができます。
ただし手続きのタイミングに注意が必要です。
- 既加入者:11月20日が年払い手続きの期限
- 新規加入者:それ以降でも間に合うが、自動引き落とし設定では年を越してしまうため、現金払いを選択することを強く推奨
自営業者には会社員のような退職金がないため、自分で老後の資金を積み立てる必要があります。駆け出しのフリーランス・個人事業主の方が最初に取り組むべき節税策として、特に強くおすすめします。
📝 このセクションのまとめ
- 小規模企業共済は貯蓄しながら所得控除で節税できる個人事業主最強の制度
- 月額最大7万円・年間最大84万円の掛金が全額所得控除の対象
- 既加入者の年払い手続き期限は11月20日。新規加入者は現金払いで年内に対応を
- 20年未満の任意解約は元本割れ。長期継続が前提の制度
節税策⑤:ふるさと納税(節税的な効果)
厳密には節税ではありませんが、節税的な効果があるものとしてふるさと納税をご紹介します。
通常、住民税は居住している市区町村に支払いますが、ふるさと納税はこの住民税の支払いを他の市区町村への寄付という形に置き換える制度です。どこでも自由に選ぶことができ、生まれ故郷への寄付に限定されるわけではありません。
例えば30万円相当の寄付をすると、その約30%(約9万円相当)の返礼品がもらえます。支払う税金の総額は変わりませんが、返礼品がもらえる分だけ経済的利益が発生します。自己負担額は2,000円のみです。
📌 課税所得別のふるさと納税限度額の目安
| 課税所得の目安 | 所得税率 | ふるさと納税限度額の目安(住民税額比) |
|---|---|---|
| 低い(最低税率) | 5% | 住民税額の約23〜28% |
| 中程度 | 10〜23% | 住民税額の約28〜33% |
| 1,000万円超(税率33%) | 33% | 住民税額の約35% |
| 最高税率 | 45% | 住民税額の約45% |
⚠️ 注意
- ふるさと納税には限度額があり、所得水準によって異なります。限度額を超えた分は自己負担になります
- 個人事業主・フリーランスはその年の業績によって所得が変動するため、会計ソフトで月次の損益を把握した上で限度額を計算する必要があります
- 2023年10月以降、ふるさと納税のルールが厳格化され、返礼品のお得度が低下しています
📝 このセクションのまとめ
- ふるさと納税は税額は変わらないが返礼品分だけ経済的にお得になる「節税的」な制度
- 自己負担は2,000円のみ。返礼品は寄付額の約30%相当
- 限度額は所得水準によって異なるため、月次会計で今年の利益を把握してから実施する
- 2023年10月以降のルール厳格化で返礼品のお得度が低下している点に注意
節税の弊害:「利益が先、節税は後」という大原則
最後に、特に駆け出しの経営者の方に向けて、節税の弊害について重要なお話をします。節税が全てだと勘違いされている方が多いですが、注意すべき点がいくつかあります。
節税をするということは、ほとんどの場合手元からキャッシュがなくなることを意味します。過度な節税は資金不足を招きます。その代表例が経費の一括前払い(年払い)です。
📌 短期前払費用の特例とは
家賃・リース料・保険料などは本来、今年に対応する部分しか経費計上できません(残りは前払費用)。しかし以下の3要件を満たせば、年払いした全額を経費計上できる特例があります。
- 年払い契約に改定すること(月払い契約のまま年払いするのはNG)
- 1年を超える前払いは対象外(1年以内のものに限る)
- 毎年継続して同じ経理処理を適用すること
確かに年払いにした初年度は約2年分の経費を計上できるため節税効果は大きいです。しかし翌年以降もずっと年払いを続けなければならないため、最終年度だけ経費負担と資金負担が極めて大きくなります。また支払い先(大家・リース会社・保険会社)が万一倒産した場合の資金繰りリスクも考慮が必要です。
税理士の立場としては、短期前払費用の特例は基本的にはおすすめしていません。
さらに、節税しすぎて赤字を出したり利益が薄くなると、以下のような深刻な問題が生じます。
- 融資審査の評価がダウンし、事業資金の借入れが難しくなる
- 個人事業主の場合、個人の生活に直結するため住宅ローンの審査にも影響し、住宅購入ができなくなる恐れがある
- 不測の事態への財源がなく事業が潰れやすくなる
- 個人事業から法人化・事業拡大を目指す場合に資金調達力が著しく低下する
⚠️ 最も重要な原則
最も大事なのは「利益が先、節税は後」という順番です。最初から節税だけを考えているとビジネスはうまくいきません。基本的な優先順位は「まず儲けること」、その後で節税を考えることです。
📝 このセクションのまとめ
- 節税=キャッシュアウト。過度な節税は資金不足を招く
- 短期前払費用の特例は節税効果はあるが資金繰りリスクが高く、基本的には非推奨
- 節税しすぎると融資審査・住宅ローン審査・事業の継続性に悪影響が出る
- 「利益が先、節税は後」が大原則。まず稼ぐことを最優先にする
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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