扶養の「年収の壁」を税理士が解説!押さえるべき4つの壁とその理由

扶養の「年収の壁」を税理士が解説!押さえるべき4つの壁とその理由
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パート収入がある方必見。扶養の「年収の壁」を種類別に整理して解説します。

「年収の壁」が注目される背景

年末が近づくと、パートで働く奥様などから「今月はもうシフトに入れません」という声が上がります。これはいわゆる扶養の壁を意識した出勤調整で、以前からずっと繰り返されてきた現象です。

以前は103万円の壁130万円の壁の2つを気にしていれば良かったのですが、最近では100万円・106万円・130万円・150万円とさまざまな壁が登場し、「自分はどの壁を気にすればいいの?」「そもそも扶養って何?」と困っている方も多いのではないでしょうか。

📌 ポイント

2023年2月、岸田総理も「年収の壁」について言及。パートなどで働く主婦が扶養から外れた結果、手取り収入が減ってしまう現象が起きていることを認識しており、昨今の人手不足問題を深刻化させているとして、制度見直しの必要性を示しました。それほど社会的関心が高いテーマです。

📝 このセクションのまとめ

  • 年収の壁は以前の2つから、現在は複数に増えている
  • 出勤調整による人手不足が社会問題化している
  • 政府も制度見直しを検討するほど注目度が高いテーマ

今回の結論:特に意識すべき壁はどれか

お忙しい方のために、まず結論をお伝えします。

📌 結論

106万円の壁130万円の壁は特に影響が大きいため、しっかり意識しておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 複数ある壁の中でも、106万円と130万円が特に重要
  • 詳細は以降のセクションで解説

そもそも「扶養」とは何か

扶養とは、生計を主に担っている方(仮にご主人様)が、配偶者や家族を経済的に支えることを言います。一定の条件を満たすことによって、次の2種類の扶養が生じます。

扶養の種類内容メリットを受ける人
税法上の扶養配偶者控除・扶養控除などの所得控除が受けられる扶養する側(ご主人様)
社会保険上の扶養健康保険証の発行・国民年金の受給権が得られる扶養される側(奥様など)

📝 このセクションのまとめ

  • 扶養には「税法上」と「社会保険上」の2種類がある
  • 税法上の扶養は扶養する側(ご主人様)の税負担が軽くなる
  • 社会保険上の扶養は扶養される側(奥様)のメリットが大きい

税法上の扶養のメリット:所得控除の仕組み

税法上の扶養に入ると、配偶者控除扶養控除という所得控除が受けられるようになります。その結果、ご主人様の所得税・住民税の負担が軽くなります。

所得税の計算の流れをおさらいすると、以下のようになります。

計算ステップ内容
① 給与収入(総額)給料の総額
② 給与所得控除を引くいわゆる「みなし経費」を差し引く
③ 給与所得①から②を引いた金額
④ 所得控除を引く配偶者控除・扶養控除などを差し引く(←ここが重要)
⑤ 課税所得金額③から④を引いた金額
⑥ 所得税⑤に所得税率をかけて計算

所得税は超過累進税率、つまり収入・所得が高ければ高いほど税率が上がる仕組みになっています。そのため、給料が高い高所得者ほど、所得控除(配偶者控除・扶養控除)の恩恵を大きく受けられるということになります。

📝 このセクションのまとめ

  • 税法上の扶養に入ると、扶養する側の所得税・住民税が軽減される
  • 配偶者控除・扶養控除は所得控除の一種
  • 高所得者ほど所得控除の恩恵が大きくなる

社会保険上の扶養のメリット

社会保険上の扶養には、扶養される側(奥様など)にとって大きなメリットが2つあります。

  • メリット①:自身で保険料を負担しなくても健康保険証が発行される
  • メリット②:保険料を払わなくても国民年金を受け取る権利が得られる

メリット①について、ご主人様が会社員などの場合、お勤め先の健康保険の扶養に入れば保険証が発行されます。保険証がないと医療機関の受診時に10割負担になってしまいますが、保険証があれば3割負担で受診できます。これはとても大きなメリットですね。

メリット②について、ご主人様が厚生年金に加入している場合、その扶養に入ると第3号被保険者に該当します。第3号被保険者であれば、保険料を自分で払わなくても「納付したとみなされ」、将来国民年金を受け取る権利が得られます。

📝 このセクションのまとめ

  • 社会保険上の扶養に入ると、保険料負担なしで健康保険証が発行される
  • 第3号被保険者として、保険料を払わなくても国民年金の受給権が得られる
  • 扶養される側(奥様)のメリットが特に大きい

扶養に入ることのデメリット

扶養に入ることにはメリットだけでなく、デメリットも2つあります。

デメリット①:将来もらえる年金額が少なくなる

ご主人様の扶養に入ることで、自分では保険料を納付しなくても国民年金をもらえる権利があります。しかし、あくまで国民年金であり、受給満額でも年間約80万円程度です。それだけで生活できるかというと、決してそうではありません。

一方、扶養に入らずバリバリ働くことを選択すれば、年金保険料の負担はありますが厚生年金を受給できるようになります。将来もらえる年金額には当然差が出ます。年金制度自体が揺らいでいる面もありますが、これはメリットでもありデメリットでもある点です。

働き方年金の種類受給額の目安
扶養内(第3号被保険者)国民年金のみ満額で年間約80万円程度
扶養外(厚生年金加入)国民年金+厚生年金国民年金より多くなる

デメリット②:働き方が限定される可能性がある

扶養に入るためには年収の制限を受けるため、勤務時間や出勤日数の調整が必要になります。これが求人の選択肢にも影響し、岸田総理が指摘した昨今の人手不足問題を深刻化させている要因の一つとなっています。

⚠️ 注意

扶養に入ることで手取りが増えると思いがちですが、扶養から外れると手取りが減ってしまうケースがあります。これが「年収の壁」問題の本質です。どの壁を越えるかによって影響が異なるため、自分の状況に合わせて慎重に判断することが重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 扶養内だと将来の年金は国民年金のみ(年間約80万円程度)で少なくなる
  • 扶養外で厚生年金に加入すれば将来の年金額は増える
  • 扶養に入ることで勤務時間・出勤日数が制限され、働き方の選択肢が狭まる
  • この出勤調整が人手不足問題の深刻化につながっている

具体的な「年収の壁」の種類

では、具体的にどのような壁があるのかを整理します。まず、2022年10月の法改正により、社会保険加入の条件が拡大されました。条件によっては社会保険の扶養から外れることがあります。

年収の壁関係する制度主な内容
100万円の壁住民税住民税が発生し始める
103万円の壁所得税・税法上の扶養所得税が発生し始め、配偶者控除の対象外になる可能性がある
106万円の壁社会保険(2022年10月法改正で拡大)条件によっては社会保険の扶養から外れ、自身で社会保険料を負担する必要が生じる
130万円の壁社会保険上の扶養社会保険上の扶養から外れ、自身で国民健康保険・国民年金に加入が必要になる
150万円の壁税法上の扶養(配偶者特別控除)配偶者特別控除の満額が受けられなくなり始める

📌 ポイント

特に影響が大きいのは106万円の壁130万円の壁です。この2つは社会保険上の扶養に関わるため、手取り収入への影響が非常に大きくなります。自分がどの壁に近い収入水準にいるかを把握しておくことが重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 年収の壁は100万円・103万円・106万円・130万円・150万円の5種類
  • 2022年10月の法改正で社会保険加入条件が拡大され、106万円の壁の影響を受ける人が増えた
  • 特に意識すべきは106万円と130万円の壁(社会保険上の扶養に関わる)

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜を応援しています!

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