源泉徴収票の見方を税理士がゼロからわかりやすく解説【完全ガイド】
源泉徴収票をもらっても何が書いてあるかわからない方へ、仕組みからわかりやすく解説します。
源泉徴収票はなぜ見づらいのか
源泉徴収票を見たとき、どう思いますか?突然サイズが倍になったり、白い紙に黒い文字と枠がめちゃくちゃ入っていて、ぱっと見で相当見づらいと感じる方が多いと思います。
理解が進むと「見るところ」が決まってくるので簡単なのですが、初めての方はもう相当しんどいし、はてなが飛びまくると思います。
📌 ポイント
源泉徴収票を読めるようになるには、いくつかの共通言語(専門用語)を理解し、枠のルールを把握することが大切です。まずはざっくり理解から始めましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 源泉徴収票は枠が多くて初見では非常に見づらい
- 共通言語とルールを理解すればさらっと読めるようになる
- まずは「ざっくり理解」を目指すことが重要
所得税の超ざっくり基本:まずここだけ理解しよう
源泉徴収票を理解するには、所得税の仕組みを少しだけ知っておく必要があります。でも難しく考えなくて大丈夫です。
📌 所得税の計算の流れ(超ざっくり)
収入から色々引いて、最後に引き切った金額に税率をかける。これだけで十分です。
これを給与に当てはめると、次のようになります。まず「給与」と「給料」という言葉の違いをしっかり理解しておきましょう。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 給与 | 全部の総額(今日の解説ではこちらを使います) |
| 給料 | 基本給の部分 |
給与に所得税の仕組みを当てはめると、2つの引き算(控除)が登場します。
- 給与所得控除:給与に対して自動計算される引き算
- 所得控除:配偶者控除・扶養控除など、税金を安くする各種控除
この2つを覚えておくと、源泉徴収票がぐっと見やすくなります。
給与所得控除は給与の金額に応じて自動計算されます。目安は以下の通りです。
| 給与総額 | 給与所得控除の目安 |
|---|---|
| 300万円 | 約100万円 |
| 500万円 | 約150万円 |
給与所得控除の正確な金額は、国税庁のホームページに自動計算ソフトが用意されています。気になる方は確認してみてください。
所得控除は、配偶者控除・扶養控除・社会保険料控除など、聞き慣れた控除がこれにあたります。引くものが多ければ多いほど最後に残る金額が減り、そこに税率をかけて所得税を計算するので、控除が増えれば増えるほど税金は安くなります。
📝 このセクションのまとめ
- 所得税=収入から2種類の控除を引いた金額に税率をかけたもの
- 「給与所得控除」は自動計算される控除
- 「所得控除」は配偶者控除・扶養控除など各種控除の総称
- 控除が増えるほど税金は安くなる
源泉徴収票の全体構造:3つのエリアに分けて理解する
源泉徴収票はぱっと見ると複雑ですが、大きく3つのエリアに分けると整理しやすくなります。
| エリア | 色のイメージ | 内容 | 重要度 |
|---|---|---|---|
| 上段(メイン) | 緑 | 年収総額・所得税額など最重要情報 | ★★★ |
| 中段 | 赤 | 所得控除の内訳・家族情報・保険情報など | ★★ |
| 下段 | 青 | 所得控除のさらに細かい内訳・補足情報 | ★ |
📌 ポイント
源泉徴収票は上に行くほど重要、下に行くほど内訳・補足という構造になっています。全部を完璧に理解しようとするのではなく、まず上段から押さえましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 源泉徴収票は3つのエリアに分けて考える
- 上段(緑)が最も重要:年収・所得税額が記載されている
- 中段(赤)は所得控除の内訳、下段(青)はさらに細かい補足情報
上段(メイン)の読み方:年収と所得税額を確認する
源泉徴収票で最も重要なのは上段です。ここには年収の証明として最重要な数字が並んでいます。給与が500万円の方を例に見ていきましょう。
| 項目 | 金額(例) | 説明 |
|---|---|---|
| 給与総額 | 500万円 | 1年間の給与の合計額 |
| 給与所得控除後の金額 | 356万円 | 500万円から給与所得控除(約144万円)を引いた金額 |
| 所得控除の額の合計額 | 169万8,000円 | 各種所得控除の総合計 |
| 源泉徴収税額 | 9万5,463円 | 年間の所得税の確定額 |
⚠️ 注意
源泉徴収票には給与所得控除(約144万円)の金額は記載されません。500万円から控除を引いた後の金額(356万円)が直接記載される仕組みになっています。これが源泉徴収票の見づらいポイントのひとつです。
また、右端に記載されている源泉徴収税額(9万5,463円)は、年間の所得税の「確定値」です。毎月給与から天引きされている金額の年間合計は「概算」であり、この確定値とはズレが生じます。
そのズレを精算するのが年末調整です。年末調整を経て確定値が計算され、払いすぎていた分が還付されます。
⚠️ 注意
年末調整で「還付金が戻ってきた!やった!」と喜ぶ方がいますが、あれはただ払いすぎた税金が戻ってきているだけです。節税ではありません。
本当の節税は、年末調整で所得控除に関わる資料をしっかりと提出し、適正な税金計算をしてもらうことです。自分の資料を全部出さないと正確に計算されず、厳密な源泉徴収票が手に入りません。年末調整は節税イベントだという意識を持って、所得控除につながる情報をしっかりと提出しましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 上段には「給与総額」「控除後の金額」「所得控除合計」「源泉徴収税額」が記載される
- 給与所得控除の金額は源泉徴収票に直接は書かれない(見づらいポイントその1)
- 源泉徴収税額は「確定値」、毎月の天引き額の合計は「概算」でズレがある
- 還付金は節税ではなく払いすぎた税金の返還
中段・下段の読み方:所得控除の内訳と注意点
中段(赤枠)には、所得控除の内訳・内容がある程度記載されています。「ある程度」というのがポイントです。
中段1段目には、家族情報が記載されます。
- 配偶者の人数
- 養っている人(扶養親族)の人数
- そのうち障害者の方の人数(本人含む)
中段2段目には、各種控除の金額が記載されます。
- 社会保険料控除の金額
- 生命保険料控除の金額
- 地震保険料控除の金額
- 住宅ローン控除
⚠️ 注意:基礎控除は源泉徴収票のどこにも書かれない
所得控除の合計額(169万8,000円)と、中段に記載されている各控除の合計を足しても数字が合わないことがあります。それは、全員に与えられている基礎控除(現行48万円)が源泉徴収票のどこにも記載されていないからです。これが見づらいポイントのその2です。基礎控除+中段の各控除の合計=所得控除の合計額、という構造になっています。
⚠️ 注意:iDeCo(個人型確定拠出年金)は中段に記載されない
iDeCoは投資した金額が全額控除になりますが、年末調整でしっかり計算に加味されて所得控除の合計額に含まれていたとしても、中段の欄には記載されません。これも知らないと読み解けない見づらいポイントのひとつです。
中段を確認する際は、自分が提出した資料がきちんと反映されているかをチェックしましょう。反映されているということは、税金が正確に計算されているということです。提出したのに反映されていない場合は、会社に伝えて訂正してもらう必要があります。また、提出し忘れた場合も当然反映されませんので注意が必要です。
下段(青枠)は、所得控除の内容のさらに細かい内訳です。例えば保険料をどれぐらい払ったかといった情報が記載されていますが、払った金額イコール控除の金額ではありません。また、配偶者がいる場合はその氏名なども記載されています。
📌 ポイント
下段(青枠)は内訳・補足情報です。自分が提出した資料が反映されているか、名前が間違っていないかを確認する程度で十分です。
📝 このセクションのまとめ
- 中段には社会保険料控除・生命保険料控除・住宅ローン控除などが記載される
- 基礎控除(48万円)は源泉徴収票のどこにも記載されない(見づらいポイントその2)
- iDeCoも中段には記載されない
- 提出した資料が反映されているか必ず確認すること
- 下段は補足情報なので、名前の確認程度でOK
源泉徴収票に住民税は書かれていない:住民税の計算スケジュール
源泉徴収票のわかりづらいポイントその3として、所得税の金額しか書かれていないという点があります。私たちの税金(個人の税金)には所得税と住民税の2種類がありますが、住民税の記載は源泉徴収票のどこにもありません。
さらに言うと、日本には所得税と住民税が同時に記載される公的書類は存在しません。なぜかというと、計算する主体が違うからです。
住民税の計算スケジュールは次のようになっています。
- 12月:年末調整が行われ、所得税の情報が確定する
- 3月:個人事業主などは確定申告を行い、所得税の情報が完全に確定する
- 確定した情報が自治体に送られる(会社が従業員の情報を自治体に送付)
- 6月頃:自治体が住民税を計算・決定する
- 関連記事
年収と所得の違いを税理士が解説|扶養・確定申告で使う正しい数字の見方
株式投資の確定申告・超入門|税理士が解説する年明けすぐに確認すべき3つのこと
住民税が去年より増えた理由2つと通知書チェック方法を税理士が解説
東京エリア
千代田・中央・港区から副都心各区まで、東京の優良税理士法人ランキング
関西エリア
大阪・京都・兵庫・岡山など関西圏の信頼できる税理士法人ランキング
関東エリア
首都圏の神奈川・埼玉・千葉・北関東で実績のある税理士法人ランキング
中部エリア
製造業の集積地、中部・北陸圏で企業支援に強い税理士法人ランキング
九州・沖縄
九州・沖縄地域で地域密着型サービスに定評のある税理士法人ランキング
その他地域
北海道・東北・中国・四国地方の地域に根ざした税理士法人ランキング
