110万1000円の贈与で100円納税は危険?名義預金対策を税理士が解説
110万1000円の贈与で100円納税、本当にお得?正しいやり方と落とし穴を解説します。
SNSで話題の「110万1000円贈与で100円納税」とは?
この前Xですごいポスト見つけたんですよ。
お、どんなポストでしょうか?
110万1000円の贈与で100円の納税になるからめちゃくちゃ節税だなんていうポストを見かけたんですけど、めちゃくちゃいいじゃんって思ったんですけど、どうですか?
これは正直あんまり良くないですよ。
良くないんですか?
そうなんです。正しくこのやり方をすればいい効果もあるんですけれども、これ間違ったやり方をする人がとっても多くて、逆に税務署から非常に目をつけられやすいんですね。
そうなんですか。めちゃくちゃ危ないじゃないですか。
そうなんですよ。なんで私もこのポスト見て「おっ」て思いましたけど。
本当ですか?なんかこれ見たら、めちゃくちゃいいなと思ったんですけど、そうじゃないんですね。
そうなんです。じゃあ今回はこの110万1000円の贈与、そして100円の納税をすることが一体どんな意味があるのか、そしてそれがおすすめできるのか。そういったところをざっくばらんに話していきましょう。
SNSで話題の「110万1000円の贈与で100円納税」は、正しくやれば効果がありますが、間違ったやり方をすると税務署に目をつけられる危険なスキームです。
そもそも100円の納税に意味はあるのか?
じゃあ早速なんですけど、なんか100円の税金だけで済むって考えたらめちゃくちゃいいじゃんって思っちゃったんですけど、違うんですね。
そうですね。そもそもこれって110万円以内だったら100円も払わなくていいわけなんで、110万1000円の贈与をして100円払うって別にそんなお得じゃないんですよね。
確かに言われてみたら無駄じゃんって思っちゃいますね。
そう。1000円に対して10%の贈与税を払うことになるので。で、これ何が得だっていう話だと思います?そもそも110万円で贈与しときゃいいのに、わざとプラス1000円多く贈与して100円払ってるんですもんね。
そうなんですよ。何がお得なんだろう。
これ何のためにやるのっていうところからまず理解していく必要があるので、お話ししていきましょう。
お願いします。
この110万1000円の贈与はですね、昔からあるやり方で、目的は相続税の税務調査対策なんです。
税務調査対策。
110万円以内なら贈与税はゼロ。あえて110万1000円にして100円を納税するのは、節税目的ではなく「相続税の税務調査対策」が目的です。
相続税の税務調査で一番見られるポイント=名義預金
相続税の税務調査対策で、どういうことかって言うと、人が亡くなってしまった時に、その人が一定額以上の財産を持っていたら相続税の申告が必要になりますよね。
これやってきました。
で、相続税の申告書を税務署に提出をすると、そこから5年間の間に相続税の税務調査をやらせてくれと。本当はもっと財産隠してるでしょ、追加で相続税払ってちょうだいねと言われることがあります。で、この時に一番見られるところ、何だったか覚えてますか?
一番見られるところ。一番指摘されやすいこと。やっぱりなんか手にジャラジャラしたものつけてないかとか。
おお、ね。そのロレックスとかね、そういったもの隠してないかとか。そういうのありますよね。あと現金隠してないか、ありますよね。
はい。他に1個あった…銀行口座。銀行口座丸っと抜けてるかもしれない。
それもありますね。他にもあります。何がありましたっけ?代表的なところ。
代表的なところ。やばい。抜けてしまった。
抜けてますかね?いいですよ。何回もね、覚え直していきましょう。名義預金ですよ。
あ、名義預金。
そう、名義預金というのは例えば子供の通帳、他にはお孫さんの通帳にお金は入ってるんだけど、そのお金は実質的には亡くなった人のものでしょと言われる。そういったことを名義預金と言っていきます。
で、これ名義預金ってなんでこうできちゃうのかって言うと、誤った生前贈与をしちゃうからできちゃうんですね。本人は贈与してるつもりなんだけど、税務署から見たらそれは贈与とは言えないよ。そんなことが起きてるわけです。
名義預金とは、子供や孫の名義の通帳にお金が入っていても、実質的には亡くなった人の財産と判断されるもの。誤った生前贈与が原因で発生します。
贈与と認めてもらうための2つの条件
じゃあこれも復習なんですけど、贈与と認めてもらうためには2つの条件がありました。覚えてますか?
贈与する側が「贈与しますよ」っていうのと、贈与を受ける側が「確かにもらいましたよ」っていう意思表示をする。
はい。素晴らしい。1つ目、それですね。贈与というのはあげた人が「あげますよ」という意思表示を示して、もらう人が「確かにもらいましたよ」という意思表示をして初めて成立する契約なんです。
なんで税務署の人たちはあげた・もらったの約束がしっかりできていましたか、これを確認するというのがまず1つですね。で、もう1個あったの覚えてます?
もう1個…贈与契約書みたいな。
そう、贈与契約書は今のあげた・もらったの約束をちゃんと立証するために必要になってくる。で、あげた・もらったはちゃんとあるよと。もう1個あります。贈与を認めてもらうための条件。
親族。
親族じゃなくてもいいんです。あげた・もらったの約束ができていて、かつもらった人が自分で自由に使えていたかどうか。
なんで、お金もらいましたよ、で、そのお金を自分で自由に使うことができたよ。これがあって初めて贈与になると。
- あげた人の「あげます」ともらう人の「もらいました」の双方の意思表示があること
- もらった人がそのお金を自分で自由に使える状態にあること
なので世の中的にすごく多いのは、子供の通帳、お孫さんの通帳にお金を振り込むけど、そもそもそのことを本人たちに伝えず、通帳をそのおじいちゃんが自分で管理をしていたよ。これは名義預金として相続税の対象にされちゃうんです。
贈与が成立するには「あげた・もらったの意思表示」と「もらった人が自由に使えること」の2つが必要。通帳を渡さず管理していると名義預金と判断されます。
110万1000円贈与の本当の目的と危険な落とし穴
おお。ここがようやくスタートラインですね。
そうなんです。この名義預金っていうものがすごく世の中的に多いので、その名義預金と言われないようにするために110万1000円の贈与をしましょうというのがあって、で、この考え方の110万1000円の贈与をもらうと、そのもらった人は贈与税の申告義務が出てくるんですね。
もらった年の次の年の2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告書というのを書いて、税務署に提出をして100円納税しなくちゃいけません。
で、これをやることによって、もらった人が「確かにもらいましたよ」といったことを税務署にアピールするためにやるんですね。
アピールのため。
そうなんです。私はわざわざ贈与税の申告書も作って、100円の納税もして、しっかりもらってることを今知ってるんですっていったことをアピールするために、わざわざあえて申告をするっていう考え方。
印象がいいってことですよね。
そうですね。ちゃんとその贈与でもらってること知ってるよ、名義預金じゃないんですよといったことを税務署にアピールするためにわざわざ申告しましょうね。
この110万1000円の考え方もありますし、111万円の贈与をして1000円納税するってやり方があるんですけれども、これやればいいんですよ。基本的に贈与税の申告をやらなくちゃいけないですか?贈与を受けた人。
そう、その贈与を受けた人、もらった人ですね。
なんで子供とかお孫さんとかがやらなくちゃいけないんですけれども、世の中ではですね、贈与税さえ納めていれば名義預金にならないっていう都市伝説が広まってるんですね。
あれ、それはまずいですね。
「贈与税さえ納めていれば名義預金にならない」は都市伝説です。親が子供の名前で勝手に申告書を出すと、むしろ逆効果になります。
そうなんで何が起きてるかって言うと、親が子供の名前で勝手に贈与税の申告書を出しちゃうんですよ。で、100円払っちゃうんですね。
で、この申告書を出す時って身分証明書とか求められないので代わりに出せちゃうんですよ。
で、子供の名前で100円納税して「これで名義預金じゃないね、大丈夫だね」ってことでやっちゃう人多いんですけれども、これバレちゃうと逆に「これ子供は贈与を知らないんじゃないの?」って思われるんですね。
逆に怪しいよねっていう話になりやすいんですね。
非常になりやすいです。
かえって良くない。良かれと思ってやったけど逆に良くない結果を招いてる。
そうですね。藪蛇になってるケースがとても多くあります。
110万1000円贈与の目的は「もらった人が自分で申告・納税して、贈与を受けた証拠を残すこと」。親が代わりに申告すると、むしろ名義預金を疑われる逆効果になります。
実際にあった「3兄弟の申告書が全部同じ筆跡」の事例
で、現に私もこの111万円の贈与の申告書って何回も見たことあるんですけど、とある方が3兄弟でね、子供3人いらして、毎年111万円贈与して「ちゃんと贈与税払ってるんです」って言うんで、見せてもらったんですよ、その申告書を。
そしたら名前が全部同じ筆跡なんです。
「これ誰が作りましたか?」って聞いたら、やっぱりご両親が作ってて、で、「贈与税払えばこれ名義預金にならないって聞いたんでやってますよ」って言うんですけど、これは逆に怪しいんですよね。
確かに3兄弟だったら苗字3回書くので、もうバレちゃいますね。
そうですね。特に男性と女性だとこの筆跡って結構変わってきますからね。そういうので分かっちゃったりします。
親が子供の名前で申告書を作成すると、筆跡が同じになり、税務署にすぐバレます。特に3兄弟分の申告書の筆跡が全て同じだと、本人が申告していないことが一目瞭然です。
SNSのリプ欄を検証!正しい理解と間違った理解
なんでこういう都市伝説が広まったんですかね。
そうですね。ちょっと読んでいってみましょうかね。これね、せっかくだからいろんな方がリプをされてますね。「昔に税理士から教えてもらいました」と。このやり方は結構昔からあるやり方ですね。
繰り返しになりますけど、もらった人が自分で贈与税の申告書を作って自分で納税していれば1つの証拠にはもちろんなるんですけど、贈与税の申告書が出ているから名義預金じゃないよねという認定には正直繋がりにくいです。
1つの要素としては見てもらえるけど、「贈与税申告が出てる=名義預金じゃない」にはならない。裁判が過去何個も出ていますね。
他に気になるリプはありますか?
あ、今まさにおっしゃったような、その申告を親がやってたりする。
まさしくそうですよね。実はあるあるなんですよね。
中には「このスキーム考えた人天才なのかグレーなのか、みんなどう思う?」っていうコメントもありますけど。
一見するとやっぱ天才的な発想とは思っちゃう。新しい裏技的なやり方なのかなと感じた方も多いんじゃないでしょうかね。
中に「あと税務署内に証拠を残したいという趣旨なんでしょうか?」と。
ああ、合ってます。合ってます。その趣旨なんですよ。で、その趣旨なんですけど、それを親が代わりにやっちゃってたらむしろ怪しいよねっていう判定になっちゃうから危険ですよね。
こちらの方がとてもよく分かってらっしゃる。「贈与はあげる・もらうの意思と、確実に相手が自由に使えるお金になってることが要件。だから成人なら口座に振り込めばいける。こんな納税しても肝心の通帳や印鑑を親が管理して子供が自由に使えない状態でしたらアウトですよ。未成年なら今後は子供NISAの資金にすればいいでしょう」と。素晴らしい。
100点満点です。
この通りですか?
この通りです。
贈与税の申告書が出ていても、それだけで名義預金でないとは認められません。過去の裁判例でも「申告書の提出=贈与成立」とはなっていません。大事なのは、もらった人が自分で申告し、自由にお金を使える状態にあることです。
名義預金と言われないための正しい対策方法
これ結局のところどうしたらいいんですか?
結局のところですね、税務署からその贈与は名義預金だって言われないようにすればオッケーなんですよ。
- 贈与契約書を作る:名前のところだけは直筆でお互い書いてもらう
- もらったお金を実際に使う:普段から使っていく通帳に入れておくのが一番安全
- 別口座で管理したい場合は、2027年から始まる子供NISAなどの運用に当てる
で、そのための対策としてはまず1つが贈与契約書を作るということ。あげた・もらったちゃんと約束できてますよって言ったことで、この贈与契約書はその名前のところだけは直筆でお互い書いてもらう。これでまずあげた・もらったの約束をしっかり明確にしていくっていうのが1つ。
そして2つ目がもらったお金を実際に使うこと。おじいちゃんから110万もらいました。そのお金をずっと普通預金に入れっぱなしにしてると「これ本当は自分じゃ使えなかったんじゃないの?」っていう疑いの目を向けられるので、実際に使っていく。なので普段から使っていく通帳に入れておくっていうのが一番安全です。
そうじゃない、別口で口座管理したいなっていった方については、それこそね、2027年から子供NISAも始まっていきますんで、普通預金に入れっぱなしにするんじゃなくて、運用に当てていくとか、自分で旅行に行くとか、そういった風に使ってもらえればバッチリです。
ついつい自分だったら110万円あったら貯金したいって思っちゃうんですけど、そうしない方がいいんですね、むしろ。
そうですね。貯めるのはとってもいいことなんで、自分で選んだ投資信託に突っ込むってのもいいですよ。でもこれ自分で選ばなきゃダメなんですよ。
例えばおじいちゃんから110万もらいました。で、おじいちゃんが「S&P500がいいからS&P500にしろ」という風に言って、「分かったよ、おじいちゃん。僕S&P500にするよ」と。で、この状態にしてると、これで名義預金って言われます。
名義株という言い方に変わるんですけれども、これはあるんですよ。自分で選んでないとダメなんですね。
自分で選んでるよってなった場合でも、やっぱり「S&P500よりも箱根に旅行に行きたいな。解約して箱根旅行に当てちゃおっかな」っていう風にしようとした時に、おじいちゃんが「いや待て、そのお金はそういうためのお金じゃないから。貯金だったらいいけど旅行に当てちゃダメだ」と言ったら、これ名義預金になっちゃうんですよ。
じゃあもう贈与を受けたらおじいちゃんの言うこと聞かなくていいんですか?
そうなんですよ。参考までに聞くんだったらいいんですけど、おじいちゃんの支配から出ないと、それは自分のものだって言えないんですよ。
で、ここを巡る裁判例ってたくさんあって、「いや、自分で選んでました」って散々主張するんだけど、「いや、あなたこれ自分で仮に旅行に行こうとしたら止められてたわけですよね」と。なったらダメですということもたくさんここはね、裁判があって、もう自分で自由に使うってのは意外と難しいんですね。
そうなんですね。おじいちゃんの気持ち考えたら、おじいちゃんがくれたお金だし言うこと聞いてあげようって思っちゃいそうですけど。
そこはちょっとぐっとこらえて「いや、俺の金だ」って言って自分で使いきるんだっていう。
参考にはするけど、みたいなね。
ですね。いうところが必要ですね。
もらったお金は自分の意思で使うことが重要。おじいちゃんに「S&P500にしろ」と指示されて従ったり、使い道を制限されたりすると名義預金(名義株)と判断されます。参考にするのはOKですが、最終的な判断は自分で行いましょう。
正しくやれば効果あり!110万1000円贈与のまとめ
なるほど。じゃあ本当に正しい使い方とかをすれば、税務署にもいい印象残せるし、税務調査とかでも変な風に疑われないし、納税も少なく済むのでいいことだらけではある。
そうです。そのお金をもらった人が自分で贈与税の申告書を作って自分で納税してれば、この対策はとてもいいことです。自分でちゃんとやってたっていう証拠になるんで。
でもこれ、この100円納めてること自体に意味があるっていう風に捉えられちゃうと、それは誤った方向に行っちゃうので注意が必要ですね。
このポストだけ見てしまうとそう考えてしまうのも無理はないですね。
そうですね。贈与税さえ払えばいいのかなっていう風に思っちゃわないように気をつけて欲しいですよね。
はい。じゃあ今日は110万1000円の贈与で100円の納税ができるのがいいというポストでしたけど、こちらの件についてのまとめをお願いします。
110万1000円の贈与をして100円を納めるという方法はですね、相続税の税務調査・名義預金対策として使っていくものなんですけれども、これはあげた・もらったの約束がしっかりできていたよという証拠を残すための方法です。
で、これはもらった人が贈与税の申告書を作って、もらった人が納税の手続きをしていればとってもいい意味が残るんですけど、それをですね、お金をあげる側の人が子供の名前、孫の名前で代わりにやっちゃうとこれは余計に怪しい贈与税の申告書が税務署に提出されることになりますので、きちんとこの目的を押さえた上でやっていただくことをおすすめいたします。
そうですね。やっぱりこういうポストとかを全部鵜呑みにしないで、不安だなと思ったらやっぱ税理士の方に相談とかもして正しく納税したいですね。
そうですね。
- 110万1000円贈与は「名義預金対策」の証拠作りが目的
- もらった人本人が申告書を作成し、納税すること
- 親が代わりにやると逆効果(藪蛇になる)
- 贈与契約書の作成+もらったお金を自分の意思で使うことが必須
- SNSの情報を鵜呑みにせず、税理士に相談を
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 円満相続ちゃんねる(橘慶太) の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 円満相続ちゃんねる(橘慶太)を応援しています!
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