はぐくみ基金vs企業型DC徹底比較|専門家が解説するお得な選び方
話題のはぐくみ基金と企業型DC、どちらがお得か徹底比較します。
はぐくみ基金とは?制度の基本を理解しよう
はぐくみ基金という名前、あまり聞き慣れないかもしれません。正式名称は「福祉はぐくみ企業年金基金」といい、2018年に厚生労働大臣の認可を受けて設立された企業年金制度です。
2023年3月末時点で加入事業者数は約1,100か所、加入者数は約3万7,000人となっています。設立からまだ5年ほどですが、意外に多くの事業者・従業員が活用しています。
元々は福祉や保育などのエッセンシャルワーカーに向けて作られたものですが、現在は基本的に職種・正規・非正規にかかわらず加入することができます。
📌 はぐくみ基金の仕組み
従業員が自分の給与から毎月お金を積み立てて、自分で退職金を作っていく制度です。従業員は給与の一部をはぐくみ基金の掛け金にして、将来退職金として受け取るか、年金として分割で受け取るかを選ぶことができます。資産運用は大手保険会社に委託されるため、管理の手間や投資の知識は不要です。
はぐくみ基金の基本スペック
制度の詳細スペックを確認しておきましょう。
| 項目 | はぐくみ基金 | 企業型DC(参考) |
|---|---|---|
| 加入可能年齢 | 70歳未満 | 70歳未満 |
| 掛け金下限 | 1,000円〜 | 制度による |
| 掛け金上限 | 給与の20%・上限100万円 | 月額5万5,000円 |
| 掛け金変更 | 年2回可能 | 制度による |
| 役員の加入 | 可能 | 可能 |
| 加入任意性 | 任意(選択制) | 制度による |
| 他制度との併用 | 可能(上限に影響あり) | 可能 |
掛け金の上限について補足します。例えば給与が100万円の場合、上限は20万円となります。企業型DCの月額上限5万5,000円(年間66万円)と比べると、はぐくみ基金はより大きな金額を積み立てられる設計です。
📌 他制度との併用時の注意点
はぐくみ基金は企業型DCやiDeCoなどと併用が可能です。ただし、はぐくみ基金に加入している場合、企業型DCの掛け金上限は最大2万7,500円(通常の半分)に減少します。また、中退共(中小企業退職金共済)では役員は加入できませんが、はぐくみ基金は経営者・役員も加入可能という点は大きなポイントです。
📝 このセクションのまとめ
- はぐくみ基金は2018年設立の企業年金制度で、加入者数は約3万7,000人
- 職種・雇用形態を問わず加入でき、役員も対象
- 掛け金は1,000円〜給与の20%(上限100万円)で年2回変更可能
- 企業型DCやiDeCoとの併用も可能(上限額への影響あり)
はぐくみ基金の3つのメリット
はぐくみ基金の主なメリットは以下の3つです。
- 社会保険料や税金を減らせる
- 企業側の負担が少ない
- 退職時・休職時にも受け取れる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
【メリット①】社会保険料・税金の削減効果シミュレーション
はぐくみ基金を活用すると、社会保険料と税金をどれくらい削減できるのでしょうか。具体的なシミュレーションで確認します。なお、以下はイメージをつかむための概算です。
【前提条件】年齢30歳・月額給与30万円・勤務地東京
| 月額掛け金 | 月間削減額 | 年間削減額 |
|---|---|---|
| 2万円 | 約5,000円 | 約6万円弱 |
| 4万円 | 約1万円 | 約11万円強 |
| 6万円 | 約1万5,000円 | 約17万円 |
月6万円積み立てた場合の内訳を見ると、社会保険料が月9,000円ほど、所得税・住民税が5,000円ほど削減できます。
📌 会社側の社会保険料も同時に削減
社会保険料の負担は従業員と会社で折半です。そのため、従業員の社会保険料が減れば、会社側の社会保険料負担も同額だけ減ります。毎年上がり続ける社会保険料に悩む経営者にとっても、大きなメリットといえます。
また、積み立てたお金は退職金として受け取ることができるため、退職所得控除・分離課税・1/2課税という3つの税制優遇が適用されます。これにより、通常の給与として受け取るよりも税額が大幅に低く計算されます。
📝 このセクションのまとめ
- 月6万円積み立てると年間約17万円の社会保険料・税金を削減可能
- 社会保険料は折半なので、会社側の負担も同額削減される
- 退職金受取時は退職所得控除・分離課税・1/2課税の3つの優遇が適用される
【メリット②③】企業負担の少なさと受け取りの柔軟性
2つ目のメリットは、企業側の負担が少ないという点です。はぐくみ基金は、掛け金を労働者自身の給与から積み立てる仕組みです。退職金の積立で会社が負担する部分はありません。給与をグロスアップ(上乗せ)するのではなく、実質的に従業員が自分で積み立てていく形なので、会社側のコスト負担を抑えながら退職金制度を導入できます。
3つ目のメリットは、退職時・休職時にも受け取れるという柔軟性です。他の制度では引き出す年齢に制限があったり、一定期間加入していないと元本割れを起こしたりするものもあります。一方、はぐくみ基金では通常の退職時・休職時・育児・介護・傷病などのタイミングでも積み立てたお金を受け取ることができます。
📌 1か月以上加入で全額受け取り可能
1か月以上加入して退職した場合でも、積立額の全額を受け取ることができます。出産・育児・介護などのタイミングで退職・休職する方にとって、非常に使いやすい制度設計といえます。
📝 このセクションのまとめ
- 掛け金は従業員の給与から拠出するため、会社側の金銭的負担はゼロ
- 退職・休職・育児・介護など様々なタイミングで受け取りが可能
- 1か月以上加入すれば積立額の全額を受け取れる柔軟な仕組み
はぐくみ基金の5つの注意点
メリットばかりではありません。はぐくみ基金には以下の注意点があります。
- ランニングコストがかかる
- 従業員の理解が必要
- 年金給付金額が減る可能性がある
- 実績がまだ少ない
- 運用益はそれほど高くない
【注意点①】ランニングコスト:月に1人当たり410円〜490円の事務費(手数料)が発生します。例えば加入者が100名の場合、100名×490円=49,000円/月となります。ただし、これらは全額事業主の損金(経費)にできます。また、制度導入費は標準制度であれば30万円程度とのことです。
【注意点②】従業員の理解が必要:制度を導入するのは会社ですが、実際に積み立てるのは従業員です。将来的なメリットはあるものの、現状の給料が減ることに抵抗感を覚える人もいます。住宅ローンや教育費などで毎月の生活がギリギリの方や、加入に後ろ向きな方もいるため、丁寧な説明と理解促進が必要です。
⚠️ 注意:厚生年金・失業手当が減る可能性
【注意点③】はぐくみ基金(企業型DCも同様)に加入すると、社会保険料の計算基礎となる標準報酬月額が下がります。例えば月給30万円のうち3万円をはぐくみ基金に拠出すると、社会保険料の計算上は27万円の月額報酬として扱われます。その結果、厚生年金の受給額や失業手当の給付額が減少するリスクがあります。加入前にシミュレーションを行い、将来受け取れる金額を把握しておくことが重要です。
【注意点④】実績が少ない:はぐくみ基金がスタートしたのは2018年と、かなり最近のことです。制度自体の仕組みは優れていますが、正直まだ未知数という部分もあり、今後の動向に注目が必要です。
【注意点⑤】運用益はそれほど高くない:はぐくみ基金は確定給付型の企業年金基金です。受け取る給付金があらかじめ確定しており、資産のほとんどが安全性の高いファンドで運用されます。万が一会社が倒産したり基金が解散した場合でも、法律によって積立額と利息は守られます(元本保証)。
| 積立条件 | 内容 |
|---|---|
| 月額掛け金 | 2万円 |
| 積立期間 | 30年間 |
| 掛け金累計 | 720万円 |
| 運用益込み残高 | 約754万円 |
| 増加額 | 約35万円 |
| 元金倍率 | 約1.05倍 |
30年間積み立てても元金の約1.05倍にしかなりません。銀行に眠らせておくよりはマシですが、大きな運用益を期待できるものではありません。ただし、積立金を退職所得として受け取る際には退職所得控除が適用されるため、税金面では有利に受け取ることができます。
⚠️ 注意:一人社長・極少人数の会社は加入できない場合も
一人社長は加入できません。また、従業員数が1人や2人など極めて少ない場合も、加入を断られるケースがあります。
📝 このセクションのまとめ
- 月410〜490円/人のランニングコストと導入費約30万円がかかる(全額損金算入可)
- 給与が下がる形になるため、厚生年金・失業手当の受取額が減るリスクがある
- 元本保証だが30年積み立てても約1.05倍程度と運用益は低い
- 2018年設立でまだ実績が少なく、一人社長は加入不可
企業型DCの概要と特徴
企業型DCの正式名称は「企業型確定拠出年金」です。従業員自らが投資商品を選んで運用し、その運用成績に応じて給付金が変動するという特徴があります。
制度の種類としては以下の3タイプがあります。
- 従業員の給与に会社が上乗せして拠出するもの(マッチング拠出なし)
- 会社の拠出に加えて、従業員が追加で拠出できるもの(マッチング拠出あり)
- 従業員が給与として受け取るか掛け金にするかを選べるもの(選択制DC)
選択制DCは制度設計によりますが、社会保険料・所得税・住民税を削減できるという特徴があります。費用感はまちまちですが、一例として導入一時金が11万円、口座開設手数料が1人当たり約3,000円となっており、その他にも各種手数料がかかるケースがあります。
📝 このセクションのまとめ
- 企業型DCは従業員が自分で投資商品を選んで運用する確定拠出年金
- 制度は3タイプあり、選択制DCでは社会保険料・税金の削減効果も得られる
- 導入一時金11万円・口座開設費1人約3,000円などのコストが発生する
はぐくみ基金と企業型DCの徹底比較
両者の主な違いは、①運用の主体、②受け取りのタイミング、③利回りの3点です。
| 比較項目 | はぐくみ基金 | 企業型DC |
|---|---|---|
| 運用の主体 | 大手保険会社に委託(丸投げOK) | 従業員が自分で運用商品を選択 |
| 投資知識 | 不要 | 必要(事業主による投資教育も必要) |
| 元本保証 | あり | なし(元本割れリスクあり) |
| 受け取り時期 | 退職時・休職時・育児・介護等いつでも | 原則60歳まで引き出し不可 |
| 利回り | 低い(30年で約1.05倍) | 運用次第(年利3〜5%も可能) |
| 掛け金上限 | 給与の20%・上限100万円 | 月額5万5,000円 |
| 社保・税金削減 | あり | 選択制DCの場合はあり |
企業型DCの運用シミュレーションも見てみましょう。金融庁のシミュレーターによると、月額5万5,000円を20年間積み立てた場合(拠出金合計1,320万円)、以下のように増える計算となります。
| 想定利回り | 20年後の資産額 |
|---|---|
| 年利3% | 約1,800万円 |
| 年利4% | 約2,005万円 |
| 年利5% | 約2,200万円 |
企業型DCはリスクもありますが、運用次第では大きく資産を増やせる可能性があります。一方、はぐくみ基金は元本保証で安心感がある代わりに、資産の大幅な増加は期待しにくい構造です。
📌 どちらを選ぶべきか
- はぐくみ基金が向いている人:投資の知識がない・元本割れが怖い・退職や休職のタイミングが読めない・役員も含めて制度を導入したい
- 企業型DCが向いている人:長期的に資産を大きく増やしたい・投資の勉強ができる・60歳まで引き出す予定がない
📝 このセクションのまとめ
- はぐくみ基金は元本保証・運用丸投げ・受け取り自由度が高い反面、利回りは低い
- 企業型DCは自分で運用するため元本割れリスクがあるが、大きな資産形成が可能
- 企業型DCは原則60歳まで引き出せない点が大きな違い
- 両制度の併用も可能だが、その場合は企業型DCの上限が半減する
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛チャンネルを応援しています!
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