年収1000万円の重税を救う7つの控除を税理士が解説|所得控除・税額控除の活用法
年収1000万円でも手元にお金が残らない原因は重税と控除の見落とし。合法的に所得税を下げる7つの控除を解説します。
年収1000万円なのに貯蓄がない「高所得貧乏」の実態
最近、年収1000万円の収入があっても貯蓄が全くない、いわゆる「高所得貧乏」となる世帯が存在しています。なぜこんなことになってしまうのでしょうか。
要因はいくつかありますが、大きなものの1つは、収入が高くなると税率も高くなる一方で、受けられる控除が減っていくという構造にあります。年収1000万円といっても、イメージほど余裕がないのが実情です。
📌 ポイント
所得税は累進課税が適用されており、最高で住民税と合わせると税率55%になります。半分以上が税金で持っていかれる計算です。だからこそ、使える控除を漏れなく活用することが重要になります。
📝 このセクションのまとめ
- 高所得者ほど税率が高く、受けられる控除が減る構造がある
- 所得税+住民税の最高税率は55%
- 控除を適切に活用することで数十万円単位の節税が可能
所得控除と税額控除の違いを理解しよう
税制上、納税額を減らすことができる控除には大きく分けて2種類あります。所得控除と税額控除です。この2つは控除するタイミングが異なります。
所得税の計算の流れを整理すると、まず所得金額から各種の所得控除を差し引いて「課税所得」を求めます。次に、その課税所得に税率をかけて「所得税額」が算出されます。そして最後に、算出された所得税額からさらに差し引くことができるのが税額控除です。
| 種類 | 控除のタイミング | 節税効果 |
|---|---|---|
| 所得控除 | 税率をかける前(課税所得から差し引く) | 税率に比例して変わる |
| 税額控除 | 税率をかけた後(算出税額から直接差し引く) | 控除額がそのまま節税額になる |
📌 ポイント
最終的に計算された所得税額から直接差し引くことができる税額控除の方が節税効果が大きいと言えます。いずれも控除の金額が多くなれば、結果として所得税の節税効果があり、うまく活用すれば数十万円単位、あるいはそれ以上の控除を受けることも可能です。
⚠️ 注意
要件を満たしているのに控除の適用を受けていないケースが散見されます。「知らなかった」では損をするだけです。自分に該当する控除がないか、必ず確認しましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 所得控除=税率をかける前に課税所得を減らす控除
- 税額控除=算出された税額から直接差し引く控除
- 一般的に税額控除の方が節税効果は大きい
所得控除①:小規模企業共済
小規模企業共済は、中小企業の経営者や個人事業主のための退職金の積立制度です。正式には「小規模企業共済等掛金控除」と言い、その掛金は全額が所得控除の対象になります。
掛金は月最大7万円まで積み立てることができるので、1年間かけると7万円×12ヶ月=84万円が所得控除の対象になります。
| 課税所得 | 月額掛金 | 年間節税効果 |
|---|---|---|
| 1,000万円 | 月7万円(年84万円) | 約36万7,000円 |
さらに、1年以内の前納も可能なので、今年分と来年分を合わせて最大168万円の所得控除を得ることも可能です。逆に、経営が苦しい場合には掛金を月1,000円まで減額することもできるので、柔軟な使い方ができます。
⚠️ 注意
掛金を減額した部分はその後運用されません。余裕のある金額を積み立てていくことをおすすめします。
📝 このセクションのまとめ
- 掛金全額が所得控除の対象(月最大7万円、年最大84万円)
- 課税所得1,000万円の人が月7万円積立で年間約36万7,000円の節税
- 前納制度を活用すれば最大168万円の所得控除も可能
- 掛金は月1,000円まで減額可能で柔軟に対応できる
所得控除②:iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、私的年金をご自身で積み立てていく制度です。掛金の全額が所得控除の対象となり、その年の所得税と翌年の住民税を下げる効果があります。また、運用で得た利益が非課税になるなど、税制的に優遇されています。
掛金の上限は職業によって異なります。
| 職業・加入状況 | 月額上限 | 年間上限 |
|---|---|---|
| 自営業者・個人事業主 | 6万8,000円 | 81万6,000円 |
| 企業型DCに加入している経営者等 | 2万円 | 24万円 |
同じ掛金額でも、年収が高い人ほど節税額が大きくなります。所得控除は税率をかける前の控除なので、節税効果も税率に比例するためです。
| 年収 | 月額拠出額 | 年間節税額 |
|---|---|---|
| 600万円 | 月2万円 | 約4万8,000円 |
| 1,000万円 | 月2万円 | 約7万2,000円 |
📌 ポイント
税率の高い高所得者ほどiDeCoの節税効果が大きくなります。年収1,000万円の方は同じ掛金でも年収600万円の方より年間約2万4,000円多く節税できます。
📝 このセクションのまとめ
- 掛金全額が所得控除の対象
- 自営業者は年間最大81万6,000円まで拠出可能
- 高所得者ほど節税効果が大きい
- 運用益も非課税で、老後資金形成と節税を同時に実現できる
所得控除③:医療費控除/④:扶養控除
自分や家族の医療費を1年間に10万円を超えて支払っている場合、一定の所得控除が受けられます。
控除額の計算式は以下の通りです。
📌 医療費控除額の計算式
(1年間に支払った医療費)-(保険金等で補填される金額)-10万円=医療費控除額
上限額は年間200万円まで
医療費控除の対象となる費用は多岐にわたります。
- 治療費・薬の購入費
- 入院中の食事代
- 病院までのバス代・電車代・タクシー代
- 治療目的の歯の治療費
- 発育途中の子供の歯並び矯正(治療目的)
- レーシック手術(治療扱いで対象)
⚠️ 注意
大人が美容目的で行うホワイトニングや歯並び矯正は、原則として医療費控除の対象外です。また、レーシック手術は保険適用外で数十万円の自己負担となりますが、医療費控除の対象になるので覚えておきましょう。高額な費用がかかる治療は、所得の多い年度にまとめて行うことで医療費控除を有効活用できます。
次に扶養控除です。子どもや親などの要件を満たす扶養親族がいる場合、所得から一定額を控除することができます。
| 扶養親族の区分 | 控除額 |
|---|---|
| 一般の扶養親族(16歳以上) | 38万円 |
| 特定扶養親族(19歳以上22歳以下・大学生等) | 63万円 |
| 70歳以上の別居の親を扶養 | 48万円 |
扶養控除の対象となる扶養親族の主な要件は以下の通りです。
- その年の12月末時点で16歳以上であること
- 配偶者以外の親族であること
- 納税者と生計を一にしていること(同じ財布で生活していること)
- 年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は年収103万円以下)であること
生計が同じであれば別居していても扶養控除に入ることができます。例えば、1人暮らしを始めた大学生の子供に生活費を出している場合も対象になります。入れ忘れていないか、ぜひ見直してみてください。
⚠️ 注意:子どものアルバイトのしすぎに注意
扶養控除の対象となる扶養親族には、給与所得103万円以下という要件があります。子どもがアルバイトを頑張りすぎて103万円を超えてしまうと、控除額が一気に使えなくなります。特に教育費が一番かかる大学生の時期(特定扶養親族・控除額63万円)は注意が必要です。
📝 このセクションのまとめ
- 医療費控除:年間10万円超の医療費から控除可能(上限200万円)
- レーシック手術も医療費控除の対象
- 扶養控除:大学生(19〜22歳)の特定扶養親族は63万円の控除
- 別居中の親族でも生計が同じなら扶養控除に入れられる
- 子どものアルバイト収入が103万円を超えると扶養から外れる
所得控除⑤:ふるさと納税(寄付金控除)
ふるさと納税は、全国各地の自治体から寄付先を選んで寄付することで、寄付金控除を受けることができる制度です。控除上限額の範囲内であれば、自己負担の2,000円を除いた全額が控除の対象となり、住民税・所得税から控除・還付される流れになっています。実質2,000円の負担で寄付ができる仕組みです。
ふるさと納税の限度額は年収や家族構成によって異なります。以下は夫婦共働きで高校生のお子さんが1人いる場合の目安です。
| 給与収入 | ふるさと納税の限度額(目安) |
|---|---|
| 500万円 | 4万9,000円 |
| 1,000万円 | 16万9,000円 |
| 2,000万円 | 54万8,000円 |
📌 ポイント
年収が高い人ほど寄付できる額が多くなります。年収2,000万円の方であれば、限度額は約54万8,000円にもなります。上限額をしっかり確認して活用しましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 自己負担2,000円で上限額まで全額控除の対象
- 年収1,000万円(夫婦共働き・高校生1人)の限度額は約16万9,000円
- 年収が高いほど限度額が大きくなる
税額控除⑥:寄付金特別控除/⑦:住宅ローン控除
寄付金特別控除とは、特定の団体に寄付した場合に受けられる控除です。政党・認定NPO法人・公益社団法人などへの寄付金は、所得控除にするか、この寄付金特別控除にするかを選択することができます。
寄付金特別控除は税額控除、つまり税額から直接差し引くことができる控除です。寄付額や所得によっても異なりますが、一般的には所得控除よりも有利になるケースが多いです。
⚠️ 注意:NPO法人・社団法人への寄付は種類を確認
- NPO法人は現在約5万団体ありますが、認定NPO法人は約1,200しかありません。寄付金特別控除の対象は認定NPO法人のみです。
- 社団法人に寄付する場合も、公益社団法人であるかどうかの確認が必要です。一般社団法人への寄付は所得税の寄付控除の対象外となります。
続いて住宅ローン控除です。住宅ローンを組んでマイホームを新築・購入した人が受けられる減税措置で、新築だけでなく中古物件でも適用されます。
2022年1月以降に住宅の取得・居住を開始した方の住宅ローン控除の概要は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除率 | 住宅ローンの年末残高の0.7% |
| 控除期間 | 13年間 |
| 計算例(残高2,000万円の場合) | 2,000万円×0.7%=年間14万円の減税 |
| 所得税から引き切れない場合 | 住民税からも減税される |
📌 ポイント
以前の控除率1%から0.7%に下がったとはいえ、13年間にわたって税額から直接差し引かれる住宅ローン控除は、家を買う人にとって非常に大きな節税効果があります。家を購入した方は必ず適用しましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 寄付金特別控除は税額から直接差し引ける税額控除で、所得控除より有利なケースが多い
- 認定NPO法人・公益社団法人への寄付かどうか必ず確認する
- 住宅ローン控除は年末残高の0.7%を13年間控除できる
- 所得税から引き切れない分は住民税からも控除される
控除を受ける際の注意点:確定申告を忘れずに
今回解説してきた控除を受けるためには、原則として確定申告が必要です。個人事業主の方は毎年確定申告をしているので問題ありませんが、サラリーマンの方も一定の場合には確定申告が必要になります。
サラリーマンの方は基本的に会社で年末調整をしてもらうため、確定申告をする習慣がありません。しかし、以下の控除を適用したい場合は必ず確定申告が必要です。
- 医療費控除
- ふるさと納税の寄付金控除(ワンストップ特例を使わない場合)
- 住宅ローン控除(初年度)
⚠️ 個人事業主の方への注意
個人事業主の方は毎年確定申告をしていますが、前年の申告書をそのまま転記してしまうケースがあります。扶養控除など状況が変わっているのに控除を入れ忘れることもあるため、毎年自分の状況を見直して申告内容を確認することが重要です。
📌 ポイント
控除の資格があっても、ちゃんと申告しなければ適用されません。誰も教えてくれないからこそ、自分から積極的に確認・申告することが大切です。
📝 7つの控除まとめ
- ①小規模企業共済:掛金全額控除、年最大84万円(前納で最大168万円)
- ②iDeCo:掛金全額控除、高所得者ほど節税効果大
- ③医療費控除:年間10万円超の医療費が対象(上限200万円)
- ④扶養控除:大学生の子供は63万円の特定扶養控除
- ⑤ふるさと納税:自己負担2,000円で上限額まで全額控除
- ⑥寄付金特別控除:認定NPO・公益社団法人への寄付で税額控除
- ⑦住宅ローン控除:年末残高の0.7%を13年間控除
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛チャンネルを応援しています!
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