自筆証書遺言の書き方|最もシンプルな手書き遺言書を弁護士が解説
手書き遺言書(自筆証書遺言)の最もシンプルな書き方と、法的に有効とされるための4つの要件を、具体的な記載例とともに弁護士が解説します。
📑 この記事の目次
遺言書には2種類ある|手書きと公正証書の違い
近年、遺言書を残す方がとても増えています。遺言書には大きく分けて2種類あります。
| 種類 | 作成方法 | 特徴 |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 自分で手書き | 費用がかからず手軽に作成できる。法的要件を満たす必要がある。 |
| 公正証書遺言 | 公証役場で公証人が作成 | 法的効力が高く安心感がある。費用と手間がかかる。 |
最もシンプルに遺言書を残したい場合には、手書きの自筆証書遺言が選択肢の一つです。本記事では、この自筆証書遺言の書き方を中心に解説します。
💡 補足:動画では触れていませんが…
自筆証書遺言は、法務局(遺言書保管所)に預けることができる「遺言書保管制度」が2020年7月から始まりました。自宅保管より紛失・改ざんのリスクが低く、相続開始後の家庭裁判所による「検認」手続きも不要になります。
📝 このセクションのまとめ
- 遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類がある
- 手軽に残したいなら自筆証書遺言が選択肢になる
- 事情によっては公正証書遺言の方が適切な場合もある
最もシンプルな遺言書の記載例|全財産を配偶者に相続させる場合
ここでは、最もシンプルな自筆証書遺言の記載例として、自分の全財産を配偶者(妻)に相続させるケースを取り上げます。
📌 記載例のイメージ(手書きで全文記載すること)
遺言書
遺言者〇〇〇〇は、以下のとおり遺言する。
遺言者の有する全財産を、妻〇〇〇〇(生年月日:〇年〇月〇日)に相続させる。
〇〇〇〇年〇〇月〇〇日
住所 〇〇〇〇
氏名 〇〇〇〇 ㊞
この記載例のポイントは以下の2点です。
- 「誰に」:妻の氏名をフルネームで明記することで、相続人が特定される
- 「何を」:「全財産」と記載することで、遺産全体が特定される
遺言書に必要なのは、誰に・何を渡すのかをしっかりと特定することです。この2点が明確であれば、法的に有効な遺言書として機能します。
💡 補足:動画では触れていませんが…
配偶者を特定する際は、氏名だけでなく生年月日も記載しておくと、同姓同名の別人との混同を防ぐことができ、より確実です。実務上も生年月日の併記が推奨されています。
📝 このセクションのまとめ
- 遺言書には「誰に」「何を」を明確に記載する
- 全財産を一人に渡す場合は「全財産」と書けばシンプルにまとまる
- 相続人の氏名はフルネームで記載する
不動産がある場合の記載方法|登記簿どおりに書くのが基本
遺言書の雛型を見ると、不動産については登記簿(登記事項証明書)に記載されている内容を正確に転記するよう求められているケースが多くあります。
| 不動産の種類 | 登記簿に記載されている項目 |
|---|---|
| 土地 | 所在・地番・地目・地積 |
| 建物 | 所在・家屋番号・種類・構造・床面積 |
登記簿どおりに詳細を記載することは、財産の特定という観点から非常に望ましいことです。ただし、最もシンプルに書く場合には、「全財産」という記載でも法的に有効とされます。
💡 補足:動画では触れていませんが…
不動産を複数の相続人に分けて相続させたい場合は、それぞれの不動産を登記簿どおりに特定して記載することが重要です。「全財産」とまとめて書けるのは、一人の相続人にすべてを渡す場合に限られます。
📝 このセクションのまとめ
- 不動産は登記簿の記載どおりに転記するのが理想
- 全財産を一人に相続させる場合は「全財産」という記載でも有効
- 財産を複数人に分ける場合は、それぞれの財産を個別に特定する必要がある
自筆証書遺言の4つの法的有効要件|これを満たさないと無効になる
自筆証書遺言が法的に有効とされるためには、4つの要件をすべて満たす必要があります。一つでも欠けると遺言書が無効になってしまいますので、必ず確認してください。
| 要件 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| ① 全文自書 | 遺言書の本文を全て自分の手で書く | パソコン・ワープロ打ちは原則無効 |
| ② 日付 | 作成した年月日を記載する | 「〇年〇月吉日」等のあいまいな日付は無効 |
| ③ 氏名(署名) | 遺言者の氏名を手書きで記載する | 住所は法的要件ではないが記載が望ましい |
| ④ 押印 | 署名の横または下に押印する | 認印でも可。ただし実印が望ましい |
⚠️ 注意
パソコンやワープロで作成した本文は、現行法では自筆証書遺言として無効です。本文は必ず自分の手で書いてください。ただし、財産目録部分については2019年の法改正によりパソコン作成が認められています(ただし全ページに署名・押印が必要)。
📌 ポイント:住所の記載は法的要件ではない
遺言書に住所を書くことは法的な有効要件ではありません。ただし、遺言者を特定しやすくするために、住所も記載しておくことが実務上は推奨されています。
💡 補足:動画では触れていませんが…
自筆証書遺言を自宅で保管する場合、相続開始後に家庭裁判所での「検認」手続きが必要です。検認とは、遺言書の存在と内容を家庭裁判所が確認する手続きで、相続人全員への通知が必要になります。法務局の遺言書保管制度を利用すれば、この検認が不要になります。
📝 このセクションのまとめ
- 有効要件は「全文自書・日付・氏名・押印」の4つ
- パソコン打ちの本文は無効になるので注意
- 住所は法的要件ではないが記載が望ましい
- 4つの要件を一つでも欠くと遺言書全体が無効になる
自筆証書遺言と公正証書遺言の比較|どちらを選ぶべきか
遺言書の内容や状況によっては、自筆証書遺言よりも公正証書遺言の方が適切な場合があります。以下の比較表を参考に、自分の状況に合った方法を選択してください。
| 比較項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
|---|---|---|
| 作成方法 | 自分で手書き | 公証役場で公証人が作成 |
| 費用 | ほぼ無料 | 財産額に応じた手数料が必要 |
| 証人 | 不要 | 2名以上の証人が必要 |
| 保管方法 | 自宅保管 or 法務局に預ける | 原本は公証役場が保管 |
| 検認手続き | 原則必要(法務局保管なら不要) | 不要 |
| 無効リスク | 要件を欠くと無効になる | 低い(公証人がチェック) |
| 向いているケース | 内容がシンプル・費用を抑えたい | 財産が複雑・トラブルを防ぎたい |
内容が複雑になるほど、また相続人間でトラブルが予想される場合ほど、公正証書遺言の方が安心です。どちらの形式にするかは、慎重に検討することが大切です。
💡 補足:動画では触れていませんが…
相続人の間で争いが生じるおそれがある場合や、認知症などで将来的に遺言能力が問われる可能性がある場合には、公正証書遺言を選ぶことが強く推奨されます。公証人が遺言者の意思能力を確認した記録が残るためです。
📝 このセクションのまとめ
- シンプルな内容なら自筆証書遺言でも十分対応できる
- 財産が複雑・相続人が多い場合は公正証書遺言が安心
- どちらを選ぶかは事情に応じて慎重に判断する
遺言書を書く際の実務的なポイントと注意事項
法的要件を満たすだけでなく、実務上も気をつけておきたいポイントがあります。
- 遺言書は鉛筆ではなくボールペンや万年筆で書く(消えないもので書くことが重要)
- 訂正する場合は法律で定められた方法(訂正箇所に押印し、余白に訂正内容と署名)で行う
- 封筒に入れて封印しておくと、開封時のトラブルを防げる
- 遺言書の存在を信頼できる人に伝えておく、または法務局に預けることを検討する
- 財産内容や家族の状況が変わったら、遺言書を作り直すことも選択肢の一つ
⚠️ 注意
遺言書を訂正する際に定められた方法に従わないと、訂正が無効になるだけでなく、遺言書全体の効力に影響が出る場合があります。訂正が多くなる場合は、新たに書き直すことを検討してください。
💡 補足:動画では触れていませんが…
遺言書が複数枚にわたる場合は、各ページに通し番号を付け、全ページに署名・押印することが推奨されます。ページが差し替えられるリスクを防ぐためです。
📝 このセクションのまとめ
- 消えないペンで書き、訂正は法定の方法で行う
- 遺言書の存在を信頼できる人に伝えるか、法務局に預けることを検討する
- 訂正が多い場合は書き直しを検討する
🔄 最新アップデート
2019年の民法改正により、自筆証書遺言の財産目録部分についてはパソコン作成が認められるようになりました(ただし各ページへの署名・押印が必要)。また、2020年7月から法務局による「自筆証書遺言書保管制度」が開始され、法務局に遺言書を預けることで検認手続きが不要になりました。遺言書を作成する際はこれらの制度も活用を検討してください。
📋 この記事を読んだら次にやること
- 自分の財産(不動産・預貯金・有価証券等)をリストアップし、誰に何を渡したいかを整理する
- 自筆証書遺言の4つの有効要件(全文自書・日付・氏名・押印)を確認しながら遺言書を作成する
- 法務局の遺言書保管制度の利用を検討し、必要に応じて弁護士や司法書士に相談する
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 弁護士 髙橋賢司の遺産相続専門チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 弁護士 髙橋賢司の遺産相続専門チャンネルを応援しています!
