住宅取得資金贈与の非課税特例を税理士が解説|2026年まで延長された最大1000万円の節税ポイント
親や祖父母からの住宅購入資金を最大1000万円まで非課税にできる特例を詳しく解説します。
マイホームを購入する際に、親から経済的な援助を受けることもあるのではないでしょうか。住宅取得等資金の贈与の特例を活用すれば、最大1000万円まで非課税で贈与を受けられる制度があります。
ただし、特例を受けるためには要件を満たす必要があり、納税額が少なくても申告を行う必要があります。申告手続きを怠ってしまうと非課税のメリットを享受できなくなってしまいますので注意が必要です。
住宅取得等資金の贈与の特例とは
住宅を取得する際に親や祖父母などから経済的な援助を受けることができる場合、一定の要件を満たすことで住宅取得等資金の贈与の特例を利用できる可能性があります。この特例を利用することで、最大1000万円までの贈与額が非課税となります。
例えば東京はもちろん、大阪市・横浜市・名古屋市・福岡市など、特に住宅価格が高い大都市でマイホームを購入しようと検討されている方にとって、親や祖父母からの資金援助は大きな助けになります。それが1000万円まで非課税で受け取れるならば、住宅購入のハードルは大幅に下がるでしょう。
📌 ポイント
住宅取得等資金の贈与の特例とは、親や祖父母など直系尊属から贈与された資金を使ってマイホームの新築・取得または増改築などを行う場合に、最大1000万円まで非課税になる制度です。通常、年間110万円を超える贈与を受けると贈与税が課税されますが、この特例を利用すれば特定の条件を満たすことでそれ以上の金額が非課税となります。
非課税枠は住宅の種類によって異なります。省エネ等住宅とは、断熱性能や耐震性が優れている住宅で、具体的な基準は建築業者や販売業者に確認することをお勧めします。
| 住宅の種類 | 非課税限度額 |
|---|---|
| 省エネ等住宅(断熱性能・耐震性が優れた住宅) | 1,000万円 |
| 上記以外の一般住宅 | 500万円 |
この特例の適用期限は当初2023年12月31日まででしたが、令和5年度の税制改正により2026年12月31日まで3年間延長されました。これにより、2026年末までに贈与を受けて住宅取得等に充てた場合でも特例を利用することができます。
暦年贈与・相続時精算課税制度との併用
この特例は、暦年贈与や相続時精算課税制度と併用することが可能です。
| 組み合わせ | 非課税の上限額 |
|---|---|
| 住宅取得等資金の贈与の特例 + 暦年贈与(基礎控除110万円) | 最大1,110万円 |
| 住宅取得等資金の贈与の特例 + 相続時精算課税制度 | 最大3,600万円(※) |
⚠️ 注意
暦年贈与と相続時精算課税制度は選択制です。一度相続時精算課税制度を選択すると、その後は暦年課税に戻すことができません。どちらを選ぶかは慎重に判断してください。
📝 このセクションのまとめ
- 最大1,000万円まで非課税で贈与を受けられる特例
- 適用期限は2026年12月31日まで延長済み
- 暦年贈与と併用すれば最大1,110万円、相続時精算課税制度と併用すれば最大3,600万円まで非課税
受贈者(贈与を受ける側)の要件
住宅取得等資金の贈与の特例を利用するためには、贈与を受ける側がいくつかの条件を全て満たしている必要があります。
- 直系卑属であること:贈与を受ける人は、贈与者の直系卑属(子・孫など)である必要があります。つまり、親や祖父母といった直系尊属からの贈与でなければなりません。配偶者の親は直系尊属に当たらないため、配偶者の親からこの特例を利用する場合は養子縁組をする必要があります。
- 18歳以上であること:贈与を受けた年の1月1日時点で受贈者が18歳以上であることが条件です。未成年の方はこの特例を利用することができません。
- 所得が2,000万円以下であること:贈与を受けた年の所得が2,000万円以下であることが必要です。ただし、床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅を購入する場合は1,000万円以下が条件となります。
- 過去に特例を利用していないこと:この特例を過去に利用したことがある場合は、再度適用することができません。初めてこの特例を利用する場合に限られます。
- 特別な関係者からの取得でないこと:親族など特別な関係のある人から住宅を取得したり、その人との請負契約で住宅を建てる場合も特例の対象外となっています。
- 翌年3月15日までに住宅取得に使うこと:贈与を受けた年の翌年3月15日までにその贈与資金を住宅の取得に使っていく必要があります。この期限を守らないと特例は適用されません。
- 日本国内に住所があり日本国籍を持っていること:贈与を受けた時に日本国内に住所があり、日本国籍を持っていることも条件です。日本国外に居住している場合、この特例は使えません。
- 翌年3月15日までに居住すること:贈与を受けた翌年3月15日までにその住宅に居住するか、遅滞なく居住する予定があることが求められます。住むことが前提になっています。
📝 このセクションのまとめ
- 贈与者は親・祖父母など直系尊属であること(配偶者の親は対象外)
- 年齢の判定は贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上
- 年間所得は原則2,000万円以下(床面積40〜50㎡未満の場合は1,000万円以下)
- 特例は初回のみ利用可能
取得する住宅の要件
住宅取得等資金の贈与の特例を適用するためには、贈与された資金を使う住宅自体にもいくつかの条件があります。
床面積の条件として、登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下であることが条件です。マンションの場合は専有部分の床面積がこれに該当します。また、その住宅の半分以上が実際に自分が住むために使われる必要があります。賃貸や他の用途に使う部分が多いとこの特例は適用できません。
住宅の種類に関する条件は以下の通りです。
- 新築住宅:これまでに使われたことがない住宅であること
- 中古住宅:昭和57年1月1日以降に建てられたものであること
- 古い建物の場合:耐震基準を満たしていることが証明できれば特例を利用できる
⚠️ 注意
住宅取得等資金の贈与の特例を利用できるのは、住宅の新築・取得・増改築等に充てるための金銭を贈与した時です。不動産そのものを贈与した時には対象となりません。また、既に住宅を取得しており住宅ローンを返済するための資金援助も対象外です。
📝 このセクションのまとめ
- 床面積は登記簿上で40㎡以上240㎡以下であること
- 住宅の半分以上が自己居住用であること
- 中古住宅は昭和57年1月1日以降に建てられたもの、または耐震基準適合が証明できるもの
- 不動産そのものの贈与やローン返済への資金援助は対象外
申告手続きと必要書類
住宅取得等資金の贈与の特例を利用するためには、適切な手続きが必要です。特例を適用するための申告や書類の準備が必要になりますので、しっかり確認しておいてください。
📌 ポイント
この特例を受けるためには、贈与を受けた翌年に必ず贈与税の申告を行う必要があります。申告期間は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。この期間内に手続きが完了していないと特例は適用できません。なお、申告期限の3月15日が土曜日または日曜日にあたる時は、翌日が申告期限となります。
申告の際には以下の書類が必要となります。
- 戸籍謄本:贈与者との関係を証明するため
- 源泉徴収票など所得証明書類:所得額が条件を満たしているか確認するため
- 登記事項証明書:住宅の登記情報を確認するため
- 請負契約書または売買契約書のコピー:住宅を新築・購入した証拠として
- 耐震基準適合証明書・建設住宅性能評価書:耐震基準や省エネ性能を満たしている場合
- 省エネ等住宅に関する証明書類:省エネ等住宅に該当する場合は追加で必要
取得する住宅が新築か既存住宅かによって必要な書類は異なります。詳細については事前に税務署で確認しておくと安心です。
📝 このセクションのまとめ
- 申告期間は翌年2月1日〜3月15日
- 納税額がゼロでも必ず申告が必要
- 戸籍謄本・所得証明・登記事項証明書・契約書コピーなどを準備する
特例を利用する際の重要な注意点
住宅取得等資金の贈与の特例を利用する際には、いくつかの重要な注意点があります。これらを押さえておくことで、特例を正しく適用しトラブルを防ぐことができます。
①申告は必須(納税額ゼロでも)
⚠️ 注意
特例を適用すると贈与税がかからない場合でも、必ず申告が必要です。「納税額がないなら申告も不要だろう」と判断しないようにしましょう。万が一税務調査で申告していないことが発覚すると、無申告加算税や延滞税が課される場合があります。申告を忘れると特例のメリットを享受できなくなるだけでなく、贈与税を支払うことになることもあります。
②贈与のタイミングに注意
受贈者の年齢は、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上である必要があります。贈与時点ではなく年初時点で年齢を判断しますので、誤解しないようにご注意ください。
また、贈与を受けた翌年3月15日までに住宅取得等資金を住宅の購入に充てていく必要があることも重要です。これを過ぎてしまうと特例の適用が受けられない可能性があります。
📌 具体例:贈与タイミングのミスに注意
建売住宅やマンションを購入する場合、売買契約日から引き渡しまでの期間が長くなることがあります。例えば、2024年に親から新築物件の購入費用として1,000万円の贈与を受けたとしても、実際に引き渡しされるのが2025年5月であれば、この特例を利用することができません。贈与のタイミングが早すぎると特例を利用できない場合があるため、事前に引き渡し日程を確認しタイミングを調整することが大切です。
なお、注文住宅の場合は贈与を受けた翌年3月15日までに住宅が完成していなくても、いわゆる「棟上げ」の状態であれば特例の適用が可能です。屋根がある程度完成し土地に定着している状態であれば特例が利用できます。住宅の進捗状況を確認しながら贈与のタイミングを見計らうことが重要です。
③所得要件の確認(一時的な所得増加に注意)
受贈者の年間所得が2,000万円を超える場合、特例を利用することができません。ただし、住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は所得要件が1,000万円以下となりますのでご注意ください。
特に不動産の売却などで一時的に所得が増えることが予想される場合、譲渡所得が発生することで年間所得が2,000万円を超える可能性があります。この場合、特例が適用できなくなることがありますので慎重に判断してください。
📝 このセクションのまとめ
- 納税額ゼロでも申告は必須。怠ると無申告加算税・延滞税が発生
- 年齢判定は1月1日時点。贈与日ではないので注意
- 建売・マンションは引き渡し日程を確認し、翌年3月15日までに引き渡しが受けられるタイミングで贈与を受ける
- 不動産売却等で一時的に所得が増える場合は所得要件超過に注意
相続時精算課税制度と併用する場合の注意点
住宅取得等資金の贈与の特例と相続時精算課税制度は併用することができます。相続時精算課税制度には、2024年以降の贈与から年間110万円の非課税枠が設けられています。
しかし、年間110万円を超える贈与分に関しては、相続が発生した時に相続財産に足し戻して計算しなければなりません。
📌 具体例:3,500万円を贈与した場合
住宅取得等資金の贈与の特例と相続時精算課税制度を利用して3,500万円を贈与した場合、贈与税はかかりません。しかし相続が発生した時には、住宅取得等資金の贈与の特例の1,000万円と基礎控除の110万円を差し引いた2,390万円を相続財産に足し戻して計算します。
⚠️ 注意
暦年贈与と相続時精算課税制度は選択制です。一度相続時精算課税制度を選択すると、その後は暦年課税に戻すことができません。どちらの制度を選ぶかは、長期的な相続対策も踏まえて慎重に検討することが重要です。
📝 このセクションのまとめ
- 相続時精算課税制度と併用する場合、年間110万円超の贈与分は相続財産に足し戻しが必要
- 相続時精算課税制度を一度選択すると暦年課税には戻れない
- 長期的な相続対策を踏まえて、税理士に相談しながら選択することを推奨
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】を応援しています!
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