節税対策

iDeCo2027年から最大月7万5000円に拡充!節税効果と出口課税の罠を税理士が解説

iDeCo2027年から最大月7万5000円に拡充!節税効果と出口課税の罠を税理士が解説
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iDeCoの掛金上限が2027年から大幅引き上げ。節税チャンスの裏にある出口課税の実態とNISAとの使い分けを徹底解説します。

iDeCoとは何か?年金制度の「3階部分」を理解しよう

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、将来の老後資金を自分で積み立てる制度です。日本の年金制度は大きく3層に分かれており、iDeCoはその「3階部分」にあたります。

1階・2階の公的年金だけでは、日本の現在の財政状況を考えると将来的に年金が不足するだろうという見通しがあります。iDeCoはその不足分を補う、いわば「年金の付け足し」のような制度です。

階層制度名対象者
1階国民年金自営業・無職・高齢者など
2階厚生年金公務員・会社員(国民年金も含む)
2階(配偶者)第3号被保険者第2号被保険者の配偶者
3階iDeCo(個人型確定拠出年金)任意加入

📝 このセクションのまとめ

  • iDeCoは年金制度の「3階部分」にあたる個人型確定拠出年金
  • 公的年金の不足を補う「年金の付け足し」として位置づけられる
  • 任意加入で、自分で掛金を積み立て・運用する制度

2027年からiDeCoの掛金上限が大幅引き上げ!いつから・いくらになる?

令和7年度税制改正で、iDeCoの毎月の掛金上限の引き上げが決定していましたが、具体的な実施時期がなかなか確定していませんでした。これがようやくほぼ決まりました。

「指定的年金制度の主な改正事項の施行スケジュール」によると、令和9年(2027年)の拠出分からの実現を目指して準備を進めることとされています。当初は2026年からの実施を期待していましたが、少し先になりました。

📌 ポイント

この引き上げは、年金制度改正法の成立が前提でした。2025年6月に年金制度改正法が固まったことで、iDeCo引き上げのスケジュールが明らかになりました。

また掛金の引き上げだけでなく、現在は60歳または65歳までしかiDeCoに加入できませんでしたが、これが70歳手前まで引き上げになります。働く高齢者の増加を反映した改正です。

では、具体的に月々いくらまでかけられるようになるのか見てみましょう。

対象者現行の上限(月額)改正後の上限(月額)
個人事業主・フリーランス6万8000円7万5000円
企業年金なしの会社員2万3000円6万2000円
企業型DCとの併用など5万5000円(上限)6万2000円

特に、現在月額2万3000円が上限だった企業年金なしの会社員の方にとっては、約2.7倍という大幅な引き上げになります。フリーランスの方は7000円ほどの引き上げです。

⚠️ 注意

2027年1月頃までにシステムなどの整備が追いつくかどうか、現時点では不確定な部分もあります。あくまで「準備を進めている」という段階です。

📝 このセクションのまとめ

  • iDeCoの掛金上限引き上げは2027年からの実施を目指している
  • 会社員(企業年金なし)は月2万3000円→6万2000円に大幅増
  • フリーランスは月6万8000円→7万5000円に引き上げ
  • 加入可能年齢も70歳手前まで引き上げ予定

iDeCoの最大のメリット「節税効果」はどれくらい?掛金引き上げでどう変わる?

iDeCoの最大のメリットは節税効果です。老後資金を積み立てているだけにもかかわらず、掛けているお金が全額「所得控除」として扱われ、所得税と住民税の節税効果を生み出します。

まず現行の月額2万3000円を掛けている場合の年間節税効果を見てみましょう。

課税所得(目安)所得税+住民税の合計税率年間節税効果(月2万3000円の場合)
低所得層15%約4万1000円
中所得層20%台約5万5000円〜8万2000円
高所得層40%以上10万円超

※復興特別所得税はこの計算から除外しています。

これが掛金引き上げ後(月額6万2000円)になると、節税効果はさらに大きくなります。

課税所得(目安)合計税率年間節税効果(月6万2000円の場合)
低所得層15%10万円超
中所得層30%約14万8000円
高所得層(年収1000万超)50%超20万円超
最高税率層55%30万円超

📌 ポイント

iDeCoには積み立て時の節税だけでなく、運用中の利益に対しても非課税というメリットがあります。通常、株式投資などで運用益が出ると約20%の税金が課されますが、iDeCoの運用期間中はこれが免除されます。

ただし、注意点もあります。

  • あくまでも投資なので、商品選びを間違えると運用益が出ないどころか赤字になる可能性もある
  • 月6万2000円を掛けるにはそれなりのキャッシュが必要で、資金的な余裕がないと難しい
  • 節税効果が大きいのは所得(税率)が高い人ほど有利

📝 このセクションのまとめ

  • 掛金は全額所得控除となり、所得税・住民税の節税効果を生む
  • 運用中の利益も非課税(通常は約20%課税)
  • 掛金引き上げにより、特に税率の高い人ほど節税メリットが大きくなる
  • 資金的余裕がない人には掛金引き上げのメリットは限定的

iDeCoの「出口課税」とは?受け取り時に税金はかかるのか

iDeCoはやめる(解約・受給する)ときに課税されます。これが「出口課税」と呼ばれるものです。YouTubeやブログでは「出口でめっちゃ税金を取られる」と煽られることも多いですが、実際のところはどうなのか確認しましょう。

iDeCoの税制上の扱いは、受け取り方によって2種類に分かれます。

受け取り方所得区分税の扱い
一括受け取り退職所得退職金と同じ税の扱い(退職所得控除が使える)
分割受け取り雑所得年金と同じ扱い(公的年金等控除が使える)

一括受け取りの場合、退職金と同様に「退職所得」として扱われます。退職所得の計算式は以下のとおりです。

📌 退職所得の計算式

(退職金の総額 − 退職所得控除額)× 1/2 × 税率(所得税+住民税:最低15%〜最高55%)

この計算結果に対して税金がかかります。

重要なのは退職所得控除の大きさです。

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円 × 勤続年数(最低80万円)
20年超800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年)

さらに退職所得は「分離課税」といって、給与・不動産・年金などの他の所得と合算せず、単体で税金計算してもらえます。そのため税率が高くなりにくいという大きなメリットがあります。

⚠️ 注意

iDeCoを一括受け取りする際は、「退職所得の受給に関する申告書」を記載して会社(または金融機関)に保管しておく必要があります。この申告書を提出しないと、一律20%が源泉徴収されてしまいます。中小企業の経理担当者はご注意ください。

また、iDeCoを解約して戻ってきた金額は「儲かった部分だけ」ではなく全額が課税対象となります。ただし、課税対象になることと税金がかかることは別の話です。退職所得控除を引いた結果がゼロ以下になれば、税金はかかりません。

さらに重要なのは、iDeCoの解約金と会社からもらう退職金を合算して計算するという点です。将来の退職金がいくらかわからないと正確なシミュレーションが難しいのが実情です。

📝 このセクションのまとめ

  • 一括受け取りは「退職所得」として退職金と同じ税の扱い
  • 退職所得控除(勤続20年超で1年あたり70万円)が非常に大きい
  • 分離課税のため他の所得と合算されず、税率が上がりにくい
  • iDeCoの解約金は退職金と合算して計算するため、退職金の額が影響する

具体的なシミュレーション:出口課税は実際いくらかかる?

実際にシミュレーションで確認してみましょう。

【ケース1】年収800万円・40歳からiDeCoスタート・月2万3000円・25年間積み立て

項目金額
積み立て総額(25年間)約690万円
25年間の節税効果約207万円
運用益(年率3%想定)約335万8000円
解約時の受取額約1025万8000円
運用益に対する本来の税金(約20%)約67万円(iDeCoなら非課税)

この方が65歳で退職し、iDeCoを解約するとします。退職所得控除は、22歳入社・43年勤務とすると「800万円 + 70万円 × 23年 = 約2410万円」になります。

退職金の額退職金+iDeCo解約金の合計退職所得控除(2410万円)との比較出口での税負担トータルのお得額
1000万円約2025万8000円控除の範囲内0円約542万8000円
2000万円約3025万8000円約600万円超過約52万円約490万円

退職金が2000万円の場合でも税負担は約52万円。受け取り総額約3000万円に対する税率は約1.7%にすぎません。

📌 ポイント

出口課税が怖いと言われますが、退職所得控除が大きく、さらに1/2課税・分離課税という優遇措置があるため、実際の税負担率は1〜2%程度に収まるケースがほとんどです。

【ケース2】年収1000万円・30歳からiDeCoスタート・月2万3000円・35年間積み立て

項目金額
積み立て総額(35年間)約966万円
35年間の節税効果約289万8000円
運用益(年率3%想定)約739万5000円
解約時の受取額約1700万円
退職金の額節税効果+運用益合計出口での税負担トータルのお得額実質税率
1000万円約1000万円超約22万4000円約1000万円超約0.8%
2000万円約1000万円超約154万円約875万円約4.1%

35年間積み立てると、節税効果と運用益を合わせて1000万円以上のメリットが生まれます。出口での税負担を差し引いても、非常に大きなプラスになることがわかります。

給与・年金・不動産収入に対する税率と比べると、退職所得の実質税率は格段に低いと言えます。

⚠️ 注意

ただし、今後は退職所得控除が「多すぎる」として見直しが議論されています。将来的に退職金課税が増税となる可能性は極めて高いことは頭に入れておきましょう。また、掛金が月6万2000円に増え、退職金も3000万・5000万規模になってくると、税負担はより重くなります。

📝 このセクションのまとめ

  • 退職金が少ない人はiDeCoの出口課税がゼロになるケースも多い
  • 退職金が大きい人ほど出口課税は増えるが、実質税率は1〜4%程度
  • 節税効果・運用益と合わせるとトータルでは大きなプラスになる
  • 将来の退職金課税増税リスクは念頭に置いておく必要がある

出口課税の「抜け道」と受け取り方の工夫

出口課税を軽減するための方法として、「退職金とiDeCoの受け取り時期をずらす」という方法があります。ただし、税制はよくできており、単純に時期をずらすだけでは節税できません。

勤務期間とiDeCoをかけていた期間が重複している場合、その重複期間の退職所得控除は除外して計算されます。そのため、会社を退職した翌年や2年後にiDeCoを解約しても、ほぼ節税効果は得られません。

それぞれの退職所得控除をフルに受けるためには、以下の2つのパターンがあります。

パターン方法必要な間隔実現可能性
パターン1退職金を先に受け取り→その後iDeCoを解約20年以上空ける会社経営者のみ現実的
パターン2iDeCoを先に解約→その後退職金を受け取る10年以上空ける(令和8年から改正)会社経営者のみ現実的

⚠️ 注意

パターン2(iDeCoを先に解約してから退職金を受け取る)は、以前は5年間空ければよかったのですが、令和8年(2026年)から10年に延長されます。この方法を検討している方は早めに確認が必要です。

いずれのパターンも、現実的にできるのは会社経営者くらいで、一般のサラリーマンには非常に難しいです。また、iDeCoを60歳で早期解約してしまうと運用期間が短くなり、運用益が大幅に小さくなってしまいます。

個人事業主・フリーランスの方は退職金がないため、代わりに小規模企業共済を活用することを検討してください。会社経営者の方はiDeCo・小規模企業共済・会社からの退職金が絡み合い、より複雑な税制となります。

出口対策としては、現実的には以下の方法が考えられます。

  • 年金(分割)として受け取る:公的年金等控除が使える
  • 一時払いと年金受け取りを併用する:分割受け取りにより運用益がさらに膨らむ可能性もある

📝 このセクションのまとめ

  • 退職金とiDeCoの受け取り時期を大きく空けることで控除を二重取りできるが、サラリーマンには現実的に難しい
  • 令和8年からパターン2の必要間隔が5年→10年に延長される
  • 現実的な出口対策は「年金(分割)受け取り」か「一時払いと年金の併用」
  • フリーランスは小規模企業共済も合わせて検討する

結局iDeCoとNISAはどっちがお得?使い分けの考え方

iDeCoとNISAの違いを整理して比較してみましょう。

比較項目NISAiDeCo
年間上限積立投資枠120万円+成長投資枠240万円職業により異なる(最大月7万5000円)
生涯上限1800万円掛け続ければ3000万円超も可能
入り口の節税なしあり(全額所得控除)
運用中の課税非課税非課税
出口の課税なしあり(退職所得または雑所得)
換金・引き出しいつでも可能原則60歳まで不可
商品ラインナップ積立投資枠はリスクの低い投資信託中心、成長投資枠は個別株も可投資信託中心(スイッチング可能)
維持コスト低め加入時約2800円+運用中・受取時に手数料あり
破産時の差し押さえ対象になる対象外(年金財源のため)
障害給付・死亡保険なしあり
赤字時の損益通算特定口座との通算不可不可
外国税額控除非課税の対象外同様

⚠️ 注意

iDeCoには「特別法人税」という制度が存在します。現在は凍結中でiDeCoへの課税はありませんが、廃止ではなく凍結なので、将来的に復活する可能性がゼロではありません。

数字で比較するために、先ほどの年収800万円のケースで、iDeCoではなくNISAで同じ商品を購入した場合を見てみましょう。

項目iDeCo(退職金1000万円の場合)NISA
入り口の節税効果約207万円0円
運用益(年率3%・25年)約335万8000円(非課税)約335万8000円(非課税)
出口の税金0円(退職所得控除の範囲内)0円
トータルのお得額約542万8000円約335万8000円

同じ商品で同じ運用成績を達成した場合、入り口の節税効果がある分、数字だけ見るとiDeCoの方が有利です。ただし、退職金が増えるほどiDeCoの出口課税が増えるため、差は縮まります。

また、iDeCoは維持コスト(加入時・運用中・受取時の手数料)がかかるため、しっかり利回りを出さないと意味がありません。

両者ともに相続財産となり、相続税は非課税ではない点も共通しています。

最終的な使い分けの考え方はこちらです。

あなたの状況・優先事項おすすめ
いつでも換金できる柔軟性が欲しいNISA
強制的に老後資金を積み立てたい(縛られたい)iDeCo
所得が高く節税効果を最大化したいiDeCo(掛金全額が所得控除)
少額から始めたいどちらでも可(月5000円〜1万円からOK)

📌 ポイント

NISAの生涯上限は1800万円ですが、iDeCoは会社員の場合、改正後の月6万2000円を40年間かけ続けると3000万円超になる可能性があります。両者を組み合わせることでより大きな老後資産の形成が可能です。少額でもよいので、生活費に無理のない範囲でうまく配分することが大切です。

📝 このセクションのまとめ

  • 節税メリットを重視するならiDeCo、柔軟性を重視するならNISAが有利
  • 同じ商品・同じ運用成績なら入り口の節税がある分iDeCoの方が数字上は有利
  • iDeCoは維持コストがかかるため、しっかりした運用が必要
  • 両者を組み合わせてフル活用するのが最も効果的
  • 少額でも始めることが大切。月5000円〜1万円からでも全く問題ない

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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