iDeCo掛金が70歳未満まで延長へ!新NISAとどちらを選ぶべきか税理士が解説
iDeCoの掛金支払いが70歳未満まで延長される方針が厚労省から発表されました。新NISAとの違いを正しく理解して、自分に合った制度を選びましょう。
今回のテーマと結論:iDeCoも新NISAも、できれば両方やろう
厚労省がiDeCoの掛金支払い期間を70歳未満(69歳まで)に延長する方針を発表しました。これはまだ最終確定ではありませんが、非常に注目すべきニュースです。
そもそも「iDeCoと新NISAはどっちがいいの?」という質問は、40代の同窓会などで税理士とわかった途端によく聞かれる質問のトップ3に入るほど関心が高いテーマです。
📌 結論
資産運用で財産を増やしたいなら、iDeCoも新NISAも両方やるのがベストです。国が用意してくれた税制優遇制度を最大限活用しましょう。両方払うのが難しい場合は、以下の目安で優先順位を決めてください。
- 資金拘束されてもよい・税率が高い → iDeCoを優先
- 資金をいつでも引き出したい → 新NISAを優先
ただし大前提として、iDeCoも新NISAもどちらも「投資・資産運用」です。どちらをやるかよりも、どの商品を選ぶか、どのタイミングでどれだけ買うかの方が重要です。投資の勉強が必要だということを忘れないでください。
📝 このセクションのまとめ
- iDeCoの掛金支払いが70歳未満まで延長される方針(まだ確定ではない)
- iDeCoも新NISAも、できれば両方活用するのがベスト
- どの制度を使うかより、どの商品をいつ買うかが重要
iDeCoとは?なぜ70歳未満まで延長されるのか
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、一言でいうと年金の上乗せ制度です。公的年金に加えて、自分で投資商品を選び、自己責任で運用していくものです。
日本の年金制度の構造を整理すると、以下のようになります。
| 加入者の種別 | 加入する年金 |
|---|---|
| 個人事業主・自営業者(第1号被保険者) | 国民年金のみ |
| 会社員・会社経営者(第2号被保険者) | 国民年金+厚生年金 |
そしてこれらに上乗せできる個人型の年金がiDeCoです。国民年金基金や企業年金とは別に、個人が自分で掛金を出して運用できます。
今回の延長方針の背景には、65〜69歳で働いている人の割合が2023年に52%を超えたという現実があります。60代はもはや「おじいちゃん・おばあちゃん」ではなく、現役世代として働いている人が半数以上いる時代になっています。そうした社会変化を反映して、iDeCoの加入可能期間を延長しようというわけです。
📝 このセクションのまとめ
- iDeCoは公的年金への上乗せ制度(個人型確定拠出年金)
- 65〜69歳の就業率が52%超になったことが延長の背景
- 掛金上限額も増額の予定(まだ最終確定ではない)
iDeCoの最大のメリット:節税効果(所得控除)
iDeCoが一般の投資と大きく異なる点は節税効果です。投資商品を購入しているだけなのに、その掛金が所得控除として認められ、所得税・住民税が軽減されます。
所得控除とは、医療費控除・配偶者控除・生命保険料控除などと同じように、個人の生活的事情を考慮した控除制度です。事業の必要経費とは異なります。
課税所得(=儲け)が高くなればなるほど税率が上がるため、節税効果の割合も大きくなります。以下にiDeCoの節税効果の目安をまとめました。
| 対象者 | 月額掛金上限 | 年間掛金上限 | 税率15%の場合の節税額(年) | 税率30%の場合の節税額(年) |
|---|---|---|---|---|
| 会社員・会社経営者 | 23,000円 | 276,000円 | 約41,400円 | 約82,800円 |
| 個人事業主・フリーランス | 68,000円 | 816,000円 | 約122,400円 | 約244,800円 |
※復興特別所得税は省略しています。課税所得が高い方ほど節税効果が大きくなります。
📌 ポイント
iDeCoの最大のメリットは掛金全額が所得控除になることです。さらに今後、掛金上限額も増額される予定があるため、節税効果がさらに高まる可能性があります。
📝 このセクションのまとめ
- iDeCoの掛金は全額「所得控除」として所得税・住民税を軽減できる
- 税率が高い人ほど節税効果が大きい
- 運用中の利益も非課税
iDeCoのデメリット:維持コストと資金拘束
iDeCoには節税効果というメリットがある一方で、いくつかの重要なデメリットがあります。特に維持コストは意外と知られていません。
iDeCoにかかるコストは以下の通りです。
| 費用の種類 | 金額 | タイミング |
|---|---|---|
| 加入時手数料(国民年金基金連合会) | 約3,000円 | 加入時1回 |
| 国民年金基金連合会への月額手数料 | 105円/月 | 運用中毎月 |
| 信託銀行への月額手数料 | 66円/月 | 運用中毎月 |
| 運営管理金融機関への手数料 | 金融機関による(SBI・楽天等は0円) | 運用中毎月 |
| 給付金受取時の手数料(信託銀行) | 440円/回 | 受取の都度 |
SBI証券や楽天証券などのネット証券・スマホ証券を利用すれば、運営管理金融機関への手数料は0円になります。ただし、それでも月171円(年間約2,000円)は最低限かかります。これは新NISAにはないiDeCo特有のコストです。
なお、企業型DC(企業型401K)を導入している会社に勤めている場合は、手数料を会社が負担するのが一般的です。
維持コスト以外のデメリットも確認しておきましょう。
- 60歳まで引き出し不可:資金が長期間拘束される
- 原則、掛金の停止が難しい:一度始めると基本的に払い続ける必要がある
- 商品ラインナップに地雷商品が混在:リスクの高い商品も含まれているため商品選びに注意が必要
- 解約時(給付時)に課税対象となる:後述の通り注意が必要
⚠️ 注意:解約時の課税に要注意
iDeCoは「税制優遇がある」と各証券会社・銀行が強調していますが、解約・給付時には課税対象になります。例えば、小規模企業共済や自分の会社からの退職金とiDeCoの給付が重なると、退職所得として税負担が発生する場合があります。特に自営業者や会社経営者は注意が必要です。
また、マニアックな知識として特別法人税があります。これは年金残高に対して年率1.173%課税される税金ですが、現在は法律上廃止ではなく「凍結」の状態です。もし凍結が解除されると、iDeCoの受取手取りが実質的に減ってしまう可能性があります。
📌 元本確保型(預金)を選べばいいわけではない
iDeCoのラインナップには元本確保型の預金商品もありますが、利息・配当がほぼゼロのため、月171円の維持コストだけがかさんでいくことになります。税率が高い人であれば節税効果がコストを上回ることもありますが、必ずしも元本確保型が最善とは限りません。
📝 このセクションのまとめ
- iDeCoは最低でも月171円(年約2,000円)の維持コストがかかる(新NISAにはない)
- 60歳まで資金が拘束される
- 解約・給付時は課税対象になるため過信は禁物
- 特別法人税(年率1.173%)の凍結解除リスクも頭に入れておく
新NISAの仕組みとメリット・デメリット
2024年からスタートした新NISAは、従来の積立NISAと一般NISAが合体したような制度です。
| 区分 | 枠の種類 | 年間上限 | 主な対象商品 |
|---|---|---|---|
| 新NISA | 積立投資枠 | 120万円 | 投資信託(比較的安全な商品が多い) |
| 新NISA | 成長投資枠 | 240万円 | ETF・個別株など(リスクが高いものも含む) |
| 合計(年間) | 360万円 | — | |
| 生涯投資枠(上限) | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円) | — | |
年間360万円というのはあくまで上限であり、1万円や2万円からでも始められます。フルで枠を使うと5年間で上限に達しますが、無理に全額使う必要はありません。
新NISAの最大の特徴は、運用中の配当・売却益が基本的に永久非課税であることです(法律が変わらない限り)。旧制度のような非課税期間の制限がなくなりました。
また、新NISAには簿価残高方式による枠の再利用という画期的なメリットがあります。1,800万円の枠を使い切った後でも、一部を売却すれば、その買付価格分の枠が翌年以降に復活して再利用できます。
一方で、以下のデメリットも理解しておく必要があります。
- 損失が出た場合、他の口座との損益通算ができない:特定口座で保有する他の株などと損益を相殺できない
- 外国税額控除の対象外:米国株の配当などには米国で10%の税金がかかるが、NISA口座ではこの外国税を取り戻す外国税額控除が使えない
⚠️ 注意:新NISAは「利益が出ること」が前提の優遇制度
新NISAは利益に対して非課税になる制度です。損失が出た場合は他の口座との損益通算ができないため、新NISAをやるなら利益を出すことを前提に取り組む必要があります。また、外国税額控除を活用したい方は、NISA口座での外国株投資には向いていません。
📝 このセクションのまとめ
- 新NISAは積立投資枠(年120万)+成長投資枠(年240万)の合計年360万円が上限
- 生涯投資枠は1,800万円で、売却後に枠の再利用が可能
- 運用益・配当は基本的に永久非課税
- 損失が出ても他口座との損益通算はできない
iDeCo vs 新NISA:どちらが向いているか徹底比較
iDeCoと新NISAのメリット・デメリットをまとめて比較します。
| 比較項目 | iDeCo | 新NISA |
|---|---|---|
| 年間掛金・投資上限 | 会社員:276,000円/個人事業主:816,000円 | 積立枠120万+成長枠240万=最大360万円 |
| 節税効果(掛金時) | ◎ 掛金が全額所得控除 | × なし |
| 運用益の課税 | ○ 非課税 | ○ 非課税(基本永久) |
| 資金の引き出し | × 原則60歳まで不可 | ◎ いつでも可能 |
| 維持コスト | △ 月171円以上かかる | ◎ なし |
| 解約時の課税 | △ 課税対象(退職所得等) | ◎ 非課税 |
| 損益通算 | × 不可 | × 不可 |
| 死亡給付 | ○ あり | × なし |
| 差し押さえ保全 | ○ 破産時も保全される | × なし |
| 商品変更(スイッチング) | ○ 可能 | — (売却・再購入で対応) |
この比較を踏まえ、どちらに向いているかを整理します。
| こんな人に向いている | おすすめ制度 |
|---|---|
| 老後資金を長期で積み立てたい・税率が高い | iDeCoを優先 |
| 少額から始めたい(月2万3000円未満でもOK) | iDeCo |
| 強制的に貯める仕組みが欲しい | iDeCo |
| 資金をいつでも引き出せるようにしておきたい | 新NISAを優先 |
| 老後資金+余裕資金の両方を運用したい | 両方 |
| 短期間で成長を狙いたい | 新NISA(成長投資枠) |
📌 資産運用の優先順位を忘れずに
資産運用を始める前に、以下の順番で資金を確保することが鉄則です。
- 当面の生活費を確保する(ローリスク・ローリターンで運用)
- 老後資金を確保する(ローリスク・ローリターンで運用)
- 余裕資金で運用する(ハイリスク・ハイリターンも選択肢に)
iDeCoは年金の上乗せ制度なので、安全運用が基本です。余裕資金で行うリスクの高い運用とは区別して考えましょう。
📝 このセクションのまとめ
- iDeCoは「節税効果」「差し押さえ保全」が強み、新NISAは「いつでも引き出せる」「永久非課税」が強み
- 税率が高い人ほどiDeCoの節税メリットが大きい
- 資産運用は生活費→老後資金→余裕資金の順で考える
実際の運用状況を公開:iDeCoと新NISAで何を買っているか
最後に、実際の運用状況をご紹介します。あくまでも一つの具体例として参考にしてください。他人の運用商品を安易に真似することは避け、必ず自分で勉強した上で判断してください。
iDeCo(SBI証券を利用)については、米国株式インデックスファンドに投資しています。掛金拠出累計322,000円に対して、現在の残高は約40万円(運用利回り約23.9%)という結果が出ています。対象商品と購入タイミングが良かったことが大きな要因です。ただし、この好調が将来も続く保証はありません。
もともとiDeCoにはデメリットが多いと考えてやっていませんでしたが、「iDeCoは良くない」と言うためにはまず自分がやってみなければ話にならないと考えてスタートしました。
新NISA(楽天証券を利用)については、積立投資枠で毎月10万円を積み立てています。主な商品はeMAXIS Slimシリーズの米国株式・オールカントリー・除く日本などで、運用利回りは約1割程度で推移しています。
成長投資枠については今年の枠を全部使い切りました。基本的に短期の値上がり益を狙うのが得意ではないため、ほったらかしで配当だけをもらう戦略を採用しています。
| 銘柄 | 種別 | 配当利回り(目安) |
|---|---|---|
| ベライゾン(VZ) | 米国株(通信) | 約6% |
| ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI) | 英国株(タバコ) | 約9% |
| アルトリア・グループ(MO) | 米国株(タバコ) | 約7〜9% |
| SPDR ポートフォリオ S&P500 高配当ETF | ETF(上場投資信託) | 約3〜5% |
これらの銘柄は財務体質を確認した上で選んでいます。なお、外国税額控除を使わない前提(引き分けにならなくてもよい)で選んでいるため、外国税額控除を活用したい方には向かない戦略です。
⚠️ 注意:他人の銘柄を真似しない
上記の銘柄はあくまでも一例です。「高配当だから」「誰かがすすめていたから」という理由だけで購入するのは危険です。資産運用・投資は自己責任が大原則。まず自分でしっかり勉強してから判断してください。
📝 このセクションのまとめ
- iDeCo(SBI証券):米国株式インデックスに投資、掛金32.2万円→残高約40万円(+23.9%)
- 新NISA積立投資枠(楽天証券):毎月10万円積立、eMAXIS Slimシリーズ等で約10%運用中
- 成長投資枠:高配当株・ETFを中心に配当収入狙いの長期保有戦略
- 他人の銘柄を安易に真似せず、自分で勉強した上で判断することが最重要
iDeCoが70歳まで延長されたら、どう活用するか
iDeCoが69歳まで加入できるようになった場合、どう活用するかは60歳を超えてからの健康状態次第というのが正直なところです。
- まだまだ長生きできそうであれば → 掛金を払い続ける
- 健康状態が思わしくなく、寿命が短いかもしれないと感じたら → 60歳で解約する
iDeCoも新NISAも、税制優遇制度に飛びつくのではなく、まず資産運用・投資の勉強をすることが大前提です。その上で、自信を持って資産運用に取り組むことが大切です。他人がすすめている銘柄や、動画で紹介された商品でさえも、鵜呑みにしないようにしましょう。
📌 最後に大切なこと
資産運用・投資は自己責任です。税制優遇に飛びつく前に、まず投資の勉強をしてください。iDeCoも新NISAも、正しく理解して使えば非常に強力な制度です。ただし、一角千金を狙うような使い方には向いていません。長期・積立・分散が基本です。
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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