節税対策

iDeCo掛金上限が過去最大の引き上げ!節税効果と出口課税の罠を税理士が解説

iDeCo掛金上限が過去最大の引き上げ!節税効果と出口課税の罠を税理士が解説
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iDeCoの掛金上限が2025年の大改正で過去最大の引き上げとなる見通しです。節税効果が爆増する一方、出口課税の罠にはご注意ください。

そもそもiDeCoとは?年金制度の「3階建て」を理解しよう

iDeCoを一言で言うと年金制度です。正式名称は「個人型確定拠出年金」といいます。

日本の年金制度は「階建て構造」になっています。

階層制度名対象者
1階・2階国民年金・厚生年金全国民/会社員・会社経営者
3階国民年金基金・企業年金・個人型年金(iDeCo)任意加入者

iDeCoはこの3階部分にあたります。もう少し将来の年金を増やしたい人が、投資・資産運用を通じて年金を確保していく制度です。

NISAとiDeCoの違い:税制優遇の仕組みを比較

NISAとiDeCoは両者とも「投資・資産運用」という点では共通していますが、税制優遇の仕組みがまったく異なります。

項目iDeCo新NISA
税制優遇掛金が所得控除(所得税・住民税を節税)配当・売却益が非課税
運用益非課税非課税
掛金上限(会社員)月額2万3,000円(改正後:6万2,000円)積立:年120万円/成長:年240万円
掛金上限(個人事業主)月額6万8,000円(改正後:月額記載参照)同上
引き出し60歳まで不可いつでも可能
コスト加入時・運用時・受取時に手数料あり基本無料

📌 ポイント

NISAは「儲かった時に税金がかからない」純粋な投資制度です。一方iDeCoは「積み立て時に所得控除で節税できる」年金制度です。目的と性格が異なるため、両方を使い分けることが理想的です。

iDeCoのメリット・デメリットと維持コスト

iDeCoのメリットとデメリットを整理しておきましょう。

主なメリット

  • 掛金が全額所得控除になり、所得税・住民税を節税できる
  • 運用益が非課税
  • 障害給付・死亡保険がある
  • スイッチング(投資先の変更)が可能
  • 破産時に差し押さえがない

主なデメリット

  • 60歳まで引き出せない
  • 原則として掛金の停止はできない
  • 維持コストがかかる
  • 受け取り時に課税対象になる

維持コストの内訳は以下のとおりです。

タイミング費用
加入時3,000円弱
運用中(毎月)170円(年間約2,000円)
受取時(1回あたり)440円

NISAと比べてコストがかかるのは事実ですが、節税効果を含めると十分に元が取れるケースが多いです。

📝 このセクションのまとめ

  • iDeCoは老後資金を積み立てる「個人型確定拠出年金」
  • NISAとの最大の違いは「掛金時の所得控除」による節税効果
  • 維持コストはかかるが、節税効果でカバーできることが多い

【2025年大改正】iDeCo掛金上限が過去最大の引き上げへ

現行制度では、iDeCoの掛金上限はカテゴリーによって異なります。そしてこれが大幅に引き上げられる方針が示されています。

対象者現行の上限(月額)改正後の上限(月額)
企業年金制度がない会社員2万3,000円6万2,000円
個人事業主・フリーランス6万8,000円(さらに引き上げ)
企業型DC加入者(1人社長含む)5万5,000円(引き上げ予定)

📌 ポイント

特に注目なのが企業年金制度がない会社員の上限です。月2万3,000円から6万2,000円へと、約3倍近くの大幅増額となります。まだ最終確定ではありませんが、国の方針として示されており、新NISAの登場以来の超朗報といえます。

📝 このセクションのまとめ

  • 会社員の掛金上限が月2.3万円→6.2万円へ約3倍に引き上げ予定
  • 最終確定ではないが、国の方針として示されている
  • 久しぶりの大型減税項目として注目されている

節税効果シミュレーション:改正前後でどれだけ変わる?

iDeCoの節税の仕組みを確認しましょう。会社員の所得税計算は次のような流れです。

  1. 給与(額面収入)から給与所得控除(最低55万円、最高195万円)を引く
  2. さらに所得控除(配偶者控除・医療費控除・iDeCoの掛金など)を引く
  3. 残った課税所得に税率をかけて所得税を算出する

iDeCoの掛金はこの所得控除に算入されます。税率が高ければ高いほど節税効果は大きくなります。所得税・住民税を合わせた最低税率は約15%、最高税率は55%(超過累進税率)です。

現行制度(会社員・月額2万3,000円マックス)での年間節税額は次のとおりです。

税率の目安年収の目安現行(月2.3万円)改正後(月6.2万円)
最低税率(約15%)〜年収500万円前後4万円11万円以上
中間税率年収500万〜1,000万円10〜15万円20〜25万円
高税率(43%前後)年収1,000万円超11万8,000円30万円超

掛金が約3倍になることで、節税効果もほぼ3倍になります。なお、上記の数値は復興特別所得税を含んでいないため、実際の節税効果はさらに大きくなります。

⚠️ 注意

iDeCoはあくまでも資産運用の要素が強い制度です。投資先の選択を誤り、運用が赤字になってしまうと、いくら節税効果が大きくてもトータルでマイナスになりかねません。国が勧めているから、メディアで話題だからという理由だけで始めるのではなく、まずしっかり勉強して理論武装してから始めることをおすすめします。

実際の運用例として、米国株式インデックスファンド(いわゆる「オルカン」の米国版)に約2年間投資した結果、拠出額32万2,000円46万円以上に増え、増加率は約45.4%(約1.5倍)になっています。これに節税効果を加えると、実質的な利回りは50%を超える水準になります。ただし、これはたまたまアメリカ株が好調だった時期の結果であり、誰もが同じ結果になるわけではありません。投資先の分散など、安全運用を心がけてください。

📝 このセクションのまとめ

  • iDeCoの掛金は「所得控除」として税率をかける前に差し引かれる
  • 改正後は節税効果が最大で年30万円超になるケースも
  • 節税効果だけでなく、運用成績も含めてトータルで判断することが重要

iDeCo受け取り時の税制優遇と「出口課税の罠」

iDeCoには3つの場面で税制優遇があります。

場面税制優遇の内容
拠出時(積み立て中)掛金が全額所得控除→所得税・住民税を節税
運用時運用益が非課税(通常は利確時に約20%課税)
受取時一時金は退職所得、年金形式は雑所得(公的年金等)として優遇課税

受け取り時も退職所得・年金の雑所得として優遇されているので、他の年金制度より有利に老後資金を確保できると言われています。しかし、税制優遇が受けられないケースもあるため、注意が必要です。

iDeCoを一括受け取りすると「退職所得」になります。退職所得の計算式は次のとおりです。

📌 退職所得の計算式

(退職金・iDeCo受取額 ー 退職所得控除)× 1/2 = 課税対象額

退職所得控除の計算:

  • 勤続年数20年以下の部分:1年につき40万円
  • 勤続年数20年超の部分:1年につき70万円

さらに退職所得は分離課税(給与など他の所得と合算せず単独で計算)のため、税負担が非常に軽くなっています。

例えば、40年勤務の会社員が65歳で退職して退職金2,000万円をもらった場合の税額を見てみましょう。

項目金額
退職金2,000万円
退職所得控除(40万×20年+70万×20年)2,200万円
課税対象額0円(控除が上回るため)
税額0円

40年勤務の方であれば退職金2,000万円でも税額ゼロになります。非常に優遇されている制度です。

退職金+iDeCo同時受け取りで退職所得控除が削られる罠

問題は退職金とiDeCoを同じタイミングで受け取る場合です。

先ほどの例に、iDeCoの給付金500万円が加わった場合を見てみましょう。

項目金額
退職金+iDeCo給付金2,000万円+500万円=2,500万円
退職所得控除(同上)2,200万円
超過額300万円
課税対象額(×1/2)150万円
税額合計23万円

それでも給与所得と合算する場合よりはるかに税負担は軽いですが、退職金だけなら税額ゼロだったものが、iDeCoを同時受け取りすることで約23万円の税負担が生じてしまいます。

⚠️ 注意:「別の年に受け取れば節税できる」はNG

「退職金とiDeCoを別々の年に受け取れば、それぞれ退職所得控除をフルに使えるのでは?」と考える方もいますが、これはできません。

税制上、勤務期間とiDeCo加入期間が重複する部分があれば、その期間を除外して退職所得控除を計算するルールがあります。例えば勤続40年のうちiDeCoを20年かけていた場合、別々に受け取っても退職金はフル40年で計算できますが、iDeCoの退職所得控除は0年ベースとなり、まるまる課税されてしまいます。

📝 このセクションのまとめ

  • iDeCoの一括受け取りは「退職所得」として優遇課税される
  • 退職金と同時受け取りすると退職所得控除の枠が合算されて課税が生じることがある
  • 「別の年に受け取る」という方法では退職所得控除が削られるため節税にならない

出口課税の対策:受け取りタイミングをずらして税負担をゼロにする方法

退職所得控除をフルに活用できる方法があります。それは退職金とiDeCoの受け取り時期を十分に離すことです。

パターン受け取り順序必要な間隔現実性
パターン①退職金を先に受け取り → その後iDeCo解約20年以上開ける例:55歳退職→75歳以降にiDeCo解約(長生きが前提)
パターン②iDeCoを先に解約 → その後退職金を受け取り5年以上開ける例:60歳でiDeCo解約→65歳で退職金受け取り(比較的現実的)

どちらのパターンも、退職所得控除が削られることなくフルに活用できます。

具体例で確認しましょう。40年勤務の会社員が65歳で退職金2,000万円を受け取り、その5年前(60歳時点)にiDeCoを解約して500万円を受け取っていた場合の税額です。

受け取り退職所得控除税額
iDeCo給付金(60歳・500万円)35年分の控除(40万×20年+70万×15年)=1,850万円 → 500万円を上回る0円
退職金(65歳・2,000万円)40年分フル(2,200万円)→ 2,000万円を上回る0円

受け取りタイミングを5年以上ずらすだけで、退職金もiDeCoも税負担がゼロになります。

📌 個人事業主の方への注意

個人事業主の方は、iDeCoに加えて小規模企業共済も退職金扱いになります。iDeCoと小規模企業共済を合算した金額で退職所得控除との比較が必要になるため、ご注意ください。

📌 受け取り前に亡くなった場合は?

iDeCoを受け取る前に亡くなってしまった場合でも、ご安心ください。iDeCoの積立金は遺族に支払われます(みなし相続財産)。退職金には相続人1人あたり500万円までの非課税枠がありますので、現金でそのまま相続させるよりも有利になることが多いです。

⚠️ 将来の税制変更リスクに要注意

退職所得控除の縮小は、数年前に税制改正の議題に上がりかけたことがあります(実際には改正されませんでした)。就寝雇用が崩れ転職が当たり前になってきた現代では、退職所得控除の縮小が将来的に実現するリスクもゼロではありません。iDeCoの掛金上限を引き上げておいて、出口で退職所得控除を縮小するという可能性もあり得ます。老後資金の運用や退職に関する税制は今後も変わり続けますので、プラス方向ではなくマイナス方向に変わることを念頭に置いておいてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 退職金を先受け取りの場合は20年以上、iDeCoを先解約の場合は5年以上間隔を開けることで退職所得控除をフル活用できる
  • タイミングを適切にずらすことで退職金・iDeCoともに税額ゼロにできる
  • 個人事業主は小規模企業共済との合算にも注意が必要
  • 将来の税制変更リスクも念頭に置いておくことが重要

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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