iDeCo+(イデコプラス)とは?税理士が解説する中小企業向け上乗せ制度と2024年緩和内容
会社がiDeCoの掛金を上乗せしてくれる「iDeCo+(イデコプラス)」、その仕組みと最新の要件緩和を解説します。
iDeCo(イデコ)のおさらい:年金制度の「3階部分」とは
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことです。NISAと混同されやすいのですが、iDeCoはあくまで年金制度の一種で、将来の年金を補完するものです。
日本の年金制度は1階・2階・3階に分かれています。
| 階層 | 制度名 | 対象者 |
|---|---|---|
| 1階 | 国民年金 | 個人事業主・フリーランス・無職の方など |
| 2階 | 厚生年金 | 会社員・公務員・会社役員など(国民年金も含む) |
| 3階 | iDeCo(個人型年金) | 任意加入者(自ら商品を選んで運用) |
iDeCoはこの3階部分にあたります。自ら投資対象の商品を選び、その運用成績によって将来受け取れる年金額が変わります。
iDeCoとNISAの最大の違いは、iDeCoが投資+節税効果を兼ね備えているのに対し、NISAはいつでも換金可能な点にあります。iDeCoは老後のための資産形成、NISAは柔軟な資産運用、というイメージで覚えておくとよいでしょう。
📌 ポイント
iDeCoの掛金上限は、会社員:月額最大2万3,000円、個人事業主・フリーランス:月額最大6万8,000円です。掛金は全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象となり、所得税・住民税の節税効果があります。
iDeCoの節税効果:税率別シミュレーション
iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となるため、所得(税率)が高いほど節税効果は大きくなります。以下の表で年間の節税額を確認してみましょう。
| 所得税+住民税の合計税率 | 会社員(月額2万3,000円)の年間節税額 | 個人事業主(月額6万8,000円)の年間節税額 |
|---|---|---|
| 15% | 約4万1,400円 | 約12万2,400円 |
| 43% | 約11万8,680円 | 約35万880円 |
最低税率15%の方でも、会社員が月額2万3,000円をかけると年間4万円以上の節税になります。個人事業主で月額6万8,000円をかけると年間12万2,400円もの節税効果です。税率が高い方(43%)であれば、会社員でも年間約11万8,680円、個人事業主では年間約35万880円もの節税が可能です。
📌 ポイント
iDeCoは「ただ投資するだけ」とは訳が違います。運用益が非課税になるうえに、掛金分の節税効果もついてくるため、稼げば稼ぐほど節税メリットが大きくなります。
iDeCoのメリット・デメリットを整理する
iDeCoには多くのメリットがある一方、見落としがちなデメリットもあります。加入前にしっかり確認しておきましょう。
【メリット】
- 掛金が全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になる
- 運用中の利益が非課税
- 障害給付・死亡保険が備わっている
- スイッチング(対象商品の変更)が随時可能
- 破産時に差し押さえの対象にならない(財産が保全される)
【デメリット】
- 60歳まで引き出し不可(原則として途中解約不可)
- 掛金の停止も原則不可
- 維持コストが地味にかかる
- 地雷商品(リスクの高い商品)が混在しており、商品選びに注意が必要
- 解約時(受け取り時)に退職所得や雑所得として課税対象になる場合がある
特に維持コストについては以下の通りです。
| 費用の種類 | 支払先 | 金額 |
|---|---|---|
| 加入時手数料 | 国民年金基金連合会 | 約2,829円(一回のみ) |
| 月額手数料(運用時) | 国民年金基金連合会 | 月105円 |
| 月額手数料(運用時) | 信託銀行 | 月66円程度 |
| 月額手数料(運用時) | 運営管理機関(証券会社等) | 0円〜最大450円(SBI証券・楽天証券は0円) |
| 受け取り時手数料 | 各機関 | その都度440円 |
運用中は最低でも月171円以上のコストがかかります。運営管理機関の手数料については、SBI証券や楽天証券であれば0円となっていますので、口座選びは慎重に行いましょう。
⚠️ 注意
iDeCoは解約時(受け取り時)に完全に非課税というわけではありません。退職金が大きい方や、小規模企業共済の解約金がある自営業の方は、出口で思わぬ課税が発生することがあります。事前に税理士に相談することをおすすめします。
iDeCoが向いている人のまとめです。
- 老後資金など長期目的で貯めたい人
- 少額から貯蓄を始めたい人
- 所得が高く税率が高い人(節税効果が大きくなるため)
📝 このセクションのまとめ
- iDeCoは年金の3階部分にあたる個人型確定拠出年金
- 掛金は全額所得控除、運用益は非課税という税制優遇がある
- 60歳まで引き出し不可・維持コストあり・出口課税に注意
- NISAとの最大の違いは「節税効果」と「引き出し制限」
iDeCo+(イデコプラス)とは何か?企業型DCとの違い
iDeCo+(イデコプラス)の正式名称は「中小事業主掛金納付制度」です。企業型DC(企業型確定拠出年金)とは全く別の制度です。
簡単に言うと、個人がかけているiDeCoに、会社が一部上乗せしてくれる仕組みです。
通常のiDeCoでは、加入者が個人で国民年金基金連合会に掛金を納付します。iDeCo+を導入すると、この支払い方法が変わります。
- 社員が個人で払うiDeCoの掛金を、給与天引きの形で会社が預かる
- 会社が「事業主掛金(会社負担分)」を上乗せする
- 社員の掛金+会社の掛金をまとめて、会社が国民年金基金連合会に納付する
📌 ポイント
iDeCo+は企業型DCとは異なります。企業型DCを導入していなくても使える制度で、会社が社員のiDeCo掛金に上乗せするというシンプルな仕組みです。
📝 このセクションのまとめ
- iDeCo+の正式名称は「中小事業主掛金納付制度」
- 企業型DCとは全く別の制度
- 個人のiDeCo掛金に会社が上乗せし、まとめて納付する仕組み
iDeCo+の加入要件・掛金ルール・手続きの流れ
iDeCo+を導入できる企業・利用できる社員には、一定の要件があります。
【対象企業の要件】
- 企業型DC(企業型確定拠出年金)を実施していないこと
- 確定給付企業年金(厚生年金基金など)を実施していないこと
- 従業員数が300人以下であること(以前は100人以下だったが、約4年前に拡大)
【掛金のルール】
- 加入者掛金(社員負担)と事業主掛金(会社負担)の合計は月額5,000円以上2万3,000円以下
- それぞれ1,000円単位で設定可能
- 月額上限の2万3,000円に「さらに上乗せ」はできない(合計で2万3,000円以内)
- 例:社員が1万円払っていれば、会社が最大1万3,000円上乗せして合計2万3,000円まで可能
⚠️ 注意
iDeCoに加入していない社員に対して、強制的にiDeCoへ加入させることはNGです。また、iDeCoに加入していない社員に対して事業主掛金を拠出することも不可となっています。あくまでもiDeCo加入者のみが対象です。
会社が拠出する事業主掛金については、職種・勤続年数などを条件に拠出対象者を絞ったり、1人当たりの拠出額を変えたりすることも認められています。
【導入までの流れ】
- 制度導入の検討:対象要件を満たしているか確認し、開始時期・拠出対象者・掛金額などを決定する
- 労使の合意取得:労働組合または労働者の過半数を代表する者に対してiDeCo+の導入を提案・協議し、同意を得る
- 届け出書類の作成・提出:必要書類を作成し、所定の機関へ届け出を行う
📌 ポイント
iDeCo+の導入手続きは、企業型DCほど複雑ではありません。ただし、労使の合意取得というステップが必要なため、社内での事前調整は欠かせません。
📝 このセクションのまとめ
- 対象は従業員300人以下で企業型DC・確定給付企業年金を導入していない企業
- 掛金の合計上限は月額2万3,000円(社員分+会社分)
- iDeCoに加入していない社員は対象外
- 導入には労使合意と届け出が必要
iDeCo+のメリット・デメリットを会社側・社員側で整理する
iDeCo+の導入を検討する際は、会社側・社員側それぞれの視点からメリット・デメリットを把握しておくことが大切です。
【会社側のメリット】
- 会社が負担した事業主掛金は全額「福利厚生費」として経費計上可能(法人税の節税になる)
- 企業型DCほど導入の手間がかからない
- 管理手数料は個人負担のため、会社のコスト負担が少ない
- 社員に給与課税が発生しない(iDeCo+を使わずに会社が社員のiDeCo掛金を負担すると「給与扱い」となり、社員の所得税・住民税が増えてしまう)
【社員側のメリット】
- 自己負担の掛金を引き下げても、会社の上乗せ分で合計額を維持できるため、手取りが増える効果がある
- 加入者掛金(自己負担分)は引き続き小規模企業共済等掛金控除として節税可能
⚠️ 注意
会社が負担した事業主掛金について、社員側が「小規模企業共済等掛金控除」を使うことはできません。自分が払っていないものを節税の対象にすることはできないという点に注意してください。
【デメリット】
- iDeCoに加入していない社員は利用できないため、社内で不公平感が生まれる可能性がある
- 企業型DCと比べると、社員側のiDeCo維持コスト(月171円以上)は個人負担のまま
📌 ポイント
iDeCoをすでに活用している社員にとっては、自己負担を減らしながら同じ掛金額を維持できるため、iDeCo+の恩恵は非常に大きいです。一方、iDeCoをやっていない社員にはメリットが生まれないという点が、iDeCo+の最大のデメリットと言えます。
📝 このセクションのまとめ
- 会社側:事業主掛金を全額福利厚生費として経費計上でき、法人税の節税になる
- 社員側:自己負担を減らせる・給与課税が発生しない
- 最大のデメリットはiDeCo未加入者が恩恵を受けられないこと
今後の変更点:確定給付企業年金を導入している企業でも併用可能に
現在、iDeCo+は「企業型DCや確定給付企業年金を導入していない企業」のみが対象です。しかし、この要件が緩和される方向でほぼ決定しています。
具体的には、確定給付企業年金(厚生年金基金など)を実施している企業でも、iDeCo+の併用が可能になる予定です。最終決定ではありませんが、近い将来この方向性が固まる見込みです。
なお、企業型DCを導入している会社については、今回の緩和対象には含まれません。企業型DCはそもそも1人あたりの上限が月額5万5,000円と非常に高いため、iDeCo+との併用ニーズが低いという背景があります。
📌 ポイント
確定給付企業年金(厚生年金基金など)を導入している企業は、今後iDeCo+も併用できるようになります。節税しながら福利厚生を充実させる選択肢として、ぜひ検討の俎上に載せてみてください。
📝 このセクションのまとめ
- 確定給付企業年金を導入している企業でも、iDeCo+との併用が可能になる予定
- 企業型DCを導入している企業は引き続き対象外
- 要件緩和により、iDeCo+を使える企業の幅が広がる
どの制度を選ぶべきか:iDeCo+を選択肢の一つとして検討しよう
社員の資産形成・福利厚生を目的とした制度は、iDeCo+以外にも複数存在します。企業型DC、確定給付企業年金、小規模企業共済など、それぞれにメリット・デメリットがあります。
特に成長を目指す企業にとっては、福利厚生と節税を兼ねた制度の活用が重要な経営戦略の一つです。どの制度を選ぶべきかは、会社の規模・既存の制度・社員構成などによって異なります。
- 企業型DCは掛金上限が高い(月額5万5,000円)が、導入コストや管理の手間がかかる
- iDeCo+は手間・コストが比較的少なく、中小企業でも導入しやすい
- iDeCo未加入の社員が多い場合は、iDeCo+の効果が限定的になる点に注意
自社にとって最適な制度を選ぶためには、税理士などの専門家に相談しながら比較検討することをおすすめします。
📝 このセクションのまとめ
- iDeCo+は中小企業が手軽に導入できる福利厚生兼節税制度
- 企業型DCより手間・コストが少ないが、掛金上限は低い
- どの制度を選ぶかは会社の状況に応じて専門家と相談しながら決めることが重要
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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