所得税の仕組みを税理士が解説!節税に向けて知っておくべき基本と計算体系

所得税の仕組みを税理士が解説!節税に向けて知っておくべき基本と計算体系
e_zeirishi

所得税の仕組みを理解して、節税イベントを最大限に活かそう。

所得税とは何か?一言で理解する

所得税を一言で表すなら、個人の収入(所得)に課せられる税金です。

税金にはさまざまな種類がありますが、それぞれ課税対象が異なります。

税金の種類課税対象
消費税消費(モノやサービスの購入)
法人税会社の利益
所得税個人の収入・所得

そして所得税の仕組みを一言で言うなら、「収入からいろいろ引いて、最後に税率をかける」という計算方法です。給料があったらいきなり税率をかける、ということはなく、収入をスタートとしていろいろ引いて、1年単位で税率をかけて税金を計算していきます。

📌 ポイント

所得税の計算式:収入 → いろいろ引く → 課税所得 → 税率をかける → 所得税額

収入から引き切った後に残る金額を「課税所得」と呼びます。この言葉はぜひ覚えておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 所得税は個人の収入・所得に課される税金
  • 計算の流れは「収入 → 控除 → 課税所得 → 税率」
  • 課税所得=収入から引き切った後に残る金額

会社員・給与所得者の場合の計算の流れ

給料をもらっている会社員・公務員の場合、計算のスタートは税金や社会保険が引かれる前の「額面(総額)」です。

そこから次の2つを引いていきます。

  • 給与所得控除:給与の総額に応じて自動計算されるみなし経費のようなもの
  • 所得控除:配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除など、個人の環境に応じて変わるもの

引き切った後の金額が課税所得となり、そこに税率をかけて所得税が計算されます。

給与所得控除は、給与の総額が決まると自動的に計算されます。たとえば年間の給与総額が300万円の場合、給与所得控除は約100万円になります。300万円に税金がかかるのと、100万円引いた後の200万円に税金がかかるのでは大きな差がありますね。

📌 給与所得控除はなぜあるのか

個人事業主やフリーランスは仕事に関連する支出を「経費」として引けますが、会社員はスーツ代・革靴代・バッグ代などを税金計算に反映させることができません。そのため、会社員のための「みなし経費」として給与所得控除が設けられていると言われています。

所得控除は、自分の環境や家族の状況によって引ける金額が変わります。代表的なものは以下のとおりです。

  • 配偶者控除(配偶者がいる場合)
  • 扶養控除(養う親族がいる場合)
  • 生命保険料控除(生命保険に加入している場合)

📝 このセクションのまとめ

  • 給与所得控除は総額に応じて自動計算(年収300万円なら約100万円)
  • 所得控除は配偶者・扶養・生命保険など個人の状況次第で変わる
  • 2つを引いた後の「課税所得」に税率をかける

年末調整は「節税イベント」である

会社員にとって、所得税を計算する場がまさに年末調整です。

年末調整とは何かというと、会社が従業員の所得税を計算することです。もう一度言います。従業員の所得税なのに、計算するのは会社なのです。

ここに重要なポイントがあります。所得控除の金額は個人の環境(家族構成・加入保険など)によって変わりますが、その情報を知っているのは従業員本人だけです。一方で計算するのは会社です。

⚠️ 注意

自分の状況を会社に正しく伝えなければ、適正な税金計算=節税ができません。扶養控除等申告書にA4横書きの書類が届いたとき、名前と印鑑だけ書いて出して終わり、にしていませんか?それでは節税の機会を逃してしまいます。

📌 格言として覚えておこう

年末調整は節税イベントである

会社が自分の所得税を計算してくれる場だからこそ、自分の状況(配偶者・扶養・保険など)を漏れなく伝えることが節税につながります。

📝 このセクションのまとめ

  • 年末調整=会社が従業員の所得税を計算するイベント
  • 個人の状況を正しく伝えないと節税できない
  • 年末調整は「めんどくさい手続き」ではなく「節税イベント」と捉える

個人事業主・フリーランスの場合の計算の流れ

個人事業主・フリーランスの場合も基本的な計算の流れは同じです。売上という収入をスタートとして、以下のものを引いていきます。

  • 経費:事業を進めるために必要な支出
  • 青色申告特別控除:最大65万円の控除
  • 所得控除:配偶者控除・扶養控除など(会社員と同様)

経費とは、自分が事業をやっていく・仕事をしていく上で必要な出費のことです。直接的に関係するものだけでなく、間接的に関係するものも含めて、すべて引くことができます。

📌 「これは経費になりますか?」という質問への答え

よく「これは経費になりますか?」という質問がありますが、それは本質的ではありません。自分の仕事に関係があるかどうかが全てです。後ろめたい気持ちや後ろ暗い気持ちなく「これは絶対に仕事に関係ある」と言えるのであれば、一般的に経費とされていないものでも経費として計上してかまいません。あなたの仕事に一番詳しいのはあなた自身です。自信を持って経費に入れていきましょう。

青色申告特別控除については、確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。白色申告にメリットは基本的にありません。青色申告を選ぶことで、厳格な申告をする代わりに控除(引き算できる金額)を増やしてもらえます。その最大の恩恵が最大65万円の控除です。65万円を引けるというのは非常に大きな金額です。

📌 格言として覚えておこう

確定申告は節税イベントである

確定申告はフリーランス・個人事業主が年明けに重たい気持ちで向かうものの代表例ですが、経費をどう計上するか、青色申告を活用するか、所得控除を漏れなく使うか——これらをしっかり考えることで、合法的に税金を減らすことができます。税金を減らすイベントだと思えば、少しテンションが上がりますよね。

📝 このセクションのまとめ

  • 個人事業主は「売上 − 経費 − 青色申告特別控除 − 所得控除 = 課税所得」
  • 経費の判断基準は「自分の仕事に関係があるか」
  • 青色申告を選ぶと最大65万円の特別控除が使える
  • 確定申告は節税イベントと捉えて積極的に活用する

収入・売上・給料・所得の違いをざっくり理解する

自分の懐に入ってくるお金を表すキーワードはいくつかあります。明確に使い分けを完璧にする必要はありませんが、ざっくりとした理解は持っておきましょう。

用語意味・使われ方
売上個人事業主の収入のこと
給料会社員・公務員など雇用契約がある人が組織からもらうお金
所得税金の法律用語。「所得」という言葉が出てきたら税金計算の話をしていると理解する
収入上記すべてを網羅する総称。自分の懐に入ってくるお金全般

特に注意が必要なのが「所得」という言葉です。日常会話では「収入」とほぼ同じ意味で使われることもありますが、税金の文脈では法律用語として使われます。「所得」という言葉が出てきたら「税金計算の話をしているんだな」と理解できれば十分です。

さらに、所得税の法律では所得は10種類の区分に分けられています。代表的なものは以下のとおりです。

日常の呼び方税法上の所得区分
会社からもらう給料給与所得
個人事業主の売上事業所得
不動産を貸した家賃収入不動産所得
株を売って得た利益譲渡所得

📌 複数の所得がある場合(副業など)

所得税の計算では、これらの所得は基本的にすべて合算して最終的に税率をかけて税金を計算します。たとえば会社員で副業もしている場合、給与所得と事業所得の2つを合算して課税所得を計算します。合算しなくていい例外・特例もありますが、まずは「基本的には合算する」と覚えておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 「所得」は税金の法律用語と理解しておけばOK
  • 所得税法上、所得は10種類の区分に分けられる
  • 複数の所得がある場合は基本的に合算して計算する

副業がある場合の合算計算イメージ

会社員で副業もしている場合の計算の流れを整理すると、次のようになります。

  1. 左側(給与):給料(額面)から給与所得控除を引く
  2. 右側(副業):売上から経費・青色申告特別控除を引く
  3. 左側と右側を合算する
  4. 合算した金額から所得控除(配偶者控除・扶養控除など)を引く
  5. 残った金額=課税所得に税率をかけて所得税を計算する

所得の種類がいくつに増えようとも、基本的にはこの計算方法です。所得税の体系を理解しておけば、節税に向けて何をすべきかが自然と見えてきます。

📝 このセクションのまとめ

  • 給与所得と事業所得はそれぞれ控除を引いた後に合算する
  • 合算後にさらに所得控除を引いて課税所得を出す
  • 所得の種類が増えても基本の計算体系は変わらない

税率(累進課税)の正しい理解と「よくある勘違い」

所得税の税率は累進課税という仕組みになっています。「収入が上がれば税率も上がる」というのは正しいのですが、もう少し細かい部分があります。

また、所得税は1年単位で計算します。税率も1年単位で決まります。

日本の所得税の税率は以下のとおりです(課税所得に基づいて判定)。

課税所得の金額税率
195万円以下5%
195万円超〜330万円以下10%
330万円超〜695万円以下20%
695万円超〜900万円以下23%
900万円超〜1,800万円以下33%
1,800万円超〜4,000万円以下40%
4,000万円超45%

ここでよくある勘違いがあります。たとえば課税所得が300万円になった場合、「300万円に10%をかけて30万円が所得税」と思っていませんか?これは間違いです。

⚠️ よくある勘違い

❌ 課税所得300万円 × 税率10% = 30万円(所得税)←これは間違い

✅ 正しくは「195万円までの部分は5%、195万円を超えた部分だけ10%」という計算になります。

課税所得300万円の正しい計算イメージは次のとおりです。

対象金額税率計算
195万円まで5%195万円 × 5% = 97,500円
195万円を超えた部分(300万円 − 195万円 = 105万円)10%105万円 × 10% = 105,000円
合計202,500円

なぜこのような仕組みになっているかというと、195万円の人と196万円の人を比べたとき、196万円の人が「全額に10%かかる」となると、稼いだ金額が多いにもかかわらず手取りが減ってしまうという不具合が生じるからです。そのような不具合が起きないように、超えた部分だけ税率が上がるという仕組みになっています。

📌 累進課税の正しい理解

日本の累進課税は「課税所得の全額に高い税率がかかる」のではなく、「その段階を超えた部分だけ税率が上がる」という仕組みです。1円多く稼いでも、手残りは必ずちゃんと増えます。

📝 このセクションのまとめ

  • 所得税の税率は5%〜45%の7段階(累進課税)
  • 課税所得が上がっても「全額に高い税率」がかかるわけではない
  • 各段階を超えた部分だけ税率が上がる仕組み
  • 所得税は1年単位で計算・税率も1年単位で決まる

今日のまとめ:節税に向けて知っておくべきこと

今日学んだ所得税の全体像を改めて整理します。

  • 所得税は個人に課される税金で、収入から引いて残った課税所得に税率をかけて計算する
  • 税率は累進課税で、超えた部分だけ税率が上がる仕組み
  • 節税イベントは2つ:年末調整(会社員)確定申告(個人事業主・フリーランス)

📌 節税に向けてやるべきこと

まずは所得税の計算体系を理解した上で、次の2つの節税イベントに臨みましょう。

  • 年末調整:自分の家族状況・保険加入状況などを正確に会社に伝える
  • 確定申告:経費・青色申告特別控除・所得控除を漏れなく活用して税金を合法的に減らす

合法的に、法律の範囲内で税金を極限まで下げることが節税の目的です。

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 大河内薫のマネリテ学園 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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