所得税の仕組みを税理士が解説!計算体系を理解して節税に備えよう
所得税の計算の仕組みを理解すれば、節税の方法が自然と見えてくる。
そもそも所得税とは何か?
所得税というものがどうやって計算されているかが分かれば、どうすればその税金が安くなるか、すなわち節税ができるかが見えてきます。
所得税を一言で表すなら、個人の収入に対する税金です。収入がなければ当然税金は払わなくていいし、個人ではない収入、たとえば会社の売上であれば所得税は発生しません。私たちが給料や売上という収入をもらっているから所得税が発生するわけです。
📌 ポイント
所得税とは「個人の収入に対する税金」。収入がなければ課税されないし、会社の売上には所得税ではなく法人税が課される。
そして、所得税は学校でも習わず、社会に出ても誰も教えてくれないのが現状です。本来であれば給与明細を初めて受け取るときに誰かが説明すべきなのですが、日本ではそういった機会はほとんどありません。だからこそ、少し知るだけで日本でも有数の知識を持てるようになります。
📝 このセクションのまとめ
- 所得税=個人の収入に対する税金
- 会社の売上には所得税ではなく法人税が課される
- 学校でも職場でも教わらないが、知るだけで大きな差がつく
所得税の計算体系:「収入から引いて税率をかける」だけ
所得税の計算の仕組みは、2言で表せます。「収入から色々引いて、税率をかける」。これだけです。
もちろん、そこには様々な規定や複雑な計算、「引くものって何があるの?」という疑問が生まれますが、まずはこの大枠を押さえることが重要です。
📌 所得税の計算式(基本)
収入 - 各種控除 = 課税所得
課税所得 × 税率 = 所得税額
ここで重要な視点があります。収入から「色々引くもの」を増やせば、最後に残る金額(課税所得)は小さくなります。課税所得が小さくなれば、当然かかる税金も少なくなる。これこそが節税の本質です。
📝 このセクションのまとめ
- 所得税の計算=収入から引いて残った「課税所得」に税率をかける
- 「引くもの(控除)」を増やすことが節税につながる
- この視点を持つだけで、節税の議論がぐっとわかりやすくなる
会社員・公務員の所得税計算と節税イベント「年末調整」
会社員・公務員の場合、収入は「給料」です。この給料から2種類のものを引いて課税所得を計算します。
| 引くもの | 内容 | 自分でコントロールできるか |
|---|---|---|
| 給与所得控除 | 給料の金額に応じて自動的に決まる控除 | できない(自動計算) |
| 所得控除 | 自分や家族の環境・収入・状況に応じて使えるもの | できる(節税の主役) |
給与所得控除は、給料の金額が決まれば自動的に金額が決まるものです。たとえば給与が300万円であれば、給与所得控除がいくらになるかは法律で定められています。自分でコントロールできないため、節税との関係はありません。「そういうものがある」という認識で十分です。
一方で所得控除は現在15種類あり、自分の環境・家族の環境・収入・体調などに応じて使えるものが変わります。すべてを覚える必要はなく、「自分の環境が変わったとき・収入が変わったとき・体調が変わったときに、使えるものがないか確認するもの」として覚えておきましょう。
📌 所得控除の例(環境が変わったら確認しよう)
- 配偶者ができた → 配偶者控除・配偶者特別控除
- 生命保険に加入した → 生命保険料控除
- 障害を持つことになった → 障害者控除
- 扶養家族が増えた → 扶養控除
会社員・公務員にとっての節税イベントは年末調整です。年末調整とは何かと聞かれれば、一言で「節税イベント」です。具体的には、自分の税金計算に関する情報をすべて会社に提出することです。
会社が把握しているのは給料・社会保険・所得税・住民税程度です。配偶者がいるか、配偶者の所得はいくらか、保険に加入しているか、障害があるか――こういった情報は従業員が提供しないと会社には分かりません。情報を提供しなければ、所得税は適正に(安く)計算されないのです。
⚠️ 注意
扶養控除等申告書(A4横書きの紙)に名前を書いてハンコを押して提出するだけ、という方は節税イベントを見逃している可能性が高いです。記載内容をきちんと確認し、使える控除を漏れなく申告しましょう。
10月頃に会社からあれこれ書類の提出を求められますが、それは自分の税金を安くするために必要な情報提供の機会です。「自分の税金を安くするために、情報をすべて提供しなければならない」という気持ちで臨むことが大切です。
📝 このセクションのまとめ
- 会社員の計算:給料 − 給与所得控除 − 所得控除 = 課税所得
- 給与所得控除は自動計算で変更不可。所得控除が節税の主役
- 年末調整=節税イベント。自分の情報をすべて会社に提出することが目的
- 書類を流れ作業で提出するだけでは節税機会を逃す可能性がある
フリーランス・個人事業主の所得税計算と節税イベント「確定申告」
フリーランス・個人事業主の場合、収入は「売上」です。基本的な計算体系は会社員と変わりません。「収入から色々引いて、残った金額に税率をかける」という構造は同じです。
ただし、引くものの内容が変わります。
| 引くもの | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 経費 | 仕事に関係する支出 | 売上を上げるために必要な費用 |
| 青色申告特別控除 | 青色申告で申告すると付与される控除 | 最大65万円(条件による) |
| 所得控除 | 会社員と同じ15種類 | 自分や家族の環境に応じて使える |
給与所得控除がなくなる代わりに、経費と青色申告特別控除という引き項目が増えます。給与所得控除がなくなるのは当然で、給料をもらっていないからです。
経費とは、とにかく仕事に関係する支出のことです。「この売上を上げるためにこの費用が絶対に必要で、実際に支払った」というものが経費として認められます。
⚠️ 注意
領収書・レシートをなくしてしまったり、支出の記録が分からなくなってしまうと、本来引けるはずの経費が処理できず、その分だけ税金が増えてしまいます。正確に・抜け目なく経費を処理することが節税の第一歩です。
青色申告特別控除はもっとシンプルです。確定申告の際に「青色申告」という申告形態で提出すれば、自動的に控除が付与されます。だからこそ青色申告をした方が税金上のメリットがある、と覚えておきましょう。
フリーランス・個人事業主にとっての節税イベントは確定申告です。確定申告とは、所得税を自分で計算して税務署に提出することです。法律の範囲内でしっかりと所得税を安くするために、経費を漏れなく計上したり、使える控除を活用したりすることができます。
📝 このセクションのまとめ
- フリーランスの計算:売上 − 経費 − 青色申告特別控除 − 所得控除 = 課税所得
- 経費は「仕事に関係する支出」。領収書・レシートの管理が節税の基本
- 青色申告で申告すれば特別控除が自動付与される
- 確定申告=節税イベント。自分で計算・申告する機会を最大限活用しよう
「収入」「所得」「給料」「売上」の言葉を整理しよう
所得税を理解するうえで、似たような言葉の意味を整理しておくと今後の理解が深まります。
| 言葉 | 意味・使われ方 |
|---|---|
| 給料 | 会社員・公務員がもらう収入 |
| 売上 | フリーランス・個人事業主がもらう収入 |
| 収入 | 給料・売上など入ってくるお金の総称 |
| 所得 | 収入の「種類」を表す分類。所得税は収入を10種類の所得に分けて計算する |
「所得」という言葉は少し特殊で、収入の種類をイメージすると理解しやすいです。所得税では収入を10種類の所得に分類しており、その分類によって税金の計算方法が少し変わります。
- 給料 → 給与所得
- 事業の売上 → 事業所得(または雑所得)
- 不動産の家賃収入 → 不動産所得
- 預金の利息 → 利子所得
- 株の配当 → 配当所得
- 不動産・株などの売却益 → 譲渡所得
📌 ポイント
「所得の種類が違うと計算方法が変わる場合がある」という認識で十分です。重要なのはどの所得であっても「収入があって色々引いて残った金額に税率をかける」という基本構造は変わらないという点です。
📝 このセクションのまとめ
- 給料・売上などを総称して「収入」と呼ぶ
- 所得税は収入を10種類の「所得」に分類して計算する
- 分類によって計算方法が変わることもあるが、基本構造は同じ
累進課税の大きな誤解:「全額に高い税率がかかる」はウソ
所得税は累進課税を採用しています。収入が上がれば上がるほど税率が上がる仕組みで、日本では昔からこの方式が採用されています。
現在は以下の7段階の税率が設定されています。
| 課税所得金額 | 税率 |
|---|---|
| 195万円以下 | 5% |
| 195万円超 330万円以下 | 10% |
| 330万円超 695万円以下 | 20% |
| 695万円超 900万円以下 | 23% |
| 900万円超 1,800万円以下 | 33% |
| 1,800万円超 4,000万円以下 | 40% |
| 4,000万円超 | 45% |
ここで非常に多い誤解があります。たとえば課税所得が300万円の人の場合、税率の表を見ると10%の欄に入りますが、300万円すべてに10%がかかるわけではありません。
📌 累進課税の正しい計算イメージ(課税所得300万円の場合)
- 195万円まで → 5%
- 195万円を超えた部分(105万円) → 10%
つまり、超えた部分だけに高い税率がかかります。300万円全部に10%がかかるわけではありません。
同様に、課税所得が4,500万円の人でも、4,000万円を超えた部分(500万円)にだけ45%がかかります。4,500万円すべてに45%をかけるわけではないのです。
⚠️ 注意
「収入が増えると税率が上がって、全部の収入に高い税率がかかる」という誤解は非常に多いです。実際には超えた部分だけ税率が上がる仕組みなので、収入が増えることで損をするわけではありません。
📝 このセクションのまとめ
- 所得税は7段階の累進課税。収入が高いほど税率が上がる
- 高い税率は「超えた部分だけ」にかかる。全額に高い税率がかかるわけではない
- この誤解は非常に多いので、正しく理解しておこう
まとめ:所得税の「コレだけ」を押さえれば節税が見えてくる
今回お伝えした内容を整理します。最も重要なのは、所得税の計算体系です。
📌 今日の最重要ポイント
- 所得税=個人の収入に対する税金
- 計算式は「収入 − 各種控除 = 課税所得」→「課税所得 × 税率 = 所得税」
- 「引くもの(控除)」を増やすことが節税の本質
- 会社員の節税イベントは「年末調整」、フリーランスは「確定申告」
- 累進課税は「超えた部分だけ」に高い税率がかかる仕組み
この計算体系を理解したうえで、次のステップとして各控除の詳細や具体的な節税手法を学んでいくと、より実践的な節税につなげることができます。
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 大河内薫のマネリテ学園 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは 大河内薫のマネリテ学園を応援しています!
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