創立費と開業費の違いを税理士が解説|会計処理・経費の範囲・期間の目安まで
会社設立時に必ず悩む「創立費」と「開業費」の違いと正しい処理方法を解説します。
創立費・開業費とは?よくある質問
創立費と開業費については、現場でもよく質問をいただきます。具体的には次のような疑問が多く寄せられます。
- 何が創立費で、何が開業費なのか
- 2つの違いは何か
- 創立費や開業費はいつからの経費が対象になるか
- どういった会計処理をするのか
これらの疑問に順を追って答えていきます。
📝 このセクションのまとめ
- 創立費・開業費は会社設立・開業の現場でよく混乱が生じるテーマ
- 区分・対象期間・会計処理の3点を押さえることが重要
創立費と開業費の区分
まず、2つの費用の基本的な定義を整理します。
| 種類 | 定義 | イメージ |
|---|---|---|
| 創立費 | 会社設立までにかかった費用 | 会社設立の時に1回だけかかるイニシャルコスト |
| 開業費 | 営業を開始するまでの期間に支出した特別な費用 | 事業開始の時に1度だけかかるイニシャルコスト |
📝 このセクションのまとめ
- 創立費=会社設立までのコスト(設立登記完了まで)
- 開業費=設立後〜営業開始までのコスト
- どちらも「一度だけかかるイニシャルコスト」という共通点がある
創立費・開業費の代表的な費用項目
それぞれの費用に含まれる代表的な項目を確認しましょう。
創立費の代表例
- 定款作成にかかる収入印紙代や公証人手数料
- 司法書士などへの報酬
- 法務局で支払う登録免許税
- 会社の実印・銀行印の作成費用
- 会社設立のためのミーティングの場所代や交通費
開業費の代表例
- スタッフの研修費用
- 関係先などへの挨拶にかかった費用
- ポスターやホームページ作成などにかかった費用
- 市場調査費用
- 印鑑・名刺・文房具などの消耗品費
📝 このセクションのまとめ
- 創立費は登記・定款・司法書士報酬など「設立手続き」にかかる費用
- 開業費は研修・広告・名刺など「営業開始準備」にかかる費用
創立費・開業費に関する2つの注意点
実務上、特によく質問を受ける注意点が2つあります。
⚠️ 注意① 高額資産は固定資産として計上が必要
青色申告の会社であれば、30万円未満の資産を購入した場合は一括で費用として処理できます。しかし、30万円を超える資産は減価償却の対象になります。これは創立費や開業費に含まれる費用でも同じです。
例えば、店舗の開業準備のために内装費用がかかった場合、これは開業費ではなく、「建物」や「建物付属設備」として固定資産に計上しなければなりません。
⚠️ 注意② 設立前の支払いは社長が立替払いでOK
創立費を支払う時点では、まだ会社が存在しないため銀行口座がありません。開業費を支払う時点でも、会社の銀行口座がないことがあります。
このような場合は、社長個人の資金で支払い、社長が立て替えたと考えて会社の経費として処理して差し支えありません。後で会社の銀行口座から社長に立替金を支払うことになります。
この時の領収書・請求書については、会社名が確定しているのであれば会社名でもらうことがベターですが、個人名義でも税務署にNGと言われた経験はありません。名義よりも内容重視という考え方です。
📝 このセクションのまとめ
- 30万円以上の資産は開業費・創立費ではなく固定資産に計上する
- 設立前の支払いは社長の立替として会社経費に算入できる
- 領収書の名義は個人名義でも実務上は問題ない(内容重視)
創立費・開業費はいつからの費用が対象になるか
開業費は一般的に、会社設立後から事業開始までにかかった開業のための費用が対象です。しかし、例えば「仕事用のパソコンがセールで安くなっていたので、設立前に先に購入しておいた」というケースもあるでしょう。
📌 ポイント いつから入れてよいかは税法に明記なし
実はいつから経費に入れてよいかは、税法上明記されていません。税務署の調査官でも見解が分かれるグレーゾーンです。
実務上の税務調査の経験からお伝えすると、設立前3ヶ月以内であれば「準備期間」として認められていました。一方、設立前6ヶ月になると「時間が長すぎるのではないか」「本当に準備のための費用なのか」という疑義が生じた経験があります。
| 設立前の期間 | 税務調査での扱い |
|---|---|
| 3ヶ月以内 | 準備期間として認められやすい(目安) |
| 6ヶ月前後 | 疑義が生じるケースあり。明確な準備目的の説明が必要 |
| 6ヶ月超 | 明らかに準備目的と証明できるものでなければ厳しい |
設立から3ヶ月以上前の費用については、「明らかに準備のための費用であり、他に用途があるわけがない」という明確な根拠がないと認められにくいとお考えください。
📝 このセクションのまとめ
- 開業費として計上できる期間の起算点は税法に明記なし
- 実務上の目安は設立前3ヶ月以内
- 6ヶ月以上前になると税務調査で疑義が生じるリスクがある
創立費・開業費の会計処理(繰延資産と任意償却)
創立費と開業費は、会計上「繰延資産」という扱いになります。
📌 繰延資産とは?
定義を細かく覚える必要はありませんが、簡単に言うと「支払った効果がその後数年間続くようなもの」です。例えば、会社設立の費用はその後何年も会社が続く限りずっと効果が継続しています。このような費用を繰延資産と言います。
この繰延資産は、税務上「任意償却」という処理を行うことで経費にできます。任意償却とは、文字通り任意のタイミングで費用化できる方法です。
| 費用化の方法 | 内容 |
|---|---|
| 1年目で全額費用化 | 設立初年度に全額を経費として計上できる |
| 複数年で均等に費用化 | 例:3年間で均等に費用化するなど |
| 任意のタイミングで費用化 | 利益が出た年に集中して費用化することも可能 |
⚠️ 長期間残し続けることは避けたほうがよい
任意償却はかなり自由度が高い処理ですが、実際には3年以内くらいに費用化することが望ましいです。設立から5年以上経ってもまだ創立費や開業費が貸借対照表に残っているのは、銀行などから見ると違和感があり、印象が良くありません。
📝 このセクションのまとめ
- 創立費・開業費は会計上「繰延資産」として処理する
- 税務上は「任意償却」が認められており、1年目に全額費用化することも可能
- 実務上は3年以内に費用化するのが望ましい
- 5年以上残し続けると銀行からの印象が悪くなるリスクがある
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル ベンチャーサポートグループチャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは ベンチャーサポートグループチャンネルを応援しています!
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