相続・贈与

相続税の障害者控除を徹底解説|最大1,700万円の税額控除を賢く活用する方法

相続税の障害者控除を徹底解説|最大1,700万円の税額控除を賢く活用する方法
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相続税の障害者控除は最大1,700万円が税額から直接控除される、節税効果の高い特例措置です。

所得税や住民税に障害者控除があることを知っている方は多いと思いますが、相続税にも同様の障害者控除が存在します。相続税においても、障害を持っている方が相続税のかかる財産を相続した場合に、税額の控除を受けることができます。

障害者に該当する方は日本の全人口の約7.4%にあたり、決して少なくない割合です。さらに高齢になればなるほど障害をお持ちの方は増えていく傾向にあります。相続人に1人でも障害をお持ちの方がいる場合、今回解説する障害者控除は非常に節税効果が高くなります。

📌 ポイント

障害者控除の控除額は「税額控除」です。算出した相続税額から直接控除できるため、評価額からの控除である小規模宅地等の特例などと比べて非常に節税効果が高くなります。また、控除枠を使いきれなかった場合、障害者ではない他の相続人の相続税も軽減できる場合があります。

相続税の障害者控除とは

相続税の障害者控除とは、障害がある相続人が遺産を相続した場合に相続税が軽減される特例措置です。

⚠️ 注意

被相続人(亡くなった方)が障害者であっても、相続人が障害者でない場合には控除を適用できません。あくまで「財産を相続する相続人」が障害者であることが要件です。ここはよく間違われるポイントですのでご注意ください。

相続税の障害者控除は最大で1,700万円が税額から控除されます。「あまり大した金額ではない」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは税額控除です。算出した相続税額から直接控除することができます。小規模宅地等の特例のように評価額からの控除ではありません。

📌 税額控除の節税効果イメージ

例えば相続人が子供1人で障害者控除が1,700万円ある場合、1億1,600万円を評価額から控除するのと同等の節税効果があります。

また、障害者である相続人の税額から控除して控除額が余った場合には、障害を持っている方の親・兄弟などの他の相続人(扶養義務者)の税額を控除することもできます。

📝 このセクションのまとめ

  • 相続税の障害者控除は、障害を持つ相続人が財産を相続した場合に税額が軽減される特例
  • 被相続人が障害者であっても、相続人が障害者でなければ適用不可
  • 最大1,700万円が相続税額から直接差し引かれる「税額控除」
  • 控除額が余った場合は扶養義務者である他の相続人の税額にも適用可能

障害者控除の適用要件5つ

障害者控除を受けるための適用要件は以下の5つです。

  1. 法定相続人であること
  2. 財産を取得した時点で日本国内に住所があること
  3. 相続または遺贈によって財産を取得すること
  4. 財産を取得する相続人が税法上の障害者であること
  5. 85歳未満であること

1つずつ詳しく見ていきましょう。

① 法定相続人であること
障害者控除の適用は法定相続人のみと定められています。遺言等により法定相続人ではない障害者に遺贈することになったとしても、障害者控除の適用にはなりません。

② 財産を取得した時点で日本国内に住所があること
相続や遺贈により財産を取得した時点で日本国内に住所がある人が対象となります。海外に住所がある相続人は適用対象外です。ただし、日本国籍を有している被相続人もしくは相続人のいずれかが相続開始前5年以内に日本国内に住所を有していたことがある場合は適用対象となります。

③ 相続または遺贈によって財産を取得すること
相続財産を取得しなかった人には相続税は発生せず、例え障害者であっても障害者控除を使うことはできません。

⚠️ 注意

障害者である相続人が財産を少しでも取得していないと、扶養義務者と控除額を分け合う場合においても障害者控除が適用できなくなってしまいます。そのため、障害者である相続人は何らかの相続財産を取得することをお勧めします。なお、障害者である相続人に相続税額が発生しなくても問題はありません。

④ 財産を取得する相続人が税法上の障害者であること
税法で定めるところの障害者であることが必要です。税法上の要件に該当しなければ、障害者控除の対象とはなりません。

⑤ 85歳未満であること
相続開始時点で85歳未満であることが要件です。

📝 このセクションのまとめ

  • 法定相続人・国内住所・財産取得・税法上の障害者・85歳未満の5要件すべてを満たす必要がある
  • 海外在住者は原則対象外(一定条件を満たせば適用可)
  • 障害者である相続人が財産をまったく取得しない場合、扶養義務者への控除振り分けも不可になる

一般障害者と特別障害者の違い・判定基準

相続税の障害者控除は一般障害者特別障害者の2種類に分かれており、それぞれで控除額が異なります。特別障害者の方が重度の障害となり、控除額も大きくなります。

障害の種類一般障害者特別障害者
身体障害者手帳3〜6級1・2級
精神障害者保健福祉手帳2・3級1級
療育手帳(愛の手帳等)3〜4度・B・C1〜2度・A
戦傷病者手帳第4〜第6項該当者第1〜第3項該当者
原爆症認定者該当
常に就床を要し介護が必要な方(6ヶ月以上)該当

📌 療育手帳の名称について

療育手帳は交付する自治体によって「愛子手帳」「愛の手帳」「緑の手帳」など名称が異なる場合があります。名称が違っても療育手帳として扱われます。

⚠️ 注意:6ヶ月以上就床が必要な方の場合

介護保険において要介護認定を受けている場合でも、税制において障害者控除を受けるには別途「障害者控除対象者認定書」の提出が必要になります。障害者控除対象者認定書は市区町村長などから交付されます。住所のある区市町村の役所にお問い合わせください。

所得税や住民税などで障害者控除を受けている方は、相続税でも同じ障害者要件を満たしていることになります。

障害者であると判断するタイミングは、相続開始時、つまり被相続人が亡くなった時に障害者であったということが条件となります。基本的には障害者手帳を持っていれば障害者であったことを証明できます。

また、障害者手帳の交付を受けたのが被相続人が亡くなった後であったとしても、診断書の記載内容から被相続人が亡くなった時点でも障害者手帳の記載と同程度の障害があったと判断される場合には、相続税の障害者控除を利用することができます。

⚠️ 注意

申告書を提出した時点で障害者手帳の交付を受けているか、交付の申請中である必要があります。

📝 このセクションのまとめ

  • 障害者控除は一般障害者と特別障害者の2区分があり、特別障害者の方が控除額が大きい
  • 身体・精神・療育・戦傷病者手帳の等級や、原爆症認定・就床状態で判定される
  • 障害者かどうかの判断基準は「相続開始時点」
  • 手帳交付が死亡後でも、診断書等で同程度の障害が認められれば適用可能

障害者控除額の計算方法

障害者控除額は、一般障害者か特別障害者かによって計算式が異なります。

区分計算式
一般障害者(85歳 − 相続開始時の年齢)× 10万円
特別障害者(85歳 − 相続開始時の年齢)× 20万円

📌 年齢計算の端数処理

相続開始時点で1年未満の期間がある場合は切り上げて1年と計算します。例えば35歳8ヶ月の場合は35歳として計算します(切り捨て)。

障害者控除の計算例①:相続人1人の場合

障害者である35歳の長男が、被相続人である父の遺産1億円を相続した例で計算してみましょう。

ステップ1:障害者控除額を計算する

区分計算式障害者控除額
一般障害者の場合(85歳 − 35歳)× 10万円500万円
特別障害者の場合(85歳 − 35歳)× 20万円1,000万円

ステップ2:課税遺産総額を計算する
遺産1億円 − 基礎控除額3,600万円 = 課税遺産総額6,400万円

ステップ3:相続税額を計算する
課税遺産総額6,400万円にかかる税率は30%(控除額700万円)
6,400万円 × 30% − 700万円 = 相続税額1,220万円

ステップ4:障害者控除を差し引いた実際の納税額

区分相続税額障害者控除額実際の納税額
一般障害者の場合1,220万円500万円720万円
特別障害者の場合1,220万円1,000万円220万円

📝 このセクションのまとめ

  • 一般障害者は(85歳-年齢)×10万円、特別障害者は(85歳-年齢)×20万円で控除額を算出
  • 算出した障害者控除額を相続税額から直接差し引く
  • 年齢の端数は切り捨て(1年未満は切り上げ)で計算

障害者控除の計算例②:扶養義務者がいる場合

障害者控除は、障害者本人の相続税額よりも控除額が大きく余ってしまった場合、扶養義務者である他の相続人の相続税から控除することが可能です。

📌 扶養義務者とは

実際に扶養をしているか否かは通常関係なく、戸籍上で配偶者・祖父母・父母・子・孫および兄弟姉妹・三親等内の親族で家庭裁判所が扶養義務を負わせたものを言います。

具体的な計算例を見ていきましょう。特別障害者である38歳の長男扶養義務者である次男が、被相続人である父の遺産1億円を半分ずつ相続した事例です。

ステップ1:長男の障害者控除額を計算する
(85歳 − 38歳)× 20万円 = 障害者控除額940万円

ステップ2:課税遺産総額を計算する
法定相続人が2人いるため、基礎控除額は4,200万円
1億円 − 4,200万円 = 課税遺産総額5,800万円

ステップ3:各人の相続税額を計算する
5,800万円を2人で半分ずつ相続するため、1人あたりの課税遺産総額は2,900万円
税率15%(控除額50万円)
2,900万円 × 15% − 50万円 = 相続税額385万円(長男・次男それぞれ)

ステップ4:長男の障害者控除を適用する
長男:385万円 − 940万円 = 差し引けないため相続税は0円
残った障害者控除額:940万円 − 385万円 = 555万円

ステップ5:残った控除額を次男に適用する
次男:385万円 − 555万円(長男の残額)= 次男の相続税も0円

このように障害者控除額を扶養義務者にも分けることで、相続税額を大きく軽減することができます。

📌 相続税が0になる場合の申告について

障害者控除の税額控除を適用して相続税が0になる場合には、相続税の申告は必要ありません。特別な手続きも不要です。ただし、遺産総額が基礎控除を超えている場合に限ります。

📝 このセクションのまとめ

  • 障害者本人の相続税額を超えた控除額は、扶養義務者である他の相続人の税額から控除できる
  • 扶養義務者は配偶者・祖父母・父母・子・孫・兄弟姉妹など
  • 障害者控除で相続税が0になる場合は申告不要

過去に障害者控除を受けている場合の注意点

障害者控除は何度でも同額の控除を受けられるわけではありません。過去の相続で控除を受けている場合には、控除額が少なくなります。

  • 過去の相続で既に障害者控除額の全額を控除している場合、2回目の相続では障害者控除の適用を受けることはできません
  • 控除していない金額が残っている場合には、以前の控除額と比べて少ない方の金額が障害者控除額となります

📌 具体例

1回目の相続が45歳の時にあり、障害者控除額が400万円で相続税額が200万円だったとします。控除額が200万円残った状態です。
その後2回目の相続が50歳の時に発生した場合、本来の障害者控除額は(85歳-50歳)×10万円=350万円ですが、ここで使える障害者控除額は前回の残額である200万円となります(350万円と200万円を比べて少ない方)。

📝 このセクションのまとめ

  • 過去の相続で全額を使い切った場合、2回目以降は障害者控除を使えない
  • 残額がある場合は「前回の残額」と「今回の本来の控除額」のうち少ない方が適用される

相続税申告時の手続き・必要書類

税額が発生する場合は相続税申告を行います。障害者控除は相続税申告書提出時に第6表に計算箇所があります。第6表を作成した上で税務署へ相続税申告を行います。

申告の際には、税務署に対して税法上の障害者であることの要件を満たしていることを証明するための書類を添付する必要があります。

  • 障害者手帳のコピー
  • その他、該当する障害者であることを証明できる書類(診断書、障害者控除対象者認定書など)

📌 申告が不要なケース

遺産総額が基礎控除を超えていても、障害者控除を適用することによって相続税が0になる場合は相続税の申告は必要ありませんし、特別な手続きも必要ありません。

障害者控除を適用するには、以下の点に気をつけながら正確に計算していく必要があります。

  1. 要件を満たしているかどうかの確認
  2. 以前の相続で障害者控除を適用しているかどうかの確認
  3. 相続する遺産がいくらになるかの把握
  4. 使用できる障害者控除の金額の正確な計算

ご不安な場合は相続専門の税理士にご相談ください。

📝 このセクションのまとめ

  • 申告書の第6表に障害者控除の計算を記載する
  • 障害者手帳のコピーまたは障害者であることを証明できる書類を添付する
  • 控除により相続税が0になる場合は申告不要
  • 要件確認・過去の控除歴・控除額の正確な計算が重要

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】を応援しています!

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