相続税申告が不要なケースを税理士が解説|基礎控除の計算と注意点
遺産総額が基礎控除以内なら相続税の申告も納付も不要。ただし特例適用時は要注意です。
相続税の申告が不要になるケースとは
皆さんは相続税の申告が不要になるケースをご存知でしょうか。遺産総額が基礎控除以内であれば、相続税は申告も納付も不要です。そのため、預貯金や不動産などの財産を相続しても、すべての家庭に相続税がかかるわけではありません。
国税庁の「令和3年分相続税の申告実績の概要」によると、令和3年の被相続人の財産に相続税が課された割合は9.3%でした。つまり、約90%の人は相続税が発生しないということです。
📌 ポイント
ただし、相続税の特例や税額控除を適用して相続税が0円になっても、相続税の申告が必要なケースがあります。「申告不要」と「税額0円」は別物です。
今回は以下の3点を詳しく解説します。
- 相続税の申告が不要なケース
- 基礎控除額の計算方法
- 相続税が0円でも申告が必要なケースの具体例
📝 このセクションのまとめ
- 相続税は遺産総額が基礎控除以内なら申告・納付ともに不要
- 令和3年において相続税が課された被相続人は全体の約9.3%
- 特例・税額控除の適用で0円になっても申告が必要な場合がある
相続税の基礎控除額の計算方法
相続税は遺産総額に対してそのまま課税されるわけではなく、遺産総額から基礎控除を差し引いた金額に相続税がかかります。そのため、遺産総額が基礎控除以内であれば相続税の申告は不要となります。
相続税の基礎控除とは、誰でも適用できる非課税枠のことで、以下の計算式で求めます。
📌 基礎控除額の計算式
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の人数
法定相続人の人数によって基礎控除額がどう変わるか、以下の表で確認できます。
| 法定相続人の人数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
| 5人 | 6,000万円 |
例えば、法定相続人が1人の場合、現金・預金・不動産などの遺産総額が3,600万円以下であれば相続税の申告は不要で、相続税もかかりません。同じケースで遺産総額が5,000万円だった場合は、差額の1,400万円に相続税が課されることになります。
📝 このセクションのまとめ
- 基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の人数
- 遺産総額が基礎控除額以下なら申告・納税ともに不要
- 遺産総額が基礎控除額を超えた差額部分に相続税が課される
申告が不要なケースと必要なケースの具体例
基礎控除額の考え方を踏まえた上で、申告が不要なケースと必要なケースを具体例で見ていきましょう。
| ケース | 家族構成 | 法定相続人 | 基礎控除額 | 遺産総額 | 申告の要否 |
|---|---|---|---|---|---|
| ケース① | 子供3人・父はすでに死亡・母が死亡 | 子供3人 | 4,800万円 | 4,000万円 | 申告不要 |
| ケース② | 4人家族・子供2人・母はすでに死亡・父が死亡 | 子供2人 | 4,200万円 | 4,500万円 | 申告必要 |
ケース①では、遺産総額4,000万円が基礎控除額4,800万円を下回るため、相続税はかからず申告も不要です。
ケース②では、遺産総額4,500万円が基礎控除額4,200万円を上回り、差額の300万円に相続税がかかります。この場合、相続開始日から10ヶ月以内に、被相続人の住所地を管轄する税務署に相続税の申告を行い、納税する必要があります。
📝 このセクションのまとめ
- 遺産総額<基礎控除額 → 申告不要・納税不要
- 遺産総額>基礎控除額 → 申告必要・差額部分に課税
- 申告期限は相続開始日から10ヶ月以内
相続税が0円でも申告が必要な特例・税額控除とは
相続税には、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減など、財産の評価額を大幅に下げたり税額を軽減したりする制度が設けられています。これらを適用することで相続税が0円になるケースも少なくありませんが、特例・税額控除の中には、相続税が0円でも申告が要件となっているものがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
⚠️ 注意
以下の特例・税額控除は、相続税額が0円になっても申告しなければ特例の適用が受けられません。申告を忘れると特例が使えなくなる場合があるため、十分注意してください。
小規模宅地等の特例|土地の評価額を最大80%減額
小規模宅地等の特例とは、被相続人の自宅・店舗・事務所・事業用に使っていた宅地の評価額などを大幅に減額できる制度です。不動産の評価額を下げることにより、結果として計算される税額も下がります。
具体的な減額割合は以下のとおりです。
| 宅地の種類 | 評価額の減額割合 |
|---|---|
| 居住用・事業用の宅地 | 80%減額 |
| 他人に貸し付けている土地 | 50%減額 |
具体例:4人家族・子供2人・父はすでに死亡・母が死亡したケースです。法定相続人は子供2人なので基礎控除額は4,200万円。遺産総額は4,500万円でしたが、小規模宅地等の特例を適用することで土地の評価額が下がり、遺産総額が基礎控除額以下となりました。
⚠️ 注意
このケースでは相続税はかかりませんが、小規模宅地等の特例を適用するためには相続税の申告が必要です。申告しなければ特例の適用を受けることができません。
📝 このセクションのまとめ
- 居住用・事業用宅地は評価額を80%減額できる
- 貸付用宅地は評価額を50%減額できる
- 特例適用には相続税申告が必須(税額0円でも申告が必要)
農地の納税猶予の特例と配偶者の税額軽減
農地の納税猶予の特例とは、農業を営むか農地を貸し付けていた被相続人から農地を相続した人が、農業投資価格を超える部分の相続税額について、相続した人が農業をし続ける限り納税が猶予される制度です。農地にこの特例を適用することで納税額が0円になっても、相続税の申告が要件となっています。
配偶者の税額軽減とは、配偶者が相続や遺贈によって取得した相続財産のうち、配偶者の法定相続分あるいは1億6,000万円のいずれか大きい方の金額まで、相続税がかからずに相続できる制度です。
📌 配偶者の税額軽減のポイント
被相続人の残した相続財産の総額が1億6,000万円以下であった場合、全額を配偶者が相続する形を取ることで相続税を0円にすることができます。
具体例:3人家族・子供1人・父が死亡したケースです。法定相続人は母と子供の2人なので基礎控除額は4,200万円。遺産総額は4,500万円でしたが、配偶者の税額軽減を適用することで納税額は0円となりました。
⚠️ 注意
相続税はかかりませんが、配偶者の税額軽減を適用するためには相続税の申告が必要です。申告なしでは軽減の適用を受けることができません。
📝 このセクションのまとめ
- 農地の納税猶予の特例:農業継続を条件に農業投資価格超過分の相続税が猶予される。申告必須。
- 配偶者の税額軽減:法定相続分または1億6,000万円のいずれか大きい額まで非課税。申告必須。
- いずれも「税額0円」でも申告しなければ特例が使えない
申告要否と課税の有無をケース別に整理
相続税の申告が必要か不要かは、遺産総額が基礎控除以内かどうか、また特例や税額控除を適用したかどうかによってケースごとに変わります。以下の表で整理しました。
| 状況 | 相続税の課税 | 申告の要否 |
|---|---|---|
| 遺産総額 ≦ 基礎控除額 | なし | 不要 |
| 遺産総額 > 基礎控除額(特例なし) | あり | 必要 |
| 小規模宅地等の特例を適用して税額0円 | なし(特例適用後) | 必要 |
| 農地の納税猶予の特例を適用して税額0円 | なし(猶予) | 必要 |
| 配偶者の税額軽減を適用して税額0円 | なし(軽減適用後) | 必要 |
⚠️ 注意
特に「相続税額が0円でも申告が必要なケース」は申告不要と勘違いしやすいため、十分ご注意ください。
📝 このセクションのまとめ
- 遺産総額が基礎控除以内 → 申告不要
- 特例・税額控除の適用で税額0円になっても申告が必要なケースがある
- 「税額0円=申告不要」という誤解に注意
相続税申告で見落としがちな財産と税務調査のリスク
相続税申告の難しさの要因のひとつに、被相続人がどのような財産を持っていたか、また相続税がかかる財産に該当するかどうかが分かりにくい点があります。
見落とされやすい課税対象財産には、以下のようなものがあります。
- 生命保険(みなし相続財産):受取人が相続人である死亡保険金は相続財産に含まれる
- 死亡退職金(みなし相続財産):一定額を超えた部分が課税対象となる
- 相続開始前3年以内に贈与されたお金:生前贈与でも一定期間内のものは遺産に含まれる
⚠️ 注意
課税対象となる財産であるにもかかわらず相続財産に含めないで申告していた場合、税務調査で発覚すると過少申告加算税や延滞税が課されます。財産の把握は慎重に行いましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 生命保険・死亡退職金などのみなし相続財産も課税対象
- 相続開始前3年以内の贈与財産も遺産に含まれる
- 申告漏れが税務調査で発覚すると加算税・延滞税が課される
相続税申告は税理士への相談がおすすめ
遺産総額が基礎控除以内であれば、相続税は申告も納付も不要です。注意点としては、特例や税額控除の中には相続税が0円でも申告が必要なものがあることです。
相続税の申告は相続開始日から10ヶ月以内と期限が決まっており、手続きも煩雑なため、想像以上に時間がかかります。相続が発生した場合、申告・納付をミスなく期限内に正しく行うためには、税理士に相談することをおすすめします。
税理士であれば、以下のサポートを幅広く受けることができます。
- 遺産の調査
- 特例・税額控除が適用可能かどうかの検討
- 申告書の作成・提出
- 納税手続きのサポート
📌 ポイント
初めて相続税の申告を行う方も、まずは税理士への無料相談を活用することで、申告漏れや期限超過のリスクを大幅に減らすことができます。
📝 このセクションのまとめ
- 相続税申告の期限は相続開始日から10ヶ月以内
- 手続きは煩雑なため、早めに税理士へ相談することが重要
- 税理士は遺産調査から申告・納税まで一括サポートが可能
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】を応援しています!
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