税務調査で「借りた」は即アウト!相続税ゼロになる答え方を税理士が解説
たった一言の答え方で、相続税が100万円変わってしまう。その衝撃の事例を解説します。
相続税の基礎控除と「意外と課税される」落とし穴
相続税には基礎控除があります。現行のルールでは、3,000万円+相続人1人あたり600万円が控除されます。つまり相続人が1人であれば3,600万円以下の遺産であれば相続税はかからない、という仕組みです。
ところが、「うちの財産なんて大したことない」と高をくくっていたら、後になって相続税がかかってしまうケースが実は増えています。今回はその典型的な実例をもとに、相続税の注意点を解説します。
📌 相続税の基礎控除(おさらい)
- 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
- 相続人が1人の場合:3,600万円以下なら相続税ゼロ
- この控除額を超える遺産があると、相続税の申告・納付が必要
📝 このセクションのまとめ
- 相続税の基礎控除は3,000万円+相続人1人あたり600万円
- 一見控除内に収まっていても、過去の入金履歴によって課税対象が広がることがある
実際に起きた事件:30代男性と税務調査官の対面
今回の主人公は30代の男性です。母親が亡くなり、遺産として現金・預金100万円と土地・建物3,500万円を受け取りました。合計3,600万円ちょうどで、基礎控除の上限ぴったり。「相続税はかからないはずだ」と安心していました。
ところが相続から1年後、玄関のチャイムが鳴ります。ドアを開けると、スーツ姿で分厚いファイルを持った税務署の調査官が立っていました。
⚠️ 調査官が持っていたもの
調査官が開いたファイルには、過去10年分の息子の通帳のコピーが入っていました。そしてそこには、8年前に母親から振り込まれた1,000万円の入金履歴が赤線でマークされていたのです。
調査官はこう切り出しました。「このお母様からの生前贈与の1,000万円、一体これは何ですか?」
いきなり自宅に調査官が訪ねてきて質問されたら、誰でもパニックになりますよね。でも、この質問への答え方1つで、相続税が大きく変わってしまうのです。
📝 このセクションのまとめ
- 遺産が基礎控除内でも、過去の入金履歴を理由に税務調査が入ることがある
- 税務署は過去10年分の通帳を調査できる
- 8年前の1,000万円入金が今になってターゲットになった
1,000万円の正体:ギャンブルの借金を救った母の愛
では、この8年前の1,000万円の正体は何だったのでしょうか。
当時20代だったこの男性は、ギャンブルが大好きで、あちこちに借金を抱えてとうとう首が回らない状態になっていました。そこで母親が自分の貯金から1,000万円を息子の口座に振り込み、「これで借金を全部清算して、やり直しなさい」と助けてくれたのです。
この母親からの1,000万円こそが、調査官が言う「生前贈与の1,000万円」でした。そして今になって、税務署のターゲットになってしまったのです。
さて、この1,000万円の正体がわかったところで、改めて調査官の質問を考えてみましょう。
| 選択肢 | 答え方 |
|---|---|
| ① | 借りた |
| ② | 預かった |
| ③ | もらった |
さあ、どう答えるのが正解で、どう答えるのが地獄でしょうか?
📝 このセクションのまとめ
- 1,000万円は母親が息子の借金返済のために振り込んだお金
- 当時、贈与税の申告は一切していなかった
- 「借りた」「預かった」「もらった」のどれで答えるかが税額を左右する
「借りた」と答えた場合:貸付金として相続税が追加される
もし調査官に「借りたんですよ」と答えた場合、調査官はこう返します。「返済していましたか?借用書はありますか?」
実際には、口頭でも契約は成立しますし、書面がなくても「借りた」という主張は完全に否定されるわけではありません。しかし調査官はこう考えます。
⚠️ 「借りた」と答えた場合の税務上の扱い
「借りた」= 母親にとっては「貸した」= 貸付金(母親の財産)として扱われる。
まだ返済が終わっていなければ、その貸付金は母親の財産に加算されます。
- 元々の遺産:3,600万円
- 貸付金(加算):1,000万円
- 合計遺産額:4,600万円
- 追加で発生する相続税:約100万円
つまり「借りた」と答えた瞬間に、「では貸付金として追加で相続税を払ってください」という結論になってしまいます。
📝 このセクションのまとめ
- 「借りた」=母親の貸付金として財産に加算される
- 遺産が3,600万円→4,600万円になり、相続税が約100万円追加
「預かった」と答えた場合:名義預金として同じ結果に
「預かった」という答え方はどうでしょうか。「借りた」に近い印象がありますが、税務上の扱いはほぼ同じです。
「預かった」ということは、結局「母親のお金」だということになります。これは名義預金という扱いになります。名義は息子だけれど、実質的には母親のお金という状態です。
⚠️ 名義預金のルール
名義預金については、親(被相続人)の財産に加算しなければならないというルールがあります。
- 元々の遺産:3,600万円
- 名義預金(加算):1,000万円
- 合計遺産額:4,600万円
- 追加で発生する相続税:約100万円(「借りた」と同じ結果)
「借りた」も「預かった」も、どちらも「母親のお金だった」という意味では同じです。結果として、どちらも相続税が約100万円追加されるという同じ結論になります。
📝 このセクションのまとめ
- 「預かった」=名義預金として親の財産に加算される
- 「借りた」と全く同じ結果になり、相続税が約100万円追加
「もらった」と答えた場合:贈与税の時効で税金ゼロに
一見すると最も危険に思える「もらった」という答え。「贈与税を払っていないのに、もらったと言ったら追徴されるのでは?」と思うのは自然なことです。
しかし今回のケースでは、相続税も贈与税もゼロになるという驚きの結論になります。
📌 「もらった」と答えた場合の税務上の扱い
「もらった」= 息子の財産 = 母親の財産ではない。
したがって、母親の遺産は元々の3,600万円のままで、相続税はゼロです。
では、贈与税はどうなるのでしょうか?
- 贈与税の申告期限:もらった年の翌年3月15日まで
- 贈与税の時効:通常6年、悪質な場合でも7年
- 今回の1,000万円は8年前の贈与 → 時効が成立している
時効が切れているため、今さら贈与税を徴収することもできません。結論として、相続税も贈与税もゼロになります。
| 答え方 | 税務上の扱い | 遺産合計 | 追加税額 |
|---|---|---|---|
| ①借りた | 貸付金(母の財産) | 4,600万円 | 約100万円 |
| ②預かった | 名義預金(母の財産) | 4,600万円 | 約100万円 |
| ③もらった | 息子の財産(贈与) | 3,600万円 | ゼロ(時効成立) |
📝 このセクションのまとめ
- 「もらった」と答えると母親の財産ではなくなり、相続税はゼロ
- 贈与税は本来かかるが、8年前の贈与は時効(6〜7年)が成立しているため徴収不可
- 結果として相続税も贈与税もゼロという結論になる
税務調査は「形式」より「実態」で判断される
今回のケースは「もらった」という答えで救われましたが、これはあくまで実態として贈与だったから成立した話です。税務調査では、名義がどうかよりも、実質的にどうだったのかが重視されます。
本来であれば、お金の授受があった時点でしっかり整理しておくべきでした。借りたのか、預かったのか、もらったのか。契約書や書面で明確にしておけば、こんな危険な橋を渡らずに済んだのです。
⚠️ 「借りた」という証拠を残す場合の注意点
「借りた」という書面(借用書)を残すだけでは不十分です。実際に返済していないと、最終的には贈与と判断されるリスクがあります。形式だけ整えて実態が伴わない場合、税務調査では否認される可能性があります。
また、今回は「もらったことを覚えていなかった(忘れていた)」という形で「もらった」という答えができたケースでした。実際にどうだったかで相続税は決まりますので、迂闊なことはしない方がいい、というのが結論です。
📌 お金のやり取りがあった際の正しい対処法
- 「借りた」「預かった」「もらった」のどれかをその時点で明確に決める
- 「借りた」なら借用書を作成し、実際に返済する
- 「もらった」なら年110万円を超える場合は贈与税を申告する
- 迷ったら税務署や税理士に相談する
📝 このセクションのまとめ
- 税務調査は名義ではなく実態で判断される
- お金の授受があった時点で性質(贈与・貸借)を明確にしておくことが重要
- 書面だけでなく、実際の行動(返済など)が伴わないと否認されるリスクがある
税務調査はどのくらいの頻度で来るのか?AIによる調査強化も
「税務署が過去10年分の通帳を見て、8年前の入金を見つけて個人宅に来る」というのは、実際どのくらいあることなのでしょうか。
これはめちゃめちゃあります。過去の通帳を見て入金があったら「これは何ですか?」と聞いてくるのは、税務調査の定番手法です。
📌 今後の税務調査はAIで強化される
今後はAIを活用した調査が普及することで、データを見て「異常値」と判断されるお金の動きがあると、これまで以上に税務調査が入りやすくなると予想されます。
ただし、金額の大きさも影響します。今回は1,000万円という大きな金額だったから調査が入りました。200万円程度だと、来るかどうかは状況によります。
贈与するなら年110万円以下に分けるのが基本
年間110万円を超える贈与には贈与税がかかります。逆に言えば、年110万円以下の贈与は非課税です。
もし今回の息子のように1,000万円を親から受け取るなら、毎年110万円以下に分けて贈与してもらうのが基本的な節税策です。
| 贈与の方法 | 贈与税 | リスク |
|---|---|---|
| 1,000万円を一括で贈与 | 課税対象(申告必要) | 税務調査で発覚しやすい |
| 毎年110万円以下に分けて贈与 | 非課税 | 低い(自然な贈与と判断される) |
ただし注意点もあります。「最初から1,000万円を10分割で渡す契約をした」という実態があると、一括贈与と同様に課税される可能性があります。あくまで毎年自然に贈与している実態があることが重要です。
⚠️ 分割贈与の注意点
「最初から1,000万円を10年で渡す計画だった」という事実があると、それは定期贈与とみなされ、1,000万円全体に贈与税がかかる可能性があります。毎年の贈与は、その都度独立した贈与として行うことが重要です。
たとえば今回のケースで言えば、息子が1,000万円を受け取った際に、110万円だけもらって残りの890万円は返すという形にしておけば、贈与税が発生しても安心な状態を作れたかもしれません。
いずれにせよ、こういったイレギュラーなお金の動きがあった場合は、税務署や税理士に相談するのが一番の安全策です。
📝 このセクションのまとめ
- 年110万円以下の贈与は非課税。まとまった金額を渡すなら分割が基本
- 最初から分割計画があると「定期贈与」とみなされるリスクがある
- 税務調査はAI活用で今後さらに強化される見込み
- 迷ったら税務署や税理士に相談することが最善策
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル オタク会計士ch【山田真哉】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは オタク会計士ch【山田真哉】を応援しています!
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