相続・贈与

相続対策で一番大切なこと|税理士が解説する4つのステップと順番の重要性

相続対策で一番大切なこと|税理士が解説する4つのステップと順番の重要性
e_zeirishi

相続対策は「何をやるか」より「どの順番でやるか」が最も重要です。

相続対策で最も重要なこと:順番が命

相続対策と一言に言っても、遺言書や生前贈与、不動産の購入など様々な対策がありますよね。ただ、どの対策が最も重要なのでしょうか。

結論からお伝えすると、相続対策を行う上で最も重要なことは、「相続対策は順番が命」ということです。何をどの順番で行っていくか、これが実は一番大切なポイントになっていきます。

提唱するのは「相続対策4つのステップ」です。

まず始めにやるべきことは①現状分析、次に②遺産分割対策、そして③評価の引き下げ対策、最後に④生前贈与対策、この順番に行っていただくことが極めて大事になっていきます。それぞれ1つずつ紹介していきます。

ステップ①:現状分析(健康診断と同じ)

現状分析とは何かというと、万が一今相続が起きてしまった場合に、一体どれくらいの相続税がかかるのか、納税資金は足りるか、円満に遺産分割ができるのか、そういった相続が起きた時に直面する問題を今のうちに把握し、相続対策の方向性を検討していくことです。

つまり、今亡くなってしまった場合にどういった問題が出てくるのか、それを今のうちに把握する。これは言ってしまうと健康診断と同じでございます。これをしっかりやることが、当たり前のように聞こえるかもしれないんですけれども、実は一番大切になっていきます。

ステップ②:遺産分割対策(相続税は分け方次第で何倍にも変わる)

遺産分割対策とは何かというと、万が一今相続が起きてしまった場合にどのように遺産を分けるのかを決める対策です。必要に応じて遺言書の作成までを行います。もし今亡くなってしまったら、この遺産をどのように家族の間で分けていくのか、これを今のうちに決めていきましょう。これが遺産分割対策です。

この対策がなぜ重要なのかというと、相続税は遺産の分け方次第で何倍にも変わってしまう税金だからです。遺産の分け方によって相続税が変わってくる最大のポイントは、配偶者の税額軽減小規模宅地等の特例、この2大特例が鍵を握っています。

また、遺産分割対策は税金の負担を最も軽くする遺産の分け方を考えていくことを言うんですけれども、ここで大切なのは、この税金というのは相続税の負担だけではないということです。相続人の所得税・住民税の負担も考えていくことが実は非常に大切なんです。

例えば、亡くなった方の不動産を相続人が売却した場合には、譲渡所得税という税金がかかっていきます。これは遺産の分け方次第でその負担を最小限にできる特例があります。ですので、相続税だけではなくて所得税の負担まで考えた遺産の分け方が大切なんです。

さらに言うと、中小企業の社長さんの相続においては、相続税・所得税に加えて法人税の負担まで変わってくることがあります。ですので、相続税・所得税・法人税、ここの最適化を求めていくのが相続税に強い税理士の役割なんですね。

提案する分け方というのは、あくまで税金のことだけ考えた場合に最もお得になる分け方をご提案します。そこに皆様のお気持ちを反映させて最終的な分け方を決めていく、これが遺産分割対策と呼ばれるものでございます。

ステップ③:評価の引き下げ対策(財産の種類を組み替えて相続税を小さくする)

評価の引き下げ対策とは何かというと、所有している財産の種類を組み替えたり、継続的に発生する収入の帰属先を変えることで、相続税そのものを小さくするアプローチです。

具体的に言うと、例えばキャッシュをお持ちであれば、このキャッシュのうちの一部を生命保険に変えていく。そうすることによって生命保険の非課税枠「500万円×法定相続人の人数分」の非課税を取ることができます。

また、現金で不動産を買えば評価額を圧縮することができます。中小企業のオーナーさんによっては、これを株式に変えておくというのも評価引き下げ対策になっていきます。あとは、家をリフォームすることも実は評価を下げる効果があります。さらに、生前中にお墓を買っておくことも、お墓は非課税なのでその分評価を下げることができます。

このようにお持ちの財産の種類を変えることによって相続税評価額を小さくすることができ、その性質を利用して相続税そのものを小さくしよう、これが評価の引き下げ対策です。

また、例えばアパートを経営している方がいたとして、このアパートから上がってくる家賃というのは、当然そのアパートの持ち主に帰属していくわけです。ただ、このアパートの所有権をあらかじめ相続人に移しておけば、その移した後に発生する家賃収入は相続人のものに流れていくことになります。このような形を取ることによって、元々お父さんに溜まるはずだった家賃収入をあらかじめ子供たちに貯めることによって、将来発生する相続税の負担を抑えていく、これも評価引き下げ対策の1つになっていきます。

ステップ④:生前贈与対策(2024年からの制度変更を最大活用)

生前贈与対策とは、生前贈与で早期に財産を移転させることで将来の相続税負担を軽減させる対策です。2024年からは暦年課税制度と相続時精算課税制度、両制度の長所を最大限に生かしたプランニングが重要です。

2024年から贈与税の仕組みが大幅に変更されています。例えば、お父さんから110万円、お母さんから110万円の生前贈与を受けたとします。お父さんは相続時精算課税制度を選択して、お母さんは暦年課税制度を選択すれば、2つとも110万円の非課税枠を使うことが可能です。ですので、合計で220万円まで非課税で贈与することができるということです。

2023年まではできなかったこういったことが、この2024年からはできるようになっています。ですので、改めてこの両制度を上手に使ったプランニングというのを考えていくことが大切になっていきます。

順番を間違えると相続税が3倍になる!具体的な失敗事例

ここまで4つのステップをご紹介しましたが、なぜこの4つの順番が大事なのかという事例をご紹介します。

例えば、もしも遺産分割対策の前に生前贈与対策をやってしまったらどうなるか、というお話をします。

あるご家族の例です。お母さんと長男と長女の3人家族がいて、お母さんは土地1億円と預金1億円、合計2億円の財産をお持ちです。長男はお母さんとは別居、長女はお母さんと同居しています。

この状態で、「不平等にならないように同じ金額を生前贈与するわよ」ということで、遺産分割を特段決める前に生前贈与をどんどんやっていこうということで、同じ金額の贈与を行っていたとします。

時は経ちまして、2500万円ずつ生前贈与した後に相続が発生します。長男・長女それぞれ2500万円ずつ渡したので、元々1億円あったキャッシュは5000万円に減少しています。亡くなった時の財産は1億5000万円あります。

この状態で長女さんが「遺産は平等に分けましょう、1億5000万円を半分ずつ分けましょう」と言いました。一見問題のない形かと思うんですけれども、このときにポイントになってくるのが相続税の取り扱いなんです。

【パターンA:長女が自宅を相続する場合】

もしも同居している長女が自宅を相続すれば、小規模宅地等の特例が使えます。この1億円の土地が80%引きされた2000万円で評価されることになります。ですので、土地1億円は2000万円(8割引き)、預金5000万円ですので、財産の合計額は7000万円、家族全体の相続税額は320万円という形になります。

ただ、長女が自宅を相続するとなると、土地1億円を長女が相続して預金5000万円を長男が相続するとなると、トータルで長女が1億2500万円分を相続して、長男は7500万円のキャッシュしか相続しないという形になってしまいます。これでは兄弟間の平等性が保たれません。

【パターンB:全ての財産を完全に平等に相続する場合】

仕方ないので、自宅も半分ずつ、キャッシュも半分ずつ、完全に平等に分けたとします。この場合どうなるかというと、自宅1億円のうち長女が相続する5000万円部分については8割引きになります。ただ、長男が相続する5000万円部分については小規模宅地等の特例は使えません。

結果として、土地1億円は4000万円引き(半分の8割引き)で6000万円で評価されて、預金は5000万円、財産合計は1億1000万円、家族全体の相続税は960万円ということで、先ほどのパターンAでは320万円の相続税で済んだんですけれども、完全に平等にしようとすると相続税の負担が960万円、つまり3倍増えるという結果になってしまうんです。

どうすれば良かったのかというと、この方がまず生前贈与対策の前に遺産分割対策をしていただいて、長女さんには土地を、長男さんにはキャッシュをという形を固めておいて、その上で生前贈与対策を検討していただければ、このような事態は避けられたと言えます。ですので、遺産分割対策が先、その後に生前贈与という順番を守っていただくことが非常に大切になっていくんです。

見落とされがちな「相続税の税務調査対策」

ここまでで相続対策はこのステップ・順番が大切というお話をしたんですけれども、実はもう1つ大切な対策があります。それが相続税の税務調査対策です。

相続税の申告書を税務署に提出すると、そこから1年から2年後に「相続税の税務調査をやらせてください」と言われることがあります。統計的に見ていきますと(コロナ禍の時は税務調査の件数が非常に少なかったので、コロナ前の数値を使います)、まず相続税の申告というのは日本全国で年間約10万件ほど行われています。そのうち税務調査が行われるのは1万2000件ということで、約12%の方に税務調査が行われます。

そして税務調査までは厳しくないんですけれども、「簡易な接触」と言いまして、簡単な税務調査のようなものが行われます。これは約1万件行われていますので、約10%です。この税務調査と簡易な接触を合わせると、約45人に1人が何かしらの調査なり簡易な接触に選ばれるということが言えます。

そして1度調査に選ばれると、どのくらいの確率で追徴課税、つまり「追加で税金を払いなさい」と言われるかというと、追徴課税割合は85.7%です。相続税の申告というのは当然一生に1回しかありません。所得税の申告というのは毎年あるんですけれども、ですので税務署の人たちも絶対に見逃さないぞということで、他の税目よりもかなり高い割合で税務調査が行われています。

ですので、相続税対策を提案できるのは税務調査に立ち会う覚悟のある者だけということで、この提案をするんであれば税務調査にも自分が立ち合ってしっかり最後まで責任を持つという覚悟のある人に提案をしてもらうことをお勧めいたします。この税務調査対策は非常に大切なものとなっていきます。

最大の相続対策は「家族仲を円満にすること」

ここまでご紹介してきたこの4つのステップと相続税の税務調査対策、ここまでしっかりできているのが目指す良い相続対策なんですね。

そしてその上で、良い対策は依頼者の理解の上に成り立つということで、どれだけいい対策であったとしても、専門用語をたくさん使って分かりづらい言葉で依頼者さんに伝えても、それは最終的にいい対策にはなりません。これをできる限り分かりやすい言葉で伝えて、依頼者さんの理解の上に良い対策というのを構築していく、これが一番大切だと思っております。税理士の腕の良さを判断する1つの指標は説明の分かりやすさです。

冒頭でお伝えした「一番の税金対策とは何か」ということですが、ここまで動画を見てくださった方はもうすでにお分かりになると思います。今まで紹介していた相続対策には1つだけ共通していることがあって、それは何なのかというと、相続対策というのは基本的にご家族の仲が良い場合にだけ行うことができるんです。

遺産分割対策、評価の引き下げ対策、生前贈与対策、様々な対策がありますが、基本的に家族仲が悪い場合というのはこういった対策は思うように進めることができません。ですので、家族仲を円満にしておくこと、これこそが実は一番の税金対策なんです。

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 円満相続ちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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