相続・贈与

遺産相続で弁護士をつけるべきタイミング|弁護士が解説する10のケース

遺産相続で弁護士をつけるべきタイミング|弁護士が解説する10のケース
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遺産相続・遺産分割で弁護士を代理人につけるべき「タイミング」と「具体的なケース」を弁護士が詳しく解説します。

弁護士に頼む「基本的な考え方」

この質問に対する答えはケースバイケースですので一概には言えないところがありますが、まず抽象的に言えることは、ご自身で遺産分割・相続の問題をもう前に進めることができないと感じた場合には、悩まずに弁護士に相談し、弁護士に依頼することが良い選択肢です。

相続の問題は相続人の皆さん・ご親族の問題ですから、必ずしも弁護士をつけることが最善とは限りません。皆さんで話し合ってしっかりと納得し、相続人間(兄弟間など)で話し合いをして解決できるのであれば、それが一番ベストです。

📌 ポイント

遺産相続の問題で悩まれている方は、本当にずっと悩み続け、大きなストレスと不安を抱えていることが多いです。ご自身の力で頑張ってみたけれどもどうしても難しいという段階になったら、弁護士に依頼することを前向きに検討してください。

💡 補足:動画では触れていませんが…

弁護士への相談は「依頼」と「相談」は別物です。まず初回相談(有料・無料どちらもあります)だけ行い、依頼するかどうかはその後に判断することができます。「相談=依頼」ではないので、気軽に相談の一歩を踏み出すことが大切です。

📝 このセクションのまとめ

  • 相続人間で円満に解決できるなら、それが最善
  • 自分では前に進められないと感じたら、弁護士への相談・依頼を検討する
  • 相続問題の放置は複雑化を招くだけなので早めの行動が重要

弁護士をつけるべき10のケース一覧

以下に、弁護士への依頼を検討すべき具体的なケースをまとめました。どれか一つでも当てはまる場合は、弁護士への相談を前向きに検討することをお勧めします。

No.ケース主な理由
相手方の相続人に弁護士がついた法的知識・交渉力のパワーバランスが崩れるため
感情的な対立で話し合いができない弁護士が窓口となり直接対話を回避できる
遺産の内容が分からない弁護士が調査しながら手続きを進められる
相続人の中に認知症などで判断能力がない方がいる成年後見制度の利用が必要になる
相続人の中に行方不明・音信不通の方がいる不在者財産管理人の選任など法的手続きが必要
会ったこともない相続人がいる弁護士が丁寧な書面で連絡・交渉を行う
数世代前の相続が未解決で相続人が多数いる複雑な権利関係の整理が必要
亡くなった方の預貯金が使い込まれている疑いがある使い込み分の返還請求が必要になる
特定の相続人が多額の生前贈与を受けている(特別受益)特別受益を主張して公平な分割を求める必要がある
特定の相続人が介護などに特別に尽力した(寄与分)寄与分を主張して相続分の調整を求める必要がある

📝 このセクションのまとめ

  • 弁護士が必要になるケースは大きく10種類に整理できる
  • 一つでも当てはまるなら早めの相談が解決への近道

ケース①:相手方の相続人に弁護士がついた場合

遺産分割においては、法的な知識と経験が必要な交渉になります。相手方に弁護士がついた場合、ご自身が弁護士をつけないという状況では、経験と法律的な知識においてパワーバランスがかなり向こうが上になってしまいます。

また、弁護士は業務として相手方の代理人ですから、相手方の利益を考えて行動します。そのため、相手方についた弁護士が必ずしも法的に正しいことを言っているとは限りません。しかし向こうに弁護士がついて強い主張を受けると、それが法的に正しいのかどうか判断できず、どんどん交渉が押されてしまいます。

適正な反論をしてバランスを保っていくためにも、相手方に弁護士がついた場合にはこちらも弁護士をつけることを検討すべきです。

💡 補足:動画では触れていませんが…

相手方弁護士から書面が届いた場合、通常は「○○日以内に回答ください」という期限が設けられています。焦って一人で対応しようとせず、まず弁護士に相談することが重要です。期限内に対応できない場合は、その旨を弁護士に伝えれば期限延長を求めることもできます。

📝 このセクションのまとめ

  • 相手方に弁護士がついたら、こちらも弁護士をつけることを検討する
  • 相手方弁護士の主張が必ずしも法的に正しいとは限らない
  • 専門家同士で対等に交渉することが公平な解決につながる

ケース②③:感情的対立・遺産の内容が不明な場合

感情的な対立でもう話し合いができない場合、例えば話すと喧嘩になってしまう、相手方が怖くて話し合いができないといった状況では、弁護士を代理人として立てることで状況が大きく改善します。

弁護士が代理人になると、弁護士が全面に立って窓口になって話を進めていくため、相手方と直接話し合いをする必要がなくなります。怖い・不安・信頼できない・感情的にぶつかってしまうといった理由で話し合いが難しい場合には、弁護士への依頼を検討してください。

📌 ポイント:遺産の内容が分からない場合

亡くなった方(被相続人)と関係が疎遠で遺産の内容が分からない場合や、他の相続人が遺産の資料を全部持ってしまっていて開示してくれない場合にも、弁護士の力・経験を使って遺産を調査しながら手続きを進めることができます。

💡 補足:動画では触れていませんが…

弁護士には「弁護士照会」という制度があり、金融機関や公的機関に対して正式に情報開示を求めることができます。個人では開示してもらえない預貯金の残高や取引履歴なども、弁護士を通じて調査できる場合があります。

📝 このセクションのまとめ

  • 弁護士が代理人になると相手方と直接話す必要がなくなる
  • 遺産の内容が不明な場合も弁護士が調査を手伝える
  • 他の相続人が資料を開示しない場合も弁護士を通じて対応できる

ケース④⑤⑥:相続人に特殊な事情がある場合

相続人の中に認知症などで判断能力がない方がいる場合は、遺産分割協議を進めることができません。判断能力がない方は遺産分割協議書に署名・押印することができないためです。

この場合には、成年後見制度(せいねんこうけんせいど)を利用して成年後見人をつけ、その成年後見人に遺産分割協議に参加してもらうことで手続きを進めることができます。成年後見制度とは、判断能力が低下した方の財産や権利を守るために家庭裁判所が後見人を選任する制度です。

📌 行方不明・音信不通の相続人がいる場合

本当に行方不明の方がいる場合には、家庭裁判所に不在者財産管理人という方を別途選任してもらい、その人に遺産分割協議に参加してもらって話をまとめる必要があります。連絡先は分かっているが何度連絡しても応答がない場合も、弁護士を通じて法的な手続きを進めることができます。

会ったこともない相続人がいる場合も、どこからとっかかりを作ればいいか分からないケースが多いです。この場合には弁護士が丁寧な書面を送り、遺産分けの話し合いを始めるという形をとります。

💡 補足:動画では触れていませんが…

成年後見人が選任された場合、後見人は被後見人(判断能力がない方)の利益を最優先に考えて行動する義務があります。そのため、他の相続人に有利な分割内容には同意しないことがあります。成年後見人がつく場合は、法定相続分に近い内容での分割になることが多い点を理解しておく必要があります。

📝 このセクションのまとめ

  • 判断能力がない相続人がいる場合は成年後見制度の利用が必要
  • 行方不明の相続人がいる場合は不在者財産管理人の選任が必要
  • 面識のない相続人への連絡も弁護士が書面で丁寧に対応できる

ケース⑦⑧:数世代前の未解決相続・預貯金の使い込み疑惑

数世代前の相続が発生していて何十年も経過しており、相続人が枝分かれ式にどんどん増えてしまっているケースは非常に複雑です。こうした案件は大変ですが、弁護士が入ることで少しずつ前に進めることができます。

⚠️ 注意:相続の放置は複雑化を招く

相続登記(不動産の名義変更)の義務化も始まっています。相続の問題を放置しておくと、相続人がさらに亡くなって次世代に問題が引き継がれ、どんどん複雑化していきます。放置することが解決につながることはほとんどありません。

亡くなった方の預貯金が使い込まれている疑いがある場合(例:同居の親族によって遺産が使い込まれている疑いがある場合)も、弁護士への依頼が必要になるケースです。

使い込みの点を不問にして遺産分けするということであれば、ご自身たちで話し合って円満解決できることが理想ですが、それを見過ごせないという状況であれば、弁護士をつけて使い込み分の返還請求を行っていく必要があります。

💡 補足:動画では触れていませんが…

預貯金の使い込みを立証するためには、金融機関の取引履歴(過去10年分程度)の取得が重要です。相続開始後に弁護士を通じて金融機関に取引履歴の開示を求めることができます。ただし、不当利得返還請求権や不法行為に基づく損害賠償請求権には時効があるため、早めの対応が必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 数世代前の未解決相続は相続人が増え続けるため早期解決が重要
  • 相続登記の義務化により、放置するリスクはさらに高まっている
  • 預貯金の使い込み疑惑がある場合は弁護士による返還請求が必要

ケース⑨⑩:特別受益・寄与分を主張したい場合

特定の相続人が亡くなった方から多額の生前贈与を受けているケースでは、それを相続にあたって公平に考えていきたいという場合があります。これを法律用語で「特別受益(とくべつじゅえき)」と言います。

特別受益とは、特定の相続人が被相続人(亡くなった方)から生前に受けた贈与や遺贈のことで、これを相続分の計算に組み込むことで公平な遺産分割を実現する制度です。特別受益を主張したい場合には、弁護士と一緒に考えて、弁護士の代理人から主張していくことが効果的です。

📌 寄与分(きよぶん)とは

特定の相続人が亡くなった方の介護などに特別に尽力した場合、その貢献を相続分に反映させることができます。これを「寄与分」と言います。他の相続人がその貢献を考慮してくれれば問題ありませんが、考慮してくれない場合には弁護士を通じて寄与分を主張していく必要があります。

概念内容主張する側
特別受益他の相続人が生前贈与などで多くもらっている場合に、相続分を減らして公平にする生前贈与を受けていない相続人
寄与分介護・事業への貢献など特別な貢献をした相続人の相続分を増やす特別な貢献をした相続人

💡 補足:動画では触れていませんが…

特別受益・寄与分はいずれも相続人間で合意できない場合、家庭裁判所での遺産分割調停・審判に移行します。調停では調停委員が間に入って話し合いを進め、合意できなければ審判官(裁判官)が審判で判断します。これらの手続きは弁護士なしで進めることが非常に困難なため、早めに弁護士に相談することが重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 特別受益:生前贈与を受けた相続人の相続分を調整する制度
  • 寄与分:介護などで特別に貢献した相続人の相続分を増やす制度
  • どちらも主張が認められないと感じたら弁護士への依頼が有効

「もう少し様子を見よう」が危険な理由

相続問題を放置しておいても、どんどん複雑化していくだけです。放置しておくことが解決につながるということはほとんどありません。

特に以下の点から、早期対応が重要です。

  • 相続登記の義務化が始まり、不動産の名義変更を放置するとペナルティが生じる可能性がある
  • 相続人が亡くなると、その方の相続人がさらに加わり相続人の数が増える
  • 時効の問題があり、使い込みの返還請求など時間が経つと請求できなくなる権利がある
  • 証拠が散逸するリスクがあり、時間が経つほど立証が難しくなる

ご自身で頑張ってみたけれども前に進めることが難しいと感じた段階では、弁護士を代理人につけて遺産相続の問題を解決することに乗り出すことが大切です。

🔄 最新アップデート

相続登記の義務化(2024年4月1日施行)により、不動産を相続した場合は相続を知った日から3年以内に相続登記を行うことが義務付けられました。正当な理由なく申請しない場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。また、2024年4月1日以前に発生した相続についても義務化の対象となるため、未解決の相続がある方は早急に対応が必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 相続問題の放置は複雑化・リスク増大につながるだけ
  • 相続登記の義務化により放置のリスクはさらに高まっている
  • 時効・証拠散逸の観点からも早期対応が重要

📋 この記事を読んだら次にやること

  1. 上記10のケースに自分の状況が当てはまるかチェックする
  2. 一つでも当てはまる場合は、相続専門の弁護士への相談を予約する(初回相談のみでも可)
  3. 亡くなった方の預貯金通帳・不動産の権利証・遺言書などの資料をできる範囲で集めておく
  4. 相続登記(不動産の名義変更)が未了の場合は、義務化の期限(相続を知った日から3年以内)を確認する

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 弁護士 髙橋賢司の遺産相続専門チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 弁護士 髙橋賢司の遺産相続専門チャンネルを応援しています!

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