相続・贈与

相続した売れない土地の処分方法3選|弁護士が解説する負動産対策

相続した売れない土地の処分方法3選|弁護士が解説する負動産対策
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相続した売れない土地「負動産」の処分方法3選を弁護士が詳しく解説します。

売れない土地「負動産」とは?処分に困る方が急増中

処分したくてもなかなか処分ができない不動産を所有して困っている方が多くいらっしゃいます。今回は、そんな悩みに直結する内容として、負動産(なかなか売りたくても売れない不動産)の処分に関するスペシャリストである弁護士の視点から、具体的な処分方法を3つご紹介します。

負動産の処分方法としては、最新の制度から実践的な方法まで、さまざまなアプローチが存在します。以下では「相続土地国庫帰属制度の活用」「インターネット掲示板サイトの活用」「不動産会社への相談」という3つの方法を順に解説していきます。

処分方法①:相続土地国庫帰属制度の活用

1つ目の方法は、相続土地国庫帰属制度です。一言で言うと、「相続した土地を国に返すことができる制度」です。この制度が創設されたことで、これまで手放せないと言われていた負動産が手放せるようになったケースが非常に増えてきています。

この制度は2023年4月下旬から運用が始まり、2025年6月時点でおよそ2年が経過しました。運用実績も着実に積み重なっており、大体15件ほどが国に引き取られています。

前評判としては「条件が厳しすぎて、使える土地はもう売れる土地くらいだから誰も使わないのではないか」と言われていました。しかし実際には、相談・申請自体は全然あり、もちろん必ずしも全件が承認されるわけではないものの、着実に実績が積み重なっています。引き取られている土地は山林が多いですが、農地も多く見られます。農地はなかなか手放せないうえ、欲しい人も最近減っているため、国に返したいという方が多いのが現状です。

相続土地国庫帰属制度の「境界」要件は思ったより厳しくない

この制度を利用する際、「隣の土地との境界がはっきりしていないとダメ」という要件があります。境界の確定は専門的に進めると難しく、専門家に依頼すると数十万円〜100万円かかることもあります。しかし、そこまでの専門的な測量は求められていません

具体的には、お隣さんから「うちの境界はもっと内側だ・外側だ」といったクレームが出なければ、「境界について問題なし」と判断されます。負動産の隣地も大体が同様の負動産であるケースが多く、クレームが出ることはほぼないというのが実態です。専門家でも勘違いしているケースが多いですが、意外と境界の要件はクリアできることが多いと言えます。

また、土壌汚染や竹の繁殖といった要件についても、合う土地・合わない土地がはっきり分かれるイメージです。例えば、土壌汚染のない宅地であれば典型的に合いやすく、竹が生えているかどうかも確認すればわかる話です。「条件が厳しいからハードルが高い」というよりも、合う土地はすごく簡単にクリアできるという感覚で捉えていただくと良いでしょう。

相続土地国庫帰属制度の負担金と安心感

この制度を利用する際には、国に対して負担金を支払う必要があります。大体100万円以下であれば払っても良いという方が多く、「多少お金を払ってでも次の世代・子供たちに迷惑をかけたくない」という声が多く聞かれます。20万〜数十万円程度であれば、手放したいという方が多いのが実情です。

一方で、土地の筆数が非常に多いケースや、負担金が高くなる土地に該当して200〜300万円になるケースでは、さすがに国に返すことをためらう方も出てきます。ただ、そのような金額になっても「なんとか返したい」という方もいらっしゃるため、金銭的なところだけがネックになっているケースはそれほど多くはないという感覚です。

また、この制度の大きなメリットとして「国だから安心できる」という点があります。例えば、第三者に土地を売却した後に土砂崩れが起きて人命に関わる事故が発生した場合、現在の所有者だけでなく、前の所有者にまで責任が及ぶ可能性があります。原則として現在の所有者が責任を負うべきですが、土砂崩れの原因が前の所有者の時代に遡るような場合には、前の所有者にも責任が問われる可能性があります。

ほったらかしにしていた場合は特に、「前の所有者の時代から問題があった」として被害者から責任を追及されるリスクがあります。一方、国有地の管理に問題が生じることはなく、国がとんずらすることも考えられません。その意味でも、国庫帰属制度は前の所有者に及ぶリスクを大幅に軽減できるという点で非常に優れた方法です。手放せれば誰でもいいというわけではなく、しっかりした引き受け先としても国庫帰属制度は非常に良い選択肢と言えます。

処分方法②:インターネット掲示板・売却サイトの活用

2つ目の方法は、インターネット上の掲示板サイトや売却サイトを活用して自分で処分するという方法です。一見すると元も子もない話に聞こえるかもしれませんが、最近この方法が非常に増えてきています。

「自分からしたらこんなの使いようもない、持っていても負担にしかならない」と感じる土地でも、誰かから見ると「すごく使いたい、いい土地に見える」ということが結構あります。メルカリやフリーマーケットサイトと同じように、「自分はいらないけど欲しい人がいる」という構図が土地にも当てはまるのです。そういった掲示板サイトや全国の物件を扱うサイトが充実してきており、自分でそこに掲載して処分するという方法が増えてきています。

空き家バンクもその一例ですが、空き家バンクには難しい点もあります。空き家や別荘を探している人は、特定の市町村をピンポイントで検索するわけではなく、「群馬の辺り」「北関東」「通勤できる範囲で空き家はないか」といった広域での検索をすることが多いです。空き家バンクは各市区町村のホームページに掲載されていますが、自分が住んでいない市区町村のホームページを見る人はほとんどいないため、欲しい人がなかなかたどり着けないというケースもあります。そのため、空き家バンク以外にも、全国の物件を扱う一般的なサイトに掲載することで、欲しい人を探してみるというのが最近増えてきている方法です。

自分で売却する際のリスクと注意点

自分でやる方法の最大のデメリットは、後でトラブルになりやすいという点です。例えば、100万円で土地と建物(空き家)を買ったけれど、そこが実はシロアリだらけで住める状態ではなかった、ということが後から判明した場合はどうなるでしょうか。

一般的な不動産取引では不動産会社が間に入り、シロアリの有無や基礎の状態などをきちんと情報開示した上で譲渡します。そのため後からトラブルが起きにくい仕組みになっています。しかし自分でやる場合は、そういった情報開示が全く不透明なまま進んでしまうため、トラブルになるリスクが高くなります。

また、負動産を欲しがる人は、いわゆる事業者や法人というよりも個人の方が多い傾向があります。例えば山であれば「キャンプがしたい」という理由で欲しいという方がいますが、実際にはテレビやYouTubeを見て「やってみたい」と思った程度の経験値の方も少なくなく、トラブルになるリスクは非常に高いと言えます。

つまり、欲しい人は見つかるけれどトラブルリスクもそれなりにある、という「毒を食らわば皿まで」的な方法でもあります。ただし、リスクをちゃんと見抜ける方や、急いでいない方にとっては非常に良い方法です。とりあえず情報を出しておいて、近隣に住む方が「使いたい」と名乗り出てくれることもありますので、是非専門家(弁護士・税理士・司法書士など)に相談しながら進めることをお勧めします。

処分方法③:不動産会社への相談(法改正で状況が変わった)

3つ目の方法は、不動産会社に相談するというものです。「元も子もない方法」と感じるかもしれませんが、実はこれが今の最新状況を踏まえると非常に有効です。

負動産の処分を考えている方の多くは、「不動産会社に相談したけど断られた」というところが出発点になっています。しかし、それは少し古い情報かもしれません。

従来、不動産会社が「この土地は売れません」「うちでは扱えません」と言う理由は明確でした。不動産会社の手数料は売れた金額の何パーセントという形で計算されるため、例えば10万円で売れる土地があっても手数料が非常に小さくなってしまい、不動産会社にとっては「売れない・扱えない」ものとなっていたのです。実際には10万円なら欲しいという人が結構いても、不動産会社が動けない状況でした。

しかし、宅地建物取引業法(宅建業法)の改正によってルールが変わりました。800万円以下の不動産については、最大30万円〜60万円程度の手数料を取ってよいという規定が新設されたのです。これにより、値段がつかない不動産でも相談に乗ってくれる不動産会社が増えてきました。特に空き家などでは、値段がつかない不動産でも積極的に扱う不動産会社が増えてきているとのことです。

ですから、以前断られた経験があったとしても、改めて不動産会社に相談してみるというのが今の時代には非常に有効な方法です。2束3文でも買い手が見つかれば、財産額がその分少なくなり、相続税の負担も大幅に軽減できます

生前に手放すことが相続税対策にもなる

相続税の評価額はそれなりにつくのに、売ろうとしても全く売れない不動産というのは非常に多く存在します。例えば、誰も買い手が現れないのに相続税評価額が500万〜600万円あり、相続税の負担として100万〜200万円かかってしまうというケースは珍しくありません。

そのような不動産については、生前中に2束3文でもいいから手放すことができれば、財産額がその分少なくなるため、相続税の負担を大幅に抑えることができます。相続が発生してしまった後だと、相続税評価額はルールに従って算定されてしまうため、税理士や不動産鑑定士であっても評価額を下げることには限界があります。

なお、相続土地国庫帰属制度は相続した後の話になってしまうため、生前中には利用できません。その点でも、生前中に不動産会社を通じて処分できるのであれば、相続税対策として非常に効果的です。

また、相続が起きた後に手放すケースでは、「親から相続した土地を自分の判断だけで手放してしまった」という罪悪感や申し訳なさを感じるお子さんもいらっしゃいます。しかし、生前にお父さんやお母さんと一緒に話し合い、「これは相続できないから一緒に処分しよう」と決めて手放せれば、親が納得できる形で処分でき、お子さんの罪悪感も減らすことができます。そういった意味でも、早めに動いていただくことが大切です。

まとめ:負動産の処分は早めの行動が鍵

手放したくてもなかなか手放せない不動産(負動産)についての処分方法を3つご紹介しました。

①相続土地国庫帰属制度:相続で取得した土地であれば、国に返すことができる制度です。境界要件や各種条件は思ったより厳しくない場合も多く、まず検討すべき選択肢です。負担金は多くの場合100万円以下で、国が引き受けてくれるため安心感も高いです。

②インターネット掲示板・売却サイトの活用:全国の物件を扱うサイトに掲載し、欲しい人を探す方法です。急いでいない方や、リスクを理解した上で動ける方に向いています。専門家に相談しながら進めることが重要です。

③不動産会社への相談:宅建業法の改正により、800万円以下の不動産では最大60万円程度の手数料を取れるようになったため、以前は断られていた負動産でも相談に乗ってくれる不動産会社が増えています。一度断られた経験があっても、改めて相談してみる価値があります。

何事も早く動くに越したことはありません。今と5年後・10年後を比べると、頭も体も今の方がクリアに動けるはずです。問題を先送りせず、1日も早く家族と話し合いながら進めていただくことをお勧めします。まずは税金がかかるかかからないかという税務上の検討から始め、そこから具体的な処分方法を検討していくという流れが理想的です。

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 円満相続ちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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