インボイス制度の2024年改正5つの変更点を税理士が解説
2024年にこっそり変わったインボイス制度の5つの新ルールを税理士が解説します。
インボイス制度への反対の声と2024年の改正
インボイス制度が適用されてちょっと経ちましたけど、まだまだこの制度に関する反対の声が大きいですよね。

そうですね。最近だと埼玉県議会でインボイス制度廃止の意見書案が賛成多数で可決されたらしいです。

そうなんですね。今後も動きがありそうなインボイス制度ですけど、実は2024年もいくつか改正があったっていうのはご存知ですか?

そうなんですか?それ、ちょっと見逃してましたね。

結構こっそり変わりましたからね。じゃあ今回はインボイス制度の2024年における変更点についてお話ししていきますね。

よろしくお願いします。

インボイス制度のおさらい
この変更点についてお話しいただく前に、一度インボイス制度をちょっとおさらいしていただいてもよろしいですか?

分かりました。インボイス制度というのは、事業者が消費税の計算を行う際に、登録番号などが記載された適格請求書(通称インボイス)でなければ計算に加えることができないという制度です。

もう理解している方の方が多いと思うんですけど、所得税ではなく消費税に関する制度になってますよね。

正式には適格請求書等保存方式というもので、軽減税率によって複雑化する仕入税額控除の計算に対応するために導入された背景があります。
仕入税額控除は、売上した際に受け取った消費税から仕入れの際に支払った消費税を差し引いて納税する仕組みのことを言います。インボイス制度では、適格請求書以外の請求書は仕入税額控除を受けることができないということになっています。

このインボイスを発行するためには課税事業者になる必要があるってことでしたよね。

はい。基本的に前々年の課税売上高が1,000万円未満の事業者は消費税の免税事業者になるんですけれども、インボイス登録をした場合は売上に関係なく課税事業者になります。

この制度で経理処理がかなりややこしくなって、事務負担が増えましたよね。

経過措置の現状をおさらい
はい。インボイス制度をおさらいするついでに、改めて把握しておきたいのが経過措置の現状です。インボイス制度にはいくつかの経過措置が存在します。

まずは仕入税額控除の経過措置です。これは適格請求書発行事業者ではない事業者との取引をしている場合、適格請求書ではない請求書でも一定割合の仕入税額控除を受けられるという経過措置となっています。フリーランスに外注している企業などは助かる措置ですよね。

はい。

こちらの経過措置なんですけど、2026年まで(2023年10月〜2026年9月)は8割、2029年まで(2026年10月〜2029年9月)は5割控除することが可能です。

ってことは、もう8割控除できる期限が徐々に迫ってますよね。

はい。2026年の10月には控除の割合が変わるので、経理作業などで対策が必要になる可能性がありますよね。

うん。

続いては少額特例です。こちらは一定規模以下の事業者であれば、1万円未満の取引をインボイスなしで仕入税額控除の対象にできる制度です。こちらは適用期限が2029年9月までとなっています。

これはまだ余裕がありますね。

じゃあ次に2割特例ですね。こちらはインボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった事業者を対象にしている特例です。通常の消費税の計算方法の代わりに、売上の消費税の2割を納めれば良いというものになっています。売上の消費税のみが対象になってくるので、適格請求書を受領する必要がないというのがメリットですね。

こちらも適用期限があるんでしょうか?

2割特例の適用期限は2026年9月30日までとなっています。適用期間が過ぎたら消費税の計算のために適格請求書で取引をする必要があるので、経理処理や取引先とのやり取りなどで慌ただしくなるでしょうね。

もう来年には適用期限が終わってしまいますからね。終了間際で慌てないように、対応している事業者は早めの対策が必要になりますね。

ですね。

【変更点①】ECサイトの領収書などのデータがダウンロード不要に
じゃあ、このインボイス制度のおさらいが終わったところで、本題の2024年のインボイス制度の変更点について教えてください。

分かりました。2024年のインボイスの変更点というのはこの5つです。それぞれ詳しくお話ししていきますね。

お願いします。

まずはECサイトの領収書などのデータがダウンロード不要になった点ですね。元々インボイス制度では、ECサイトで事業に関係のあるものを購入した場合、その領収書をダウンロードして保存しておく必要がありました。ECサイト上で領収書等を確認できるだけでは、購入したものの消費税を計算に含められず、ダウンロードして保存する必要があったということです。

ECサイト上で領収書等を確認できるだけでは購入したものの消費税を計算に含められず、ダウンロードして保存する必要があったってことなんですね。

そうなんですよ。それが改正後は、ECサイトでいつでも確認できる状態になっていればダウンロードは不要というルールになったんです。

ええ、じゃあこれはデータの管理なんかの観点からもありがたいですね。

そうなんですよ。ただ、電子取引にかかるデータは電子帳簿保存法で通常7年間、欠損金の繰越控除を受ける場合は10年間保存することが義務づけられています。なのでECサイトがその期間中、領収書を保存してくれているかどうかを確認する必要が出てきますね。

ああ、サイト側が領収書を10年間保存してくれないと、電子取引データの保存要件を満たせなくなってしまう可能性があるってことなんですね。これ、Amazonとかってどれくらい保存してくれるんでしょうかね?

Amazonの場合は領収書等の取引データを最大10年間保存してくれるので、安心して利用できます。ただし、ECサイトで利用されることの多い楽天市場の場合、取引履歴の保存期間が2年と短くなっています。領収書等も2年以内にダウンロードして保存しておく必要があるので注意が必要です。

ええ、これECサイトによって保存のルールが変わってくるんですね。Amazonは問題なさそうなんですけど、他のECサイトのデータの保存期間を確認しておいて、場合によっては外部のストレージなんかに保存しておく必要もあるってことですね。

【変更点②③】ETC利用証明書・金融機関手数料の明細もダウンロード不要に
2つ目はETC利用証明書ですね。こちらもECサイトの領収書等と同じようにダウンロードする必要がなくなりました。こちらは元々、クレジットカードの明細だけでなく、各高速道路会社が運営するETC利用照会サービスから高速道路の利用証明書をダウンロードしてあげる必要があったんです。

これは面倒ですね。

はい。ただ改正後は、繰り返し利用する高速道路に関する利用証明書のダウンロードが不要になりました。

この繰り返し利用する場合に限られるってことですかね。ここで言う「繰り返し」っていうのはどれくらいの頻度を言うんですか?

繰り返しの基準は15ヶ月ですね。15ヶ月に1回利用していれば利用証明書のダウンロードが不要になります。

へえ。

ETC利用照会サービスで利用証明書がダウンロードできる期間が最長15ヶ月なので、それに合わせているということですね。要は利用証明書で高速道路を利用していることが証明できる状態になっていればいいということです。

15ヶ月に1回だったら、出張が少ない場合でも結構対象になる人は多そうですよね。

はい、そうですね。逆に言えば、15ヶ月以上同じ高速道路を利用しない場合は引き続き利用証明書のダウンロードが必要なので注意してください。

はい。

また、金融機関の手数料の明細についても先ほどの2つと同じように、条件次第でダウンロード不要になっています。これは意外と抜けている人が多いんですけど、金融機関の手数料も課税取引に含まれるので、インボイスが必要な取引に該当してきます。振り込みや入出金が多い場合は結構馬鹿にできない金額になりますから、消費税の計算に含めないというのは結構な損になっちゃいますよね。

はい。

元々インターネットバンキング等を利用した入出金の振り込み手数料というのは明細のダウンロードが必要だったんですけど、取引記録を確認できるのであればダウンロードが不要になっています。

これはありがたいですね。細かい明細をいちいちダウンロードしてたら管理が大変になりますからね。

はい。また、店舗での手数料についても、以前は1回分のインボイスを保存しておく必要があったんですけど、各金融機関が発行している各種手数料のお知らせを保持していればそれで代用することができます。

なるほど、そういうことなんですね。

【変更点④】自動販売機・自動サービス機特例の改正
続いては自動販売機や自動サービス機に関する改正です。元々インボイス制度には、3万円未満の自動販売機や自動サービス機の取引についてはインボイスの交付や保存義務が免除される自動販売機特例というものがあります。

自販機のような機械を介して行った取引だと3万円未満だったらインボイスが必要ないってことなんですか?

そういうことです。自動販売機や自動サービス機による取引は少額なことが多いので、それに合わせた特例ということですね。ただし、券売機やコインパーキングみたいな感じでサービスが機械の外で提供されるものについては対象外になりますので注意してください。

この自動販売機特例が改正されたってことですか?

元々自動販売機特例を適用するには一定の情報を帳簿に記載して保存する必要がありました。このうち自動販売機等の住所または所在地については記載の必要がなくなり、より帳簿の記載にかかる負担が少なくなっています。

まあ、いちいち自販機の住所なんて覚えてられないですからね。そういう意味では順当な改正ってことですかね。

【変更点⑤】採用面接者等の交通費に関する改正
5つ目は採用面接者等の交通費に関する改正です。

採用面接者等っていうのは、面接などを行う採用担当者のことってことですか?

いえ、これは就職活動で自社に来社した人のことを指します。採用活動をしていく中で、面接が決まった求職者や内定者に来社してもらう際に交通費を出すことも少なくないと思います。特に内定者に対しては交通費を支給する企業って多いですよね。

はい。

インボイス制度には元々、旅費交通費に関わる特例として出張旅費特例という特例があります。これは従業員等に支払われる旅費交通費については、帳簿に必要情報を記載しておけばインボイスの保存が不要になるというものですね。
この特例は従業員の他、派遣社員や内定者にも適用されるんですけれども、採用面接者については基本的に適用されません。また、派遣社員や内定者などについても、状況的にまだ企業との間で労働契約が成立していないと判断されると同じように適用されません。

結構境界線が曖昧な特例ですね。

それもあってか、改正後は出張旅費特例が適用されない派遣社員や内定者、採用面接者に対して、新たに公共交通機関特例が適用されることになりました。こちらは3万円未満の公共交通機関の支払については帳簿のみの保存で仕入税額控除を認めるというものですね。

つまり3万円未満であれば、該当者に交通費の支払いをしたとしてもインボイスの発行は必要ないってことですね。

まだ雇用契約を結ぶに至っていない採用面接者等に3万円以上の交通費を支給するということはそうそうないと思いますので、基本的には出張旅費特例と同じように処理できるようになったと考えていいでしょうね。

交通費を出すハードルが低くなりますから、求職者にとってもありがたい改正ですね。

今後インボイスがどうなっていくか分かりませんけれども、現状の制度についてはしっかりと把握して、うまく対応していきたいですね。

終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛チャンネルを応援しています!
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