インボイス2割特例が3割特例に延長!個人事業主限定の神改正を税理士が解説
2割特例が廃止されず「3割特例」として個人事業主限定で2027年から復活する見通しです。
令和8年度税制改正の朗報:インボイス2割特例が「3割特例」として復活へ
今回は令和8年度税制改正の中で数少ない朗報、つまり減税のお話です。しかも消費税のインボイス制度に関する話です。
インボイス登録をして消費税の課税事業者デビューをした人にとっての恩恵、つまり節税策が「2割特例」です。この2割特例は残念ながらもう間もなく廃止の予定でしたが、なんと生き残ることになりました。「3割特例」という形で、今までの節税効果ほど大きくはないものの、完全になくなってしまうよりはずっとましです。
今日は次の3点を解説します。
- そもそも2割特例とは何か
- 新しく設けられる3割特例の内容(対象範囲が個人事業主限定に絞られた点を含む)
- 2割特例・3割特例を使うにあたって留意すべきこと(絶対に得とは限らない理由)
📌 ポイント
本記事の内容は収録時点(2024年12月17日)での情報をもとにしています。税制改正大綱の正式発表前の段階のため、細部が変わる可能性があります。ただし、大筋はこの通りになる見込みです。
📝 このセクションのまとめ
- 令和8年度税制改正でインボイス2割特例が廃止されず「3割特例」として存続する見通し
- 節税効果は2割特例より小さくなるが、完全廃止よりははるかにメリットがある
- 対象は個人事業主限定(法人は対象外)
消費税デビュー間もない人の救済措置:2割特例とは何か
2割特例を具体的な例で説明します。登場人物は駆け出しの個人事業主(Aさん)と、その大口取引先である法人(B社)です。B社は規模が大きいため、消費税の課税事業者です。
例えばAさんがB社に動画編集の仕事をして、請求額1万1,000円(税込み)を受け取ったとします。このうち1,000円が消費税です。
📌 なぜB社はインボイス登録事業者と取引したいのか
B社がAさんに支払った消費税1,000円は、AさんがインボイスをB社に交付することで、B社が納める消費税から差し引く(仕入税額控除)ことができます。AさんがインボイスをB社に交付できなければ、B社はこの1,000円を控除できません。そのため、取引先としてはインボイス登録事業者を選びたいのが本音です。
一方のAさんにとっては、個人事業主として駆け出しでいきなり消費税を納めなければならないのは大変です。インボイス制度がなかった時代であれば、開業から1〜2年は受け取った消費税1,000円をそのまま手元に残せていました(免税事業者の特例)。しかしインボイス制度の導入により、それがほぼできなくなりました。
そこで登場したのが2割特例です。本来の消費税計算は「受け取った消費税-支払った消費税(仕入れ・経費分)=納税額」ですが、2割特例では受け取った消費税の2割だけ納めればOKとされています。
| 受け取った消費税 | 納税額(2割特例) | 手元に残る額 |
|---|---|---|
| 1,000円 | 200円(1,000円×20%) | 800円 |
2割特例のメリットは節税だけではありません。消費税の集計作業が非常に楽になり、申告書の作成も簡単です。受け取った消費税の2割を納めるだけなので、事務的な負担も大幅に軽減されます。
📝 このセクションのまとめ
- 2割特例=受け取った消費税の2割だけを納税すればよい制度
- 1,000円受け取れば200円の納税で済み、800円の節税効果がある
- 消費税の集計・申告作業も大幅に簡素化できる
2割特例の廃止予定と「3割特例」への移行スケジュール
この2割特例には使用できる期間が定められており、2026年(令和8年)いっぱいまでが適用期限です。法人の場合は2026年9月末を含む事業年度までとなっています。2027年からは使えなくなる予定でした。
2割特例がなくなれば、受け取った消費税を全額(または原則計算の差額)納めなければならず、節税メリットはゼロになります。駆け出しや事業規模の小さい事業者にとっては非常に厳しい状況です。
一時は「2割特例を恒久的措置としてずっと続ける」という予測もありましたが、それは見送りになりました。しかし完全廃止にはならず、「3割特例」として復活する見通しとなりました。
| 期間 | 適用される特例 | 納税割合 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 〜2026年 | 2割特例 | 受け取った消費税の20% | 個人事業主・法人(要件あり) |
| 2027年〜2028年 | 3割特例(新設) | 受け取った消費税の30% | 個人事業主限定 |
| 2029年以降 | 廃止(予定) | 全額納付 | - |
3割特例では、1,000円受け取った消費税のうち30%=300円を納めれば、残り700円は手元に残ります。2割特例(800円残る)より節税額は減りますが、それでも全額納付よりははるかに有利です。
⚠️ 注意
3割特例は個人事業主限定です。法人には適用されません。法人は事業規模が個人に比べて大きいことが理由として考えられます。法人の方は2割特例が使える2026年9月末を含む事業年度までに最大限活用することが重要です。
この改正により、今後は「3割特例が使える期間は個人事業主として頑張り、3割特例が終わる頃に法人化する」という節税手法が流行る可能性があります。ただし、法人化の判断はあくまでビジネス上の必要性を優先し、節税は二番目以降の優先順位で考えることが大切です。
📝 このセクションのまとめ
- 2割特例は2026年末(法人は2026年9月末を含む事業年度末)で終了予定
- 2027〜2028年は個人事業主限定で「3割特例」(受け取った消費税の30%を納税)が新設される見通し
- 2029年以降は特例廃止で全額納付となる予定
2割特例・3割特例の適用要件と注意点
2割特例(および3割特例も同様のルールになると予想)には、適用できる要件と落とし穴があります。
【適用できる人】
- インボイス登録によって免税事業者から課税事業者になった場合のみ
- それ以外の理由で課税事業者になった場合は適用不可
【適用期間】
令和5年(2023年)10月1日(インボイス制度スタート日)から令和8年(2026年)9月30日までの日の属する各課税期間のみです。
⚠️ 注意:基準期間の売上が1,000万円を超えた場合は使えない
基準期間(2年前)の課税売上が1,000万円を超えている場合、インボイス登録の有無に関わらず消費税の課税事業者となります。この場合は2割特例・3割特例を使えません。例えば2024年の売上が1,000万円を超えていると、2026年は特例の対象外となります。
【適用できないその他のケース】
- 資本金1,000万円以上で法人を設立した場合(設立初年度から課税事業者となるため)
- 自ら「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者になった場合(例:輸出事業者が消費税の還付を受けるために自ら選択した場合)
【手続き面での便利なポイント】
- 事前の届出は不要。消費税確定申告書に記載するだけでOK
- 簡易課税のような「2年間継続適用」の縛りがない
- 確定申告の際に「原則計算」と「2割(3割)特例」を比較して税額が少ない方を毎年自由に選択できる
📝 このセクションのまとめ
- 適用できるのは「インボイス登録によって免税から課税事業者になった人」だけ
- 基準期間(2年前)の売上が1,000万円超・自ら課税選択・資本金1,000万円以上の法人設立などは対象外
- 事前届出不要・2年縛りなし・毎年有利な方を選択可能という使いやすさが魅力
3つの計算方法を比較:2割特例・原則計算・簡易課税のシミュレーション
2割特例や3割特例を使えば必ず得かというと、そうではありません。実は「簡易課税」という第3の計算方法の方が有利になるケースがあります。具体的なシミュレーションで確認しましょう。
【事例】個人でアパレル卸売業を営んでいる場合
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上(税抜き) | 500万円 |
| 仕入れ・経費(税抜き) | 350万円 |
| 受け取った消費税(10%) | 50万円 |
| 支払った消費税(10%) | 35万円 |
| 計算方法 | 計算式 | 納税額 |
|---|---|---|
| ①原則計算 | 50万円-35万円 | 15万円 |
| ②2割特例 | 50万円×20% | 10万円 |
| ③簡易課税(卸売業:みなし仕入率90%) | 50万円×(1-90%)=50万円×10% | 5万円(最安!) |
このケースでは簡易課税が最も税額が低くなります。2割特例が最安とは限らないのです。
簡易課税とは?業種別みなし仕入率の一覧
簡易課税とは、受け取った消費税に業種ごとに定められた「みなし仕入率」を乗じた金額を控除して納税額を計算する方法です。実際の仕入れ・経費の消費税を集計する手間が省けます。
| 業種 | みなし仕入率 | 納税割合(受け取った消費税に対して) |
|---|---|---|
| 卸売業 | 90% | 10% |
| 小売業 | 80% | 20% |
| 製造業など | 70% | 30% |
| 飲食業 | 60% | 40% |
| コンサル・会計事務所・金融保険業・サービス業など | 50% | 50% |
| 不動産関連事業 | 40% | 60% |
みなし仕入率が高い(=納税割合が低い)業種ほど、簡易課税を選ぶメリットが大きくなります。卸売業は仕入れて売るというビジネスモデルで付加価値が低いため、みなし仕入率90%と最も高く設定されています。
【簡易課税の適用要件】
- 基準期間(2年前)の課税売上が5,000万円以下であること(個人事業主の多くが該当)
- 事前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出すること
- 一度選択したら2年間は変更できない(2年縛りあり)
⚠️ 注意:3割特例への移行で簡易課税が有利になる業種が増える
現在の2割特例(受け取り消費税の20%を納税)では、卸売業(簡易課税で10%)のみ簡易課税が有利でした。しかし3割特例(受け取り消費税の30%を納税)になると、小売業(簡易課税で20%)も簡易課税の方が有利になる可能性が高まります。2027年以降は業種ごとのシミュレーションが必須です。
また、経費が多くかかっており実質的に赤字に近い業種では、原則計算(受け取り消費税-支払い消費税)が最も有利になるケースもあります。2割特例・3割特例を使えば「絶対に得」とは言い切れないことを忘れないでください。
📌 ポイント:必ずシミュレーションを行うこと
消費税の計算方法は「原則計算」「2割(3割)特例」「簡易課税」の3種類があり、業種・売上・経費の状況によって有利な方法が大きく異なります。自分の数字を使って必ずシミュレーションを行い、最も税額が低くなる方法を選びましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 消費税の計算方法は①原則計算・②2割(3割)特例・③簡易課税の3種類がある
- 業種・売上・経費によって最も有利な方法は異なるため、必ずシミュレーションが必要
- 3割特例への移行後は卸売業に加え小売業でも簡易課税が有利になる可能性が高い
- 簡易課税は2年縛りがあるため、事前の届出と計画が重要
法人は要注意:決算日によって2割特例が使える期間が大きく変わる
法人については3割特例は使えませんが、2割特例については決算日をいつに設定するかによって適用できる期間が大きく変わります。
法人の2割特例は「2026年(令和8年)9月30日を含む事業年度まで」が適用期限です。つまり決算日が何月かによって、2割特例が使える期間が異なります。
【具体例】12月1日に会社を設立し、決算日を2026年8月末に設定した場合:
- 初年度:12月〜翌年8月末(9ヶ月)→ 2割特例適用可
- 2年目:9月〜2026年8月末(12ヶ月)→ 2026年9月を含む事業年度のため2割特例適用可
- 合計:21ヶ月間2割特例を使うことができる
📌 ポイント
法人を設立する際は、2割特例が使える期間を最大化するために決算日の設定を慎重に検討することが重要です。法人の決算日と2割特例の関連性については別動画でも詳しく解説されています。
📝 このセクションのまとめ
- 法人は3割特例の対象外。2割特例は2026年9月30日を含む事業年度まで
- 決算日の設定次第で2割特例が使える期間が大きく変わる
- 法人設立時は決算日と2割特例の適用期間を必ず確認・計画すること
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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