インボイス制度の銀行手数料処理を税理士が解説|ATM・窓口・ネットバンキングで取り扱いが違う

インボイス制度の銀行手数料処理を税理士が解説|ATM・窓口・ネットバンキングで取り扱いが違う
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ATMはインボイス不要、ネットバンキングは保存必須。支払い方法で処理が変わる銀行手数料の取り扱いを整理します。

この記事で解説する内容

インボイス制度がスタートしたことにより、各金融機関の振込手数料の取り扱いがとても複雑になっています。支払い方法によってインボイスが必要だったり、不要だったりとパターンが分かれます。

本記事では以下の流れで解説します。

  1. 適格請求書の要件の復習
  2. 窓口で払った場合
  3. ATMで払った場合
  4. ネットバンキングを使用した場合
  5. 番外編:売上から振込手数料が差し引かれた場合

📌 ポイント

簡易課税制度や2割特例を使う方は、仕入税額控除のためのインボイス保存は不要です。ただし、将来的に原則課税を選択する可能性もあるため、知っておいて損はない内容です。

📝 このセクションのまとめ

  • 振込手数料のインボイス処理は支払い方法によって異なる
  • 簡易課税・2割特例の方はインボイス保存不要

適格請求書(インボイス)の要件を復習しよう

2023年10月1日からインボイス制度がスタートし、以下の6つの要件をクリアした請求書・領収書を発行しないと、インボイス対応の書類とは認められないルールに変更されました。

番号要件
適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
取引年月日
取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
税率ごとに区分して合計した対価の額および適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

国税庁からサンプルが公開されていますので、こちらの要件をクリアする請求書を発行できるよう準備しておきましょう。

インボイス交付義務が免除される取引とは

インボイス制度には、適格請求書の交付義務が免除される取引が定められています。全部で5つのパターンがあり、今回の銀行手数料に関係するのは4番目の「自動販売機特例」です。

📌 自動販売機特例とは

自動販売機・自動サービス機により行われる課税資産の譲渡等については、インボイスの交付義務が免除されます。
ただし、3万円未満のものに限ります。

この1〜5番に該当する取引はインボイスなしでも仕入税額控除が可能です。この自動販売機特例が、後ほど解説するATMの取り扱いに深く関係してきます。

📝 このセクションのまとめ

  • インボイス交付義務が免除される取引が5パターンある
  • 自動販売機特例(3万円未満)が銀行ATMに関係する
  • 免除に該当する取引はインボイスなしで仕入税額控除OK

【パターン別比較】銀行手数料のインボイス処理

実際の事務作業について、支払い方法のパターン別に解説します。なお、ここで解説する「手数料」は振込手数料だけでなく、両替手数料・残高証明書発行手数料など、銀行に関わる手数料全般を含みます。

支払い方法インボイス保存根拠・備考
銀行窓口必要窓口でインボイス対応の領収書等を受け取れる
ATM不要(3万円未満)自動販売機特例が適用される
ネットバンキング必要自動販売機特例は使えない。各金融機関からダウンロード等で取得

📝 このセクションのまとめ

  • 窓口・ネットバンキングはインボイス保存が必要
  • ATMは自動販売機特例により原則インボイス不要
  • 両替手数料・残高証明書手数料なども同じルールが適用される

銀行窓口で手数料を払った場合

銀行の窓口で手数料を支払った場合は、インボイスの保存が必要です。ただし、窓口ではインボイス対応した領収書等を受け取ることができますので、そこまで難しい対応は必要ありません。

窓口でインボイス対応の書類を受け取り、それを保存しておけばクリアです。

📝 このセクションのまとめ

  • 窓口払いはインボイス保存が必要
  • 窓口でインボイス対応の領収書等をもらえるため、それを保存すればOK

ATMで手数料を払った場合(自動販売機特例)

ATMを使って振込手数料を支払った場合は、インボイスの交付義務が免除されます。これは先ほど解説した「自動販売機特例」が使えるためです。ATMは自動販売機・自動サービス機に該当するとされています。

📌 ATMの自動販売機特例適用条件

3万円未満の自動販売機および自動サービス機により行われる商品の販売等の場合、インボイスなしで仕入税額控除が可能です。インボイスの交付義務が免除されます。

ATMの場合はインボイス保存についてそこまで気にしなくて大丈夫です。ただし、1点重要な注意点があります。

⚠️ 注意

ATMの自動販売機特例を適用する場合、帳簿にATMの設置場所を記載するルールになっています。帳簿のメモ欄または摘要欄に「使用したATMの銀行名と支店名」を記載してください。

国税庁がこのように定めているルールですので、忘れずに対応しましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • ATMは自動販売機特例が適用され、インボイス不要(3万円未満)
  • 帳簿の摘要欄に「銀行名・支店名」の記載が必要

ネットバンキングで手数料を払った場合

ネットバンキングを利用した場合、自動販売機特例は使えません。そのため、窓口と同様にインボイスの保存が必要です。

では、どのようにインボイスを保存すればよいのでしょうか。各金融機関では「各種手数料引き落としのお知らせ」という書類を発行する対応をしています。三菱UFJ銀行などのメインどころの金融機関では、ホームページのお知らせページにインボイス対応についての案内が掲載されています。

金融機関の対応方法内容
郵送(はがき)インボイス要件を満たした手数料のお知らせをはがきで送付
ダウンロードネットバンキング上から該当書類をダウンロードして取得

金融機関によって対応方法が異なりますので、ご利用の金融機関のホームページを確認するか、直接問い合わせてください。受け取ったはがきやダウンロードした書類が、適格請求書の要件をクリアしたものであれば、それを保存することでOKです。

⚠️ 注意:ダウンロード期限に要注意

確定申告の時期になって慌ててダウンロードしようとしたら、ダウンロード期間の有効期限が切れていた、というケースがよくあります。必要書類のダウンロードは年内に済ませておきましょう。

振込手数料のみならず、カード明細・携帯電話料金・水道光熱費なども同様です。必要な書類は早めにダウンロードしておくことが正解です。

📝 このセクションのまとめ

  • ネットバンキングは自動販売機特例不可。インボイス保存が必要
  • 各金融機関が郵送またはダウンロードで対応書類を提供している
  • ダウンロードは有効期限があるため、年内に済ませること

【番外編】売上から振込手数料が差し引かれた場合

取引先から売上の入金があった際に、振込手数料を差し引いて振り込まれるケースがあります。こういった場合、どのようなインボイス対応をすればよいのでしょうか。

本来であれば、値引きや返品があった場合には「適格返還請求書(返還インボイス)」を交付しなければなりません。しかし、小額な返還インボイスについては交付義務が免除されるルールが設けられています。

📌 小額返還インボイスの交付義務免除

値引き・返品等が1万円未満である場合には、返還インボイスの交付が不要です。
この小額返還インボイスの免除には、会社規模の制限や期限の制限はありません。

つまり、差し引かれた振込手数料の金額が1万円未満であれば、小額返還インボイスに該当するため、わざわざ返還インボイスを発行して取引先に送る必要はなくなりました。

なお、1万円以上の金額になる場合は返還インボイスが必要となります。適格返還請求書には以下の記載事項が必要です。

  1. 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
  2. 値引き等の年月日
  3. 値引き等の内容(軽減税率対象品目である旨)
  4. 税率ごとに区分した値引き額等の合計額
  5. 値引き等に係る消費税額等
  6. 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

📝 このセクションのまとめ

  • 振込手数料を差し引かれた場合、本来は返還インボイスが必要
  • 差し引き額が1万円未満なら小額返還インボイスの免除が適用され、交付不要
  • 小額返還インボイスの免除には会社規模・期限の制限なし
  • 1万円以上の場合は返還インボイスの交付が必要

自動販売機特例の間違いやすいポイント

自動販売機特例について、「自動販売機系なら全て使えるのでは?」と思いがちですが、該当するものとしないものがあります。代表的なものを整理しておきましょう。

取引自動販売機特例
ジュースの自動販売機該当する(特例OK)
ATM(銀行)該当する(特例OK・3万円未満)
コインロッカー該当しない(特例NG)
コインパーキング(駐車場)該当しない(特例NG)

⚠️ 注意

コインロッカーや駐車場のコインパーキングは、自動販売機特例の対象外です。「自動で機械が対応するから全部特例が使える」という誤解に注意してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 自動販売機特例が使えるのはジュースの自動販売機・ATMなど
  • コインロッカー・コインパーキングは特例の対象外

今年の確定申告は早めの準備を

インボイス制度がスタートし、確定申告のハードルが上がっています。特にインボイス制度に登録したことで、今年初めて消費税の申告をする方は注意が必要です。

  • 年内には経理を終わらせておく状態を目指す
  • 振込手数料・カード明細・携帯電話料金・水道光熱費などの必要書類のダウンロードを早めに済ませる
  • 税務署の無料相談や電話窓口は激混みが予想されるため、確認したいことは早めに問い合わせる

📌 ポイント

今なら税務署の窓口や電話窓口もまだ空いています。聞きたい質問・確認したいことは早めに対応しておくことが、令和5年度の確定申告を乗り切るコツです。

📝 このセクションのまとめ

  • インボイス登録で初めて消費税申告をする方は特に早めの準備が必要
  • 必要書類のダウンロードは有効期限があるため年内に完了させる
  • 税務署への問い合わせも早めが吉

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士河南のYouTubeチャンネル! の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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