インボイス登録を取り消して翌月から消費税を辞める裏技を税理士が解説
書類2枚でインボイス登録を取り消し、翌月から消費税申告を不要にする方法があります。
この記事でわかること
この記事では、インボイス登録をした個人事業主・フリーランスが「もう消費税をやめたい」と思ったときの具体的な解決策を解説します。消費税をやめたくない方にとっても、消費税の2年縛りルールや課税期間の短縮といった、消費税を運用していく上でぜひ知っておきたい知識が詰まっています。
特に今回の手法は、収録時点ではネット上のどこにも書かれていなかったやり方です。最後までご覧ください。
- インボイス制度とは何か(おさらい)
- 消費税の納付義務とインボイス登録の「ずれ」
- インボイス登録取り消し手続きの方法
- 消費税の2年縛りルール
- 消費税の課税期間の短縮(裏技の核心)
- 短縮した方が有利かどうかの判定方法
📝 このセクションのまとめ
- 消費税をやめたい人向けの実践的な裏技を解説する記事です
- 2年縛りや課税期間短縮など、消費税全般の重要知識も含みます
インボイス制度とは(おさらい)
2023年10月からスタートした消費税のルール変更です。それ以前の請求書・レシート・領収書には、10%や軽減税率の8%という税率を記載すればよいとされていました。これを「区分記載請求書」と呼びます。
それに対して、2023年10月以降に発行する請求書・レシート・領収書については、国が定めたインボイス(適格請求書)を発行することが求められるようになりました。
📌 インボイス(適格請求書)に必要な記載事項
- 税率(10%・8%の区分)
- 税額
- 「T」から始まる13桁の登録番号
ただし、ここで重要なのはインボイスの登録は任意であり、義務ではないという点です。どちらかを自由に選択できるルールになっています。
取引先の会社から「できればインボイス登録してほしい」と言われたため、消費税の免税事業者の方々がよくわからないまま登録したケースが多数ありました。その結果、現在では次のような状況になっています。
| インボイス登録状況 | 消費税の扱い |
|---|---|
| インボイス未登録 | 免税事業者のまま(消費税を納めなくてよい) |
| インボイス登録済み | 自動的に課税事業者(消費税の納税義務あり) |
ただし、この説明は「ちょっと端折った部分がある」と正直に言わなければなりません。次のセクションで詳しく見ていきます。
📝 このセクションのまとめ
- インボイスは2023年10月スタートの消費税ルール変更
- T番号・税率・税額の記載が必要な適格請求書を発行する制度
- 登録は任意だが、登録すると課税事業者になる
消費税の納付義務とインボイス登録は「別の法律」
消費税を納付している「課税事業者」か、納付しなくてよい「免税事業者」かという話と、インボイスを登録しているかどうかという話は、実は別々の法律・別々のルールになっています。ここが非常にややこしい部分です。
それぞれのパターンを整理すると、次のようになります。
| パターン | 消費税の扱い | インボイス | 備考 |
|---|---|---|---|
| 課税事業者 + インボイス登録済み | 納税義務あり | 発行できる | これまで通り+インボイス対応の手間 |
| 課税事業者 + インボイス未登録 | 納税義務あり | 発行できない | メリットが全くないポジション |
| 免税事業者 + インボイス未登録 | 納税義務なし | 発行できない | 消費税分をカットされる可能性あり |
| 免税事業者 → インボイス登録(新規課税組) | 納税義務あり(課税事業者に) | 発行できる | 最初の3年間は2割特例あり |
⚠️ 注意
課税事業者がインボイス未登録のままでいても、消費税の納税義務はなくなりません。インボイスが発行できないのに消費税だけ払うという、デメリットしかない状態になってしまいます。
今回の動画のテーマは、免税事業者だったのにインボイス登録をした「新規課税組」が、やっぱり消費税をやめたいと思ったときにどうすればよいかという話です。
📝 このセクションのまとめ
- 消費税の課税・免税とインボイスの登録・未登録は別々の法律
- 課税事業者でインボイス未登録は最もメリットがない状態
- 今回の対象は、免税事業者からインボイス登録した「新規課税組」
なぜ「消費税をやめたい」人が出てくるのか
2023年10月からインボイス登録をした新規課税組は、2023年の10・11・12月分について課税されていたため、2024年3月末までに消費税の申告・納税をする義務が課せられていました。
仮にこの3ヶ月間の売上が165万円だった場合を例にとると、次のようになります。
| 計算項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上(3ヶ月分) | 165万円 |
| 売上にかかる消費税(10%) | 15万円 |
| 2割特例(20%)を適用した納税額 | 3万円 |
3万円ならまだいいかと思った方も、次の2024年は1月から12月の1年間分が課税対象になります。仮に売上が3ヶ月分の4倍にあたる660万円だった場合はどうなるでしょうか。
| 計算項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上(2024年1年分) | 660万円 |
| 売上にかかる消費税(10%) | 60万円 |
| 2割特例(20%)を適用した納税額 | 12万円 |
660万円の売上に対して12万円の納税というのは、2割特例を使ったとはいえ、かなり痛い出費です。
人によっては、インボイス制度が始まっても消費税分をカットされない取引先があったり、経過措置として80%はもらえる取引先があったりする場合、ただ消費税の納税だけが増えているという状態になってしまい、インボイス登録のメリットがなかったと今になって気づくケースも多くあります。
📝 このセクションのまとめ
- 2024年は1年間分の消費税が課税され、2割特例でも12万円(売上660万円の場合)の納税が発生する
- 取引先の状況によってはインボイス登録のメリットがなく、納税だけが増えるケースがある
インボイス登録の取り消し手続きと「2年縛り」の壁
消費税をやめたいと思ったら、まずインボイス登録の取り消し手続きが必要です。これは実は非常に簡単で、辞めたい日の15日前までに取消し届出書(1枚)を提出するだけです。
📌 取り消し手続きの例
2024年4月16日までに取消し届出書を提出 → 2024年5月1日からインボイス未登録に戻る
しかし、ここに大きな落とし穴があります。インボイスを未登録に戻しただけでは、課税事業者のままになってしまうのです。つまり、「インボイスは発行できないのに消費税は納めてください」という、最もよくわからないポジションになってしまいます。
なぜこうなるかというと、消費税の法律には昔から「課税事業者を選択したら原則2年間は免税事業者に戻れない」という2年縛りルールがあるからです。
2023年10月1日に登録して課税事業者になった方は、原則として2025年9月30日を含む期間までは課税事業者をやめられません。実質的には2025年の年末までやめられないことになります。
⚠️ 注意
インボイスの取り消し届を出しただけでは、消費税の課税事業者はやめられません。インボイス未登録のまま消費税を納め続けるという最悪の状態になる可能性があります。
ただし、消費税初心者にとってこれは厳しすぎるということで、今回のインボイス制度導入に伴って特例が設けられました。
📌 新規課税組への特例(2023年10月〜12月登録者向け)
2023年10月から12月にインボイス登録した新規課税組については、取り消した後の翌課税期間から納税義務なし(免税に戻れる)という特例が認められています。
例:2024年5月1日にインボイス未登録に戻った場合 → 免税になるのは2025年1月1日から
つまり、特例を使っても2024年の年末までは消費税の納税が続くというのが、世の中のネット情報が示している「基本的なルール」です。しかし、ここにもう1つ抜け穴があります。
📝 このセクションのまとめ
- インボイス取消届は辞めたい日の15日前までに提出(書類1枚)
- 取消届だけでは課税事業者のまま。2年縛りルールがある
- 新規課税組の特例により、翌課税期間(2025年1月〜)から免税に戻れる
- それでも2024年末まで消費税納税が続くのが通常の理解
消費税の「課税期間の短縮」という裏技
消費税は一般的に1年間が課税期間と思われがちですが、実は前日までに変更届出書を提出すれば、課税期間を3ヶ月または1ヶ月ごとに選択できる「課税期間の短縮」というルールがあります。届出書はこれも1枚で大丈夫です。
⚠️ 注意
課税期間を3ヶ月ごと・1ヶ月ごとに変更したら、それを2年間続けなければならないという、これまた2年縛りルールがあります。
この課税期間の短縮は、昔からよく使われている裏技です。どのような場面で使われるかというと、例えば次のようなケースです。
📌 課税期間短縮の活用例(設備投資のケース)
ずっと免税事業者だった方が、今年の5月に大きな設備投資(機械・高額車両・太陽光パネルなど)をする予定があるとします。
免税事業者のままでは、設備投資で支払った消費税は単純に「払いっぱなし」になります。しかし課税事業者であれば、もらった消費税よりも払った消費税の方が大きくなり、還付金が発生する可能性があります。
通常、課税事業者になるには課税期間が始まる前日(2024年なら2023年12月末)までに届出が必要です。しかし、課税期間の短縮を使えば4月末までに届出を出すだけで5月1日から課税事業者になれます。そして2ヶ月後の7月に消費税申告をすれば、消費税の還付を受けられます。
この課税期間の短縮は、免税から課税への切り替え、簡易課税から本則課税への変更など、計算方法を変える際によく使われる裏技です。そして、インボイス制度の取り消しにもこの技を使うことができます。
書類2枚で翌月から免税に戻る具体的な手順
例えば2024年は、何もしなければ12月まで消費税の課税期間が続きます。しかし、次の手順を踏むことで2024年5月1日から免税に戻すことが可能です。
- 2024年4月16日までにインボイスの取り消し届出書を提出する
- 2024年4月末までに課税期間の短縮届出書(1ヶ月ごと)を提出する
- 2024年5月1日からインボイス未登録・免税事業者に戻る
- 1月〜4月分の消費税申告を2ヶ月後の6月に行い、納付して完了
- 5月以降は免税のため、消費税の申告・納税は不要
📌 この手法の根拠について
国税庁のQ&Aや他のブログには記載がありませんが、法律を丁寧に読めば適法に実行できる手法です。国税庁に電話確認したところ、担当者が調べた上で「できますよ」という回答を得ています。
⚠️ 注意:2割特例は使えなくなる
課税期間の短縮を使った場合、2割特例が使えなくなり、本則課税のみの適用となります。本則課税とは「もらった消費税から払った消費税を差し引いた分を納める」という計算方法です。これが有利になるかどうかは、経費の多さによって変わります。
📝 このセクションのまとめ
- 取消届(4月16日まで)+課税期間短縮届(4月末まで)の2枚を提出
- 5月1日から免税に戻り、1〜4月分の申告を6月に行えば完了
- ただし課税期間短縮を使うと2割特例は使えず、本則課税になる
- 課税期間の短縮は2年間継続しなければならない縛りがある
課税期間を短縮した方が有利か?判定方法を解説
課税期間を短縮して早めに免税に戻るのと、年末まで2割特例を使い続けるのと、どちらが有利かは経費の多さによって変わります。以下の2パターンで比較してみましょう。
前提条件:年間売上660万円(2024年通年)の場合、2割特例を使えば納税額は12万円です。
【パターンA:経費が多い場合(経費率約50%)】
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 1〜4月の売上 | 220万円 |
| 1〜4月の経費 | 110万円 |
| 差引(課税ベース) | 110万円 |
| 消費税(10%)= 本則課税の納付額 | 10万円 |
| 2割特例で年末まで続けた場合の納付額 | 12万円 |
| 判定 | → 課税期間短縮(4月で切る)が有利 |
【パターンB:経費が少ない場合(経費率約25%)】
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 1〜4月の売上 | 220万円 |
| 1〜4月の経費 | 55万円 |
| 差引(課税ベース) | 165万円 |
| 消費税(10%)= 本則課税の納付額 | 15万円 |
| 2割特例で年末まで続けた場合の納付額 | 12万円 |
| 判定 | → 年末まで2割特例を使う方が有利 |
📌 有利・不利の見極め方
- 経費が多い方(経費率が高い方)ほど、課税期間を短縮して早く免税に戻る方が有利になりやすい
- 経費が少ない方(経費率が低い方)は、年末まで待って2割特例を使い続ける方が有利になりやすい
- ご自身の売上・経費を実際に入力して計算し、有利・不利を判断してください
📝 このセクションのまとめ
- 課税期間短縮(本則課税)vs 年末まで2割特例、どちらが有利かは経費率で決まる
- 経費率が高いほど課税期間短縮が有利、経費率が低いほど2割特例継続が有利
- 自分の売上・経費を実際に計算して判断することが重要
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル オタク会計士ch【山田真哉】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは オタク会計士ch【山田真哉】を応援しています!
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