インボイス・電帳法ルール変更まとめ|税理士が解説するETC・銀行手数料・自販機特例の最新対応
インボイス制度スタートから半年で、ETC・銀行手数料・電帳法など複数のルールが変更されました。最新の対応方法を確認しましょう。
インボイス制度の特例とは?まず基本をおさらい
2023年10月からスタートしたインボイス制度ですが、2024年3月時点ですでにルールが色々と変わっています。
インボイス制度には、インボイスがなくても消費税法上の仕入税額控除(経費処理)が使える「特例」がいくつか設けられています。インボイスは不要でも、帳簿にはきちんと記載が必要です。帳簿への記載事項は以下の通りです。
- 日付
- 内容
- 金額
- 相手先
- 特例の内容(例:公共交通機関特例、自動販売機特例など)
代表的な特例として「公共交通機関特例」があります。これは鉄道・バス・船舶に限り、1回の取引あたり税込金額が3万円未満であればインボイスなしで経費処理できるというルールです。切符などは領収書をもらえないケースが多いため、こうした特例が設けられています。
このほかにも「出張旅費特例」「自動販売機特例」などがあり、今回はこれらとその周辺のルールが変更されていますので、順を追って解説します。
📝 このセクションのまとめ
- インボイス特例を使えば、インボイスなしでも仕入税額控除が可能
- ただし帳簿への記載(日付・内容・金額・相手先・特例内容)は必須
- 公共交通機関特例は鉄道・バス・船舶のみ、税込3万円未満が対象
高速道路ETCのインボイス対応|クレカ明細だけでOKに変更
インボイス制度開始当初、高速道路のETC料金については次のような問題がありました。
公共交通機関特例は鉄道・バス・船舶のみが対象で、高速道路料金は対象外です。つまり高速道路料金を経費にするには原則インボイスが必要でした。しかしクレジットカードの利用明細には、インボイスに必要なTから始まる13桁の登録番号は記載されていません。そのため、クレジットカード明細はインボイスとして認められませんでした。
そこで当初の対応方法として案内されたのが「ETC利用照会サービス」の活用です。このウェブサイトにログインして登録すると「利用証明書」が発行され、それがインボイスになるという仕組みでした。
その後、ルールは段階的に変更されてきました。
| 時期 | ETCのインボイス対応ルール |
|---|---|
| 制度開始当初 | 毎回ETC利用照会サービスから利用証明書をダウンロード・保存が必要 |
| 変更後(第1段階) | 最初の1回だけ利用証明書を取得すればOK。以降はクレカ明細で代替可 |
| 現在(最新) | 繰り返し利用する高速道路会社であれば、クレカ明細だけでOK。ダウンロード不要 |
📌 ポイント
普段使っている高速道路料金を経費にするなら、クレジットカードの利用明細があれば大丈夫です。ただし、ETC利用照会サービスにはログインできる状態にしておきましょう。この変更の背景には、後述する電子帳簿保存法のルール変更があります。
📝 このセクションのまとめ
- 高速道路ETCは公共交通機関特例の対象外のため、原則インボイスが必要
- 現在は繰り返し利用する高速道路会社であれば、クレカ明細だけで経費処理OK
- ETC利用照会サービスへのログインができる状態は維持しておくこと
金融機関の振込手数料・ATM手数料のインボイス対応も大幅緩和
銀行などで発生する振込手数料や入出金手数料についても、原則としてインボイスが必要です。当初は振込のたびに窓口でインボイスをもらう必要がありました。しかし現在はルールが変わっています。
窓口・対面取引の場合は、その銀行につき任意の1回だけインボイスを取得すればOKです。以降は通帳や入出金明細があれば、消費税法上の経費として処理できます。また、銀行から送られてくる「各種手数料にかかるお知らせ」のような案内文書にインボイス番号が記載されていれば、それで代替することも認められています。
インターネットバンキングの場合も同様に緩和されました。以前はオンラインで発行されるインボイスを全件ダウンロード・保存する必要がありましたが、現在はオンラインでインボイスの内容が確認できればOKです。大半のインターネットバンキングでは、操作画面からインボイス番号が載った取引履歴明細証明書が出力できますので、それをいつでも出せる状態であれば普段からのダウンロード保存は不要になりました。
ATMや両替機の場合については、以前から「自動販売機特例」が適用され、税込3万円未満であれば帳簿記載だけでOKでした。ただし当初は帳簿に「何々銀行何々支店のATM」といった住所や設置場所の記載が必要でしたが、これも変更されています。
📌 ポイント
ATMの自動販売機特例における住所・設置場所の帳簿記載は不要になりました。この変更は2023年10月1日に遡って適用されています。
📝 このセクションのまとめ
- 振込手数料は銀行ごとに1回インボイスを取得すれば、以降は通帳・明細で代替OK
- インターネットバンキングはオンラインで確認できる状態であればダウンロード保存不要
- ATMの自動販売機特例における住所・設置場所の帳簿記載は不要(2023年10月1日遡及)
電子帳簿保存法のポイントと2024年からの完全施行
ETCや銀行手数料のルール変更の背景にあるのが、電子帳簿保存法の解釈変更です。条文が変わったわけではなく、国税庁の指導・解釈が変わったことによるものです。
電子帳簿保存法は大きく3つに分かれています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| ①電子帳簿等保存 | 会計ソフト等で作成した帳簿・書類を電子データで保存 |
| ②スキャナ保存 | 紙の領収書・レシートをスキャンして電子保存 |
| ③電子取引データ保存 | ネット・メール等でやり取りした電子データの保存(2024年1月より完全義務化) |
特に重要なのが③の電子取引データ保存で、2024年1月から完全に義務化されています。電子取引データとは、以下のようなものが該当します。
- ネットやメールでやり取りした注文書・契約書・送り状・見積書・請求書・領収書・レシートなど
- AmazonやECサイトでの購入履歴・領収書
- サブスクリプションサービスの利用明細
これらはインボイスも含め、電子データとして保存する義務があります。保存期間は原則7年間、法人で赤字の場合は10年間です。
⚠️ 注意
電子取引データは必ず電子データのまま保存する必要があります。印刷して紙で保存するだけでは原則として認められません(例外あり)。また、ECサイトの保存期間が1〜2年で消えてしまう場合は、自分でダウンロード保存が必要です。
📝 このセクションのまとめ
- 電子帳簿保存法の③電子取引データ保存は2024年1月から完全義務化
- ECサイト・サブスク・メール等のデータが対象
- 保存期間は原則7年(法人赤字は10年)
電帳法の大幅緩和|ECサイトのダウンロード保存が不要になる条件
従来は、AmazonやECサイト上の領収書(インボイスを含む)を1件ずつダウンロードして保存する必要がありました。しかし現在は、マイページや注文履歴でいつでも確認・閲覧できる状態であれば、ダウンロード保存は不要という方向に変わりました。
ただし、ダウンロード保存が不要になるには「検索要件」という条件があります。日付・金額・取引先で検索できる機能がサイト上に備わっていることが原則です。
例えばAmazonビジネスは詳細な検索が可能ですが、通常のAmazonや楽天では金額での検索が難しいケースがあります。そこで、検索要件を満たさない場合でも使える例外措置が設けられています。
| 区分 | 条件 | 検索要件 | ダウンロード保存 |
|---|---|---|---|
| 原則 | なし | 必要(日付・金額・取引先) | 不要(マイページ閲覧可ならOK) |
| 例外措置(規定あり) | 改ざん防止措置等を実施 | 不要 | 不要 |
| 売上5,000万円以下 | 売上高が5,000万円以下 | 不要 | 不要 |
| 宥恕(ゆうじょ)措置 | 相当の理由がある場合 | 不要 | 紙に出力して保存でOK |
特に注目したいのが「売上5,000万円以下」の特例です。売上が5,000万円以下の会社や個人事業主は、検索要件がそもそも不要なので、通常のAmazonや楽天などどのECサイトでも、ダウンロード保存をしなくてよいということになります。
また宥恕(ゆうじょ)措置の「相当の理由」については非常に幅広く認められており、人手不足や費用の問題なども理由として認められます。中小企業であれば大体適用できますが、この場合は紙に出力して保存する必要があります。
📌 ポイント
売上5,000万円以下の事業者は、検索要件なしでどのECサイトでもダウンロード保存が不要です。ただし、そのECサイトに最低7年間データが保存されている必要があります。また、ログインできる状態を維持しておくことも重要です。ETCや銀行のインターネットバンキングのダウンロード不要化も、この電帳法の緩和によるものです。
📝 このセクションのまとめ
- ECサイトのマイページ・注文履歴でいつでも閲覧できるなら、ダウンロード保存は原則不要
- 売上5,000万円以下の事業者は検索要件不要のためほぼすべてのECサイトでOK
- 宥恕措置(相当の理由あり)は紙出力で保存すれば対応可
- サイト側のデータ保存期間が短い場合は自分でダウンロード保存が必要
自動販売機特例の変更|住所・設置場所の記載が不要に
自動販売機特例とは、コインロッカー・コインランドリー・自動販売機・ATMなどの利用について、税込3万円未満であればインボイスがなくても仕入税額控除が使えるという特例です。
インボイス制度の開始当初は、この特例を使うために帳簿に「業者の住所」や「自動販売機の設置場所」を記載する必要がありました。たとえば140円のジュースを自動販売機で買った場合でも、その自動販売機がどこにあるかを帳簿に書かなければなりませんでした。
しかし現在は、住所や設置場所の帳簿記載は不要となりました。この変更は電子帳簿保存法の影響ではなく、多くの方から「そこまで書くのは現実的でない」という声が上がったため、シンプルに廃止されたものです。
📌 ポイント
自動販売機特例における住所・設置場所の帳簿記載は2023年10月1日に遡って不要となっています。すでに記載していた場合でも問題はありませんが、今後は記載しなくて構いません。
📝 このセクションのまとめ
- 自動販売機特例は税込3万円未満の自販機・コインロッカー・ATM等が対象
- 住所・設置場所の帳簿記載は2023年10月1日遡及で不要に
- ATMの自動販売機特例も同様に、銀行名・支店名・住所の記載は不要
インボイス保存が不要になるケース|小額特例・簡易課税・2割特例
ここまで特例の変更点を解説してきましたが、そもそも仕入れ・経費にかかるインボイスの保存が不要なケースもあります。こちらのルールは変更されていませんが、合わせて確認しておきましょう。
| 区分 | 条件 | インボイス保存 |
|---|---|---|
| 小額特例 | 年間売上1億円以下の事業者で、1万円未満の取引 | 不要 |
| 簡易課税 | 売上5,000万円以下で簡易課税を選択している場合 | 不要(金額問わず) |
| 2割特例 | 売上1,000万円以下の課税事業者 | 不要 |
| 免税事業者 | 売上1,000万円以下で消費税の申告義務なし | 不要(そもそも消費税関係なし) |
⚠️ 注意
簡易課税や2割特例を選択している場合、仕入れ・経費にかかるインボイスの保存は不要ですが、売上側のインボイス発行義務は別途あります。自社が課税事業者であれば、取引先にインボイスを発行する義務があることをお忘れなく。
これらのいずれにも該当せず、本来インボイスが必要な課税事業者の場合は、今回解説した各種特例(公共交通機関特例・自動販売機特例・出張旅費特例など)を活用することになります。なお、出張旅費特例についても今回の変更の影響で別途変更が生じており、それに伴う問題も発生しているとのことで、詳細は別途解説が予定されています。
📝 このセクションのまとめ
- 売上1億円以下で1万円未満の取引は小額特例でインボイス保存不要
- 簡易課税選択者(売上5,000万円以下)は金額問わずインボイス保存不要
- 2割特例(売上1,000万円以下)もインボイス保存不要
- 免税事業者はそもそも消費税の申告義務なし
- 出張旅費特例にも変更があり、別途確認が必要
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル オタク会計士ch【山田真哉】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは オタク会計士ch【山田真哉】を応援しています!
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