インボイス制度で2割特例が使えなくなる!危険な届出書を税理士が解説

インボイス制度で2割特例が使えなくなる!危険な届出書を税理士が解説
e_zeirishi

届出書1枚の間違いで2割特例が使えなくなる!損をしないために知っておくべき消費税の落とし穴を解説します。

消費税の届出書には「提出してはダメなもの」がある

消費税って、今回のインボイスもそうですけど、届出書っていくつかあるじゃないですか。提出すべき届出書と、提出すべきじゃない届出書ってあるんですか?

サトウ
サトウ

ありますよ。実はね、届出書っていくつかあって、この提出を間違えると、2割特例っていうお得な制度が使えなくなったりするんです。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

せっかく少ない消費税でいいのに、届出書の提出を間違えるだけで多く納税しなきゃいけなくなる!消費税をたくさん払いたくないですね。

サトウ
サトウ

なので、提出してはダメな届出書について教えていきますね。今回はインボイスで消費税を損しないために、どういう届出書を提出したらダメか、提出すべきなのか、この辺を解説していきます。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

よろしくお願いします。

サトウ
サトウ

消費税の基本:免税事業者と課税事業者の仕組み

まず、ホワイトボードを使って解説していきます。4期分の数字を並べました。売上と給与と経費です。なぜこうしているかというと、消費税がかかるものとかからないものを分けるために書いています。

売上は大体消費税がかかりますよね。売上が1期目990万円、2期目1,100万円、3期目2,200万円、4期目3,300万円。給与は消費税がかかりません。給与が300万・300万・600万・600万。その他の経費は消費税がかかる経費だと思ってください。消費税がかかる経費が550万・150万・1,100万・1,650万です。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

消費税を納めなきゃいけないのかどうかというと、消費税は2年前の売上が1,000万円を超えたら納税しなきゃいけないんです。第1期は2年前がないですよね。2年前がないから、消費税を納めなくていい。ここは免税事業者です。

次に第2期。ここも2年前がないですよね。1年前はあるけど2年前はない。だからここも免税なんです。第3期はどうかというと、2年前を見ると売上が990万円で1,000万円を超えていないので、これも免税なんです。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

インボイス登録で課税事業者になった場合の消費税計算

ここからインボイス制度が始まったとしましょう。本来消費税を納めなくてもいいのに、インボイスというわけのわからん制度がスタートした。取引業者からの無言の圧力もあって、インボイス登録しないと取引業者から切られるということで、免税事業者がしぶしぶインボイス登録して、本来は免税事業者なのに課税事業者になったという会社だとしましょう。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

そうすると消費税を納める時に、2,200万円のうち消費税10%として、2,000万円に10%の200万円が消費税です。給与に消費税はないとして、経費の消費税は1,100万円のうち100万円。

消費税というのは売上の消費税から経費の消費税を引いた差額を国に納税するんですね。そうすると納税額は原則的に200万円-100万円=100万円。これを国に納税するのが消費税の大原則です。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

急に100万円を納めないといけない。本来なら取引先からの圧力がなくてインボイス登録しなければ、こんな100万円を納めなくてもよかったのに。まるまる自分の懐に入れることができたけど、インボイス登録したことによって納めなきゃいけない。100万円って結構でかいですよね。

サトウ
サトウ

そこで国が、免税事業者の人がインボイス登録して課税事業者になった場合に限って、2割特例というのを3年間だけ特例として設けました。2割特例というのは、本来納めなきゃいけない消費税100万円ではなく、売上の消費税の20%を納めればいいよというものです。

そうするといくらになるか。売上の消費税200万円の20%で40万円でいいんです。本来は100万円なんだけど、2割特例で40万円でいいよというのが今、特例で3年間だけ設けられているんです。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

2割特例、ここまでわかりました。

サトウ
サトウ

簡易課税制度選択届出書:卸売業者はさらにお得になる

次のパターンです。この会社が仮に卸売業だったらもっと消費税を少なくできます。これが何かというと、簡易課税制度選択届出書という届出書を提出すると、卸売業の人は売上の消費税の10%でいいよという特例があるんです。2年前の売上が5,000万円以下の会社は適用できます。

この届出書を提出すれば、売上の消費税の10%でいいよとなった場合、売上の消費税200万円の10%は20万円です。40万円より20万円の方が少ないですよね。卸売業の人は2割特例より簡易課税制度選択届出書を提出する方がさらに消費税が安くなります。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

じゃあ卸売業以外の人はどうなるんですか?

サトウ
サトウ

ここでちょっと注意が必要で、簡易課税制度は業種によってパーセンテージが変わります。卸売業は売上の10%なんだけど、小売業は20%、製造業が30%、飲食業は40%と、業種によってこの売上にかけるパーセンテージが違うんです。

卸売業以外の業種はもう20%以上なので、それなら2割特例の20%の方がお得です。だから卸売業以外の人は2割特例でよくて、卸売業の人だけ10%の簡易課税制度選択届出書がいいということです。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

なるほど、理解できました。

サトウ
サトウ

課税事業者選択届出書の罠:2割特例が使えなくなる!

ここで第2期を見てほしいんです。第2期は赤字ですよね。他のところは全部黒字なのに、ここだけ赤字。なぜか経費がやたらとかかっていた。例えば広告宣伝をちょっと打ちまくって経費がやたらとかかっていた。

この期の消費税を見ると、売上の消費税は100万円で、経費の消費税は1,650万円のうち150万円。売上の消費税より経費の消費税の方が多いですよね。これは本来消費税を納めなくてもいいんだけど、消費税の大原則で計算すると、売上の消費税100万円から経費の消費税150万円を引いたらマイナス50万円。納める額がなくて、逆に国からお金が戻ってくる。これを「還付」と言います。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

ただ、本来は免税事業者なので何もしなければ還付は受けられません。還付を受ける方法があって、それが課税事業者選択届出書というものを事前に出しておくと、50万円が戻ってくるんです。

この届出書は何かというと、「私は免税事業者ですけど、消費税をちゃんと計算して納税します」と選べる届出書なんです。こうやって赤字になるような会社は、免税事業者ですけど消費税をちゃんと計算して申告します、経費の消費税の方が多かったら返してくださいということで使う届出書ですね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

経費の消費税の方が多かったらこれを提出しておいた方が得になるわけですね。

サトウ
サトウ

そうです。仮にここで免税事業者から届出書を提出したことによって課税事業者になったとして、50万円の還付を受けられます。何もしなければ1円も返ってこないけど、これを出したことによって戻ってきた。

ただ、そのままこっちに行くとまたややこしいルールがあるんです。この届出書を提出したら、2年間適用の「2年縛り」というのがあって、2年間は必ず消費税をちゃんと計算して納めなさいというルールなんです。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

どういうことですか?

サトウ
サトウ

1回目は還付を受けました。もう1年ちゃんと消費税を計算しなさいというルールなんです。この課税事業者選択届出書は、本来免税事業者だけど消費税をちゃんと計算して、売上の消費税から経費の消費税を引いた差額を納めないといけない。

インボイスの申請とは関係なく、この届出書を提出したことによって課税事業者になるわけです。1番最初のパターンはインボイスの申請をしたから課税事業者になったけど、今回は第2期目でこの課税事業者選択届出書を提出したから第3期目の課税事業者になった。

この場合は2割特例が使えなくなるんです。この40万円というのが使えなくなって、原則的な方法で200万円から100万円を引いた100万円を納めなさいというルールになっちゃう。ややこしいよね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

ややこしいですね。

サトウ
サトウ

2割特例というのは、元々免税事業者の人がインボイスを提出して課税事業者になったら2割特例を使っていいよというルールなんですけど、この届出書を提出したことによって元々の免税事業者ではなくなったわけです。だから2割特例が使えなくて100万円を納めなきゃいけないというルールなんです。

そうすると、第2期では50万円の還付を受けられたけど、第3期で100万円を納めたら、2年間トータルしたらいくらになるか。50万円の納税になるんです

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

えっ、50万円!

サトウ
サトウ

結局ね、50万円を納めることになるんです。2年間通算したら。それなら2年目に課税事業者選択届出書なんかを出さずに、2割特例の40万円の方が得じゃないですか。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

そうなんですね!

サトウ
サトウ

だから目先の還付を目的で課税事業者選択届出書を提出してしまうと、2割特例が使えなくなるというデメリットがある。ややこしいですよね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

ややこしいですね。

サトウ
サトウ

ただ、仮にここが卸売業者なら、2割特例は使えないけど簡易課税制度選択届出書を提出すれば使えるので、20万円でいけます。卸売業なら50万円の還付を受けて、次の期は簡易課税を使って20万円。そうしたらトータルでマイナス30万円でいける。卸売業者ならまだいいけど、卸売業者じゃなければ損をしてしまう。2割特例が使えなくなるという罠があるんです。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

2割特例って何でも使えるかと思ったら、そうじゃないんですね。

サトウ
サトウ

そうなんです。この届出書を提出してしまったら使えなくなる。今回ここで提出したけど、インボイスの申請と同時に間違って提出しちゃっている人もいるので、これは絶対に提出しないこと!ちゃんと後先を考えて提出すべきかどうかを考えなきゃいけない。1回提出したら2年間は消費税を原則的な方法でやらなきゃいけないので、2割特例は使えないというのを押さえておいてください。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

第4期:2年前の売上が1,000万円超で2割特例が使えなくなるケース

まだあるんです。4期目、売上3,300万円、経費が1,650万円、利益が1,050万円。消費税は3,300万円のうち300万円。経費の消費税が150万円。

2年前の売上が1,000万円を超えていたら課税事業者になるということで、2年前の売上を見ると1,100万円なので超えていますよね。そうするともうここは課税事業者なんです。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

ここでインボイスの登録をして課税事業者になった人は2割特例が使えるんだけど、この4期目はそもそもインボイス登録する・しない関係なしに、2年前が1,000万円超えているので課税事業者なんです。ということは、2割特例が使えないんですよ。

2割特例が使えるのは、免税事業者の人がインボイスを登録して課税事業者になった場合。この4期目は免税事業者じゃないから、2割特例が使えない。原則的な方法で300万円から150万円を引いた150万円を納めなきゃいけないということです。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

結局、2割特例っていうのは使えても1年しか使えなかったりもするわけですね。常に2年前の売上がどうなのかというのを見ないといけない。

サトウ
サトウ

そうなんです。でも卸売業者なら10%とかできるので、300万円の10%なら30万円でいける。ここはもう2割特例が使えないけど、他の業種でも簡易課税で得したりする。小売業なら20%が使えるので300万円の20%なら60万円とか。

こういう簡易課税制度は使えるのか、簡易課税制度を使うのか、そもそも原則的な差し引き額で納税するのかというのは選ばないといけない。そういうルールがあります。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

間違えて届出書を提出してしまった場合の対処法

今日覚えておいてほしいのは、課税事業者選択届出書を提出してしまったら2年間適用されるので、その間は2割特例は使えないということです。仮にここで課税事業者選択届出書を提出して2年間使いました。3年目はこの不適用届出書という取り下げができますよね。取り下げても、そもそも第4期目は2年前が1,000万円超えているのでもともと課税事業者なので、2割特例が使えない。結局2割特例がずっと使えないみたいなケースになるので注意してください。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

ややこしいですね。なんでこんなに特例が多いんでしょうね。

サトウ
サトウ

まだちょっと救済措置があるというか、そんなルール知らなかったと。課税事業者選択届出書を提出したら2割特例が使えないなんて知らなかった、という人が多分いっぱいいると思います。そういう時は、例えばこのYouTubeを見て「最近これを出してしまった!」みたいな人もいるかもしれない。多分いますよね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

はい。

サトウ
サトウ

そういう人はすぐに税務署に取り下げの書類を出してください。A4用紙1枚でいいので、「先日提出した消費税課税事業者選択届出書の取り下げをさせてください」というのを一筆パソコンで書いて印鑑をして税務署に提出したら、「間違いやったんやね、じゃあ取り下げとくわ」と言って取り下げてもらうこともできます。

提出して1ヶ月以内ぐらいであれば取り下げてもらえます。取り下げの様式は特にないので、自分でWordで作って取り下げたら、提出はなかったことにしてもらえます。もしこの動画を見て「やばい!」と思った人はすぐに取り下げてください。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

どの書類を提出するかで消費税の納税額がガラッと変わるので本当に注意してください。これを全部なかなか理解している人っていないと思うけどね。インボイスはなくした方がいい。インボイスがなかったらもうちょっとシンプルなんだけど、インボイスが入ってきたことによって余計わけわからなくなってる。インボイスは廃止してほしいですね。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

はい。

サトウ
サトウ

ということで今日は、消費税の届出書はいくつかあるけど、提出したことによって消費税の納税額が多くなるパターンを解説しました。還付を受けるために消費税課税事業者選択届出書を提出したはいいけど、翌年に2割特例が使えなくなるとか、そういうのがあるので、ぜひ注意していただきたいと思います。

税理士アドバイザー
税理士アドバイザー

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 脱・税理士スガワラくん の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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