インボイス番号なしでOK!帳簿記載だけで仕入税額控除できる7つの取引を税理士が解説

インボイス番号なしでOK!帳簿記載だけで仕入税額控除できる7つの取引を税理士が解説
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インボイス番号がなくても仕入税額控除できる取引が7種類あります。小額特例と6つの特定取引の要件、そしてクレカ払い時の注意点を確認しましょう。

インボイス制度の基本的な仕組みをおさらい

インボイス制度への対応は、大きく「売上側」と「支払い側」の2方向に分かれます。売上側については、インボイス登録番号を取得して請求書に記載しておけばOKで、特にやることはありません。

一方、支払い側(経費を計上する側)が大変です。支払い先がインボイス番号を持っているかどうかの確認が必須になります。適格請求書(請求書)または適格簡易請求書(レシート)に登録番号が記載されているかどうかを確認して判断することになります。

国税庁の資料によると、インボイスの記載事項として最も重要なのが「T」から始まる13桁の登録番号です。また、8%・10%それぞれの税率ごとの本体価格と消費税額の記載も必要です。実際、制度開始後にレシートを受け取るたびに確認すると、番号がどこに書いてあるか分からないケースや、一番下にひっそり記載されているケースが多く見受けられます。

📌 消費税の納税額の計算例

売上1,000万円・経費500万円の事業者の場合:

  • 受け取った消費税:1,000万円 × 10% = 100万円
  • 支払った消費税:500万円 × 10% = 50万円
  • 本来の納税額(仕入税額控除あり):100万円 − 50万円 = 50万円
  • インボイスなしで控除できない場合の納税額:100万円(=50万円の負担増)

つまり、経費の支払い先がインボイス番号を持っていない・記載がないという場合、仕入税額控除ができず、消費税の負担が大きく増えてしまいます。この仕入税額控除を受けるためには、帳簿への記載(会計データ入力)請求書・領収書等の保存の両方が必要です。

なお、当面の経過措置として「税額軽減の特例」があります。

期間控除割合
インボイス制度開始〜2026年9月30日(最初の3年間)80%控除可能
2026年10月1日〜2029年9月30日(次の3年間)50%控除可能

いきなり税負担がガツンと増えるわけではありませんが、段階的に厳しくなっていくことは押さえておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 支払い側はインボイス番号の有無を確認する必要がある
  • 番号なしだと仕入税額控除ができず消費税負担が増える
  • 経過措置として最初の3年は80%、次の3年は50%の部分控除が可能

インボイス番号なしでOKな7つの取引とは

原則はここまでお話したとおりですが、実はインボイス番号の記載がなくても、レシート自体がなかったとしても、仕入税額控除が100%できる例外が存在します。それが「小額特例」と「6種類の特定取引」、合計7つです。

📌 ポイント

以下の7つに該当する取引は、帳簿への記載(会計データ入力)をしっかり行えば、インボイス番号の記載がなくても仕入税額控除が100%認められます。

📝 このセクションのまとめ

  • 例外として7種類の取引はインボイス番号なしで仕入税額控除100%OK
  • 帳簿記載(会計データ入力)はしっかり行うことが前提

【1つ目】小額特例:税込1万円未満の取引

7つのうち最初の特例が「小額特例」です。税込み1万円未満の全ての取引が対象となりますが、適用できるのは小規模な個人事業主や会社に限られます。

適用できる事業者の条件は以下のとおりです。

  • 基準期間(おおむね2年前)の課税売上高が1億円以下
  • または特定期間(前期の最初の半年間)の課税売上高が5,000万円以下

個人事業主の方はほとんど当てはまると思いますが、この小額特例はあくまでも制度開始から2029年9月30日までの期間限定の特例です。また、支払い先がインボイス番号を登録しているかどうかに関係なく適用されます。

⚠️ 注意:1万円の判定は「1回の取引ごと」

例えば、5,000円と7,000円の商品を同時に購入して、1枚のレシートに両方記載されて合計1万2,000円になっている場合、これは小額特例の対象外です。1回の取引ごとに判定するため、別々に購入する必要があります。

また、昔の消費税ルールで「3万円未満」と勘違いされている方が多いですが、何でもかんでも小額特例でインボイスいらないというのは1万円未満です。3万円という基準は後述の特定取引に出てくるものです。

なお、税込み価格が1万円未満の売上返品や値引きについても、インボイスなしで仕入税額控除を取ることができます。

📝 このセクションのまとめ

  • 税込1万円未満の取引はインボイス番号なしでも仕入税額控除OK(2029年9月30日まで)
  • 適用できるのは基準期間の課税売上高1億円以下または特定期間5,000万円以下の事業者
  • 1万円の判定は1回の取引ごと。複数商品をまとめて購入して合計1万円超ならNG
  • 「3万円未満ならOK」は誤り。何でもOKなのは1万円未満

【2〜7つ目】6種類の特定取引:個別に列挙されたもの

残りの6種類は、特定の取引類型として個別に列挙されているものです。それぞれ確認していきましょう。

番号取引の種類主な条件・注意点
3万円未満の公共交通機関による旅客の運送バス・新幹線等が対象。タクシーは対象外(適格簡易請求書の保存が必要)
自動販売機などによる商品の販売(3万円未満)直接自動販売機から商品が引き渡されるものに限る。無人レジやコインパーキングはNG
従業員に支給する出張旅費など旅費規程に基づく交通費・日当等。神経質にならなくてOK
郵便料金のみを対価とする郵便・貨物サービス郵便ポストに差し出されたものに限る。切手購入時のレシートがあればOK
使用の際に回収される一定要件を満たす入場券など入場時に回収されて手元に残らないもの(レシートなしで仕入税額控除OK)
宅建業者・古物業者・リサイクル業者等による、インボイス未登録の個人からの建物・古物・再生資源の購入一般消費者はインボイス番号を持たないため、金額が大きくても例外として認められる

②の公共交通機関については、バスや新幹線はOKですが、タクシーは適格簡易請求書の発行が必須となっているため、支払い側がそのレシートをきちんと保存する必要があります。

③の自動販売機については、「直接自動販売機から商品が引き渡されるもの」に限られます。無人レジは商品提供の仕組みが異なるためアウトですし、コインパーキングも商品を提供しているわけではないのでアウトとなります。

⑦については少しマニアックですが、一番イメージしやすいのが不動産です。宅建業者(不動産仲介会社・不動産会社)が一般の個人から建物を購入して販売用の商品とする場合、一般消費者はインボイス番号を持っていません。建物は金額が大きいため、それに対して仕入税額控除を認めないのはあまりにも酷だということで、こういった例外的な取引については金額が大きくても仕入税額控除がOKとされています。

📌 ポイント:レシートがなくても理論上は仕入税額控除OK、でも…

インボイス番号の記載がなくてもOKなのは分かりました。では「レシートが手元になくても本当にOKなのか」という点ですが、消費税の仕入税額控除という意味では理論上は取れます。ただし、法人税・所得税の計算上の経費判定を考えると、経費を支払ったという客観的証拠としてレシートや領収書を保存しておいた方がよいです。なければ即アウトというわけではありませんが、経費性を主張するためには書類の保存(紙またはスキャナー保存)をしっかり行うことをお勧めします。

📝 このセクションのまとめ

  • 3万円未満の公共交通機関(バス・新幹線等)はインボイスなしでOK。タクシーは除く
  • 自動販売機(3万円未満)は直接商品が引き渡されるものに限る。無人レジ・コインパーキングはNG
  • 従業員への出張旅費・日当はインボイスなしでOK
  • ポスト投函の郵便・切手購入はインボイスなしでOK
  • 入場時に回収される入場券等はインボイスなしでOK
  • 宅建業者等による個人からの建物・古物等の購入はインボイスなしでOK
  • 消費税上はレシートなしでも控除できるが、経費性担保のため書類保存は推奨

絶対に捨ててはいけない!クレジットカード払い時の領収書

ここからは注意喚起のお話です。クレジットカードで経費を支払う方は多いと思いますが、その際にカード会社から発行されるカード明細があれば経費性は認められると思っている方が多いです。

法人税・所得税の計算上、経費に落とせるかどうかという点ではカード明細でOKです。しかし、消費税の計算上、カード明細は完全に無効です。

⚠️ 注意:クレカ明細≠消費税の仕入税額控除の証拠

消費税の仕入税額控除に有効なのは、クレカ払いをした際に店舗側が直接発行する領収書(レシート)だけです。カード会社が発行するカード明細には効力がありません。

従来は3万円未満などの場合、クレカ払い時の領収書に関して保存義務がありませんでしたが、インボイス制度の開始により、この点は今まで以上に厳格化されました。

これは実際に起きた税務調査の事例でも確認されています。ある会社では決算書が赤字だったため、経費を否認されても税負担は増えない状況でした。ところが調査官が目をつけたのがクレジットカードの経費で、「領収書は残っていますか」と問われました。昔のカード経費に関する認識から領収書をほとんど残していなかったため、消費税の仕入税額控除だけ取り消しされるという結果になりました。

クレカ払い時のレシートをすでに捨ててしまっている方は、くれぐれもご注意ください。

📝 このセクションのまとめ

  • カード明細は消費税の仕入税額控除には使えない(法人税・所得税の経費計上はOK)
  • 有効なのは店舗が直接発行する領収書・レシートのみ
  • インボイス制度開始後、この点はより厳格化された
  • 実際の税務調査でクレカ経費の領収書不備により消費税控除が取り消された事例あり

消費税の計算方法(本則課税・簡易課税・2割特例)と経理処理の注意点

消費税の計算方法には大きく3種類あります。

計算方法概要仕入税額控除の細かい判定
本則課税売上の消費税から仕入れ・経費の消費税を差し引いて納税必要(インボイスの有無を細かく確認)
簡易課税売上に対して預かった消費税のうち、業種に応じた割合(1〜6割)を納税不要
2割特例インボイス登録を機に課税事業者になった方が使える特例。預かった消費税の2割を納税不要

簡易課税や2割特例では仕入税額控除を細かく判定する必要がないため、「めんどくさい経理処理はいらないのでは」と思われる方も多いです。しかし、本則課税・簡易課税・2割特例のどれが有利かを判定するためには、本則課税での計算もきちんとやっておく必要があります。

そのため、会計データの入力についても、この細かい繁雑な作業を無視してよいとは思わないようにしてください。有利不利の判定のためにも、丁寧な経理処理が求められます。

📝 このセクションのまとめ

  • 消費税の計算方法は本則課税・簡易課税・2割特例の3種類
  • 簡易課税・2割特例は仕入税額控除の細かい判定は不要
  • ただし3つの方法のうちどれが有利かを判定するために本則課税の計算も必要
  • 会計データ入力の繁雑な作業を省略しないよう注意

まとめ:7つの特例をしっかり把握して消費税負担を最小化しよう

インボイス番号なしでも仕入税額控除が取れる7つの取引をまとめると以下のとおりです。

  • 小額特例:税込み1万円未満の取引(課税売上高1億円以下の事業者限定・2029年9月30日まで)
  • 3万円未満の公共交通機関(バス・新幹線等。タクシーは除く)
  • 自動販売機による商品の販売(3万円未満・直接引き渡されるものに限る)
  • 従業員に支給する出張旅費・日当等
  • 郵便料金のみを対価とする郵便・貨物サービス(ポスト投函に限る)
  • 使用時に回収される入場券等
  • 宅建業者・古物業者等による個人からの建物・古物・再生資源の購入

①の小額特例は1万円未満であれば何でもOKですが、②〜⑦は個別に列挙されたものです。わずか7種類なので、ぜひ頭に入れておいてください。

また、インボイス番号の記載はなくてもOKですが、消費税の仕入税額控除以外に経費性を担保するためにはレシートや領収書の保存自体は推奨されます。特にクレジットカード払いの際は、カード明細だけでは消費税の控除が認められないため、店舗発行の領収書・レシートを必ず保存するようにしましょう。

📌 最終ポイント

インボイス制度は勉強すればするほど細かいルールが多く、対応が大変です。しかし制度が始まった以上、正しく理解して対応していくことが消費税負担の最小化につながります。7つの特例を活用しつつ、クレカ払い時の領収書保存など基本的な経理処理を徹底しましょう。

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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