インボイス番号・社名の記載不要?国税庁Q&A最新緩和ルールを税理士が解説
請求書・領収書にインボイス番号や事業者名を書かなくてもよい場合が国税庁Q&Aで明確化されました。
国税庁Q&Aで公表された「記載事項省略」の概要
度々ルールが緩和されているインボイス制度ですが、なんと請求書や領収書にインボイス番号・事業者名・税率すら書かなくていい場合もあるという取り扱いが、つい先日、国税庁のインボイスQ&Aで公表されました。
システムを変えてまで領収書・請求書のフォームを変えた、あの手間とコストは何だったんだとも思えますが、今回はその具体的な内容と注意点を解説します。
📌 ポイント
国税庁のスタンスとしては「新しいルールを作った」のではなく、既存のルールを組み合わせて今回の質問に対してOKという判断をした、と説明しています。
📝 このセクションのまとめ
- インボイス番号・事業者名・税率を請求書・領収書に書かなくてよい場合がある
- 国税庁Q&Aで正式に公表された内容
- 既存ルールの組み合わせによる判断であり、新ルールの創設ではない
Q&Aで示された具体的なケース
今回のQ&Aで取り上げられた質問は次のようなケースです。ある事業者が領収書に以下の情報だけを記載して交付しています。
- 日付
- 購入した商品の詳細(例:ボールペンと芯)
- 領収書発行事業者自身のホームページURL
- QRコード
この内容だけでは当然インボイスの要件を満たしていません。しかし、売り手のホームページ上に以下の情報を掲載し、確認できる状態にしておきました。
| 掲載場所 | 記載内容 |
|---|---|
| 領収書(紙) | 日付・購入品目・ホームページURL・QRコード |
| 売り手のホームページ | 事業者名・インボイス番号・適用税率(10%) |
この方法で「これでOKですか?」という質問に対し、国税庁の回答は「OK」でした。
📝 このセクションのまとめ
- 領収書にはURL・QRコードと最低限の情報のみ記載
- インボイス番号・事業者名・税率はホームページ上に掲載
- この組み合わせで有効なインボイスとして認められる
根拠①:複数書類によるインボイス記載事項の充足(Q&A72)
今回のOK判断の根拠となった既存ルールの1つ目は、Q&A72に書かれている「複数の書類・データでインボイスの記載事項が網羅されていれば有効なインボイスとして認める」という内容です。
具体的には、次のような例が示されています。
- 「請求書」という書類には取引額の合計額(税率ごとに区分)・登録番号・事業者名・取引年月日・宛名を記載
- 取引の詳細は「別途請求明細」として発行し、電磁的記録(データ)で提供
- EDI取引においてデータで提供するケースも含む
📌 ポイント
必ずしも1つの書面にインボイスで要求される記載事項を網羅しなくてもよい。複数の書類・データで満たせばOKというルールです。
似たような話として、事業所用・店舗用の家賃(消費税がかかる)についてインボイスをいちいち大家さんが発行してくれない場合も、預金通帳の支払い履歴と契約書などでインボイスに必要な記載事項が網羅されていればOKとされています。
📝 このセクションのまとめ
- Q&A72に「複数書類でインボイス記載事項を充足できる」旨が既に規定されていた
- 書類とデータの組み合わせも認められる
- 家賃の場合は通帳+契約書の組み合わせでOKとされている
根拠②:電子帳簿保存法の改正に基づく「随時閲覧可能」ルール
もう1つの根拠が、電子帳簿保存法(電帳法)のルール変更に対応してインボイスでも適用されるようになったルールです。
電帳法の改正によって認められるようになったのは、ECサイトなどで商品を購入した場合に、そのECサイト上で売り手が請求書や領収書をアップロードしており、購入者が随時ダウンロードできる状態であれば、いちいちダウンロードして保存しておかなくてもOKというルールです。
| 状況 | 必要な対応 |
|---|---|
| ECサイトで領収書を随時ダウンロード可能な状態 | いちいちダウンロード・保存しなくてもOK |
| サイト上で随時閲覧・検索できる状態 | 電帳法の検索要件等を満たすことが前提 |
ただし、このルールには条件があります。ECサイト上で購入者が満たすべき電子取引の検索要件など電帳法の要件を満たしていることが前提です。
📌 ポイント
ECサイトやオンライン上で随時請求書・領収書が確認でき、かつ検索要件がきちんと満たされている場合は、商業書類の保存方法として認められるというルールです。
今回のQ&Aはこの電帳法の部分を引用しています。インボイスの記載事項として必要なものをホームページ上に載せており、そのホームページのURLとQRコードを領収書・請求書に貼っているケースについて、原則ではそのインボイスの記載事項が書かれたホームページを保存しておかなければなりません(データもしくは書面として)。
ただし、随時そのホームページの該当箇所を閲覧できるようにしておけば、必ずしも都度ダウンロードして保存しておかなくてもよいということです。
📝 このセクションのまとめ
- 電帳法改正により「随時閲覧可能であればダウンロード保存不要」というルールが生まれた
- インボイス制度でもこのルールが適用される
- 電帳法の検索要件等を満たすことが前提条件
2つのルールを組み合わせた結論:買い手側の保存方法
つまり、冒頭で見た通り、次の仕組みが成立します。
- 売り手が簡易的な領収書・請求書を発行し、そこにホームページのURLを記載する
- そのホームページの該当ページにインボイス番号・事業者名・適用税率などを掲載する
- 買い手はその簡易な領収書・請求書を保存するだけで、インボイスの保存として認められる
📌 ポイント
苦労してインボイス対応したのに「なんだこれでいいのか」と思う事業者もいるかもしれませんが、緩和されたルールが明確になりました。
すでにインボイス対応が終わっている事業者にはあまり恩恵はないかもしれませんが、これからインボイス対応をしようとしている、または対応を簡略化したい事業者にはメリットがあります。
📝 このセクションのまとめ
- 「複数書類によるインボイス記載事項の充足」+「随時閲覧可能ルール」の組み合わせでOKとなる
- 買い手は簡易な領収書・請求書の保存だけでインボイス保存として認められる
- これからインボイス対応をする・簡略化したい事業者にメリットがある
重要な注意点:ホームページの継続的な公開義務
⚠️ 注意
簡易な領収書・請求書と合わせてインボイス記載事項が明示されたサイトが随時閲覧可能な状態であることが条件です。
つまり、法令に定められた商業書類の保存期間が満了するまで、そのページを閲覧できる状態にしておかなければなりません。
例えばホームページをリニューアルした際に、インボイスの記載事項が書かれたページが削除・変更されてしまった場合、要件を満たさなくなります。十分注意してください。
継続的に取引を行っている事業者が今回のQ&Aに従った緩和措置を受けるのであれば、常にインボイス記載事項のページを公開し続けなければならないという点は特に重要です。
今後、事業者のホームページには「インボイス」というページがほぼ必須になるかもしれません。事業内容・企業理念・採用情報・料金表などのページに加えて、「インボイス」専用ページを設けることが一般的になっていく可能性があります。
📝 このセクションのまとめ
- 保存期間が満了するまでホームページのインボイス記載ページを閲覧可能な状態に維持する必要がある
- ホームページ改変時にインボイス記載ページが消えると要件を満たさなくなる
- 今後、ホームページに「インボイス」専用ページを設けることが一般的になる可能性がある
インボイス制度の廃止論と今後の方向性
インボイス制度については、埼玉県議会がインボイス廃止の意見書を可決し、廃止運動が高まったこともありました。しかし最近ではその動きが盛り上がっておらず、廃止まで持ち込むのは難しいかもしれません。
廃止になるに越したことはありませんが、廃止にならないのであれば、せめてインボイスのルールをどんどん緩和して事業者の負担を減らしていければと思います。今回のような具体的な緩和事例が今後も明らかになっていくことが期待されます。
📌 ポイント
今回のQ&Aを受けて、インボイス対応を楽にできる余地があるのであれば、今回のQ&Aに合わせてインボイス対応を見直すことも選択肢の一つです。
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士ナガイ の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士ナガイを応援しています!
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