インボイス登録を今すぐ取り消すべき人とは?税理士が手続き方法まで徹底解説

インボイス登録を今すぐ取り消すべき人とは?税理士が手続き方法まで徹底解説
e_zeirishi

よくわからないままインボイス登録した人は、今すぐ取り消しを検討すべきかもしれません。

この記事で解説する内容

今回のテーマは「インボイス:こんな人はすぐに登録を取り消すべし」です。対象は、すでにインボイス発行事業者の登録を済ませている免税事業者の方が主になります。まだ登録を迷っていて登録していないという方は、参考までにご覧ください。

具体的には以下の内容を順番に解説していきます。

  • 影響がないにもかかわらず、なんとなく周りが騒いでいるからインボイス発行事業者の登録をしてしまった方
  • 令和5年度の税制改正大綱によって影響を受けなくなった方・影響が非常に少なくなった方
  • それ以外の理由でインボイス制度を無視してよい方
  • 登録の取り消し方法(時期によって手続きが異なるため要注意)
  • 一旦取り消した後の再申請の可否

📌 ポイント

今年の税制改正大綱が出る前に登録してしまった方や、当初の登録期限(令和5年3月31日)に慌てて登録してしまった方も、よくよく考えたら自分は無視できる人に該当する・影響が少ないと気づいた場合は、一旦取り消しを行っても全く問題ありません。

📝 このセクションのまとめ

  • 対象は「すでに登録済みの免税事業者」
  • 影響がない・少ない人は登録取り消しを検討する価値あり
  • 取り消し後の再申請も可能

そもそもインボイス制度の影響を受けない人とは

インボイス制度の影響を受けない・受けにくい人には、いくつかのパターンがあります。代表的な例を見ていきましょう。

① お客さんの全てが一般消費者(事業者ではない)の場合

取引相手が一般消費者であれば、インボイスを求められることはありません。具体的には以下のような業種が該当します。

  • 美容室・理容室
  • 習い事教室
  • 消費者向けの小売店(駄菓子屋など)
  • スポーツジム
  • 接待などが行われない飲食店(ラーメン店・牛丼屋など)

⚠️ 注意

例外もあります。美容院代を経費にしようとしているモデルやタレント、ラーメン代・牛丼代を経費計上しようとしている事業者がお客さんにいる場合は、インボイスを求められる可能性があります。「お客さんの全てが一般消費者」かどうかを慎重に確認してください。

② お客さんが全員、免税事業者または簡易課税の選択事業者の場合

お客さん自身の消費税の申告方法によっても影響が変わります。お客さんが免税事業者簡易課税の選択事業者であれば、あなたにインボイスを求めてくることはありません。

⚠️ 注意

簡易課税を選択していても、2期前の課税売上高が5,000万円を超えた場合は本則課税になります。その場合はインボイスを求めてくることがあるため、必ずしも簡易課税事業者全員がインボイスを求めないわけではありません。

③ 売上が非課税売上のみの場合

売上が非課税売上であれば、消費税をお客さんに請求する必要がなく、インボイス制度は無関係です。

業種非課税売上の内容
居住用物件の賃貸事業者(大家さん)居住用賃料は非課税売上
保険診療のみの医療機関保険診療は非課税売上(自由診療は課税売上のケースが多い)

④ 唯一無二の存在であるタレント・アスリートなど

「このタレントだからお願いできる」「このアスリートと契約せざるを得ない」といった唯一無二の存在であれば、取引相手に対して強気に交渉することが考えられます。ただし、これは100%ではなく、あまり売れていないタレントさんなどは無視できないケースもあります。

⑤ 仕事や売上が減っても構わない人・引退間近の人

これは本質的な話ではありませんが、仕事や売上が減っても構わないと考えている方や引退間近の方も、インボイス制度を無視してよいといえます。

📝 このセクションのまとめ

  • お客さんが全員一般消費者なら影響を受けにくい(例外あり)
  • お客さんが全員免税事業者または簡易課税事業者なら無視できる可能性あり
  • 非課税売上のみの事業者(居住用大家・保険診療医療機関)はインボイス制度無関係
  • 唯一無二の存在のタレント・アスリートは交渉で対応できる場合あり

令和5年度税制改正「少額特例」で無視できる人が増えた

今年の税制改正大綱で新たに登場した「少額特例」によっても、インボイス制度を無視できる人が出てきました。すでにインボイス発行事業者の登録をしてしまった方で、この少額特例に該当する方は、すぐに取り消しを検討してください。

少額特例とは何か

少額取引、つまり税込み1万円未満の取引については、一定の事業者が行う課税仕入れ(仕入れ取引)についてインボイスが求められません。つまり、インボイスがなくても仕入れ税額控除を受けることができます。

これは、数百円・数十円の仕入れ取引までインボイスの保存を求めると事務処理が非常に煩雑になるため、その負担を軽減するための措置です。

要件内容
対象事業者(基準期間)2期前(基準期間)の課税売上高が1億円以下
対象事業者(前年上半期)前年上半期の課税売上高が5,000万円以下
対象取引税込み1万円未満の課税仕入れ
適用期間(経過措置)インボイス制度開始から6年間(令和11年9月30日まで)

⚠️ 注意

1回の仕入れ取引が常に1万円以上となってしまう事業者は、この経過措置の恩恵を受けることができません。また、これは経過措置であるため、令和11年9月30日までの期限付きです。

少額特例でインボイスを無視できる人とは

お客さんの全てが少額特例の対象事業者であり、かつ1回あたりの商品の販売価格やサービスの提供価格が常に税込み1万円未満の場合は、経過措置の間に限り、相手からインボイスを求められることは少ないといえます。

⚠️ 注意

お客さんがよく理解していない場合、たとえ1万円未満の取引でもインボイスを求めてくる可能性は十分に考えられます。また、お客さんが少額特例の対象事業者かどうかは、実際に確認しないとわからない場合がほとんどです。

📝 このセクションのまとめ

  • 少額特例=税込み1万円未満の取引はインボイス不要(一定規模以下の事業者が対象)
  • 適用期間は令和11年9月30日まで(経過措置)
  • お客さんが全員少額特例対象かつ取引単価が常に1万円未満なら無視できる可能性あり

以前からある経過措置:免税事業者からの仕入れも8割・5割控除OK

以前から設けられている経過措置として、免税事業者からの仕入れについても一定割合の仕入れ税額控除を認めるという措置があります。

期間仕入れ税額控除の割合
インボイス制度開始後 最初の3年間8割控除可能
その後の3年間5割控除可能

具体例で見てみましょう。免税事業者から課税事業者に対して110万円(うち消費税10万円)の売上があった場合を考えます。

タイミング仕入れ税額控除額
インボイス制度前10万円(全額控除)
インボイス制度開始後(最初の3年間)8万円(8割控除)
その後の3年間5万円(5割控除)

このように考えると、最初の3年間は影響が非常に少ないといえます。取引先が「あなたとの取引で消費税の負担が2万円増えるから取引をやめる」とまで言ってくるケースは、おそらく非常に少ないでしょう。

📌 ポイント

よくよく考えた結果、また取引先との話し合いの結果「インボイス発行事業者にならなくても大丈夫」と言ってもらえるような状況であれば、少なくとも最初の3年間は様子見としてインボイス発行事業者の登録を行わないという選択肢も十分に考えられます。

📝 このセクションのまとめ

  • 最初の3年間は免税事業者からの仕入れでも8割控除が認められる
  • その後の3年間は5割控除
  • 最初の3年間は取引先への影響が少なく、様子見という選択肢もあり

インボイス登録の取り消し方法:時期によって手続きが異なる

登録の取り消し手続きは、インボイス制度が始まる前(令和5年9月30日まで)始まった後で大きく異なります。それぞれ確認しましょう。

【制度開始前】取り下げ書の提出

令和5年9月30日までは「取り下げ書」という書類を提出します。これは国税庁から正式なホームが公表されていません。一旦提出したものを取り下げるという手続きは税務上認められており、インボイス発行事業者の登録申請書についても同様に認められています。

取り下げ書に記載すべき内容は以下のとおりです。

  • 宛先:○○税務署長あて
  • タイトル:「取り下げ書」
  • 提出日
  • 氏名・代表者名(法人の場合)
  • 住所・納税地
  • 「○年○月○日に提出した適格請求書発行事業者の登録申請書を取り下げたいので、取り下げ書を提出します」という内容
  • すでに登録番号の通知を受けている場合は登録番号も記載

このシンプルな内容で取り下げを認めてもらうことができます。

【制度開始後】登録の取り消しを求める旨の届出書の提出

インボイス制度が始まった後は「登録の取り消しを求める旨の届出書」を提出します。こちらは国税庁のホームページにフォームが掲載されていますので、そちらを利用してください。

記載内容は以下のとおりです。

  • 納税地
  • 氏名・代表者名・会社名(法人の場合)
  • 法人番号(法人の場合)
  • 登録番号(個人・法人共通)
  • 登録の効力を失う日
  • 当初登録を受けた日

提出時期の注意点

翌期から免税事業者に戻りたい場合は、翌期の初日から起算して15日前までにこの届出書を提出しなければなりません。なお、今年の税制改正大綱が出る前は「30日前」とされていましたが、緩和されて15日前に短縮されました。

⚠️ 注意:課税事業者選択届出書を提出している場合

インボイス発行事業者の登録時に課税事業者選択届出書を提出している場合は、登録の取り消しの際に課税事業者選択不適用届出書も合わせて提出しなければなりません。登録時に課税事業者選択届出書を提出していない方は不要です。

⚠️ 注意:2年縛りに要注意

登録が令和5年10月1日の属する課税期間以外の場合は「2年縛り」があります。個人事業主の場合、令和6年1月1日以降の登録であれば、2年間はインボイス発行事業者(=課税事業者)を継続しなければ免税事業者に戻ることができません。来年以降に登録する場合は特に注意が必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 制度開始前(令和5年9月30日まで):取り下げ書を提出(書式は任意)
  • 制度開始後:国税庁ホームページの「登録の取り消しを求める旨の届出書」を提出
  • 翌期から戻りたい場合は翌期初日の15日前までに提出が必要
  • 課税事業者選択届出書を出している場合は不適用届出書も合わせて提出
  • 令和6年1月1日以降の登録は2年縛りあり

一旦取り消した後の再申請は可能か

取り下げ書を提出して登録を取り消したものの、よくよく考えたら取り消すべきでなかった、あるいは取引先からインボイス発行事業者の登録を要請されたというケースもあるかと思います。

📌 ポイント

一旦登録を取り消した後でも、再度申請することは可能です。一旦登録 → 取り下げ書提出 → さらに考えてやっぱり影響があると判断 → 再申請、という流れも認められています。優柔不断な方も心配はいりません。

📝 このセクションのまとめ

  • 一旦取り消しても再申請は可能
  • 取引先から登録要請があった場合も再申請で対応できる

インボイス制度における重要な考え方:取引先との丁寧なコミュニケーションが鍵

インボイス制度全体について言えることですが、やはり取引先との丁寧な交渉を行うこと、そしてなるべく取引先の状況を把握することが非常に重要です。

できることであれば、以下の点を取引先に確認できると理想的です。

  • 取引先が免税事業者か課税事業者か
  • 課税事業者であれば、消費税の申告方法が簡易課税か本則課税か

なかなかそこまで教えてくれないこともありますし、そもそも聞ける間柄ではないという方も多いかと思います。ただ、できる範囲で取引相手とコミュニケーションをとって確認することができれば、あなたが受ける損失を最小限に抑えることができます。

📌 ポイント

インボイス制度への対応は、自分だけで判断するのではなく、取引先との対話を通じて最適な判断をすることが大切です。確実に影響がない・非常に少ないと判断できる場合は、一旦登録を取り消すことも有効な選択肢の一つです。

📝 このセクションのまとめ

  • 取引先が免税・簡易課税・本則課税のどれかを把握することが重要
  • 取引先との丁寧な交渉・コミュニケーションが損失を最小化する
  • 影響が確実に少ない場合は登録取り消しも有効な選択肢

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士ナガイ の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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