インボイス制度の「取り下げ」と「取り消し」の違いを税理士が解説|2年縛りにも要注意

インボイス制度の「取り下げ」と「取り消し」の違いを税理士が解説|2年縛りにも要注意
e_zeirishi

インボイス制度の登録をやめたい方必見。「取り下げ」と「取り消し」の違い、2年縛りの落とし穴を徹底解説します。

この記事の背景:国税庁が公表した「注意すべき事例」

本記事では、インボイス制度の「取り下げ」と「取り消し」がいったいどう違うのかを解説します。また、取り消し手続きにはかなりややこしいルールがあり、知らないままミスをしてしまうと後々大きな損害につながります。全事業者が必ずしっかりと押さえておきましょう。

本記事の内容は、国税庁が7月末に公開した「注意すべき事例」(皆さんが間違えやすいポイントをまとめた事例集)をもとにしています。この資料はとてもわかりにくい内容になっているため、しっかり理解しておかないと自分が大きな損害を受けてしまいます。

本記事で解説する内容は以下のとおりです。

  • 登録の「取り下げ」とは何か
  • 登録の「取り消し」とは何か
  • 取り消し手続きの2つのパターン(特に「2年縛り」)

📝 このセクションのまとめ

  • 国税庁が7月末に「よくある失敗事例」を公開した
  • 「取り下げ」と「取り消し」は別の手続き
  • 取り消しには2つのパターンがあり、特に「2年縛り」に注意が必要

まず押さえたいインボイス制度のスケジュール

取り下げ・取り消しを理解するうえで、インボイス制度の基本的なスケジュールを先に確認しておきましょう。

日付内容
令和5年9月30日インボイス制度への登録申請の締め切り
令和5年10月1日インボイス制度スタート(適格請求書の発行ルールが走り出す)

この「9月30日」と「10月1日」という2つの日付が、取り下げと取り消しを分ける重要な基準日となります。

📝 このセクションのまとめ

  • 登録申請の締め切りは令和5年9月30日
  • 10月1日がインボイス制度の開始日
  • この2つの日付が「取り下げ」と「取り消し」の境界線

「取り下げ」とは?インボイス制度開始前にやめること

取り下げとは、インボイス制度が開始する10月1日より前に登録をやめることを指します。

つまり、「インボイス制度に登録申請したけれど、やはりやめたい」という場合に提出する手続きが「取り下げ」です。

📌 取り下げのポイント

取り下げ書の提出期限は令和5年9月30日までです。
ただし、郵送の場合は9月30日が土曜日のため、9月29日(金曜日)必着となります。ギリギリに送ると届かないケースがあるので注意してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 取り下げ=インボイス制度開始(10月1日)より前に登録をやめること
  • 提出期限は令和5年9月30日まで
  • 郵送の場合は9月29日(金)必着

「取り消し」とは?インボイス制度開始後にやめること

取り消しとは、インボイス制度が開始した10月1日以降に登録をやめることを指します。制度がスタートしてから様々な事情が変わり、「やはりインボイス制度の登録をやめたい」と判断した場合に行う手続きです。

取り消しを行う場合は、「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を税務署に提出します。この書類は国税庁のホームページからPDFでダウンロードできます。

手続き対象時期提出書類
取り下げ10月1日より前取り下げ書
取り消し10月1日以降適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書

⚠️ 注意

10月1日以降は「取り下げ」という手続きはできなくなります。インボイス制度が開始した後は必ず「取り消し」の手続きが必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 取り消し=インボイス制度開始(10月1日)以降に登録をやめること
  • 「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出する
  • 10月1日以降は「取り下げ」はできない

取り消し手続きには締め切りがある|「15日前ルール」を押さえよう

取り消し手続きには重要な提出期限があります。それが「取り消したい課税期間の初日から起算して15日前の日まで」というルールです。

たとえば、1月1日から登録を取り消したい場合を考えてみましょう。1月1日を起算日として逆算で15日前の日までに届出書を提出しなければなりません。

📌 15日前ルールの具体例(個人事業主・12月決算法人の場合)

令和8年1月1日から登録を取り消したい場合:
→ 令和7年12月17日までに届出書を提出する必要があります。

令和8年1月1日から起算して15日前の日=令和7年12月17日

⚠️ 期限を過ぎるとどうなるか

12月17日の期限を過ぎてしまった場合、令和8年1月1日からの取り消しはできません。取り消しがさらに1年先(令和9年1月1日)に延びてしまい、消費税の申告をもう1年分しなければならなくなります。

また、取り消し届出書を郵送する場合の注意点があります。取り下げ書の郵送とは条件が異なります。

手続き郵送時の有効基準
取り下げ書9月29日(金)必着
取り消し届出書12月17日の通信日付(消印)が有効

とはいえ、何事もギリギリに出すのは良くありません。数日の余裕を持って提出するようにしましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 取り消しには「取り消したい課税期間の初日から起算して15日前の日まで」という提出期限がある
  • 個人事業主・12月決算法人が翌年1月1日から取り消したい場合、前年12月17日が締め切り
  • 期限を過ぎると取り消しがさらに1年延びる
  • 郵送の場合、取り下げ書は「必着」、取り消し届は「消印有効」と条件が異なる

取り消し手続きには2つのパターンがある|「2年縛り」に要注意

ここが本記事で最も重要なポイントです。取り消し手続きには2つのパターンがあります。先ほど解説した「15日前ルール」はパターン1の話です。パターン2には「2年縛り」というルールが加わります。

パターン1:令和5年の課税期間中にインボイス制度を登録した方

令和5年10月1日のインボイス制度開始に合わせて登録した方は、先ほど解説した15日前ルールが適用されます。

例えば、令和5年は免税事業者だったが、10月1日からインボイス制度に登録して課税事業者になった方が、令和6年から免税事業者に戻りたい場合は、令和5年12月17日までに取り消し届出書を提出すれば間に合います。

パターン2:令和5年の課税期間以外に登録した方(2年縛りあり)

問題はこちらのパターンです。令和5年の課税期間以外(令和6年以降)にインボイス制度を登録した方には、登録後2年間の縛りが発生します。

📌 2年縛りの具体例

令和5年は免税事業者で、インボイス制度開始時には登録せず、令和6年2月1日にインボイス制度へ登録したとします。

この場合、令和7年1月1日から取り消したいと思い、令和6年12月17日に取り消し届出書を提出しても、令和7年1月1日には取り消しができません。

なぜなら、登録日(令和6年2月1日)から2年が経過するのは令和8年1月31日であり、この2年縛りの期間中は納税義務が免除されないからです。

免税事業者に戻れるのは令和9年以降となります。

パターン1パターン2
対象者令和5年の課税期間中に登録した方令和6年以降に登録した方
適用ルール15日前ルールのみ15日前ルール+2年縛り
免税事業者に戻れる時期要件を満たせば翌課税期間から可能登録から2年経過後の課税期間以降
具体例令和5年10月1日登録→令和6年から取り消し可令和6年2月1日登録→令和9年以降に免税事業者へ戻れる

⚠️ パターン1の知識だけでは危険

パターン1の「15日前ルール」だけを知っていて、「12月17日までに届出書を出せば大丈夫」と思っていると大きな勘違いになります。令和5年の課税期間以外に登録した方は2年縛りが発生するため、15日前ルールを守っても免税事業者に戻れない場合があります。自分がどちらのパターンに該当するかを必ず確認してください。

まとめると、登録取り消し後に基準期間における課税売上高が1,000万円以下となったことにより免税事業者になることができるのは、登録日から2年経過日が含まれる課税期間の翌課税期間以降となります。令和6年2月1日に登録した方であれば、令和9年以降ということになります。

📝 このセクションのまとめ

  • 取り消しには2つのパターンがある
  • パターン1(令和5年課税期間中に登録)→ 15日前ルールのみ適用
  • パターン2(令和6年以降に登録)→ 15日前ルール+2年縛りが適用
  • 2年縛り期間中は納税義務が免除されず、免税事業者に戻れない
  • 令和6年2月1日登録の場合、免税事業者に戻れるのは令和9年以降

注意点まとめ|インボイス制度の届出関連で押さえるべきこと

インボイス制度の届出関連は、いつまでに何を出せばいいかをしっかりと把握しておくことが重要です。登録の取り消しには特に注意が必要です。

  • 15日前ルール:取り消したい課税期間の初日から起算して15日前の日までに届出書を提出する
  • 2年縛りルール:令和5年の課税期間以外に登録した方は、登録から2年が経過するまで免税事業者に戻れない
  • 郵送の注意:取り下げ書は「必着」、取り消し届出書は「消印有効」と条件が異なる

もちろん、インボイス制度に登録したらそのままずっと継続するという方も多いと思います。取り下げや取り消しをする方は一部です。しかし、様々な事情や外的要素が変わってビジネスのやり方が変わり、インボイス制度を取り消したいと思ったときにこの情報を知っておかないと痛い目に遭います。万が一の備えとして、今のうちにしっかりと押さえておきましょう。

📌 次回予告:2割特例の落とし穴

次回は「2割特例」のルールについて解説します。国税庁が公表した「よくある失敗事例」をもとに、2割特例という計算方法にどういった落とし穴があるのか、そして簡易課税の選択届出書をいつまでに出すのがいいかという重要ポイントも解説します。インボイス制度の選択によって消費税の税額が変わってきますので、ぜひチェックしてください。

📝 記事全体のまとめ

  • 「取り下げ」はインボイス制度開始前(10月1日より前)に登録をやめること。提出期限は9月30日まで(郵送は9月29日必着)
  • 「取り消し」はインボイス制度開始後(10月1日以降)に登録をやめること。「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出する
  • 取り消しには「15日前ルール」があり、個人・12月決算法人が翌年1月1日から取り消したい場合は前年12月17日が締め切り
  • 令和6年以降に登録した方には「2年縛り」が発生し、登録から2年間は免税事業者に戻れない
  • 自分がパターン1・パターン2のどちらに該当するかを必ず確認すること

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士河南のYouTubeチャンネル! の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士河南のYouTubeチャンネル!を応援しています!

関連記事

インボイス登録を取り消して翌月から消費税を辞める裏技を税理士が解説
インボイス番号なしでOK!帳簿記載だけで仕入税額控除できる7つの取引を税理士が解説
電子帳簿保存法とインボイス制度の二重苦を税理士が解説【2024年1月開始】
     

東京エリア

千代田・中央・港区から副都心各区まで、東京の優良税理士法人ランキング

関西エリア

大阪・京都・兵庫・岡山など関西圏の信頼できる税理士法人ランキング

関東エリア

首都圏の神奈川・埼玉・千葉・北関東で実績のある税理士法人ランキング

中部エリア

製造業の集積地、中部・北陸圏で企業支援に強い税理士法人ランキング

九州・沖縄

九州・沖縄地域で地域密着型サービスに定評のある税理士法人ランキング

その他地域

北海道・東北・中国・四国地方の地域に根ざした税理士法人ランキング

記事URLをコピーしました
税理士紹介はこちら
税理士紹介はこちら