税込1万円未満はインボイス不要!小額特例を税理士がわかりやすく解説

税込1万円未満はインボイス不要!小額特例を税理士がわかりやすく解説
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税込1万円未満の取引はインボイスなしでも仕入税額控除できる「小額特例」を解説します。

インボイス制度の負担軽減措置とは

インボイス制度は令和5年(2023年)10月1日からスタートしました。この制度のスタートにあわせて、令和5年の税制改正で「負担軽減措置」が設けられています。事業者がインボイス制度に対応するにあたって、その負担を和らげるための特例です。

負担軽減措置は大きく分けると、以下の4つのポイントで改正が入っています。

  • 2割特例:売上税額の2割を納税額とする特例
  • 小額特例:税込1万円未満の課税仕入れはインボイス保存不要
  • 返還インボイスの小額免除:税込1万円未満の返品・値引きは返還インボイスの交付義務を免除
  • 手続きの柔軟化:各種手続きの簡素化

この記事では、このうち小額特例返還インボイスの小額免除について詳しく解説します。2割特例については別の動画・記事で紹介しています。

📝 このセクションのまとめ

  • インボイス制度は2023年10月1日スタート
  • 負担軽減措置として「2割特例」「小額特例」「返還インボイス免除」「手続き柔軟化」の4つがある
  • この記事では小額特例と返還インボイス免除を解説

小額特例とは何か

小額特例とは、税込み1万円未満の課税仕入れをした場合は、インボイス(適格請求書)の保存がなくても仕入税額控除が認められるという特例です。

インボイス制度がスタートすると、仕入税額控除を受けるためには原則として「適格請求書」の保存が必要になります。適格請求書とは、13桁の登録番号などの所定の記載事項を満たした請求書・領収書・納品書のことです。

しかし、すべての取引について適格請求書を揃えることは、特に少額の取引が多い事業者にとっては大きな負担になります。そこで今回の小額特例では、税込み1万円未満のものについては、従来通り帳簿の保存のみで仕入税額控除が可能とされました。

📌 ポイント

小額特例が適用されると、税込み1万円未満の課税仕入れについては帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められます。適格請求書(インボイス)の保存は不要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 小額特例=税込み1万円未満の課税仕入れはインボイス保存不要
  • 帳簿の保存のみで仕入税額控除が可能
  • インボイスに必要な13桁の登録番号の確認も不要

小額特例の適用期間

小額特例には適用できる期間が定められています。ずっと使い続けられる特例ではないので注意が必要です。

項目内容
適用開始日令和5年(2023年)10月1日
適用終了日令和8年(2026年)9月30日
対象となる取引この期間内の課税仕入れのみ

この適用期間外の取引については、たとえ税込み1万円未満であってもこの特例は使えません。令和8年9月30日以降は、原則通りインボイスの保存が必要になります。

⚠️ 注意

小額特例の適用期間は令和8年(2026年)9月30日までです。期限が来たら原則通りインボイスの保存が必要になります。延長の可能性はゼロではありませんが、現時点では期限があることを必ず頭に入れておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 適用期間は2023年10月1日〜2026年9月30日
  • 期間外の取引は金額にかかわらず小額特例は使えない
  • 延長の可能性もゼロではないが、現時点では期限ありと認識しておくこと

小額特例の対象者

小額特例はすべての事業者が使えるわけではありません。以下のいずれかに該当する事業者が対象となります。

判定基準条件個人事業主の場合の対象期間
基準期間の課税売上高1億円以下前々年(2年前)の売上
特定期間の課税売上高5,000万円以下前年の1月〜6月の売上

「または」の条件なので、どちらか一方に該当すれば小額特例を使うことができます。フリーランスや自営業・中小企業の多くは、この条件に該当するケースがほとんどでしょう。

📌 基準期間・特定期間とは(個人事業主の場合)

  • 基準期間:前々年(2年前)の課税売上高が1億円以下かどうかで判定
  • 特定期間:前年の1月〜6月の課税売上高が5,000万円以下かどうかで判定
  • どちらか一方が条件を満たせばOK

⚠️ 注意

課税売上高がこの基準を超えている場合は、小額特例の対象外となります。自社の売上規模を確認しておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 基準期間の課税売上高1億円以下、または特定期間の売上高5,000万円以下の事業者が対象
  • どちらか一方の条件を満たせばOK
  • 個人事業主の基準期間は「前々年」、特定期間は「前年の1月〜6月」

小額特例の判定基準と具体例

小額特例の判定は税込み1万円未満かどうかで行います。ここで注意したいのは、税抜きではなく税込みで判定するという点です。

判定の考え方について、実際によくある疑問をQ&A形式で見ていきましょう。

📌 ケース①:9,000円と8,000円の商品を同時購入した場合

Q:9,000円と8,000円の商品をそれぞれ同時に購入しました。それぞれ1万円未満なので小額特例に該当しますか?

A:いいえ、該当しません。1回の取引の合計金額で判定します。この場合、合計は17,000円となり、1万円以上のため小額特例の対象外となります。

📌 ケース②:月額20万円の外注費を日割りすると1万円未満になる場合

Q:月額20万円の外注費を支払っています。1日あたりに換算すると1万円未満になりますが、小額特例は使えますか?

A:いいえ、使えません。月単位の取引として契約しているため、月額20万円が1回の取引の金額となります。日割りという考え方は認められません。この場合は小額特例の対象外です。

ケース取引内容合計金額(税込)小額特例の適用
ケース①9,000円+8,000円を同時購入17,000円❌ 対象外(合計で判定)
ケース②月額20万円の外注費を日割り換算月額20万円❌ 対象外(月単位で判定)
ケース③1回の取引で税込9,800円の購入9,800円✅ 対象(1万円未満)

⚠️ 注意

判定は1回の取引の合計金額(税込)で行います。商品ごと・日割りなどの換算では判定しません。複数商品を同時に購入した場合は合計額が1万円未満かどうかで判断してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 判定基準は「税込み1万円未満」(税抜きではない)
  • 複数商品を同時購入した場合は合計金額で判定
  • 月額契約の外注費を日割り換算して1万円未満にする考え方は認められない

返還インボイスの小額免除について

インボイス制度では、返品や値引きが発生した場合に「返還インボイス(適格返還請求書)」を交付する義務があります。しかし、税込み1万円未満の返品・値引きについては、この返還インボイスの交付義務が免除されます。

この小額の返還インボイス免除には、小額特例と異なる重要なポイントがあります。

比較項目小額特例(仕入れ側)返還インボイスの小額免除(売り手側)
対象者基準期間の課税売上高1億円以下など条件ありすべての事業者
適用期間2023年10月〜2026年9月(期限あり)期限なし(恒久措置)
対象金額税込み1万円未満の課税仕入れ税込み1万円未満の返品・値引き

よくある具体例として、売り手が負担する振込手数料を差し引いて入金されるケースがあります。たとえば、550円や880円の振込手数料が売上金額から差し引かれて入金される場合、この手数料分は売り手にとって「値引き」に相当します。

小額の返還インボイス免除がなければ、この手数料分についても毎回返還インボイスを発行して取引先に送付しなければなりませんでした。しかし今回の軽減措置により、税込み1万円未満の返品・値引きについては返還インボイスの発行が不要となりました。

📌 ポイント

返還インボイスの小額免除はすべての事業者が対象で、期限もありません(恒久措置)。小額特例とは別の制度なので混同しないようにしましょう。

⚠️ 注意

交付義務が免除されるのは税込み1万円未満の返品・値引きのみです。1万円以上の返品・値引きが発生した場合は、きちんと適格返還請求書(返還インボイス)を作成して取引先に送付する必要があります。

📝 このセクションのまとめ

  • 税込み1万円未満の返品・値引きは返還インボイスの交付義務が免除
  • 対象者はすべての事業者(売上規模の制限なし)
  • 適用期間の期限なし(恒久措置)
  • 振込手数料を差し引いて入金される場合もこの免除が活用できる

インボイス関連のその他の支援措置

インボイス制度の負担軽減措置以外にも、インボイス制度への対応を支援するための措置がいくつか設けられています。

  • 持続化補助金:インボイス制度関連の取り組みに対して、上限額が50万円プラス加算される措置が設けられています。
  • IT導入補助金:インボイス制度対応のためのIT導入については、下限額の撤廃がされています。どんな安いシステムやツールでも補助対象になります。

また、インボイス制度に関連して「経過措置による仕入税額控除」についても触れておきます。これは小額特例とは別の制度です。

📌 経過措置による仕入税額控除(小額特例とは別)

  • インボイスなしの仕入れについて、最初の3年間は仕入税額の80%を控除可能
  • その後の3年間は50%を控除可能
  • この経過措置は金額にかかわらず適用される(小額特例の「1万円未満」という金額制限はない)

⚠️ 注意

小額特例(税込み1万円未満はインボイス不要)と、経過措置(インボイスなしでも80%・50%控除可能)は別々の制度です。ごっちゃにしないよう、それぞれの内容をきちんと分けて理解しておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 持続化補助金はインボイス関連で上限額が50万円加算される
  • IT導入補助金はインボイス対応ツールの下限額が撤廃されている
  • 経過措置として最初の3年間は仕入税額の80%、その後3年間は50%の控除が可能
  • 経過措置と小額特例は別の制度なので混同しないこと

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士河南のYouTubeチャンネル! の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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