インボイス制度後の税務調査はどうなる?軽微な記載ミスはチェックされないと税理士が解説

インボイス制度後の税務調査はどうなる?軽微な記載ミスはチェックされないと税理士が解説
e_zeirishi

インボイス制度開始後の税務調査、実は軽微なミスは見逃される方針が明らかに。

インボイス制度開始後の税務調査、国税庁長官からの重要コメント

消費税インボイス制度のスタートが確実となった中、今後の税務調査が厳しくなるのではないかと心配されている個人事業主・法人の方は多いと思います。この点について、国税庁長官から公式のコメントが出ましたので、その内容と詳細を解説します。

📌 国税庁長官コメント(結論)

「従来と変わらず、大口でかつ悪質な事例(脱税事例)に限定して調査を実施します。軽微な記載のミスを確認するための調査はこれまでもしてきていません。制度の定着を図ることが当面重要な課題であり、柔軟かつ丁寧な対応をしていきたいと思います。」

つまり、単なる形式面の不備については大目に見るというスタンスが明示されたわけです。インボイスの記載事項に多少の不備があったとしても、納品書や契約書などで必要事項が確認できればOK、請求書(インボイス)の再発行もOKとされています。

📝 このセクションのまとめ

  • インボイス制度開始後も税務調査のスタンスは従来と変わらない
  • 大口・悪質な脱税事例のみが調査対象
  • 軽微な記載ミスを探すような調査は行わない方針

税務調査の基本:強制調査と任意調査の違い

そもそも税務調査には強制調査任意調査の2種類があります。捜索令状を持って突然やってくるようなイメージを持たれている方も多いですが、それは強制調査であり、本当に脱税をしていて何らかの証拠を掴まれている方にのみ行われるものです。

一般的な税務調査は任意調査です。調査の時期などは、顧問税理士・納税者・税務署の3者の合意で決めることができます。

調査の種類対象特徴
強制調査脱税の証拠がある事業者令状を持って突然来る。一般的ではない。
任意調査一般の個人事業主・法人3者合意で時期を決める。3〜8年に1度程度。

中小企業に税務調査が行われる頻度は、だいたい3年から5年に1度です。最近は税務当局も人手不足のため、7〜8年に1回程度になってきている印象です。インボイス制度は10月スタートですが、これに関する調査が入るのは早くても来年以降、通常は2〜3年先以降の話になります。

また、個人より法人の方が事業規模が大きいため、法人の方が調査に入られることが多い傾向があります。どちらかといえば赤字より黒字の事業所の方が入られやすいですが、赤字だから調査が入らないということはありません。赤字の事業所でも消費税単独に近い調査が行われることがあるので注意が必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 一般的な税務調査は任意調査で、突然令状を持ってくるものではない
  • 中小企業への調査頻度は3〜8年に1度程度
  • インボイス関連の調査が来るとしても早くて2〜3年先
  • 赤字法人でも消費税に関する調査が入る場合がある

税務調査でチェックされる税金・されない税金

税務署が税務調査でチェックする税目と、チェックしない税目があります。整理しておきましょう。

区分税目備考
✅ チェックされる(国税)法人税・地方法人税(個人は所得税)調査のメイン項目
✅ チェックされる(国税)消費税法人税・所得税と合わせて確認
✅ チェックされる(国税)源泉所得税給与等の天引き分
✅ チェックされる(国税)印紙税収入印紙の貼付確認
❌ 基本チェックされない(地方税)住民税・事業税・法人住民税国税の修正に連動して自動的に修正される

📌 ポイント

地方税(住民税・事業税など)は税務調査で直接チェックされることは基本的にありません。ただし、国税(法人税・所得税)の修正申告が発生した場合は、地方税も連動して修正されます。

インボイス制度がスタートした後も、消費税単独でチェックされることはまずありません。調査のメインはあくまで法人税・所得税です。

📝 このセクションのまとめ

  • 調査でチェックされるのは法人税・所得税・消費税・源泉所得税・印紙税(国税)
  • 地方税は直接チェックされないが、国税の修正に連動する
  • 消費税単独での調査は基本的に行われない

インボイスの記載不備はどこまで許容される?

国税庁のサイトで示されているインボイス(適格請求書)の記載事項としては、以下のものが形式的な要件として定められています。

  • 発行事業者の氏名または名称
  • 適格請求書発行事業者の登録番号(Tから始まる番号)
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分した対価の額と適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

ただし、多少これらの要件が備わっていなかったとしても、登録番号を取得しており有効なインボイス発行事業者であれば、仕入税額控除はきちんと認められます。納品書や契約書などで必要事項が確認できれば問題なく、インボイスの再発行も認められています。

⚠️ 注意

インボイス番号(登録番号)を持っていない取引先への支払いについて、仕入税額控除を適用してしまっている場合は修正申告が必要になる可能性が高いです。形式的な記載ミスとは異なり、このケースは見逃されません。

記載事項の不備をあげつらうような調査はされないということで、過度に神経質になる必要はありません。ただし、本質的な要件(登録番号の有効性など)については引き続き正確な対応が求められます。

📝 このセクションのまとめ

  • インボイスの形式的な記載ミスは調査でも大目に見られる
  • 納品書・契約書で必要事項が確認できればOK、再発行もOK
  • ただし、登録番号なしの取引先への仕入税額控除適用は修正申告が必要になる可能性あり

税務調査に入られやすい会社の特徴

絶対ではありませんが、税務調査のきっかけになりやすいパターンがあります。以下に該当する場合は注意が必要です。

きっかけ内容
売上の急拡大売上が急激に伸びた事業者は調査対象になりやすい
利益率の不自然な変動特に増収減益など、売上は増えているのに利益が減っているケース
繰越欠損金の使い切り過去の赤字(最長10年繰越可能)を使い切ったタイミングで調査が入るケースあり
長期未接触10年以上調査が来ていない事業者(コロナ明けで増加傾向)

コロナも落ち着いてきたことで、長期間調査が来ていない事業者への調査が再開される可能性があります。心当たりのある方は特に注意しておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 売上急拡大・増収減益・繰越欠損金使い切り・長期未接触が調査のきっかけになりやすい
  • コロナ明けで長期未接触事業者への調査が再開される可能性がある

消費税単独調査に近い3つの事例(要注意)

消費税単独の税務調査は基本的にないと説明しましたが、実務上、実質的に消費税だけを見に来たのではないかと思われるような調査が行われることがあります。経験上、以下の3つのパターンが代表的です。

① 実質人件費である多額の外注費

従業員への給与を「業務委託費(外注費)」として処理することで、社会保険料の負担を避けつつ、消費税の仕入税額控除を取ろうとする経営者が一部います。しかし、以下のような実態があれば実質的な雇用契約とみなされます。

  • その人物が会社の指揮命令下に置かれている
  • 会社側に監督権がある
  • 働く場所・時間が会社によって決められている
  • 時間単位での請求になっている

⚠️ 注意

実質的に雇用契約とみなされた場合、税務上の経費としては認められても、消費税の仕入税額控除は否認されます。悪質と判断された場合は重加算税の対象にもなり得ます。このような処理を行っている会社は要注意です。

② 消費税の還付スキーム(自動販売機・駐車場スキーム)

かつて大家業(不動産賃貸業)を中心に流行した消費税の還付スキームです。自動販売機や駐車場を用意して課税売上を作り出し、建物にかかる消費税を還付してもらうという手法です。現在は法規制によりほとんどできなくなりましたが、これを行った場合は消費税だけを見に来るような調査が行われます。

実際に、書面添付制度(事前に証拠書類を提出して税務調査を省略する制度)を活用することで調査を回避できたケースもありましたが、当時の税制に従って適正な処理をしていたことが前提です。不適切なスキームを使っていた場合は当然修正を求められます。

③ 赤字法人のクレジットカード明細重点調査

クレジットカードで経費を支払うこと自体は問題ありません。カード明細があれば経費に落とすことはほぼ可能です。しかし、消費税の仕入税額控除については話が別です。

⚠️ 注意

クレジットカードの明細だけでは、消費税(10%または8%)を支払った証拠にはなりません。仕入税額控除を適用するためには、それぞれの支払い時点の領収書またはレシートが必要です。カード明細だけ保存してレシートを捨ててしまっている方は今すぐ改善してください。このルールはインボイス制度後も変わらず、むしろ厳しくなることが予想されます。

赤字法人の場合、法人税の修正は発生しにくいですが、消費税の修正申告が発生するケースとして、このクレジットカード明細だけで仕入税額控除を取っているパターンが典型例として挙げられます。

📝 消費税単独調査に近い3つの事例まとめ

  • ①実質人件費の外注費偽装:仕入税額控除が否認される可能性あり
  • ②消費税の還付スキーム:現在は法規制でほぼ不可。実施した場合は消費税単独調査の対象になる
  • ③クレジットカード明細のみで領収書・レシートなし:仕入税額控除が認められない

まとめ:過度に神経質にならず、適法・真面目にやることが大切

国税庁長官が明示したように、形式面のミス程度であれば見逃される方針です。インボイスの記載事項に多少の不備があっても、実態として適正な取引であり、登録番号が有効であれば仕入税額控除は認められます。

一方で、以下のような場合は形式的なミスとは異なり、通常の税務調査で修正を強いられる可能性が高いので注意が必要です。

  • 人件費を外注費として悪質に処理している
  • そもそも必要書類(領収書・レシートなど)がない
  • 登録番号のない取引先への仕入税額控除を適用している

📌 最後のポイント

インボイス制度が始まって経理処理の手間も増え、悩みは尽きないかもしれません。しかし、過度に神経質になりすぎず、適法に真面目にやっていれば大丈夫です。形式的なミスを恐れるより、実質的な書類の保存と正確な処理を心がけることが最も重要です。

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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