インボイス制度後の税務調査はどうなる?軽微な記載ミスはチェックされないと税理士が解説

インボイス制度後の税務調査はどうなる?軽微な記載ミスはチェックされないと税理士が解説
e_zeirishi

インボイス制度開始後の税務調査、軽微な記載ミスはチェックされないと国税庁長官がコメント。その詳細と注意すべきポイントを解説します。

国税庁長官からの公式コメント:従来と変わらないスタンス

残念ながら10月から消費税インボイス制度がスタートすることがほぼ確実となりました。今後の税務調査が厳しくなるのか、非常に気にされている方が多いと思います。それについて国税庁長官からのコメントがありましたので、今回はその詳細・中身について解説します。

📌 国税庁長官コメントの結論

従来と変わらず、大口でかつ悪質な事例に限定して調査を実施します
制度の定着を図ることが当面重要な課題であり、柔軟かつ丁寧な対応をしていきたいというスタンスです。

つまり、軽微な記載ミスを確認するための調査はこれまでもしてきておらず、このスタンスはこれからも変わらないということです。

インボイス制度以前にも、区分記載請求書において消費税の8%・10%の記載が必要とルール化されていましたが、そういった細部まで厳しくチェックされることは少なかったのが実態です。この姿勢は今後も変わりません。

📝 このセクションのまとめ

  • インボイス制度開始後も税務調査のスタンスは従来と変わらない
  • 大口・悪質な脱税事例に限定して調査を実施
  • 軽微な記載ミスのチェックのための調査は行わない

そもそも税務調査とは?強制調査と任意調査の違い

税務調査には強制調査任意調査の2種類があります。捜索令状を持って突然やってくるようなイメージを持たれている方も多いですが、それは強制調査であり、本当に脱税をしていて何か証拠を掴まれている方のみのお話です。

種類対象調査の決め方
強制調査脱税の証拠が掴まれている方のみ強制的に実施
任意調査一般的な事業者顧問税理士・納税者・税務署の3者合意で決定

一般的な中小企業に行われる税務調査は任意調査です。調査の時期などは顧問税理士、納税者、税務署の3者の合意で決めることができます。

中小企業に税務調査が行われるのはだいたい3年から5年に1度です。最近は税務当局も人手不足のため、7〜8年に1回程度になってきているという感覚です。インボイス制度は10月スタートですが、これに関する調査は早い方でも来年、通常は2〜3年先以降のお話になります。

📌 任意調査の傾向

  • 個人事業主より法人の方が事業規模が大きいため調査に入られることが多い
  • 赤字より黒字の事業所の方が入られやすい傾向がある
  • ただし赤字だから調査が入らないわけではなく、消費税単独の調査が行われることもある

📝 このセクションのまとめ

  • 一般的な税務調査は任意調査であり、突然の強制調査は脱税の証拠がある場合のみ
  • インボイス関連の調査は早くても来年以降、通常は2〜3年先
  • 調査頻度は3〜5年に1度(最近は7〜8年に1度の傾向)

税務調査でチェックされる税目・されない税目

税務署がやってくる税務調査で何をチェックされるのかを整理しておきましょう。

区分税目備考
チェックされる(国税)法人税・地方法人税(個人は所得税)メインの調査対象
チェックされる(国税)消費税法人税等と一括して確認
チェックされる(国税)源泉所得税同上
チェックされる(国税)印紙税(収入印紙)同上
チェックされない(地方税)住民税・事業税・法人住民税国税の修正申告と連動して決まる

地方税(住民税・事業税・法人住民税など)は基本的に税務調査でチェックされることはありません。ただし、これらは法人税などの国税と連動して決まります。国税で修正申告が必要になった場合は、地方税も連動して修正が必要になりますので覚えておきましょう。

📌 ポイント

インボイス制度がスタートした後も、消費税単独でチェックされることはまずありません。税務調査のメインはあくまで法人税(個人は所得税)です。消費税は他の税目と一括して確認されるものです。

📝 このセクションのまとめ

  • 税務調査では法人税・消費税・源泉所得税・印紙税が一括してチェックされる
  • 地方税(住民税・事業税等)は直接チェックされないが、国税の修正と連動する
  • 消費税単独の調査はほぼない

インボイスの記載不備はどこまで許容される?

国税庁の公式サイトによると、インボイス(適格請求書)には以下のような形式的な記載事項が定められています。

  • 社名(発行事業者の氏名または名称)
  • 適格請求書番号(インボイス番号:Tから始まる数字)
  • 消費税率ごとの区分の記載(8%・10%の区分)
  • その他法定の記載事項

多少これらの要件が備わっていなかったとしても、インボイス番号を取得していてそれが有効なものであれば、仕入税額控除(消費税の差し引き)を認めるという方針です。また、納品書や契約書などで必要事項が確認できればOKであり、請求書インボイスの再発行も認められます。

⚠️ 注意

インボイス番号のない取引先への支払いなのに、仕入税額控除(消費税の差し引き)をしてしまっていることが判明した場合は、修正申告が必要になります。単なる形式面のミスは大目に見られますが、そもそもインボイス番号がない取引先への対応は別問題です。

記載事項の不備をあげつらうような細かい調査はされないということで安心できる一方、「それなら番号で管理して経理処理も大変になって、システム入れ替えのコストもかかるのに、こんな面倒なことをしなくていいのでは」と思われる方も多いでしょう。それはそれで正直なところだと思います。

📝 このセクションのまとめ

  • インボイスの形式的な記載ミス・不備は大目に見られる
  • 納品書・契約書等で必要事項が確認できればOK、再発行もOK
  • インボイス番号のない取引先への支払いで仕入税額控除を取っている場合は修正申告が必要

税務調査に入られやすい会社の特徴

絶対ではありませんが、税務調査のきっかけになりやすいパターンがあります。以下に該当する場合は注意が必要です。

特徴理由・補足
売上が急拡大した急激な変化は調査のきっかけになりやすい
利益率の変動が激しい特に「増収減益」など不自然な動きがある場合
繰越欠損金を使い切った直後過去の赤字を10年間繰り越せる制度(繰越欠損金)を使い切ったタイミングで調査が入るケースがある
長期未接触(10年以上調査なし)長期間調査が来ていない事業者は対象になりやすい

コロナも落ち着いてきましたので、これらの要因に該当する方は特に注意していただけたらと思います。

📝 このセクションのまとめ

  • 売上急拡大・利益率の不自然な変動は調査のきっかけになる
  • 繰越欠損金を使い切った直後は調査が入りやすい
  • 10年以上調査が来ていない「長期未接触」の事業者も要注意

実質的に消費税だけを見に来たような税務調査の3事例

冒頭で「消費税単独の税務調査は基本的にない」とお伝えしましたが、例外があります。実質的に消費税だけを見に来たと思えるような税務調査の事例を3つご紹介します。

① 実質人件費である多額の外注費

従業員の給料を「業務委託」として処理してしまえば、社会保険料が不要になり、さらに消費税の仕入税額控除を取ることができます。そのため、実質的には雇用契約なのに業務委託契約に変えてしまう経営者が一部いらっしゃいます。

以下のような状況に当てはまる場合、税務上は実質的な雇用契約とみなされる可能性があります。

  • 完全にその方が会社の傘下に置かれている
  • 会社側に監督権がある
  • 働く場所が社内で決められている
  • 時間単位での請求になっている

⚠️ 注意

実質的な雇用契約とみなされた場合、税務上の経費としては落ちても、消費税の仕入税額控除は否認されます。悪質に処理を変えていると判断された会社は税務調査で要注意です。

② 消費税の還付スキーム(自動販売機・駐車場スキーム)

かつて大家業(不動産賃貸業)で流行った手法です。自動販売機や駐車場を用意して、建物にかかる消費税を還付してもらうスキームです。現在は法規制によりほとんどできなくなりましたが、これをやってしまうと消費税だけを見に来るような調査が行われます。

過去に担当した調査では、書面添付制度(事前に証拠書類を提出して税務調査を省略する制度)を活用することで対応しました。当時の税制に従って適正な処理をしていたため問題はありませんでしたが、注意が必要な事例です。

③ 赤字法人のクレジットカード明細重点調査

クレジットカードで経費の支払いをすること自体は問題ありません。カードの明細があれば経費に落とすことはほぼ可能です。ところが、消費税の仕入税額控除においては、クレジット明細だけでは証拠にならないのです。

⚠️ 注意:クレジットカード払いの領収書・レシートは必ず保存を

消費税の仕入税額控除を受けるためには、クレジット明細ではなく、それぞれ支払った時点の領収書やレシートが必要です。インボイス制度後もこのルールは変わらず、むしろ厳しくなることが予想されます。明細だけ保存してレシートを捨ててしまっている方はすぐに見直してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 実質的な雇用を業務委託に偽装すると消費税の仕入税額控除が否認される
  • 消費税還付スキームは現在ほぼ法規制されているが、過去に行っていた場合は注意
  • クレジット明細だけでは仕入税額控除の証拠にならない。領収書・レシートを必ず保存すること

過度に神経質にならず、適法に真面目に取り組もう

国税庁長官が言うように、形式面のミス程度であれば見逃されるでしょう。しかし、以下のようなケースは形式面の問題ではなく、普通に税務調査で修正を強いられる可能性が高いので注意が必要です。

  • 人件費を外注費として悪質に処理を変えている
  • そもそも必要書類(領収書・レシート)がなく、クレジット明細しか保存していない
  • インボイス番号のない取引先への支払いで仕入税額控除を取っている

インボイス制度が始まって経理処理の手間も増える中、さらに税務調査の心配もしなければならないのは大変です。しかし、適法に真面目にやっていれば過度に神経質になる必要はありません。これが今日の最後のメッセージです。

📌 まとめ:インボイス制度後の税務調査で覚えておくべきこと

  • 税務調査のスタンスは「従来と変わらず、大口・悪質な事例に限定」
  • インボイスの軽微な記載ミスは見逃される。納品書・契約書での補完もOK
  • 消費税単独の調査はほぼないが、外注費偽装・クレカ明細のみ保存などは要注意
  • インボイス関連の調査が来るとしても早くて来年以降、通常は2〜3年先
  • 適法に真面目に対応していれば、過度に神経質になる必要はない

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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