免税事業者がインボイス未登録で値下げ要求された時の対処法を税理士・弁護士が解説

免税事業者がインボイス未登録で値下げ要求された時の対処法を税理士・弁護士が解説
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インボイス未登録を理由に値下げを迫られたら、それは法律違反かもしれません。

インボイス制度とは?免税事業者が直面する問題をおさらい

インボイス制度を一言で言うと、消費税に関するルール変更です。皆さんが得意先に発行する請求書にインボイス番号(適格請求書発行事業者登録番号)を取得して記載しなければ、消費税の計算上、その取引が無効になってしまうというものです。

すでに番号を取得された方もいらっしゃると思いますが、番号の種類は以下の通りです。

事業者の種類インボイス番号の形式
法人法人番号(13桁)の先頭に「T」を付けた番号
個人事業主マイナンバーとは別に新たに付与される番号

なお、この番号の付与がかなり遅れているケースもあり、未だに自分の番号がわからないと困っておられる方も非常に多い状況です。

📝 このセクションのまとめ

  • インボイス制度は消費税に関するルール変更
  • 請求書にインボイス番号を記載しないと消費税計算上で無効になる
  • 法人は法人番号にTを付けた番号、個人事業主は別途付与される番号を使う

免税事業者がインボイス番号を取得しないとどうなる?

消費税の免税事業者(消費税を受け取っているかもしれないけれど納めなくてよい事業者)と課税事業者では、インボイス制度で抱える問題がそれぞれ異なります。

免税事業者がインボイス番号を持たない場合、得意先から今まで受け取っていた消費税分をもらえなくなってしまう可能性があるというのが大きな問題です。具体的な数字で見てみましょう。

ケース得意先からの入金額(商品代金1万円の場合)備考
インボイス番号あり(従来通り)1万1,000円(本体1万円+消費税1,000円)消費税の納税義務が発生
インボイス番号なし1万円のみ消費税1,000円分がもらえなくなる可能性

インボイス番号を取得すると、消費税課税事業者に自動的になってしまうため、受け取った消費税1,000円は納税が必要になります。今までのように1,000円をもらいっぱなしにすることはできなくなります。

⚠️ 注意

インボイス番号を取得すると課税事業者になるため、受け取った消費税を納税しなければなりません。「番号を取得すれば消費税をもらい続けられる」というわけではありません。

📝 このセクションのまとめ

  • インボイス番号なしだと消費税分(10%)がもらえなくなる可能性がある
  • インボイス番号を取得すると課税事業者になり、消費税の納税義務が生じる
  • 免税事業者にとって死活問題になりうる制度変更

激変緩和措置(2割特例)で負担を軽減できる

急激なルール変更で免税事業者の手取りが大きく減ってしまうことを防ぐため、激変緩和措置というものが設けられています。

📌 激変緩和措置(2割特例)のポイント

インボイス登録をして課税事業者になった場合、受け取った消費税のうち2割(20%)だけを納めればよいという特例です。
例:消費税として1,000円受け取った場合、納税額は200円のみ。
ただし、この特例は3年間限定であり、それ以降は全額納税が必要になります。

また、簡易課税制度を利用することで消費税の節税ができる場合もあります。激変緩和措置(2割特例)や簡易課税を活用しながら、少しでも負担を抑えて進めていくことが選択肢の一つです。

なお、課税事業者になった場合には、以下のような新たな事務負担も発生します。

  • インボイス番号の取得手続き
  • 請求書発行時にインボイス番号を記載するシステムの導入
  • 今までしてこなかった消費税の経理処理(課税・非課税の区分など)
  • 消費税申告書の作成
  • 消費税の納付

これらの手間を考えると、できれば課税事業者になることを避けたいというのが多くの免税事業者の本音ではないでしょうか。

📝 このセクションのまとめ

  • 激変緩和措置(2割特例)により、受け取った消費税の2割だけ納めればよい期間がある
  • ただし3年間限定の特例であり、それ以降は通常通り納税が必要
  • 課税事業者になると経理・申告など事務負担も増加する

「インボイス番号がないから消費税は払わない」は法律違反になる可能性がある

ここで重要なポイントがあります。得意先がインボイス番号を持たないことを理由に、一方的に消費税分を支払わない・値下げを要求するという行為は、法的に問題がある可能性があります。

公正取引委員会が示している具体的な事例を見てみましょう。

⚠️ 法律違反になりうる行為の具体例

  • 当初「1万1,000円」で合意していたのに、後から「免税事業者だから1万円にしろ」と値下げを要求する(後出しじゃんけん的な値下げ)
  • 「課税事業者にならないなら取引を打ち切る」と一方的に通知する
  • インボイス番号を取得しなければ契約を解除すると脅す

これらの行為は、独占禁止法(独禁法)や下請法に違反する可能性があります。発注元がこれらの法律に違反した場合、公正取引委員会から勧告が出され、それを無視すると罰金や課徴金が科されることになります。

📌 なぜ独禁法・下請法で保護されるのか

独占禁止法や下請法は、大手企業とフリーランス・中小事業者の間にある圧倒的な交渉力・情報力・力関係の格差を是正するために作られた法律です。力が強い側が一方的にねじ伏せる状況は市場として好ましくないとして規制されています。
例えば、大手デパートが「うちからタオルを仕入れてあげるから、うちの盆踊り・花火大会のチケットを買ってね」と押し付けるような行為も規制の対象になります。

最近話題になった例としては、芸能事務所がタレントに対して「移籍するなら干す」と言うような行為も、こういった法律違反になる可能性があるとして問題視されています。

今後の取引価格は、あくまでも双方が合意した価格でなければならないというのが原則です。

📝 このセクションのまとめ

  • インボイス未登録を理由とした一方的な値下げ要求は独禁法・下請法違反になりうる
  • 「課税事業者にならないなら取引を打ち切る」という通知もアウトになる可能性がある
  • 取引価格は双方合意が原則

値下げ要求・取引打ち切りを告げられたらどう対処すればいいか

では実際に得意先から不当な値下げ要求や取引打ち切りの通知が来た場合、どう対処すればよいのでしょうか。

まず証拠を記録・保存する

交渉の経緯については、必ず記録を取っておくことが重要です。できれば録音も行いましょう。「免税事業者だから消費税分は払わない」という発言が記録に残れば、独禁法違反の可能性が高まります。

弁護士や公正取引委員会に相談する

すぐに訴えるのではなく、まずワンクッション置いて専門家に相談することをお勧めします。相談先は以下の通りです。

相談先内容連絡方法
弁護士(法律事務所)実際に届いた通知書を見てもらい、独禁法・下請法上の問題点を確認してもらう直接来所または電話
公正取引委員会(下請法担当)下請法違反の疑いがある場合の相談窓口電話・メール
公正取引委員会(取引担当)独禁法違反の疑いがある場合の相談窓口電話・メール

弁護士に相談して「この書き方はまずい」という意見をもらったら、その意見を持って発注元と話し合いをすることができます。「これって独禁法や下請法の問題はないか確認してもらえませんか」と伝えれば、発注元の顧問弁護士が「これはまずい」と是正してくれる可能性もあります。

📌 交渉のコツ:上手な伝え方

「バトルする」のではなく、「確認してほしい」というスタンスで話すのが効果的です。
「最近YouTubeで見たんですが、これって独禁法や下請法の問題はないですか?私が間違っていたら申し訳ないんですが、よかったら確認してもらえませんか」
このような伝え方の方が、相手にとってもプレッシャーになります。上から押さえつけるよりも、こういった形で確認を求める方がやられた側にとっても嫌なものです。

免税事業者の方は規模が小さい方が多く、周りに弁護士の知り合いがいないという方も多いと思います。そういった場合は、公正取引委員会の窓口(電話・メール)に直接問い合わせるのが一番手軽です。「これってどうなんですか」と意見を聞くだけでも、まず最初のステップとして有効です。

📝 このセクションのまとめ

  • 交渉の経緯は必ず記録・録音しておく
  • すぐに訴えるのではなく、まず弁護士や公正取引委員会に相談する
  • 弁護士の意見を持って発注元に「確認」を求めるスタンスで交渉する
  • 弁護士の知り合いがいない場合は公正取引委員会の窓口(電話・メール)を活用する

免税事業者はこれからどうすればいいか:選択肢の整理

インボイス制度への対応として、免税事業者は大きく「登録する」か「登録しない」かの選択を迫られます。それぞれの選択肢と対策をまとめます。

選択肢メリットデメリット・注意点
インボイス番号を取得する(課税事業者になる)得意先に消費税分を請求できる。激変緩和措置(2割特例・3年間)や簡易課税で節税できる消費税の申告・納税・経理処理などの事務負担が増える。3年後以降は納税額が増加する
インボイス番号を取得しない(免税のまま)消費税の申告・納税・経理処理が不要得意先から消費税分の値下げを求められる可能性がある。ただし一方的な値下げ要求は法的に問題がある場合も

インボイス番号を取得する場合は、以下の方法で負担を軽減しながら進めることを検討してください。

  • 激変緩和措置(2割特例):受け取った消費税の2割だけ納税すればよい(3年間限定)
  • 簡易課税制度:業種ごとに定められたみなし仕入率を使って消費税を計算する方法で、節税になる場合がある

インボイス番号を取得しない場合は、今回解説したように、得意先からの不当な値下げ要求や取引打ち切りの通知に対して、法的な側面からアプローチすることが有効です。独禁法・下請法の観点から、弁護士や公正取引委員会に相談することをお勧めします。

📌 免税事業者に希望あり

力関係でねじ伏せられて、言うことを聞かざるを得ないと思い込んでいる方も多いかもしれません。しかし、独占禁止法や下請法は、まさにそういった弱い立場の事業者を守るために作られた法律です。泣き寝入りする前に、必ず専門家に相談してみてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 登録する場合は激変緩和措置(2割特例)や簡易課税を活用して節税を検討する
  • 登録しない場合は不当な値下げ要求に対して法的に対抗できる手段がある
  • どちらの選択肢でも、専門家(税理士・弁護士)に相談することが重要

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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