インボイス未登録・免税事業者の請求書の正しい書き方を税理士が解説

インボイス未登録・免税事業者の請求書の正しい書き方を税理士が解説
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インボイス未登録の免税事業者が使える請求書の正しい書き方を、経過措置の仕組みとあわせて徹底解説します。

この記事でわかること

  • 2023年10月以降に流通する2種類の請求書の違い
  • 経過措置6年間(2023年〜2029年)の注意点
  • 免税事業者が10%・8%それぞれで請求書を書く方法
  • スカスカな請求書・レシート・領収書をもらった場合の「追記による補正」制度

まず確認:インボイスが必要になるのはいつから?

インボイス制度が始まって早速、「いつからインボイスが必要なのか」という小さな混乱が発生しています。判断の基準はシンプルで、仕事をした日・サービスを提供した日がいつかによって決まります。

仕事をした日請求書を出した日入金日インボイスの要否
9月(制度開始前)10月以降11月不要
10月1日以降10月中11月必要

9月から10月にまたがる仕事の場合は、基本的に仕事が完了した日が基準になります。10月に仕事が完了していればインボイスが必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • インボイスが必要かどうかは「請求書の日付」や「入金日」ではなく、仕事をした日・サービスを提供した日で判断する
  • 9月完了の仕事なら、請求書・入金が10月以降でもインボイスは不要

2種類の請求書:区分記載請求書と適格請求書(インボイス)

インボイス制度がスタートすると、世の中に2種類の請求書が流通するようになります。

種類発行できる人記載が必要な項目
区分記載請求書(従来型)インボイス未登録の免税事業者名前・年月日・内容・軽減税率の区分・宛名・税率ごとの合計額(税込)
適格請求書(インボイス)インボイス登録済みの課税事業者のみ上記に加えて、税率ごとの消費税額・税率・登録番号

📌 ポイント

インボイスを発行できるのはインボイス登録をした事業者だけです。免税事業者はインボイスを発行できないため、引き続き区分記載請求書を使います。両方の書類が世の中に混在することになります。

両者の共通点として、請求書には以下の項目を記載する必要があります。

  • 名前(発行者)
  • 年月日
  • 内容(サービス・商品の内容)
  • 軽減税率が適用される場合はその旨
  • 受け取り側の名前(宛名)※小売店・飲食店等は不要

なお、小売店やレシートに宛名が書かれていないのは、小売・飲食等の業種は宛名の記載が免除されているためです。

📝 このセクションのまとめ

  • 区分記載請求書とインボイスの最大の違いは「登録番号・消費税額・税率の記載」の有無
  • 区分記載請求書の税込合計額は税込表示が必要。インボイスは税抜・税込どちらでもOK
  • 免税事業者はインボイスを発行できないため、区分記載請求書を使い続ける

経過措置6年間の仕組み:消費税はどう動くのか

インボイス制度が始まった世界では、発注側の会社が免税事業者に仕事を依頼した場合の消費税の扱いが複雑になります。まずは基本的なお金の流れを確認しましょう。

制度開始前(2023年9月まで)のシンプルな仕組み:
個人事業主が1万円の仕事をして、請求書に1万1,000円(消費税10%込み)と書いて提出すると、会社がそのまま1万1,000円を振り込んで完了でした。

2023年10月以降の変化:
インボイス登録済みの課税事業者であれば、これまでと同様に1万円+消費税1,000円の請求が可能で、会社は1万1,000円を振り込みます。インボイスは会社にとって納税証明書の代わりになるため、大切に保管する必要があります。

問題はインボイス未登録の免税事業者に仕事を依頼した場合です。会社がインボイスを受け取れないため、消費税1,000円分を改めて税務署に納めることになります。これを避けるために、発注側の会社がとる行動パターンは主に3つです。

パターン会社の支払い会社の納税額免税事業者の受取額会社の実質負担
①そのまま支払う(経過措置あり)1万1,000円200円(80%控除後)1万1,000円200円の追加負担
②消費税を800円に調整1万800円200円1万800円変わらず(±0)
③消費税をまるごとカット1万円のみ200円1万円800円の節約(違法の可能性あり)

⚠️ 注意

パターン③のように、これまで継続的に取引があった相手に対して急に消費税分をカットすることは、独占禁止法の優越的地位の濫用に該当する可能性が非常に高いです。公正取引委員会から注意・警告が来ることがあります。もし取引先からこのような要求を受けた場合は、公正取引委員会への相談・申告が適切な対応です。

なお、上記の経過措置80%控除2023年10月〜2026年9月の3年間が対象です。次の3年間(2026年10月〜2029年9月)は経過措置50%控除に変わります。この場合、パターン②では1万円の仕事に対して1万500円が支払われ、会社が残り500円を納税するという形になります。

期間経過措置の控除率会社の追加納税額(1,000円の消費税の場合)
2023年10月〜2026年9月80%控除200円
2026年10月〜2029年9月50%控除500円
2029年10月以降控除なし1,000円(全額)

📝 このセクションのまとめ

  • 免税事業者への発注では、会社側に消費税の追加納税が発生する
  • 2023年〜2026年は80%控除(追加負担は200円/1,000円中)
  • 2026年〜2029年は50%控除(追加負担は500円/1,000円中)
  • 継続取引の相手に対して一方的に消費税をカットするのは違法の可能性がある

インボイス(適格請求書)の正しい書き方と間違いやすいポイント

インボイスの書き方については国も説明していますが、実際には間違いやすいポイントがあります。

よくある間違いの例として、登録番号と消費税額は書いてあるのに税率(10%)が記載されていないケースがあります。「仕事の内容から明らかに10%のはず」と思っても、ルール上は必ず税率を明記しなければなりません。食料品や新聞の場合は8%(軽減税率)が適用されるため、税率の記載は必須項目です。

📌 インボイスに必要な記載項目

  • 発行者の名前
  • 年月日
  • 取引内容(サービス・商品の内容)
  • 受け取り側の名前(宛名)
  • 登録番号
  • 税率ごとの消費税額
  • 税率(10%または8%)←特に忘れやすい
  • 税率ごとの合計額(税抜・税込どちらでも可)

📝 このセクションのまとめ

  • インボイスには登録番号・消費税額・税率の3点セットが必須
  • 「明らかに10%のはず」でも税率の明記は省略不可
  • 合計額は税抜・税込どちらの表記でも構わない

免税事業者が10%を請求する場合の請求書の書き方

国はインボイスの書き方は説明していますが、免税事業者が区分記載請求書をどう書けばいいかについては、わかりやすい説明が少ないのが実情です。ここでは具体的な書き方を解説します。

まず、引き続き消費税10%を請求するパターン(パターン①)の場合です。このやり取りは消費税の課税取引にあたるため、消費税分を請求書に載せても問題ありません。

書き方は2通りあります。

書き方記載例備考
税別で書く本体価格:10万円 / 消費税(10%):1万円 / 合計:11万円税率と消費税額を分けて明記
税込みで書く合計:11万円(消費税10%込み・税込)合計欄に「税込」と明記すればOK

📌 ポイント

区分記載請求書では、税別で書いても税込みで書いても構いません。「本体と消費税を必ず分けて書かなければならない」というルールはありませんので、合計額に「消費税10%込み・税込」と書く方法でもOKです。

📝 このセクションのまとめ

  • 免税事業者でも消費税10%を請求書に記載してよい
  • 税別表記・税込表記どちらでも問題なし
  • 登録番号は絶対に書いてはいけない(インボイスと混同されるため)

経過措置に合わせて8%を請求する場合の書き方

発注側の会社の経過措置に合わせて消費税を8%分だけ請求するパターン(パターン②)の書き方が、最も悩む方が多いポイントです。

⚠️ 注意

請求書に「消費税8%」とそのまま書くのはNGです。消費税8%は食料品や新聞など軽減税率の対象品目にしか適用されません。仕事の内容が食料品・新聞でないのに「8%」と書くと、内容と税率が矛盾してしまいます。

国から明確な指示は出ていませんが、現在最も多く使われているのは次のような書き方です。

書き方記載例備考
調整額として分けて書く本体価格:10万円 / 調整額:8,000円 / 合計:10万8,000円(消費税10%込み)「消費税8%」とは書かず「調整額」と表記
最初から合算して書く本体価格:10万8,000円 / 合計:10万8,000円(消費税10%・税込)シンプルで違和感が少ない

どちらの書き方でも、合計欄には「消費税10%込み」または「税込」と明記するのがポイントです。あくまで「正規の消費税率は10%だが、請求額を8%相当に抑えている」という趣旨の表現になります。

📝 このセクションのまとめ

  • 「消費税8%」とは書かない。食料品・新聞以外に8%は使えないため
  • 「調整額」として8,000円と記載し、合計に「消費税10%込み」と書く方法が現在最も多い
  • 最初から合算した金額(10万8,000円)を本体価格として書く方法もOK

合計額だけでもOK:「追記による補正」という裏技

「免税事業者なのに消費税という言葉を請求書に書きたくない」という声も多くあります。その場合、合計額だけを書いたシンプルな(スカスカな)請求書でも問題ありません。

これが可能なのは、区分記載請求書には「追記による補正」という制度があるからです。

📌 追記による補正とは

免税事業者が合計額のみを記載した請求書を発行した場合、受け取り側(発注側の会社)が「消費税10%」などの情報を書き足すことができる制度です。これはインボイス制度以前から存在するルールです。

つまり、免税事業者に対して「合計額だけ書いてくれればいいよ」と伝えることで、発注側が必要な情報を追記して処理できます。

⚠️ 注意:追記できないケースと、インボイスへの追記はNG

  • 金額が書かれていない場合 → 追記不可、書き直してもらう必要あり
  • 年月日が書かれていない場合 → 追記不可
  • 仕事の内容が書かれていない場合 → 追記不可
  • インボイス(適格請求書)への追記はNG。インボイスに不備がある場合は書き直してもらうしかない

追記による補正は区分記載請求書(免税事業者の請求書)だからこそ使える制度です。インボイスには適用されません。これがインボイス制度の面倒なところでもあります。

📝 このセクションのまとめ

  • 免税事業者は合計額だけのシンプルな請求書でもOK(追記による補正制度を活用)
  • 受け取り側が「消費税10%」などを書き足すことができる
  • ただし金額・年月日・仕事内容が未記載の場合は追記不可で書き直しが必要
  • インボイス(適格請求書)への追記は認められていない

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル オタク会計士ch【山田真哉】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは オタク会計士ch【山田真哉】を応援しています!

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