相続・贈与

遺留分の請求方法を弁護士が解説|交渉・調停・訴訟の流れ

遺留分の請求方法を弁護士が解説|交渉・調停・訴訟の流れ
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遺留分が侵害された場合、弁護士はどのような手順で請求・解決を進めるのでしょうか。交渉から調停、訴訟まで、具体的な流れをわかりやすく解説します。

弁護士が遺留分問題に取り組む全体の流れ

弁護士は遺留分の問題について、次のような順序で対応していきます。まずは遺産全体の金額(負債も含む)を調査・把握し、遺留分が実際に侵害されているかどうかを確認します。そのうえで侵害が認められれば、相手方への請求、交渉、調停、そして訴訟へと段階的に進めていきます。

ステップ内容対応機関
①遺産調査・把握遺産総額・負債を調査し遺留分侵害の有無を確認弁護士事務所
②遺留分の請求配達証明付き内容証明郵便で請求弁護士事務所
③交渉侵害額の支払いを相手方と協議当事者間(弁護士同士)
④調停家庭裁判所に遺留分調停を申し立て家庭裁判所
⑤訴訟調停不成立の場合、別途訴訟を提起地方裁判所

📝 このセクションのまとめ

  • 弁護士は遺産調査→請求→交渉→調停→訴訟の順で対応する
  • 各ステップには対応機関が異なる点に注意が必要

STEP1|遺産調査と遺留分侵害額の大まかな確認

依頼を受けた弁護士がまず行うのは、遺産全体の金額を可能な限り調査・把握することです。このとき、負債(借金)も含めた金額を確認することが重要です。そのうえで、遺留分が実際に侵害されているかどうかを大まかに計算して確認します。

遺言書があって「全財産を特定の一人に相続させる」という内容であれば、他の相続人の遺留分が侵害されていることは明確です。しかし、遺言書に「不動産はAに、預貯金はBに、株式はCに」というように遺産を分配する形で記載されている場合は、その内容によって本当に遺留分が侵害されているかどうかは、遺産全体の金額や負債を把握しなければ計算できません。

⚠️ 注意

遺留分の請求は「侵害を知ってから1年以内」という非常に短い期間制限があります。初動の段階で侵害額の精密な計算が完了していなくても、まずは期限内に請求手続きを行うことが最優先です。

💡 補足:動画では触れていませんが…

遺留分の時効は「侵害を知った時から1年」または「相続開始から10年」のいずれか早い方で消滅します(民法第1048条)。遺言書の存在を後から知った場合は、その時点が「知った時」になります。

📝 このセクションのまとめ

  • 遺産全体(負債含む)の把握が最初のステップ
  • 分配型の遺言書は遺産総額を確認しないと侵害の有無が判断できない
  • 請求期限(知ってから1年)が短いため、精密計算より先に請求着手が重要

STEP2|内容証明郵便による遺留分の請求

遺留分が侵害されていることが確認できたら、侵害されている遺産を受け取っている人(受遺者・受贈者)に対して、遺留分侵害額の請求を行います。

弁護士が請求する場合には、必ず配達証明付きの内容証明郵便で行います。これは、「いつ・誰が・誰に・どのような内容の請求をしたか」を郵便局が証明してくれる方法です。

⚠️ 注意

証拠が残らない形での遺留分請求は非常に危険です。口頭や通常のメールなどで請求した場合、後になって相手方から「請求を受けていない」と言われると、証拠がないため請求したことにならないリスクがあります。法律上、配達証明付き内容証明郵便でなければならないという規定はありませんが、必ず証拠が残る方法で請求することが必須です。

💡 補足:動画では触れていませんが…

内容証明郵便による請求は「時効の完成猶予(旧:時効中断)」の効果があります。請求後6ヶ月以内に調停・訴訟等の法的手続きを起こせば、時効の完成を防ぐことができます(民法第150条)。

📝 このセクションのまとめ

  • 請求は必ず証拠が残る方法(配達証明付き内容証明郵便が最適)で行う
  • 証拠のない請求は「請求したことにならない」可能性がある
  • 内容証明郵便には時効の完成猶予効果もある

STEP3|交渉による解決を目指す

遺留分の請求を行った後は、具体的な侵害額の支払いを相手方に求める交渉を行います。遺留分侵害額がいくらになるかを計算し、「いくら支払ってください」という交渉を進めます。

交渉でまとまるケースもありますが、なかなかうまくいかない場合もあります。特に、遺言書によって遺留分すら受け取れない状況になっているケース(例:子供が2人いるのに一方に全財産を相続させる遺言書があるケース)では、もともとの相続関係が複雑だったり、感情的な対立があったりすることが多く、当事者間の交渉での解決が難しいことが少なくありません。

📌 ポイント

遺留分の問題は、単なる金額の計算問題だけでなく、感情的な対立を伴うケースが多いのが実情です。当事者間での交渉での解決が難しい場合には、弁護士への相談を早めに検討することが重要です。

💡 補足:動画では触れていませんが…

遺留分侵害額の計算は、遺産の価額に特別受益(生前贈与)を加算し、負債を控除した「みなし相続財産」をベースに行います。生前贈与が絡む場合は計算がさらに複雑になるため、弁護士への早期相談が有効です。

📝 このセクションのまとめ

  • 侵害額を計算し、支払いを求める交渉を行う
  • 感情的対立が絡む場合は当事者間の交渉が難航しやすい
  • 交渉が進まない場合は家庭裁判所への調停申し立てに移行する

STEP4|家庭裁判所への遺留分調停申し立て

裁判外の交渉が進まない場合には、家庭裁判所に遺留分調停を申し立てます。調停とは、家庭裁判所の調停委員が間に入りながら、遺留分の支払いに関する合意形成を目指す手続きです。

調停では、調停委員が双方の話を聞きながら話し合いを進めていきます。話し合いがまとまれば調停成立となり、合意内容が調停調書に記載されます。しかし、話し合いがまとまらない場合には調停不成立(不調)となり、手続きが終了します。

📌 ポイント

遺留分調停は家庭裁判所で行われます。ただし、調停が不成立に終わった後の訴訟は地方裁判所に移ります。この点が遺産分割の手続きと大きく異なります。

💡 補足:動画では触れていませんが…

遺留分調停は「調停前置主義」の対象外です。つまり、調停を経ずにいきなり訴訟を提起することも法律上は可能です。ただし、実務上は交渉・調停を経てから訴訟に進むケースが大半です。

📝 このセクションのまとめ

  • 交渉が進まない場合は家庭裁判所に遺留分調停を申し立てる
  • 調停は合意形成を目指す手続きで、まとまらなければ不成立となる
  • 調停不成立後は自動的に次の手続きには移行しない(遺産分割と異なる)

STEP5|調停不成立後は地方裁判所で訴訟へ

遺留分調停が不成立に終わった場合、次は別途訴訟を提起して解決を目指すことになります。ここが遺産分割の手続きと大きく異なるポイントです。

手続きの種類調停不成立後の流れ担当裁判所
遺産分割調停不成立 → 自動的に審判へ移行家庭裁判所
遺留分侵害額請求調停不成立 → 一旦終了。別途訴訟を提起する必要あり地方裁判所

遺産分割の場合、調停が不成立になると自動的に「審判」という家庭裁判所の手続きに移行します。しかし、遺留分侵害額請求の場合は調停が不成立になっても自動移行はなく、一旦そこで終わりです。請求する側が改めて別途、訴訟を提起する必要があります。

この訴訟は、家庭裁判所ではなく地方裁判所に提起します(金額によっては簡易裁判所の場合もあります)。例えば横浜であれば横浜地方裁判所に訴訟を起こすことになります。訴訟では「いくら支払ってください」という金銭の支払いを求める、一般的な民事訴訟として審理が進められます。

⚠️ 注意

遺留分調停が不成立になった後、訴訟を提起しないまま放置すると、時効が完成してしまう可能性があります。調停不成立後は速やかに弁護士と次の対応を協議することが重要です。

💡 補足:動画では触れていませんが…

遺留分侵害額請求訴訟で認容判決が確定した場合、相手方が任意に支払わなければ強制執行(差し押さえ等)の手続きに進むことができます。判決は強力な債務名義となります。

📝 このセクションのまとめ

  • 遺留分調停が不成立になっても審判には自動移行しない(遺産分割と異なる)
  • 不成立後は請求する側が別途、地方裁判所に訴訟を提起する必要がある
  • 訴訟は金銭の支払いを求める通常の民事訴訟として進められる

遺留分の計算が難しいケース|負債がある場合

遺留分の問題では、侵害額がいくらなのかという計算が非常に重要です。概念的には「法定相続分の半分」と説明されることが多いですが、実際にそれが金額でいくらになるのかの計算は、場合によっては複雑になります。

特に、亡くなった方に借金などのマイナスの財産(負債)がある場合、計算が難しくなります。負債は遺留分の算定基礎となる財産額から控除されるため、負債の金額・種類・帰属をきちんと確認しなければ正確な計算ができません。

ケース計算の難易度主な確認事項
全財産を一人に相続させる遺言(負債なし)比較的シンプル遺産総額の把握
分配型の遺言(複数の財産を複数人に)やや複雑各財産の評価額の把握
負債がある場合複雑負債額・種類・相続人への帰属
生前贈与が絡む場合非常に複雑贈与の時期・金額・特別受益該当性

📌 ポイント

遺留分の侵害額計算は、遺産の内容が複雑になるほど難しくなります。特に負債や生前贈与が絡む場合は、専門家(弁護士)に計算を依頼することで、正確な侵害額を把握することができます。

📝 このセクションのまとめ

  • 遺留分の計算は「法定相続分の半分」が基本だが、実際の金額計算は複雑
  • 負債がある場合は計算が特に難しくなる
  • 生前贈与が絡む場合はさらに複雑になる

遺留分問題の特徴|感情的対立が解決を難しくする

遺留分の問題で最も多いケースは、亡くなった方が遺言書を残しており、その内容が遺留分すら受け取れないような内容になっているというものです。例えば、子供が2人いるにもかかわらず「全財産を長男に相続させる」というような遺言書があるケースです。

このような場合、遺言書の効力が発動した時点で、もともとの相続関係がすでに難しい状況になっていることがほとんどです。そのため、遺留分の請求をしてもなかなかまとまらないケースが多く、感情的な問題も絡んでくることがあります。

当事者間での交渉による解決が難しいと感じた場合には、早めに弁護士に相談することを検討してください。

💡 補足:動画では触れていませんが…

遺留分問題では、相手方が「遺言者の意思を尊重したい」という強い感情を持っていることも多く、純粋な金額交渉だけでは解決しないケースもあります。弁護士が間に入ることで、感情的な対立を切り離して法的な観点から整理できるメリットがあります。

📝 このセクションのまとめ

  • 遺留分問題で最も多いのは「遺留分すら受け取れない遺言書」があるケース
  • 感情的対立が絡むため当事者間の交渉が難航しやすい
  • 解決が難しいと感じたら早めに弁護士へ相談することが重要

📋 この記事を読んだら次にやること

  1. 遺留分を侵害された事実を知った日付を確認し、請求期限(1年以内)を把握する
  2. 遺産の内容(プラスの財産・負債の両方)をできる限りリストアップする
  3. 遺留分の請求は証拠が残る方法(配達証明付き内容証明郵便)で行うことを確認する
  4. 交渉・調停・訴訟の各段階での対応方針について、弁護士に相談する

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 弁護士 髙橋賢司の遺産相続専門チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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