10月から株式会社代表者の個人住所が非公開に!法人化のデメリットを税理士が解説
2024年10月から株式会社の代表者個人住所を選択制で非公開にできる制度がスタート。法人化を迷っていた方への大きな朗報です。
会社設立のメリット:信用面と節税効果
法人、つまり会社として起業するメリットは大きく分けると信用面と節税効果の2つです。
特に大手企業と取引をする場合は法人化のメリットが大きく出ます。例えば、オフィスビルを借りる際に「個人事業の方はお断り」という条件がついているケースもあります。融資審査においても、事業規模にもよりますが、個人よりも法人の方が有利になる場面が多いです。また、今後ますます進む人手不足を考えると、採用面でも法人の方が大きなメリットがあると言えます。
節税面では、個人の所得税が法人税に切り替わることで節税が可能になります。法人税の節税対策の幅は非常に広いので、特に利益が出ている方は個人よりも法人の方が有利です。
📌 消費税の節税メリットについて
インボイス制度の導入により、実質2年間の免税特典は受けにくくなりましたが、それでも2割課税という措置があります。まず個人でスタートして2割特例を使い尽くし、その後法人化して再度2割特例を活用するという戦略を取れば、まだまだ節税効果は高いと言えます。
📝 このセクションのまとめ
- 大手企業との取引・融資・採用において法人の方が信用面で有利
- 所得税から法人税へ切り替えることで節税の幅が広がる
- 消費税の2割特例を個人・法人の両フェーズで活用できる
会社設立のデメリット:住所公開・社会保険・コスト
一方で、会社設立にはいくつかのデメリットもあります。主なものを整理すると以下の通りです。
- 代表者個人住所の公開(今回の制度改正で解消へ)
- 社会保険の強制加入(マイクロ法人での社会保険削減策も流行しているが、崩壊リスクも念頭に)
- 設立・運営コストの発生(設立費用+継続的な経理コスト)
- 経理の複雑化(個人の確定申告と比べてハードルが高い)
会社を作る際は、社名・事業目的・資本金・決算日などさまざまな情報を登記する必要があります。これらは登記簿謄本として法務局で取得でき、ネットでも取得可能です。その中に代表取締役の個人住所が含まれており、これが特に女性起業家や小さなお子さんがいる世帯にとって大きなネックになっていました。なお、平取締役については住所公開の義務はありませんが、代表者については義務がありました。
⚠️ 注意
専門家の中には「絶対に法人化した方がいい」と勧める方もいますが、メリット・デメリットを総合的に判断することが重要です。事業の信用面が重要かどうか、節税効果が本当に出るかどうかをしっかり検討しましょう。個人事業のままの方が良いケースも十分あります。
📝 このセクションのまとめ
- 代表者の個人住所が登記簿で公開されることが最大のデメリットだった
- 社会保険強制加入・設立コスト・経理の複雑化も考慮が必要
- 法人化が必ずしも正解ではなく、個人事業が向いているケースもある
本題:10月から代表者住所を選択制で非公開にできる制度がスタート
正式名称は「代表取締役住所非表示措置」と言います。令和6年(2024年)10月1日からスタートした制度です。
📌 制度の基本ポイント
- 対象は株式会社のみ(合同会社は対象外)
- 選択制のため、希望する人だけが非公開にできる(全員が非公開になるわけではない)
- 会社設立時の登記申請と同時に手続きが必要
- 後から撤回することも可能
具体的な登記事項の表示イメージは以下の通りです。
| 区分 | 登記簿上の表示例 |
|---|---|
| 通常(非公開なし) | 東京都大田区○○2丁目3番1号 代表取締役 ○○ |
| 非公開を選択した場合 | 東京都大田区 代表取締役 ○○(それ以降の番地等は非表示) |
つまり、最初の行政区画(市区町村)までは表示されますが、それ以降の番地・号・マンション名などは表示されません。大阪などの場合も同様に、市区町村までの表示となります。
📝 このセクションのまとめ
- 2024年10月1日から「代表取締役住所非表示措置」がスタート
- 株式会社のみが対象(合同会社は対象外)
- 登記簿上は市区町村までの表示となり、番地以降は非公開になる
- 選択制のため、希望者のみが申請できる
犯罪防止との両立:制度設計のリスクヘッジ
この制度が検討されていた段階では「犯罪に悪用されるのでは」「詐欺に利用されるのでは」「債権回収の際に代表者の個人住所が分からなくなると問題が出る」といった懸念の声がありました。
ただし、重要なのは代表者個人住所を登記しなくてよくなったのではなく、あくまでも登記した上で公開しないという仕組みだという点です。以下のようなリスクヘッジが制度に盛り込まれています。
- 代表者が住所を変更した場合は、法務局への届け出が引き続き必要(怠ると罰金・ペナルティあり)
- 会社が本店所在地に実在しないペーパーカンパニーと認められた場合、登記官の判断で非表示措置を終了させ、住所を公開できる
- 民事訴訟を起こす場合、本社の住所に訴状が届かない場合は代表者の自宅に送付される措置が設けられている
📌 ポイント
プライバシー保護と犯罪防止を両立させた画期的な法改正と言えます。悪用リスクへの対策は制度設計の段階でしっかりカバーされており、特に女性起業家や小さなお子さんがいる世帯にとって非常に朗報です。
📝 このセクションのまとめ
- 住所を登記しないのではなく「登記した上で非公開にする」仕組み
- ペーパーカンパニーへの対応・民事訴訟時の送付先確保など、悪用防止策が組み込まれている
- 住所変更時の届け出義務は引き続き存在し、怠ると罰金が発生する
デメリットも確認:融資・不動産取引への影響
住所非公開にはメリットが多い一方で、資金調達・融資を受ける際には注意が必要です。
金融機関はお金を貸す以上、本店所在地だけでなく代表者個人の住所も把握しておく必要があります。住所を非公開にしている場合、以下のような影響が出る可能性があります。
- 融資を断られる可能性がある
- 住民票・印鑑証明など個人に関する書類の追加提出を求められる可能性がある
- 不動産を購入して不動産登記をする際にも繁雑な手続きが必要になる可能性がある
⚠️ 注意
融資を受ける予定がない方は特に気にしなくてよいですが、会社経営において資金調達は非常に重要です。住所非公開を選択する前に、融資計画との兼ね合いをしっかり検討しましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 住所非公開の主なデメリットは融資審査での書類増加・手間の増加
- 不動産取引でも繁雑な手続きが発生する可能性がある
- 融資を受ける予定がなければデメリットはほぼない
知らないと損!会社設立のお得情報3選
ここからは、会社設立を考えている方に特に知っておいてほしいお得な情報を3つご紹介します。
① バーチャルオフィス・レンタルオフィスの活用
自宅を本店所在地にしている場合、個人のプライバシー保護が心配という方も多いでしょう。バーチャルオフィスやレンタルオフィスを利用すれば、低価格で本店所在地として登記できるサービスがあります。
今後株式会社を設立する方は、バーチャルオフィスを本店所在地として利用した上で、代表者個人住所は非公開にするという組み合わせを選べば、プライバシー保護を確実に達成できます。
② 登録免許税を半額にする創業支援制度
会社を設立する際には登録免許税がかかります。通常の金額と半額になった場合の比較は以下の通りです。
| 会社の種類 | 通常の登録免許税 | 半額適用後 | 削減額 |
|---|---|---|---|
| 株式会社 | 最低 15万円 | 7万5,000円 | 7万5,000円削減 |
| 合同会社 | 最低 6万円 | 3万円 | 3万円削減 |
(※登録免許税は資本金の1000分の7で計算され、上記は最低額です。別途、株式会社は定款認証費用や司法書士への依頼手数料なども発生します。)
半額にするための要件は以下の通りです。
- 創業5年未満の個人であること
- 創業支援事業計画の認定を受けた市区町村で本店を構えて会社設立をすること
- 創業支援事業者(市区町村などが実施)の研修などを受けて支援証明書の交付を受けること
📌 創業支援研修の内容例(大阪市の場合)
大阪商工会議所が実施しており、マーケティング・組織構築・集客・財務・販路開拓などについて学ぶシリーズです。費用は5,000円程度。これから起業する方にとっても非常に有益な内容です。
かなりの数の市区町村でこの制度を実施しているため、該当する方は非常に多いと考えられます。ただし、開催時期は市区町村によって異なるため事前に確認が必要です。
この制度のデメリットとしては以下の点が挙げられます。
- 研修受講が必要なためスピード起業ができない(専門家に依頼すれば1週間程度で設立できるが、研修を受けると時間がかかる)
- 研修を受けた市区町村と異なる場所で本店を構えたい場合は適用できない
- 研修費用など多少のコストがかかる
ゆっくり会社を作ろうという方にとっては、デメリットはほぼないと言えるでしょう。また、登録免許税の半額措置以外にも、創業融資の優遇などの特典があるため、使える方はぜひ活用しましょう。
③ 法人銀行口座の開設先を慎重に選ぶ
会社設立時に銀行口座の開設で苦労する方が非常に増えています。これはマネーロンダリングなど犯罪による収益の移転防止に関する法律への対応が厳格化されたためです。法人口座が作れなかった場合のデメリットは以下の通りです。
- 企業間取引ができない(特にBtoB・上場企業との取引から排除される恐れがある)
- 個人口座で取引を続けると、脱税を疑われるリスクがある
対処法としては、ネット銀行を選択肢に加えることが挙げられます。メガバンク・地銀・信用金庫など様々な選択肢がありますが、比較的口座開設に柔軟な姿勢を示しているのがネット銀行です。ネットで申し込みができるなど手続きの手間も少なくなっています。ただし、ネット銀行であっても100%口座開設ができるわけではないため、複数の選択肢を持っておくことが重要です。
📝 このセクションのまとめ
- バーチャルオフィス+代表者住所非公開の組み合わせで完全なプライバシー保護が可能
- 創業支援事業計画の認定市区町村で設立すれば登録免許税が半額(株式会社なら最大7万5,000円削減)になる
- 法人口座開設はネット銀行が比較的柔軟で選択肢の一つとして有効
まとめ:法人化を検討中の方へ
今回の法改正は、画期的な内容と言っていいでしょう。2024年10月1日以降に会社設立をされる方は、株式会社に限り、選択制で代表者個人住所を非公開にすることができます。合同会社は残念ながら対象外です。
デメリットとしては、融資審査において追加書類が増えたり手間がかかるようになることがほぼ唯一の懸念点です。犯罪の助長に関するリスクヘッジはしっかりなされているため、プライバシーを保護しながら、今後より起業しやすい社会になることが期待されます。
📌 特に恩恵を受けやすい方
- 女性起業家
- 小さなお子さんがいる世帯で起業を考えている方
- 自宅を本店所在地にしたくない個人事業主
- プライバシーを理由に法人化をためらっていた方
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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