家事按分とは?仕事とプライベートが混在する経費の計上ルールを税理士が解説
仕事にもプライベートにも使う経費、正しく按分できていますか?
家事按分とは?どんな時に発生するのか
個人事業主・フリーランス・副業をしている方には、仕事とプライベートが混在する経費が発生することがあります。これを「家事按分」と呼びます。
家事按分は個人事業主(自営業者)のみに存在する概念で、法人にはない考え方です。仕事とプライベートの支出をパーセンテージで区別し、仕事分だけを経費として計上するという考え方になります。
📌 ポイント
家事按分が特に発生しやすいのは、以下のようなケースです。
- 自宅兼事務所で仕事をしている方
- 自宅兼サロンで仕事をしている方
- 1台の携帯電話を仕事とプライベート両方で使っている方
- 1台の車を仕事とプライベート両方で使っている方
📝 このセクションのまとめ
- 家事按分は個人事業主・フリーランス・副業者に特有の概念
- 法人には存在しない考え方
- 仕事とプライベートが混在する支出を割合で区別して経費計上する
家事按分になりやすい勘定科目
家事按分の対象となりやすい科目は大きく3つのグループに分けられます。それぞれ具体的に見ていきましょう。
| グループ | 勘定科目 | 具体例 |
|---|---|---|
| 自宅兼仕事場関連 | 家賃・固定資産税・水道光熱費 | 家賃、固定資産税、水道代、ガス代、電気代 |
| 通信費関連 | 通信費 | 携帯電話代、インターネット代 |
| 車両費関連 | 車両費 | ガソリン代、駐車場代、自動車税、車の保険料 |
自宅兼仕事場の場合、家賃・固定資産税・水道光熱費はプライベートと仕事の両方で発生します。通信費については、1台の携帯電話でもネット代でも、仕事とプライベートの両方で使うケースがほとんどです。車両費については、ガソリン代・駐車場代・自動車税・保険料など、車に関わる費用全般が対象になります。
📝 このセクションのまとめ
- 自宅兼仕事場なら家賃・固定資産税・水道光熱費が対象
- 携帯・ネット代などの通信費も対象になりやすい
- 車を仕事でも使うなら、ガソリン代・自動車税・保険料なども対象
按分割合の決め方ルール【具体例あり】
按分割合の決め方で最も大切なポイントは、客観的な判断基準が説明できることです。「なんとなく半分くらい」という適当な決め方はNGです。
📌 客観的な判断基準として使えるもの
- 面積(自宅の中で仕事場が占める割合)
- 時間・日数(1日・1週間のうち仕事に使った時間)
- 走行距離(車の総走行距離のうち仕事で走った距離)
第三者に「この割合にした理由」を分かりやすく説明できることが重要です。
【具体例①】家賃を面積割合で按分する場合
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 月額家賃 | 10万円 |
| 自宅の総面積 | 60㎡ |
| 仕事場の面積 | 15㎡ |
| 按分割合(15÷60) | 25% |
| 経費として計上できる金額 | 月25,000円 |
全体の面積60㎡のうち仕事場が15㎡であれば、割合は25%になります。家賃月10万円の25%ですから、月25,000円を仕事分の家賃として経費計上できます。
【具体例②】電気代を時間割合で按分する場合
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 月額電気代 | 1万円 |
| 1週間の総時間 | 168時間(24時間×7日) |
| 1週間の業務時間 | 42時間(7時間×週6日) |
| 按分割合(42÷168) | 25% |
| 経費として計上できる金額 | 約2,500円 |
1日の業務時間が7時間、週6日稼働している場合、週の業務時間は42時間です。1週間の総時間168時間のうち42時間ですから、按分割合は25%。電気代月1万円の25%にあたる約2,500円が経費として計上できます。
今回紹介した例はあくまで一例です。必ずしもこの方法でなければならないわけではありません。面積・時間・日数・走行距離など、自分のビジネスに合った客観的な基準を選んでルールを決めてください。
📝 このセクションのまとめ
- 按分割合は「面積」「時間・日数」「走行距離」などで客観的に決める
- 第三者に説明できる根拠があることが重要
- 家賃は面積割合、電気代は時間割合など、科目に合った基準を使う
経費計上の注意点【NG行為・よくあるミス】
家事按分で経費計上する際には、いくつかの重要な注意点があります。しっかり確認しておきましょう。
📌 経費計上の大前提
経費とは「所得を得るために必要な支出」です。売上を上げるために必要な支出であることが経費としての前提条件です。家事按分の割合をどれだけ正しく計算しても、そもそも事業に必要な支出でなければ経費として認められません。
⚠️ 注意:やってはいけないNG行為
- 根拠なく適当に割合を決めること:明確な根拠がなければ税務調査で否認されるリスクがあります
- プライベート分まで経費計上すること:仕事とプライベートが混在するものを100%経費にするのは「適正な割合ではない」として否認されます
- 毎年ルールをコロコロ変えること:例えば「今年50%→来年70%→再来年30%」のように頻繁に変えると、適当に決めていると疑われます。原則としてルールは継続することが推奨されます
- 配偶者が支払っている家賃を自分の経費にすること:自分が支払っていないものは経費になりません
- 同一生計の配偶者との家賃契約で経費にしようとすること:同じ財布で生活している配偶者と家賃契約を結んで経費計上しようとするのは、ルール上ほぼ認められません
按分割合のルールについては、働き方や仕事の幅が変わった場合には見直すことができます。ただし、毎年アップダウンを繰り返すのではなく、原則として継続することを意識してください。
📝 このセクションのまとめ
- 経費の大前提は「事業のために必要な支出」であること
- 根拠のない割合・プライベート分の計上・毎年のルール変更はNG
- 配偶者が支払っている費用や、同一生計の配偶者との家賃契約による経費計上は認められない
- 一度決めたルールは原則継続する
帳簿での処理方法【3つのやり方】
家事按分を実際に帳簿へ記帳する方法は、大きく3つあります。
- 割合を計算してから記帳する方法
- 合計額で入力して後から按分する方法(会計ソフト向け)
- 年に1回まとめて入力する方法
【方法①】割合を計算してから記帳する
例えばガソリン代のレシートが5,000円で、そのうち仕事分が2,000円と計算できた場合、帳簿には2,000円だけを「ガソリン代」として記帳します。1回1回計算して記帳するシンプルな方法です。
【方法②】合計額で入力して後から按分する(会計ソフト利用者向け)
会計ソフトを使っている方に特におすすめの方法です。ガソリン代5,000円をそのまま合計額として入力しておき、1年間のトータル分をまとめてパーセンテージで按分します。1回1回割合を計算して入力する手間が省けるため、効率的です。
【方法③】年に1回まとめて入力する
ビジネス規模が小さい方や、水道光熱費などの金額が少額な方向けの方法です。例えば電気代が月1,000円であれば、年間12,000円を1回まとめて入力するというやり方です。
⚠️ 注意
年に1回まとめて入力する方法は、正式に認められた方法ではありません。あくまで少額・小規模な場合の現実的な対応として紹介しています。厳密には毎回記帳するのが正しい方法です。
📝 このセクションのまとめ
- 帳簿処理の方法は「都度計算して記帳」「合計額入力→後から按分」「年1回まとめて入力」の3つ
- 会計ソフト利用者は合計額入力→後から按分が効率的
- 年1回まとめて入力は正式な方法ではないため、少額・小規模な場合に限る
「何割にすればいいか」という質問への答え
「先生、何割にすればいいですか?」という質問はとても多いですが、按分割合に「正解」はありません。
その方の働き方・業種・仕事のやり方によって、適切な割合は全く異なります。実際のビジネスの実態を把握しなければ、外部から割合を提案することは難しいのです。
📌 大切なのはこの3点
- 自分の使用割合・稼働時間・面積割合などを使って自分でルールを決める
- 決めた割合を客観的に説明できる根拠とセットで持っておく
- 一度決めたルールは原則継続する
家事按分のルールをしっかり理解し、自分のビジネス実態に合った割合を自分で決めることが、適切な経費計上への第一歩です。
📝 このセクションのまとめ
- 按分割合に「正解」はなく、業種・働き方によって人それぞれ異なる
- 自分のビジネス実態をもとに、客観的な根拠を持って自分でルールを決める
- 決めたルールは原則継続することが大切
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士河南のYouTubeチャンネル! の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士河南のYouTubeチャンネル!を応援しています!
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