確定申告で損しないために事前確認すべきこと【税理士が解説】
確定申告を始める前に、あなたは本当に申告が必要か確認できていますか?
確定申告に取りかかる前に確認すべき3つの立場
確定申告シーズンが始まりました。毎年憂鬱だと感じている人も多いかと思います。ただ、確定申告書の作成に取りかかる前に、まず「そもそもあなたは確定申告をすべき立場なのか」を整理してください。
確定申告をすることによって、かえって払わなくていい税金を払ってしまっている可能性があります。また、あなたが採用している確定申告書の作成方法が本当に最善かどうかも確認が必要です。
確定申告に関わる人の立場は、大きく3つに分かれます。
| 立場 | 内容 | 申告の位置づけ |
|---|---|---|
| ①申告義務がある人 | 申告しないとペナルティの税金が課される | 義務 |
| ②申告した方が得する人 | 還付を受けられる・損失を繰り越せる | 権利(任意) |
| ③申告不要な人 | どちらにも該当しない | 不要(時間の無駄) |
どれにも当てはまらなければ、確定申告はしない方がいいです。時間の無駄になるだけです。
📝 このセクションのまとめ
- 確定申告には「義務」と「権利(任意)」の2種類がある
- どちらにも該当しない人は申告不要
- まず自分がどの立場かを明確にすることが最初のステップ
確定申告の義務がある人(給与所得者の場合)
確定申告をしなければならない人とは、申告せずに税務署にバレてしまうと、本来払うべき税金に加えてペナルティの税金まで課される人です。基本的には税額が発生するような人が該当します。
まず、給与所得者(勤務先からお給料をもらっている人)のケースを見ていきましょう。
【1箇所からのみ給与をもらっている人】
1箇所だけから給与をもらっていて、それ以外に所得がない人は、会社が年末調整を行ってくれます。ただし、以下の場合は確定申告が必要です。
- 給与収入が2,000万円超の人(年末調整の対象外)
- 副業などの「その他の所得」が20万円超の人
- 年金収入がある人で、65歳未満:年間80万円超、65歳以上:年間130万円超の人
⚠️ 注意
20万円基準は「収入」ではなく「所得」ベースです。副業の収入が20万円あっても、経費を差し引いた所得が10万円以下であれば確定申告は不要です。ここは非常に勘違いが多いので気をつけてください。
【2箇所以上から給与をもらっている人】
副業先も給与所得という人は、主たる給与以外の給与+その他の雑所得などを合わせて、所得ベースで20万円超であれば確定申告が必要です。
【同族会社の役員・その親族】
同族会社の役員やその親族で、その会社から給与・役員報酬以外に不動産賃貸料や貸付金の利子をもらっている人も、確定申告をしなければならないルールになっています。
📌 ポイント
上記のケースに当たる場合でも、所得税を計算した結果、配当控除額や住宅ローン控除を差し引いて税額が0円になる人は確定申告不要です。税額が存在しなければ申告義務はありません。
📝 このセクションのまとめ
- 給与1箇所・他に所得なし → 年末調整で完結(原則申告不要)
- その他の所得が20万円超 → 申告義務あり(所得ベースで判定)
- 給与収入2,000万円超 → 申告義務あり
- 最終的な税額が0円なら申告不要
確定申告の義務がある人(給与所得がない人・年金受給者の場合)
【事業所得・不動産所得がある人】
給与所得がなく、事業所得や不動産所得がある人で確定申告が必要なのは、所得が48万円超の人です。基礎控除が48万円のため、それを超えると税額が発生し、申告義務が生じます。
【公的年金のみの人】
年金をもらっているからといって、必ずしも確定申告が必要なわけではありません。以下の条件を両方満たす人は確定申告不要です。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 公的年金等の収入金額 | 400万円以下(ほとんどの人が該当) |
| 年金所得以外の所得金額 | 20万円以下 |
年金所得以外の所得が20万円超あれば確定申告が必要です。ただし20万円以下であれば、年金受給者でも確定申告は不要です。
⚠️ 注意
「年金をもらっていたら絶対に確定申告しなければならない」というのは誤解です。年金収入が400万円以下かつ年金以外の所得が20万円以下であれば申告不要です。
なお、20万円をわずかに超えた程度で即座に税務署から目をつけられるかというと、実際はそこまでではありません。ただし、ルール上は申告義務があります。心配な方は必ず確定申告を行ってください。
📝 このセクションのまとめ
- 事業・不動産所得がある人は所得48万円超で申告義務あり
- 年金受給者は「年金収入400万円以下かつ他の所得20万円以下」なら申告不要
- 年金をもらっていれば必ず申告が必要、というのは誤解
確定申告をした方が得する人(任意で申告する場合)
確定申告の義務はないけれど、申告することで税金が戻ってくる・将来の税負担を減らせる人がいます。主なケースは以下の通りです。
【年末調整を受けていない人】
年の途中で退職して、年末時点で勤務先がなかった場合、年末調整が行われないまま年末を迎えます。この場合、納税額が過大になっている可能性があり、確定申告(還付申告)をすることで過大分を取り戻せます。
【年末調整で控除を申告し忘れた人】
生命保険料控除の証明書を出し忘れた、住宅ローン控除を申請し忘れたなど、年末調整で反映できなかった控除がある人も確定申告で税金を取り戻せます。
【副業で源泉徴収された人】
副業の収入から源泉所得税が徴収されている場合、その金額が年間の税額計算において過大になっていることがあります。確定申告・還付申告をすることで過大分を取り戻せます。
【確定申告でしか受けられない控除がある人】
年末調整では受けられず、確定申告が必要な控除は以下の通りです。
- 医療費控除
- ふるさと納税(6自治体以上)の寄附金控除
- 住宅ローン控除(初年度のみ)※2年目以降は年末調整で対応可
- 特定支出控除
- 雑損控除
【事業・不動産所得で赤字が出た人】
事業所得や不動産所得で赤字が出た場合、確定申告をすることで他の所得(例:給与所得)と損益通算できる場合があります。さらに、青色申告を選択していれば、赤字を3年間繰り越すことができ、3年以内に所得が発生した際に相殺して将来の税金を減らすことができます。
【株・投資信託で損失が出た人】
株や投資信託で損をした人も、一定の場合は損失を繰り越して、翌年以降(最大3年間)の利益と相殺(繰越控除)することができます。確定申告が必要です。
【退職所得受給に関する申告書を提出し忘れた人】
退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合、20.42%という高い税率で源泉徴収されます。本来払うべき税金より過大になっているため、確定申告をすることで過大分を取り戻せます。
📌 ポイント
確定申告した方が得するとわかっていても、還付される金額が少額であれば、申告書を作成する時間がもったいない場合もあります。確定申告書等作成コーナーでシミュレーションを行い、還付額を確認してから判断しましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 年末調整未実施・控除申告漏れ・源泉徴収過大な人は還付申告で取り戻せる
- 医療費控除・ふるさと納税(6自治体以上)・住宅ローン控除初年度などは確定申告が必要
- 赤字の損益通算・損失繰越も確定申告が必要
- 還付額が少額なら申告しない選択肢もある
還付申告の期限は5年間・住民税の申告義務にも注意
【還付申告の期限は5年間】
還付申告(税金が戻ってくる申告)は、通常の確定申告期限である3月中旬までではなく、5年間が期限です。令和6年分の確定申告で還付となる場合の期限は、令和7年1月1日から令和11年12月31日までです。
⚠️ 注意(青色申告者は期限内申告が必須)
事業所得などがある青色申告者は、期限内(令和7年3月17日まで)の申告が条件となっています。期限を過ぎると期限後申告となり、青色申告特別控除が65万円・55万円 → 10万円に減額されてしまいます。還付になるからといって期限を過ぎると大きな損になります。
【住民税の申告義務】
所得税には20万円超という基準がありますが、住民税にはこの基準がありません。年末調整済みの給与以外の所得が少しでもあれば、住民税の申告が必要なルールになっています。
| 税目 | その他所得の申告基準 |
|---|---|
| 所得税(確定申告) | その他の所得が20万円超で申告義務 |
| 住民税 | 金額にかかわらず(少しでもあれば申告が必要) |
ただし、実際の取り扱いは自治体によって異なる場合もあるため、お住まいの自治体に確認することをおすすめします。
【確定申告の提出期間まとめ】
| 申告の種類 | 令和6年分の期限 |
|---|---|
| 納税となる確定申告 | 令和7年2月17日(月)〜3月17日(月) |
| 還付申告(任意) | 令和7年1月6日〜令和11年12月31日(5年以内) |
📌 ポイント
還付申告となる方は、すでに令和7年1月6日から提出できます。確定申告書が完成して内容確認まで終わった方は、期限を待たずに提出してもOKです。
📝 このセクションのまとめ
- 還付申告の期限は5年間(令和6年分は令和11年12月31日まで)
- 青色申告者は期限(3月17日)を過ぎると特別控除が10万円に減額される
- 住民税は20万円以下でも申告が必要なルール
- 還付申告は令和7年1月6日から提出可能
e-Taxと紙提出、どちらを選ぶべきか
確定申告をすると決まったら、e-Taxで申告するか紙で提出するかを選ぶ必要があります。基本的にはe-Taxの方が便利で、国税庁もe-Taxを推奨しています。
【紙提出のデメリット(=e-Taxのメリット)】
- 青色申告特別控除の上限が55万円(e-Taxなら65万円)
- 令和7年1月1日以降、税務署に紙で提出しても確定申告書の控えに収受印(受付印)が押されなくなった
収受印の代わりに「リーフレット」が交付されますが、それが融資申請や補助金・助成金申請の際に確定申告書の控えとして認められるかどうかは現時点では不明です。最悪の場合、認められないリスクもあります。
【e-Taxの準備方法】
e-Taxにはマイナンバーカード方式とIDパスワード方式の2種類があります。
| 方式 | 必要なもの | おすすめ度 |
|---|---|---|
| マイナンバーカード方式 | マイナンバーカード・スマホまたはカードリーダー | ★★★(おすすめ) |
| IDパスワード方式 | 税務署で発行したID・パスワード(発行にマイナンバーカードが必要) | ★★(既存ユーザーはそのまま可) |
今年初めてe-Taxを利用する方は、マイナンバーカード方式で進めることをおすすめします。e-Taxのマイページで利用開始手続きができるほか、マイナポータルからも手続きが可能です。
📝 このセクションのまとめ
- 青色申告者はe-Taxなら特別控除65万円、紙なら55万円
- 令和7年1月以降、紙提出の控えに収受印が押されなくなった
- 初めてのe-Taxはマイナンバーカード方式がおすすめ
確定申告書の作成ツールの選び方と注意点
【事業所得・不動産所得がある人】
事業所得や不動産所得がある人は、会計ソフトを使うことをおすすめします。クラウド会計ソフトでは、freee・マネーフォワード・弥生オンラインなどが代表的です。
【事業所得・不動産所得がない人】
国税庁が無料で提供している確定申告書等作成コーナーを利用してください。非常に使いやすくなっており、PC版・スマホ版の両方が利用できます。
- PC版:まだ利用者が多い。細かい入力に向いている
- スマホ版:毎年改善が進んでおり、令和7年からは全画面で操作しやすい設計に。サクッと作成してそのまま送信できる
⚠️ 注意
e-Taxソフトのダウンロード版は使い勝手が悪く、セットアップも面倒です。絶対におすすめしません。確定申告書等作成コーナー(Web版)を使ってください。
また、確定申告書等作成コーナーを利用する前に、推奨環境(OSやブラウザのバージョン)に合致しているか確認してください。推奨環境以外ではエラーが出る場合があります。
【青色申告か白色申告かの選択】
事業所得・不動産所得がある人で青色申告の承認を受けている場合でも、今年は白色申告を選択することができます。青色申告の届出を取り下げない限り、来年また青色に戻ることも可能です。
青色申告のメリットが少ない状況や、帳簿作成の手間を省きたい場合は、白色申告を選択するのも一つの選択肢です。白色申告の帳簿は非常にシンプルです。
📌 ポイント
確定申告書等作成コーナーでシミュレーションを行えば、申告することで税額がどれだけ増減するかを事前に確認できます。申告義務がない状況で申告するとかえって税金が増える場合もあるため、必ず確認してから提出してください。
【e-Tax送信エラーへの注意(令和7年1月8日公表の情報)】
令和7年1月6日以降、マイナンバーカードまたはスマホ用電子証明書を利用して送信を行う際に、一部の人で送信できない事象が発生しました。
具体的には、e-Taxのマイページで本人確認の手続きを行っていない状態で、確定申告書等作成コーナーの送信準備画面から電子証明書による署名付与を行って送信しようとした人でエラーが出ていました。
このエラーを避けるためには、事前にe-Taxのマイページで本人確認の手続きを行ってから送信するようにしてください。
📝 このセクションのまとめ
- 事業所得・不動産所得あり → 会計ソフト(freee・マネーフォワード・弥生オンライン等)
- それ以外 → 確定申告書等作成コーナー(無料・Web版)を推奨
- e-Taxソフトのダウンロード版は非推奨
- 青色・白色の選択は毎年変更可能
- e-Tax送信前にマイページの本人確認手続きを済ませておく
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士ナガイ の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士ナガイを応援しています!
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