確定申告で住民税・国民健康保険料が大幅アップ?税理士が解説する負担増の仕組みと節税策
確定申告後に住民税・国民健康保険料が急増して驚いた経験はありませんか?
仮想通貨で100万円ほどいつもより儲かった場合、所得税だけでなく住民税や国民健康保険料も連動して大幅に増える可能性があります。今回は個人事業主・フリーランスおよび一般個人向けに、確定申告後に発生する税負担の全体像と、負担増を防ぐための節税策を解説します。
📌 ポイント
自治体によっては「国民健康保険料」ではなく「国民健康保険税」という名称がついているところもありますが、基本的に同じものとお考えください。
確定申告後に発生する税金・社会保険料の全体像
会計事務所の駆け出し時代、確定申告担当のお客様に所得税額の報告のみをしたところ、後日「住民税って何?事業税って何?国民健康保険料って何?聞いてなかった、こんなに払わないといけないの?」というクレームを受けたことがあります。これらはワンセットで把握しておく必要があります。
個人事業主・フリーランスの方が確定申告をした後に支払いが発生する主な税金・社会保険料は以下のとおりです。
| 種別 | 名称 | 対象者 |
|---|---|---|
| 国税 | 所得税(+復興特別所得税2.1%) | 全員 |
| 地方税 | 住民税 | 全員 |
| 地方税 | 事業税 | 事業所得・不動産所得がある人のみ |
| 国税(課税事業者のみ) | 消費税 | インボイス登録者・2年前売上1,000万円超の人 |
| 社会保険料 | 国民健康保険料 | 国保加入者 |
| 社会保険料 | 国民年金 | 第1号被保険者 |
⚠️ 注意
国民健康保険料は会社員の健康保険料と比べて保険料が高くなりやすい上に保障内容が薄いという特徴があります。出産手当金や傷病手当金の制度がなく、明らかに会社員の健康保険と比べて不利です。
📝 このセクションのまとめ
- 確定申告後は所得税だけでなく住民税・事業税・国民健康保険料など複数の支払いが発生する
- 消費税はインボイス登録者や2年前売上1,000万円超の人にも別途かかる
- 国民健康保険料は会社員の健康保険より高く、保障も薄い
所得税・住民税・事業税の計算方法
所得税が決まると、住民税・事業税・国民健康保険料も基本的に連動して決まります。まず計算の流れを押さえておきましょう。
【所得税・住民税の計算ステップ】
- 売上(給与収入)から経費(給与所得控除)を差し引いて事業所得/給与所得を算出
- 医療費控除・配偶者控除などの所得控除を差し引いて課税所得を算出
- 課税所得に税率をかけて税額を算出
- 住宅ローン控除・定額減税などの税額控除を差し引いて最終税額を確定
| 税目 | 税率 | 備考 |
|---|---|---|
| 所得税 | 5%〜45%(超過累進税率) | 復興特別所得税2.1%が別途加算 |
| 住民税 | 一律10% | 所得控除の金額が所得税と異なる |
| 事業税 | 最もポピュラーな税率5% | 事業主控除290万円あり/事業所得・不動産所得がある人のみ |
📌 所得税と住民税の所得控除額の違い
令和7年度税制改正で話題の基礎控除を例にとると、所得税では改正前48万円→改正後58万円に引き上げられる方向でほぼ確定しています。ところが住民税計算上の基礎控除は43万円のまま据え置きです。いわゆる「123万円の壁」の改正は住民税の負担が変わらない点で、個人的にはあまり評価できません。
所得税・住民税・事業税を合算した最高税率は55%どころか60%に跳ね上がることもあります。これがある程度稼ぐと法人化する人が多い理由のひとつです。法人化すると節税の選択肢も広がります。
📝 このセクションのまとめ
- 所得税は5〜45%の超過累進税率+復興特別所得税2.1%
- 住民税は一律10%だが、所得控除の金額が所得税と異なる
- 事業税(最高税率5%)も加わると合計税率が60%超になることもある
国民健康保険料の計算方法(大阪市の例)
国民健康保険料の計算は非常に難解です。大阪市を例に解説します。国民健康保険料は以下の3つの合計で構成されます。
| 区分 | 対象世帯 | 平等割(世帯固定) | 均等割(1人あたり) | 所得割率 | 上限額 |
|---|---|---|---|---|---|
| ①医療分保険料 | 全世帯 | 3万4,180円 | 3万4,040円 | 9.56% | 65万円 |
| ②後期高齢者支援金分保険料 | 全世帯 | 同様に計算 | 同様に計算 | 3.12% | (別途上限あり) |
| ③介護分保険料 | 40〜64歳がいる世帯のみ | なし | 均等割あり | 2.64% | (別途上限あり) |
所得割の計算に使う算定基礎所得額とは、事業所得などの合計所得から43万円(住民税計算上の基礎控除額)を差し引いた金額です。
📌 大阪市シミュレーション例:所得500万円の場合
- ①医療分:約61万円
- ②後期高齢者支援金分:約19万8,000円
- ③介護分:約15万9,000円
- 合計:約96万9,624円(月額約8万円超)
なぜ国民健康保険料がこれほど高いのでしょうか。大企業勤めの方は政府管掌の健康保険や健康保険組合に加入し、所得の高い医師は医師国保、税理士も地域によっては税理士国保に加入します。そのため国民健康保険の財源が乏しくなり、保険料が高くなると言われています。
📝 このセクションのまとめ
- 国民健康保険料は医療分・後期高齢者支援金分・介護分の3つの合計
- 所得割率を合計すると大阪市では約15%にもなり、住民税(10%)より高い
- 所得500万円では年間約97万円(月8万円超)になるケースも
住民税・国民健康保険料が増える確定申告のパターン3つ
では具体的にどのような確定申告が住民税・国民健康保険料の大幅アップにつながるのか、3つのパターンを解説します。
【パターン1】いつもより利益が上がった・臨時収入があった
個人事業主・フリーランスの方が業績好調で売上が伸び、利益が増えた場合は当然ながら所得税の負担が増えます。それと連動して住民税・国民健康保険料・事業税も上がります。これはやむを得ない部分ではありますが、事前に把握しておくことが重要です。
【パターン2】臨時収入があった場合(所得の種類別)
| 収入の種類 | 所得区分 | 課税方式 | 主な特例・軽減 | 事業税への影響 |
|---|---|---|---|---|
| 車・金の売却 | 譲渡所得(総合課税) | 総合課税 | 50万円控除、長期所有は1/2課税 | なし |
| 不動産の売却 | 譲渡所得(分離課税) | 分離課税 | 短期所有:約40%、5年超所有:約20%の定率。自宅は3,000万円特別控除あり | なし |
| FX | 雑所得(分離課税) | 分離課税 | 一律20% | なし |
| 仮想通貨(暗号資産) | 雑所得(総合課税) | 総合課税 | なし(超過累進税率が適用されるため税負担が重くなりやすい) | なし |
| 保険の満期保険金 | 一時所得 | 総合課税 | 50万円控除、1/2課税 | なし |
| 退職金 | 退職所得 | 分離課税 | 退職所得控除、1/2課税。国民健康保険料の計算上は影響なし(例外的優遇) | なし |
📌 退職金は国民健康保険料に影響しない
退職所得は住民税には連動しますが、国民健康保険料の計算上は影響なしという例外的な優遇があります。退職金は国保計算上も優遇された所得区分と覚えておきましょう。
【パターン3】株式投資で確定申告をした場合
特定口座(源泉徴収あり)を選んでいれば本来確定申告は不要ですが、以下の理由で確定申告をする方がいます。
- 配当控除を受けるため
- 複数口座間の売却損と売却益を損益通算するため
- 外国税額控除を受けるため
しかし確定申告をすると、所得税は節税できても住民税と国民健康保険料が連動して上がるケースが非常に多いので注意が必要です。
| 申告方法 | 住民税率 | 国民健康保険料 |
|---|---|---|
| 確定申告不要(源泉徴収のみ) | 5% | かからない |
| 確定申告(申告分離課税) | 5%(損益通算の場合も同様) | かかる(大幅アップの可能性) |
| 確定申告(総合課税) | 10%(配当控除で最大2.8%減額→実質7.2%) | かかる(大幅アップの可能性) |
⚠️ 確定申告の盲点
確定申告不要を選んでいると国民健康保険料は一切かかりませんが、確定申告した瞬間に国民健康保険料がアップします。配当控除や損益通算で所得税を節税できても、国保の増加分を考慮すると総合的にはかえって負担が増えるケースもあります。必ずトータルで試算してから判断しましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 利益増・臨時収入・株式投資の確定申告はいずれも住民税・国保の増加につながる
- 仮想通貨は総合課税のため税負担が特に重くなりやすい
- 株式の配当控除目的の確定申告は国保増加とのトータル試算が必須
- 退職金は国民健康保険料の計算上影響しない例外的優遇がある
住民税・国民健康保険料の支払いタイミングに注意
住民税・事業税・国民健康保険料は、確定申告をしてからかなり経った後に納付書が届きます。確定申告した年の翌年度に分割で請求が来るため、お金をしっかりプールしておかないと資金ショートにつながりかねません。
⚠️ 注意
確定申告後に来る支払いをあらかじめリストアップし、納税スケジュールを作成してお金をプールしておくことを強くおすすめします。「知らなかった」では済まされません。
📝 このセクションのまとめ
- 住民税・事業税・国民健康保険料は確定申告後しばらく経ってから請求が来る
- 納税スケジュールを作成し、あらかじめ資金をプールしておくことが重要
負担増を防ぐための節税対策3つ
残念ながら画期的な対策はありませんが、以下の3つが代表的な節税策です。
【対策1】国民健康保険組合に加入する
業界によっては国民健康保険組合(国保組合)が存在します。医師国保・税理士国保などが代表例です。国保組合は所得に関係なく保険料が一定のケースが多く、所得が高い方ほど有利になります。
- 業種・地域によって加入できる組合が異なるため、まず自分の業界に国保組合があるかリサーチすることが重要
- 法人化した後では入れない組合が多いが、個人事業主として加入していれば法人化後も継続できる組合もある
- 法人化を検討している方は、先に国保組合への加入を検討する価値がある
【対策2】所得税・住民税の節税をする
国民健康保険料は住民税の計算に連動しており、住民税は所得税の計算に連動しています。つまり所得税を節税すれば、住民税も国民健康保険料も連動して下がります。個人事業主・フリーランスが活用できる主な節税策は以下のとおりです。
- 青色申告特別控除の活用
- 専従者給与の活用
- 家事関連費(家事按分)の適切な計上
- 経営セーフティ共済の活用(ただし出口が大変なため個人事業主にはあまりおすすめしない)
【対策3】マイクロ法人を設立する
マイクロ法人とは、あえて小さな会社を1つ作り、そこから役員報酬を受け取ることで社会保険(厚生年金・健康保険)に強制加入する手法です。これにより今まで加入していた国民健康保険と国民年金をやめる形になります。
政府管掌の健康保険料は役員報酬の月額で決まるため、月額5〜6万円という最低ラインに設定すれば保険料を格段に下げることができます。
⚠️ マイクロ法人の注意点
- 法人に実態のある事業がなければ税務否認される可能性がある
- 事業を拡大していく場合、役員報酬を抑えると法人税の負担が増える
- 手元にキャッシュを残すには役員報酬で取るのが最も手堅いが、社会保険料・住民税がかかる
- 社会保険料のトリプルグレード問題など、マイクロ法人は当局に目をつけられつつある
- 流行り出すと封じ込められるのが税制の常。起業の一定時期だけ限定で活用するくらいがよいと個人的には考える
📝 このセクションのまとめ
- 国保組合への加入は所得が高いほど有利。法人化前に加入しておくと継続できる組合もある
- 所得税の節税は住民税・国保の削減にも直結する
- マイクロ法人は有効な手段だが、実態・リスク・将来の事業規模を踏まえて慎重に検討する
会社員とフリーランスで異なる注意点
今回の内容を会社員と個人事業主・フリーランスに分けて整理すると以下のとおりです。
| 項目 | 会社員 | 個人事業主・フリーランス |
|---|---|---|
| 住民税 | 要注意(利益増・臨時収入・株式投資で増加) | 要注意(同左) |
| 国民健康保険料 | 関係なし(会社の健康保険に加入) | 要注意(所得に連動して大幅増の可能性) |
| 事業税 | 関係なし | 要注意(事業所得・不動産所得がある場合) |
📌 まとめ
会社員の方は住民税に気をつけていただき、個人事業主・フリーランスの方は住民税と国民健康保険料の両方に気をつけていただくことが重要です。確定申告をする前に、所得税だけでなくこれらの税金・社会保険料も含めたトータルの税負担を試算しておきましょう。
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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