確定申告のミスしやすいポイント20選|税理士が解説する凡ミスの末路2023
確定申告の凡ミスが200万円超の追徴課税や審判所での敗訴につながった実例を交えて、ミスしやすいポイント20個を5分野に分けて解説します。
確定申告の全体像を把握しよう
確定申告とは、以下の計算式によって税金を自分で確定させる手続きです。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①収入 | 給与・事業など10種類の収入(所得税) |
| ②-経費 | 仕事に関する必要経費(会社員は給与所得控除) |
| ③=合計所得 | 収入から経費を引いた額 |
| ④-控除 | 生活に関する国が認めた値引き |
| ⑤=課税所得 | 合計所得から控除を引いた額 |
| ⑥×税率=税額 | 申告書31番の数値 |
| ⑦-税額控除 | 住宅ローン控除など |
| ⑧-源泉徴収税額 | 給与・報酬から天引きされた額 |
| ⑨プラス→納税/マイナス→還付 | 最終的な納税額または還付額 |
今回はミスしやすいポイントを次の5つの分野に分けてお話しします。
- 収入・売上の注意点
- 経費の注意点
- 控除の注意点
- 添付書類の注意点
- 納税の注意点
📝 このセクションのまとめ
- 確定申告は「収入→経費→合計所得→控除→課税所得→税額」の流れで計算する
- ミスしやすい分野は収入・経費・控除・添付書類・納税の5つ
収入・売上のミスしやすいポイント
厳密には「収入」と「売上」は別物ですが、通常の確定申告では同じ意味として捉えて問題ありません。
【ポイント①】収入と入金は必ずしもイコールではない
小売業など収入と入金が一致する業種も多いですが、そうでない業種も多くあります。たとえば、収入から源泉所得税が引かれ、さらに手数料が引かれた金額が実際の入金額になる場合があります。通帳だけを見て売上を入力してしまうと、入金額をそのまま収入として計上するミスが起きやすくなります。
⚠️ 注意
免税事業者の場合、消費税を収入に含めないのは誤りです。消費税を納めていない方は税込経理しか認められていないため、本体価格+消費税を収入・売上として計上する必要があります。消費税を収入に入れ忘れると税額が大きく変わります。
【ポイント②】原則は発生主義
個人事業主や副業をやっている方が必ず知っておきたい会計の基本が「発生主義」です。
📌 ポイント:発生主義とは
売上は「物を渡した時点・サービスを提供した時点」で計上するルールです。例えば2022年に物を売って、入金が2023年に振り込まれた場合でも、売上は2022年になります。入金タイミングにすると、入金を意図的にずらすことで納税を先送りできてしまうため、不正防止の観点から発生主義が原則となっています。売ってから入金までのタイムラグは「売掛金」と呼びます。
ただし、例外的に現金主義(入金タイミングで売上計上)が認められるケースもあります。
| 現金主義が認められるケース | 条件 |
|---|---|
| 雑所得(業務)=副業 | 2年前の収入が300万円以下の場合。令和4年分の確定申告から適用可 |
| 青色申告10万円控除 | 事前に「現金主義の特例」の届け出を提出している場合 |
【ポイント③】支払調書の取り扱いに注意
支払調書とは、取引先から年に1回(主に年明け)もらえる、1年間の売上と源泉所得税が記載された書類です。ただし、支払調書は必ずもらわなければならないものではなく、あくまでも参考資料として受け取るのが正解です。
取引先が発生主義で支払調書を作成しているかどうかは微妙で、実務上は振り込んだタイミングで集計して作成している会社も多くあります。正確には自分で帳簿を作り、売上のタイミングをその都度入力することが正解です。
📝 このセクションのまとめ
- 通帳の入金額をそのまま収入にしない(源泉所得税・手数料が引かれている場合がある)
- 免税事業者は消費税込みの金額を収入に計上する
- 売上計上は原則「発生主義」(物を渡した・サービスを提供した時点)
- 支払調書はあくまで参考資料。自分で帳簿管理が基本
経費のミスしやすいポイント
経費の注意点は、事業所得・不動産所得・雑所得(業務)=副業の方に当てはまる内容です。
【ポイント④】ネット決済関係の経費を忘れない
クレジットカード明細・携帯会社の決済・通帳からの引き落としなど、レシートや領収書が手元に残らない支出は経費として入れ忘れやすいです。必ずチェックしましょう。
- 通信費(携帯代など):全額が経費になるとは限りませんが、仕事に使っている割合に応じて按分して経費計上できます
- 電気代:自宅で作業している方は按分で経費に入れることができます
【ポイント⑤】租税公課(税金)の経費計上を忘れない
忘れがちなのが租税公課(税金)の経費計上です。
| 税金の種類 | 経費になるか | 備考 |
|---|---|---|
| 個人事業税 | ○ 経費になる | 租税公課として計上 |
| 消費税(納付分) | ○ 経費になる | 消費税を納めている方 |
| 所得税 | × 経費にならない | — |
| 住民税 | × 経費にならない | — |
| 予定納税(第1期・第2期) | 経費ではないが申告書50番に記入 | 7月・11月払い |
⚠️ 注意
国民健康保険料・国民年金を「福利厚生費」などの経費に入れるのは誤りです。これらは仕事ではなく生活に関するものであり、「社会保険料控除」(申告書13番)として控除側に計上します。
📝 このセクションのまとめ
- クレカ・携帯決済・通帳引き落としの経費を入れ忘れない
- 通信費・電気代は按分して経費計上できる
- 個人事業税・消費税(納付分)は経費になるが、所得税・住民税は経費にならない
- 国民健康保険料・国民年金は経費ではなく社会保険料控除(申告書13番)に記入
控除のミスしやすいポイント
【ポイント⑥】社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除
国民健康保険料・国民年金は社会保険料控除(申告書13番)に記入します。また、iDeCo(個人型確定拠出年金)を掛けている方は小規模企業共済等掛金控除への記入を忘れないようにしましょう。
【ポイント⑦】配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除の確認
「自分の家族が扶養に入れるかどうかは当然わかっている」と思っている方も、改めて確認が必要です。配偶者や子どもが意外と稼いでいる場合があります。
| 対象者 | 収入の上限(給与) | 控除の種類 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 201万円以下 | 配偶者特別控除(上限まで段階的に控除額が変わる) |
| 配偶者 | 103万円以下(所得48万円以下) | 配偶者控除(38万円) |
| その他の家族(子など) | 103万円以下 | 扶養控除 |
📌 ポイント
配偶者が確定申告をしているかどうかと、扶養に入れるかどうかは全く関係ありません。確定申告をしていても扶養の範囲内という方もいます。必ず実際の収入額を確認しましょう。
また、年金受給者が扶養に入れるかどうかについては、年齢によって上限が異なります。
| 配偶者の年齢 | 年金収入の上限 | 取れる控除 |
|---|---|---|
| 65歳未満 | 108万円以下 | 配偶者控除・扶養控除 |
| 65歳未満 | 214万円以下 | 配偶者特別控除 |
| 65歳以上 | 上限が広がる | 同上(上限額が拡大) |
【ポイント⑧】医療費控除の注意点
医療費控除は注意点が多い項目です。詳細は別の動画・記事をご参照ください。
【ポイント⑨】ふるさと納税(寄付金控除)のワンストップ特例に注意
⚠️ 注意
会社員でワンストップ特例をすでに申請済みの方も、確定申告をする場合はワンストップ特例が全部無効化されます。確定申告書にもう一度ふるさと納税の内容を記入し直す必要があります。これを忘れると節税効果が台無しになります。
📝 このセクションのまとめ
- 国民健康保険料・国民年金・iDeCoは社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除に記入
- 配偶者・扶養控除は実際の収入を確認してから判断(確定申告の有無は関係ない)
- 確定申告をする場合はワンストップ特例が無効になるため、ふるさと納税を申告書に再記入する
添付書類と納税のミスしやすいポイント
【ポイント⑩】住宅ローン控除・不動産譲渡の添付書類
住宅ローン控除の初年度や不動産の譲渡所得(不動産を売却した場合)の確定申告では、以下の書類が必要です。
- 売買契約書
- 登記事項証明書
これらの添付書類の準備を忘れないようにしましょう。
【ポイント⑪】繰越損失の申告書を毎年出し続ける
投資で損失が出た場合、その損失を3年間繰り越すことができます。ただし、毎年必ず申告書を提出し続けることが条件です。
| 投資の種類 | 必要な申告書 |
|---|---|
| 株式 | 確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用) |
| FX | 先物取引に係る繰越損失用の申告書 |
⚠️ 注意
損失がない年(売買をしなかった年)でも、繰越損失の申告書を提出し続けなければなりません。1回でも出し忘れると、それ以降は繰越損失を使えなくなります。また、出し忘れた年分はやり直しがきかないため注意が必要です。
【ポイント⑫】振替納税の申し込みと残高確認
税金の自動引き落としができる振替納税は、事前に申し込みが必要です。申し込み書は税務署の手引きの後ろに掲載されているほか、国税庁のホームページからもダウンロードできます。
📌 2023年からの変更点
これまでは引っ越しで管轄税務署が変わるたびに振替納税の届け出を出し直す必要がありましたが、2023年からは引っ越し時に届け出が不要になりました。確定申告書の左上にある「振替継続希望」欄に丸をするだけで、以前の口座をそのまま使い続けることができます。
【ポイント⑬】納税期限と延滞税に注意
確定申告の期限は3月15日ですが、納税の期限も同じく3月15日です。振替納税を利用している場合の所得税の引き落としは4月24日ですが、残高不足で引き落としができなかった場合は3月16日にさかのぼって延滞税が発生します。
| 期間 | 延滞税率(2023年) |
|---|---|
| 3月16日〜2ヶ月間 | 年2.4% |
| 3ヶ月目以降 | 年8.7%(大幅上昇) |
📝 このセクションのまとめ
- 住宅ローン控除初年度・不動産売却時は売買契約書・登記事項証明書を添付する
- 繰越損失の申告書は損失がない年も毎年提出し続ける必要がある
- 振替納税は2023年から引っ越し時の再届け出が不要になった
- 振替納税の引き落とし口座の残高不足は3月16日からの延滞税発生につながる
実例:確定申告で凡ミスした4人の末路
ここからは、実際に確定申告で凡ミスをしてしまった4つの事例を紹介します。
【事例①】支払調書の消費税の見落としで200万円の追徴課税
ある方は長年、消費税を収入に含めずに確定申告をしていました。年収が500万円程度のころは問題になりませんでしたが、収入が2,000万円に増えたタイミングで税務署から指摘を受けました。
- 消費税の漏れ:200万円
- 税率:43%
- 本税:86万円
- 延滞税・加算税等を含めた過去3年分の追徴課税:約200万円
原因は支払調書の消費税の記載方法の違いを見落としていたことです。支払調書の消費税の書き方には2つのパターンがあります。
| パターン | 記載方法 | 確定申告での収入計上額 |
|---|---|---|
| ①消費税込み(多数派) | 支払金額欄に消費税込みの金額を記載。適用欄に「うち消費税○○円」と記載 | 支払金額欄の金額をそのまま計上 |
| ②消費税別途(少数派) | 支払金額欄に本体価格のみ記載。適用欄に「別途消費税○○円」と記載 | 支払金額+消費税を合算して計上 |
⚠️ 注意
パターン②の支払調書を受け取った場合、支払金額欄の金額だけを収入に計上すると消費税分が丸ごと売上から漏れます。これは脱税とみなされる可能性があります。支払調書を受け取ったら、消費税の記載方法を必ず確認してください。
【事例②】FX繰越損失の申告書出し忘れで2万円の損失
FXをやっている方が、繰越損失の申告書を出し忘れた事例です。
| 年度 | FXの損益 | 申告書の提出 |
|---|---|---|
| 令和2年 | 損失10万円 | 繰越損失用の申告書を提出 ✓ |
| 令和3年 | 売買なし(損益ゼロ) | 申告書の提出を忘れた ✗ |
| 令和4年 | 利益20万円 | 本来は10万円を相殺できたはずが… |
令和3年に売買をしなかったため申告書を出し忘れた結果、令和4年の利益20万円から令和2年の損失10万円を相殺することができなくなりました。損失額10万円×FX税率20%=2万円の損となりました。
⚠️ 注意
確定申告のほとんどは過去分をやり直しできますが、繰越損失の申告書の出し忘れはやり直しがききません。令和3年に申告書を出さなかったことは「繰り越しの権利を放棄した」とみなされるため、修正申告ができません。
【事例③】配偶者特別控除の見落としで毎年11万円の損失
お互い別々の会社に勤める会社員夫婦の事例です。長年お互いの年収を知らないまま年を重ねた結果、夫が退職して年金生活になりました。妻が調べてみると、夫の年金収入は年160万円であることが判明。
65歳以上の配偶者の場合、年金収入が214万円以下であれば配偶者特別控除(38万円)が取れます。しかしこの妻は、夫の退職後3年間ずっと配偶者特別控除を申告せずにいました。
- 配偶者特別控除額:38万円
- 妻の税率:30%
- 毎年の損失:11万円
- 3年間の合計損失:33万円
📌 ポイント
この事例では「更正の請求」(確定申告のやり直し)が認められるため、慌てて3年分の確定申告をやり直しに行きました。繰越損失の出し忘れとは異なり、控除の取り忘れはやり直しが可能です。
【事例④】振替納税の口座を忘れて延滞税→審判所で完全敗訴
振替納税の届け出をしていたにもかかわらず、仕事用の口座が2つあり、どちらを届け出たか忘れてしまった事例です。税務署に電話しても個人情報保護の観点から「○○銀行○○支店」までしか教えてもらえず、2つの口座がどちらも同じ銀行・同じ支店だったため手がかりになりませんでした。
賭けで一方の口座に納税資金を入れたところ、もう一方の口座が振替納税用だったため、4月20日の引き落とし日に残高不足で振替不能となりました。気づいた後、5月1日に銀行窓口で納付しましたが、5月24日に延滞税の督促状が届きました。
- 延滞税の対象期間:3月16日〜5月1日(約1ヶ月半)
- 納税額が大きかったため、延滞税の金額も相当額に
納得がいかないとして、税金版の裁判所である国税不服審判所に訴えましたが、約1年の審議の末、「振替納税の口座を忘れた方が悪い」として完全敗訴となりました。
⚠️ 注意
振替納税の引き落とし口座は必ず記録しておきましょう。残高不足で振替不能になった場合、本来の納税期限(3月15日)の翌日から延滞税が発生します。「自分は納税資金を準備していた」という事情は考慮されません。
📝 凡ミス4事例のまとめ
- 【事例①】支払調書の消費税の見落とし→過去3年分含め追徴課税約200万円
- 【事例②】FX繰越損失の申告書出し忘れ→やり直し不可・2万円の損失
- 【事例③】配偶者特別控除の見落とし→毎年11万円×3年間の損失(更正の請求でやり直し可)
- 【事例④】振替納税口座の残高不足→延滞税発生・国税不服審判所でも完全敗訴
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル オタク会計士ch【山田真哉】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは オタク会計士ch【山田真哉】を応援しています!
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