確定申告で損しないために!間違いやすい10項目を税理士が解説
確定申告で知らずに損したり、税務署から追加徴税されないための提出前チェックリストです。
もうすぐ確定申告書の提出時期が始まりますが、間違いなく完璧にできているという自信のある人は少ないかと思います。今回は間違いやすい部分をピックアップして解説していきます。是非、提出前のチェックリストとして利用していただければと思います。
今回解説するのは以下の項目です。あなたに当てはまるものがあれば、そこを重点的に確認してください。
- 給与所得の申告漏れ
- 所得金額調整控除の漏れ
- 国民健康保険料の申告漏れ
- ふるさと納税に関する注意点
- 生命保険の一時金についての申告
- 配偶者控除・配偶者特別控除の申告漏れ
- ひとり親控除・寡婦控除の申告漏れ
- 基礎控除・勤労学生控除の記載漏れ
- 復興特別所得税の書き漏れ
- 予定納税の申告漏れ
① 給与所得の申告漏れ
勤務先が1〜2箇所の人は申告漏れの可能性は非常に少ないですが、5箇所以上でアルバイトや副業をしている方は結構漏れています。たとえばお医者さんの場合、大学病院や民間病院に常勤として勤めながら、他の病院にも勤務して給与収入をもらっているケースがあり、そういった場合に給与所得の申告を漏らしてしまいがちです。
数が多いと源泉徴収票をなくしてしまうという方も非常に多いです。全ての勤務先について源泉徴収票が手元にあるか、そしてそれを正確に確定申告書に反映しているかを必ず確認するようにしてください。
⚠️ 注意
一定金額以上の給与については、勤務先から税務署へ法定調書という形で報告されています。その情報から、申告漏れがあれば税務署に簡単にばれてしまいます。
ただし、給与収入の金額や源泉所得税の金額によっては、確定申告をすることで還付を受けられるケースも多くあります。損しないという観点からも、必ず全ての給与所得を申告していることを確認してください。
📝 このセクションのまとめ
- 全ての勤務先の源泉徴収票を手元に揃える
- 給与所得の申告漏れは法定調書により税務署に把握される
- 申告することで還付を受けられるケースもある
② 所得金額調整控除の漏れ
所得金額調整控除はまだ馴染みがない方も多いかもしれませんが、適用対象となる方には2つのパターンがあります。
| パターン | 対象者の条件 | 控除の計算方法 |
|---|---|---|
| ① 給与収入が高い場合 | 給与収入が850万円超で、23歳未満の扶養親族がいる、または本人・扶養親族が特別障害者である | (給与収入 − 850万円)× 10% |
| ② 給与所得と年金所得がある場合 | 給与所得と公的年金等の雑所得の両方があり、給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等の雑所得の合計が10万円超 | 所得控除として認められる |
⚠️ 注意
所得金額調整控除には専用の記載欄がありません。第1表の所得金額を記載する際に、給与額面から給与所得控除および所得金額調整控除を差し引いた金額をダイレクトに書く形になっています。手書きの方は特に漏らしやすいので注意が必要です。
国税庁の確定申告書作成コーナーを利用すれば自動で適用してくれるので、控除漏れの心配はありません。紙で提出するという方も、是非確定申告書作成コーナーを利用することをおすすめします。
📌 ポイント
所得金額調整控除を適用する際は、収入金額等の給与の区分欄に「1・2・3」を記載した上で、所得欄に給与所得控除および所得金額調整控除の金額を控除した後の金額を記載してください。
📝 このセクションのまとめ
- 所得金額調整控除には専用の記載欄がなく手書きでは漏れやすい
- 確定申告書作成コーナーを使えば自動計算される
- 給与収入850万円超または給与・年金の両方がある方は必ず確認
③ 国民健康保険料の申告漏れ
国民健康保険料は会社員の方には関係ありませんが、自営業やフリーランスの方、あるいは令和5年中に一時期自分で商売を行っていた方は国民健康保険料を払っているケースがあります。
この国民健康保険料は、控除証明書という形で市区町村から送られてこないことが多いという点が落とし穴です。ただし、希望者には控除証明書を発行している自治体も多いので、是非問い合わせてみてください。控除証明書がなければ、国民健康保険料の納付書をもとに令和5年中に支払った金額を申告することになります。
⚠️ 注意
国民年金保険料についてはハガキサイズで証明書が送られてくるため、それで安心して国民健康保険料の申告を漏らしてしまう方が非常に多いです。国民年金保険料の控除証明書が届いた方は、国民健康保険料も負担していることが多いので、必ず確認してください。
口座振替で払っている方は、納付額のお知らせが市区町村から届いているケースもありますし、通帳の入出金明細でも確認できます。
📝 このセクションのまとめ
- 国民健康保険料は控除証明書が自動送付されないことが多い
- 国民年金の証明書が届いた方は国民健康保険料も確認すること
- 納付書・通帳明細・市区町村への問い合わせで金額を確認できる
④ ふるさと納税のワンストップ特例の落とし穴
ふるさと納税については申告漏れという方は少なくなってきていますが、問題はワンストップ特例を申請した後に確定申告が必要になったケースです。
5自治体以下であれば確定申告によらずにワンストップ特例という手続きによって寄附金税額控除を適用することができます。ところが、ワンストップ特例を申請した後に、たとえば医療費が10万円以上あることが発覚して確定申告をすることになった場合、ふるさと納税の分も合わせて確定申告しなければ、ワンストップ特例は無効になってしまいます。
⚠️ 注意
確定申告はあなたの1年間の収入と控除を全て反映した内容である必要があります。一旦ワンストップ特例を申請したとしても、確定申告を行う場合は改めてふるさと納税の内容も記載することを忘れないでください。忘れると大きな損になります。
📝 このセクションのまとめ
- ワンストップ特例後に確定申告をする場合はふるさと納税も一緒に申告する
- ふるさと納税を申告しないとワンストップ特例が無効になる
⑤ 生命保険の一時金・解約返戻金の申告漏れ
生命保険の解約返戻金や満期保険金を受け取った場合は、基本的に確定申告をしなければなりません。申告しないと高い確率で税務署からお尋ねが来て、追加で税金を負担することになります。
保険料の負担者と保険金・解約返戻金の受取人が同じ場合は、所得税・住民税がかかり確定申告の対象になります。受取人が別の人の場合は贈与税が発生します。
所得の種類は受け取り方によって異なります。
| 受け取り方 | 所得の種類 | 特別控除・優遇 |
|---|---|---|
| 一時金(解約返戻金・満期保険金) | 一時所得 | 支払保険料総額を経費控除後、さらに50万円を控除。残額の1/2が課税対象 |
| 年金形式で受け取る場合 | 公的年金等以外の雑所得 | 50万円控除・1/2課税なし。ただし所得が20万円以下なら確定申告不要 |
| 一時払い養老保険等で保険期間5年以下(または5年以内解約) | 金融類似商品(源泉分離課税) | 源泉所得税約20%が控除されて課税関係終了 |
📌 ポイント
一時所得の計算式:(解約返戻金・満期保険金) − 支払保険料総額 − 50万円(特別控除) = 一時所得金額。さらにその1/2が課税対象となるため、かなり優遇されています。
⚠️ 注意
保険会社は以下の場合に税務署へ支払調書を提出します。申告漏れは簡単にばれます。
- 100万円を超える保険金・解約返戻金を支払う場合
- 年金として年間20万円以上を支払う場合
- 死亡による契約者変更があった場合(解約返戻金相当額が相続財産とみなされる)
📝 このセクションのまとめ
- 解約返戻金・満期保険金は基本的に確定申告が必要
- 一時所得なら50万円控除+残額1/2が課税対象で優遇あり
- 100万円超の保険金は保険会社から税務署に報告されるため申告漏れはばれる
⑥ 配偶者控除・配偶者特別控除の申告漏れ
数年前に改正があり複雑になったことから、よくわからないということで申告を漏らしてしまう方がいらっしゃいます。配偶者が給与だけの場合の控除の仕組みは以下の通りです。
| 配偶者の給与収入 | 適用される控除 | 控除額(本人所得900万円以下の場合) |
|---|---|---|
| 103万円以下 | 配偶者控除 | 38万円 |
| 103万円超〜150万円以下 | 配偶者特別控除(満額) | 38万円 |
| 150万円超〜201万6千円未満 | 配偶者特別控除(逓減) | 段階的に減少 |
| 201万6千円以上 | 適用なし | 0円 |
さらに、配偶者控除・配偶者特別控除は配偶者の収入だけでなく、本人の所得金額によっても控除額が変わります。本人の合計所得金額が1,000万円を超えると配偶者控除・配偶者特別控除は適用できなくなります。
⚠️ 注意
本人の合計所得金額が1,000万円超にもかかわらず配偶者控除・配偶者特別控除を適用してしまうと、税務署から間違いを指摘されて追加で税金を徴収されることになります。この点は十分に気をつけてください。
📝 このセクションのまとめ
- 配偶者の収入と本人の所得の両方で控除額が決まる
- 本人の合計所得金額1,000万円超は適用不可
- 確定申告書作成コーナーを使えばミスを防ぎやすい
⑦ ひとり親控除・寡婦控除の申告漏れ
令和2年から制度が大きく変わったこともあり、申告を漏らしてしまうケースがあります。
| 控除の種類 | 対象者 | 所得要件 | 控除額 |
|---|---|---|---|
| ひとり親控除 | いわゆるひとり親で、生計を一にする子供がいる方(性別問わず) | 合計所得金額500万円以下 | 35万円 |
| 寡婦控除 | 配偶者と離婚後に再婚していない女性で、子供以外の扶養親族がいる方 | 合計所得金額500万円以下 | 27万円 |
ひとり親控除に該当しない方(子供以外の扶養親族がいる女性)は寡婦控除の対象となります。ひとり親控除の方が控除額が大きいので、まず自分がひとり親控除に該当するかどうかを確認してください。
📝 このセクションのまとめ
- ひとり親控除(35万円)は合計所得500万円以下が要件
- 寡婦控除(27万円)は女性限定で子供以外の扶養親族がいる場合
- 令和2年の制度改正内容を確認し、漏れなく申告する
⑧ 基礎控除・勤労学生控除・復興特別所得税の書き漏れ
基礎控除は一定の高額所得者を除いて全員に認められる48万円の所得控除です。確定申告書作成コーナーを利用していれば自動で入力されますが、手書きの方は漏らしやすいので注意が必要です。なお、合計所得金額が2,400万円を超えると控除額が段階的に減少します。
勤労学生控除については、以下の要件を全て満たす学生が27万円の控除を受けられます。
- 小中高・大学・高等専門学校などの学生で確定申告を行う人
- 合計所得金額が75万円以下であること
- 給与所得以外の所得が10万円以下であること
学生はなかなか確定申告をする機会が少なく情報不足になりやすいため、勤労学生控除の知識がなくて申告を漏らしてしまうケースが多いです。
⚠️ 注意
所得税の計算が終わった後に加算される復興特別所得税(所得税額の2.1%)の書き漏れが未だに多く見られます。手書きの方は必ず忘れずに記載してください。確定申告書作成コーナーを利用すれば自動計算されます。
📝 このセクションのまとめ
- 基礎控除48万円は手書きの方が漏らしやすい(合計所得2,400万円超は逓減)
- 勤労学生控除27万円は要件を満たす学生が対象
- 復興特別所得税(所得税額×2.1%)の書き漏れに注意
⑨ 予定納税の申告漏れ(二重納税に注意!)
予定納税とは、前年の所得税額が一定以上の場合に、当年の7月と11月に中間納付として前払いする税金のことです。この前払い分は確定申告で確定した税額から差し引くことができるため、場合によっては還付になることもあります。
⚠️ 注意
予定納税を申告書に記載しないと、1年分の税金を二重に納税してしまうことになりかねません。非常に大きな金額になるケースもあるので、必ず確認してください。
予定納税の対象かどうかは、前年の確定申告書第1表の49番の欄が15万円以上かどうかで判断します。ただし、雑所得・一時所得がある場合はそれを除いた部分で判断するため、49番の欄の金額だけで判断するわけではない点に注意してください。
予定納税の対象となる方には必ずお知らせが届いています。そのお知らせを確認して、申告書の50番の欄に予定納税額を記載するようにしてください。振替納税をしている方は通帳の入出金明細でも確認できます。
📌 ポイント
予定納税は金額が大きいため、税務署から書き漏れを指摘してくれるケースもあります。ただし、100%教えてくれるわけではないので、自分でもしっかり確認することが大切です。
📝 このセクションのまとめ
- 予定納税の書き漏れは二重納税につながる
- 前年の確定申告書49番欄が15万円以上なら予定納税の対象の可能性あり
- 申告書50番欄に予定納税額を記載する
- 通帳の入出金明細でも確認可能
間違いに気づいた場合の対処法
申告書を提出した後に間違いに気づいた場合は、気づいたタイミングによって手続きが異なります。
| 気づいたタイミング | 手続きの種類 | 内容 |
|---|---|---|
| 申告期限内(3月15日まで) | 訂正申告 | 正しい内容の確定申告書をもう一度提出する。期限内に複数回提出された場合、税務署は最後に提出されたものを正として扱う |
| 申告期限後(3月16日以降)で税額が少なかった場合 | 修正申告 | 申告書を提出して追加納税を行う |
| 申告期限後(3月16日以降)で税額を多く申告した場合 | 更正の請求 | 申告書の様式が異なる。税務署による審査があり、追加書類の提出を求められる場合もあるが、認められれば還付金が振り込まれる |
📌 ポイント
期限内(3月15日まで)に間違いに気づいた場合は、郵送・窓口持参・e-Taxのいずれかで正しい申告書を再提出するだけで訂正できます。反映されるか不安な方は年のため税務署へ問い合わせてください。更正の請求は審査が必要なため時間がかかる場合がありますが、正しく対応すれば多く収めた税金は戻ってきます。
📝 このセクションのまとめ
- 期限内なら訂正申告(再提出)で簡単に修正できる
- 期限後に税額が少なかった場合は修正申告+追加納税
- 期限後に税額を多く申告した場合は更正の請求(審査あり)
- どちらのケースかで手続きが全く異なる
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士ナガイ の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士ナガイを応援しています!
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