確定申告でかかる税金は所得税だけじゃない!全税目と節税方法を税理士が解説

確定申告でかかる税金は所得税だけじゃない!全税目と節税方法を税理士が解説
e_zeirishi

確定申告が終わっても、所得税以外にも多くの税金が後からかかってきます。

確定申告でかかる税金は所得税だけではない

確定申告の納税が済んだからといって、安心してはいけません。所得に対してかかる税金は所得税だけではなく、後から複数の税金が課されてきます。まずはその全体像を把握しておきましょう。

今回は以下の4点を解説します。

  1. 確定申告によってかかる税金の全体像
  2. 課税所得500万円・1000万円のシミュレーション
  3. 各種税金の節税方法
  4. 税金だけではない「社会保険料」の負担

📌 ポイント

確定申告のタイミングで所得税を納めても、その後に住民税・事業税・消費税が次々と課されます。年間を通じた納税管理が非常に重要です。

所得税の仕組み:源泉徴収・予定納税との関係

所得税は1年間の税金をまとめて確定申告時に払うわけではありません。給与所得者や報酬をもらって働く事業所得者の中には、すでに源泉徴収されている方がいます。源泉徴収された金額は税金の「前払い」ですので、年間の税額からその分を差し引いた残額を確定申告で納税します。

源泉徴収税額が多ければ、逆に所得税の還付を受けられることもあります。また、前期に予定納税があった方は、確定申告のタイミングで納税すべき金額が少なくなります。

📌 所得税の納税額の計算式

年間の所得税額 - 源泉徴収税額 - 予定納税額 = 確定申告での納税額(または還付額)

マイナスになれば還付、プラスになれば追加納税となります。

「確定申告のタイミングではあまり税金を払わなくていい」と感じている方も多いですが、その後に住民税・事業税・消費税が後から課されてくることを忘れてはいけません。

📝 このセクションのまとめ

  • 源泉徴収・予定納税は所得税の「前払い」
  • 確定申告では年間税額から前払い分を差し引いた額を納税する
  • 確定申告後にも住民税・事業税・消費税が別途かかる

所得税以外にかかる3つの税金

確定申告後に課される主な税金は以下の3つです。それぞれの概要を確認しておきましょう。

税金の種類対象者税率・目安納付期限
住民税所得のある全員課税所得の約10%6月・8月・10月・翌1月(普通徴収の場合4分割)
事業税主に事業所得者(所得 - 290万円)× 約5%8月・11月(2分割)
消費税課税事業者(2期前の課税売上高1,000万円超)売上・経費による(簡易課税はみなし仕入率で計算)3月31日(所得税は3月15日)

住民税は、おおむね課税所得金額の10%程度が目安です。ふるさと納税や住宅ローン控除がある場合はその分安くなります。普通徴収(給与天引きではなく自分で納付書で払う場合)は年4回の分割払いとなります。

事業税は給与所得者には関係なく、主に事業所得がある方に課される税金です。業種によって税率は異なりますが、多くの業種では5%です。課税対象となるのは「所得 - 290万円(事業主控除)」のプラス部分です。意外と金額が大きくなることがあります。

消費税は課税事業者が対象で、所得税の期限(3月15日)とは異なり3月31日が期限です。消費税も所得税と同様に、一定額以上の前期納税額があれば中間納付(予定納税)が必要となる場合があります。中間納付額は確定した消費税額から差し引くことができます。

⚠️ 注意

事業税は確定申告後に都道府県から通知が届いて初めて知る方も多い税金です。事前に金額を試算して資金を確保しておきましょう。給与所得者には課税されません。

📝 このセクションのまとめ

  • 住民税:課税所得の約10%、普通徴収は年4回払い
  • 事業税:(所得-290万円)×約5%、事業所得者が対象
  • 消費税:課税事業者が対象、期限は3月31日

課税所得500万円・1000万円のシミュレーション

ここでいう「課税所得」とは、確定申告書第一表の30番「課税される所得金額」のことです。実際に税金がいくらかかるのか、事業所得者を前提に2つのケースでシミュレーションします。

課税所得500万円のケース

年間の所得税額はおよそ58万円程度となります。源泉徴収や予定納税がない方は、この金額が確定申告のタイミングでまるごとかかってきます。

税金の種類年間合計1回あたりの納付額納付時期
所得税(確定申告)58万円3月15日まで
住民税50万円12.7万円×4回6・8・10・翌1月
事業税13.9万円6.5万円×2回8月・11月
所得税の予定納税(来年分)来年確定申告の前払い7月・11月

⚠️ 注意

課税事業者の方は消費税の納税も必要です。たとえば税抜き年間売上1,000万円のサービス業で簡易課税(みなし仕入率50%)を選択している場合、消費税の納税額は約50万円になります。住民税と同規模の負担です。

課税所得1,000万円のケース

税金の種類年間合計1回あたりの納付額納付時期
住民税100万円25万円×4回6・8・10・翌1月
事業税38万円19万円×2回8月・11月
所得税の予定納税(来年分)60万円×2回7月・11月

課税所得が1,000万円になると、住民税だけで年間約100万円、事業税も約38万円と大幅に増加します。さらに所得税の予定納税として来年分の前払いが7月と11月にそれぞれ60万円発生します。

📌 納税管理表の活用を

予定納税は「来年の税金」ですが、年間の納税管理表に組み込んでおくことで、「この時期にこの金額を確保しなければならない」という資金計画が立てやすくなります。消費税の予定納税が発生する課税事業者の方も、消費税分を忘れずに管理表に加えてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 課税所得500万円:住民税約50万円+事業税約13.9万円+消費税(課税事業者は別途)
  • 課税所得1,000万円:住民税約100万円+事業税約38万円+予定納税60万円×2回
  • いずれのケースも事業所得者を前提(給与所得者は事業税なし)
  • 年間納税管理表で資金確保のスケジュールを立てることが重要

各種税金の節税方法

所得税・住民税・事業税はいずれも所得に比例してかかる税金です。そのため、所得税の節税を行えば住民税・事業税も連動して減るという関係にあります。

消費税については計算方法が異なるため所得税と全く同じではありませんが、基本的には所得が減るほど消費税も減る方向に向かいます。ただし、簡易課税を選択している方は売上から一律で消費税の納税額が決まるため、経費を積んでも消費税の節税にはなりません。この点は必ず理解しておいてください。

住民税と所得税で異なる申告方法を選択できるケース

住民税と所得税では、場合によって異なる課税方法を選択できることがあります。代表的なのが株取引や配当金の申告方法です。

たとえば、過去から繰り越した株式譲渡損失と今期の株式譲渡所得を相殺するために確定申告を行う場合、所得税では還付を受けられても、住民税が高くなってしまうケースがあります。さらに国民健康保険料も高くなる可能性があります。

そのような場合には、住民税においてのみ「申告不要制度」を採用するという選択肢があります。所得税と住民税で異なる扱いができることを、節税を考える上で必ず意識しておいてください。

消費税の節税:簡易課税の活用

本則課税を選択していて消費税の負担が重い方でも、簡易課税を採用することで大幅な節税になるケースがあります。特に経費があまりかからないフリーランスの方には簡易課税がおすすめです。

法人化による節税

ある程度の利益が出るようになったら、法人化も強力な節税手段となります。

  • 税理士と連携して所得税・住民税・事業税の節税策を講じやすくなる
  • 法人設立から2年間は消費税の免税事業者になることができる
  • 役員報酬の設定など所得分散が可能になる

⚠️ 注意

消費税についてはインボイス制度(2023年10月開始)を踏まえ、積極的に課税事業者になることを選択するケースも出てきています。法人化と消費税の免税・課税の選択は、インボイス制度の影響も合わせて検討してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 所得税の節税は住民税・事業税にも連動して効果がある
  • 株・配当の申告では住民税だけ申告不要制度を選択できる場合がある
  • 経費が少ないフリーランスには簡易課税がおすすめ
  • 法人化により消費税2年免税・所得分散などの節税効果が得られる
  • インボイス制度との兼ね合いも必ず確認する

税金だけではない!社会保険料の負担も忘れずに

税金の話だけで終わりではありません。自営業者の方には国民健康保険料が重くのしかかります。国民健康保険料は所得金額に応じて高くなるため、所得が増えるほど保険料負担も増大します。

社会保険料の節約方法

加入する制度を変えることで社会保険料を節約できる場合があります。主な方法は以下のとおりです。

  • 国民健康保険組合への加入:業種によっては組合に加入できる場合があり、国民健康保険より保険料が安くなることが多い。自分の業種で加入できる組合がないか確認してみましょう。
  • 勤務先の社会保険(健康保険)への加入:給与所得がある方は、勤務先の社会保険に加入することで保険料が安くなるケースがあります。さらに保険料の半分を勤務先が負担してくれるため、国民健康保険より有利です。また、扶養親族がいても保険料は変わらないため、家族が多い方には特にメリットがあります。
  • 世帯分離:世帯を分けることで国民健康保険料を節約できる場合があります。
  • 法人設立して社会保険に加入:法人を設立し、その法人で社会保険に加入する方法。
  • 減免制度の活用:条件を満たす方は国民健康保険料の減免制度が使えないか確認しましょう。

⚠️ 注意

勤務先の社会保険に加入すると、健康保険とセットで厚生年金保険料も発生します。厚生年金保険料は金額が大きいため、健康保険料の節約効果と合わせて総合的に判断してください。

国民年金保険料について

国民年金保険料は所得に関わらず月額約16,000円(一定額)です。節約の余地はほとんどありませんが、厚生年金に加入することで保険料が変動します(収入によって高くなる場合も安くなる場合もある)。こちらも社会保険の選択と合わせて検討してください。

📌 国民健康保険と社会保険(健康保険)の比較ポイント

  • 国民健康保険:所得に応じて保険料が上がる/扶養人数で保険料が増える
  • 社会保険(健康保険):保険料の半分を会社が負担/扶養人数は保険料に影響しない
  • 社会保険は厚生年金とセットのため、トータルコストで比較することが重要

📝 このセクションのまとめ

  • 国民健康保険料は所得に応じて高くなるため、所得が増えるほど負担が重くなる
  • 国民健康保険組合・社会保険加入・世帯分離・法人設立・減免制度などで節約できる可能性がある
  • 社会保険加入は厚生年金とセットになるため、トータルで比較検討が必要
  • 国民年金保険料は所得に関わらず一定額(約16,000円/月)

まとめ:確定申告後の税金・社会保険料を総合的に把握しよう

確定申告で所得税を納めたあとも、住民税・事業税・消費税・社会保険料と、多くの支出が続きます。「税金を払うのは仕方ない」と思っていても、正しく全体像を把握した上で節税できるポイントを探すことは非常に重要です。

今回ご紹介した内容を振り返り、自分の状況に当てはまる節税・節約の余地がないか、ぜひ確認してみてください。

📌 確認すべき節税・節約チェックリスト

  • 所得税の節税策は住民税・事業税にも連動して効果があるか確認する
  • 株・配当の申告方法で住民税の申告不要制度を活用できないか検討する
  • 消費税は本則課税・簡易課税どちらが有利か試算する
  • 利益が増えてきたら法人化を検討する
  • 自分の業種で加入できる国民健康保険組合を調べる
  • 年間の納税管理表を作成して資金を事前に確保する

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士ナガイ の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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