加給年金とは?年下の配偶者がいると年金が増える仕組みを税理士が解説

加給年金とは?年下の配偶者がいると年金が増える仕組みを税理士が解説
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年下の配偶者がいると年金が増える「加給年金」。最大で年間約40万円もらえる制度の仕組みと注意点を解説します。

加給年金とは?老齢厚生年金に上乗せされる「年金版家族手当」

加給年金とは、文字どおり「加えて給付される年金」です。何に加えられるかというと、老齢厚生年金です。加給年金は老齢厚生年金と一体のものとして扱われます。

この一体性には重要な意味があります。

  • 給料が多いなどの理由で老齢厚生年金の全額が支給停止になっていれば、加給年金も全額が支給停止になる
  • 一方、老齢厚生年金が一部でも支給されていれば、加給年金は全額が支給される

老齢年金は2階建て構造になっていますが、1階部分にあたる国民年金の老齢基礎年金は加給年金とは無関係です。また、国民年金にのみ加入している自営業者は、加給年金の対象外となります。

📌 ポイント

加給年金は厚生年金に加入していた人が対象です。国民年金のみの自営業者はもらえません。老齢厚生年金が一部でも支給されていれば、加給年金は全額もらえます。

📝 このセクションのまとめ

  • 加給年金=老齢厚生年金に上乗せされる「年金版家族手当」
  • 老齢厚生年金と一体で動く(一部支給なら加給年金は全額支給)
  • 老齢基礎年金・自営業者は対象外

加給年金の支給対象者と受給条件

加給年金は、厚生年金に加入していた人が65歳になった時点で、年下の配偶者や高校生以下の子供、障害のある20歳未満の子供がいる場合に支給されます。まさに年金版の家族手当です。

今回は特に「年下の配偶者がいる場合」に支給される配偶者加給年金について解説します。夫に年下の妻がいるケースで説明しますが、逆(年下の夫がいるケース)でも同様の取り扱いになります。

配偶者加給年金の支給条件は以下のとおりです。

  1. 厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あること(夫が20年以上勤務して社会保険に加入していたこと)
  2. 夫が65歳になった時点で、生計を維持されている65歳未満の配偶者がいること

「生計を維持されている」とは、次の両方を満たす状態を指します。

条件内容
同居または仕送り同居しているか、別居していても仕送りを受けている
収入・所得の基準前年の収入が850万円未満、または所得が655万5千円未満

この収入基準はかなり緩く設定されています。妻が850万円近く稼いでいても対象になります。違和感があるほど緩い基準ですが、これが現行制度の内容です。

📝 このセクションのまとめ

  • 厚生年金加入20年以上が必須条件
  • 65歳時点で65歳未満の配偶者がいること
  • 生計維持の収入基準は前年収入850万円未満(かなり緩い)

加給年金の金額はいくら?年齢差別の受給総額シミュレーション

加給年金の金額(令和5年度)は以下のとおりです。

内訳金額(年額)
基本額22万8,700円
特別加算額16万8,800円
合計(年額)39万7,500円

配偶者が65歳になるまでの間、この金額が支給されます。年齢差によって受給総額は大きく変わります。

配偶者との年齢差受給期間受給総額(概算)
5歳年下5年間約198万7,500円
10歳年下10年間約397万5,000円
20歳年下20年間約795万円(生涯にわたってもらえる可能性も)

📌 ポイント

加給年金は配偶者が65歳になるまで支給されます。年齢差が大きいほど、受給総額も大きくなります。結構な金額になりますので、ぜひ活用したい制度です。

📝 このセクションのまとめ

  • 令和5年度の年額は基本額+特別加算で39万7,500円
  • 配偶者が65歳になるまで支給される
  • 年齢差が大きいほど受給総額が増える

加給年金が支給停止になるケース①:妻の厚生年金加入期間が20年以上の場合

ありがたい加給年金ですが、支給停止になる事態もあります。まずは基本をおさらいします。

厚生年金に20年以上加入してきた夫が65歳になって老齢厚生年金と老齢基礎年金の受給を開始した時点で、65歳未満の配偶者がいれば、配偶者が65歳になるまで夫に加給年金が支給されます。

ここで注意が必要なのが、配偶者(妻)の厚生年金加入期間です。妻も勤務していて厚生年金に20年以上加入していた場合、加給年金が支給停止になるケースがあります。

具体的には、妻に65歳前に受け取れる「特別支給の老齢厚生年金」の権利が発生した時です。この点は2022年4月に改正されました。

改正前改正後(2022年4月〜)
妻の特別支給の老齢厚生年金が全額支給停止の場合夫に加給年金が支給された権利が発生しているだけで加給年金が支給停止に

つまり改正後は、妻の特別支給の老齢厚生年金が給料の多さなどで全額支給停止されていたとしても、受け取る権利が発生していれば加給年金は支給停止になります。

特別支給の老齢厚生年金とは、年金支給開始が60歳から65歳に引き上げられた際の経過的な調整措置です。現在、特別支給の老齢厚生年金を受け取れる対象者は以下のとおりです。

性別対象となる生年月日受給開始年齢
男性昭和36年4月1日以前生まれ63歳から
女性昭和41年4月1日以前生まれ61歳から

男性は昭和36年4月2日以後の生まれ、女性は昭和41年4月2日以後の生まれの人には、もう特別支給の老齢厚生年金は支給されません。この経過措置が終了したら特別支給の老齢厚生年金は消滅します。

📝 このセクションのまとめ

  • 妻の厚生年金加入期間が20年以上の場合、加給年金が支給停止になるケースがある
  • 2022年4月の改正で、妻に特別支給の老齢厚生年金の権利が発生するだけで加給年金が停止に
  • 特別支給の老齢厚生年金はそのうち消滅する経過措置

加給年金が支給停止になるケース②:老齢厚生年金の繰り下げ受給との落とし穴

老齢年金は原則65歳から受け取ることができますが、66歳以降75歳まで繰り下げて受け取る「繰り下げ受給」や、60歳までの間に繰り上げて受け取る「繰り上げ受給」を選択することができます。

この繰り下げ受給・繰り上げ受給と加給年金の関係が、大きな落とし穴になります。

具体例として、妻が5歳年下で夫が70歳になった時に妻が65歳になるというケースで、夫が70歳まで老齢年金の受給を繰り下げる場合を考えてみましょう。

受給方法加給年金への影響
繰り上げ受給(60歳〜64歳)影響なし(加給年金は65歳からのため、繰り上げ期間中は元々もらえない)
老齢厚生年金の繰り下げ受給加給年金が支給停止になり、二度と支給されない
老齢基礎年金のみ繰り下げ受給影響なし(老齢基礎年金は加給年金と無関係)

繰り上げ受給は加給年金に影響しません。加給年金は65歳になってから受給できるものですから、65歳前の繰り上げ受給をしている段階では元々受給できないため関係ないのです。

問題は繰り下げ受給です。加給年金は老齢厚生年金と一体です。老齢厚生年金を繰り下げ受給して先送りしてしまうと、加給年金も支給停止になります。そして、支給停止になった加給年金は二度と支給されることはありません。

⚠️ 注意

老齢厚生年金を繰り下げ受給すると、その間の加給年金は永久に失われます。繰り下げ受給を検討している方は、加給年金の受給可能性を必ず確認してください。

では、加給年金をもらいながら繰り下げ受給はできないのでしょうか?実はそうではありません。

老齢基礎年金は加給年金とは無関係です。そのため、老齢基礎年金だけを繰り下げ受給するという手があります。繰り下げ受給は老齢厚生年金と老齢基礎年金のどちらか一方だけを繰り下げることができます。

📌 ポイント:加給年金と繰り下げ受給を両立する方法

老齢基礎年金だけを繰り下げ受給して、老齢厚生年金と加給年金は65歳から受給するようにすれば、加給年金を受け取りながら老齢基礎年金の増額メリットも享受できます。

📝 このセクションのまとめ

  • 老齢厚生年金を繰り下げると加給年金も停止→失った分は二度と取り戻せない
  • 繰り上げ受給は加給年金に影響なし
  • 老齢基礎年金だけ繰り下げれば加給年金と両立できる

65歳が判定の基準日!婚姻届の提出タイミングにも注意

加給年金は、65歳到達時点で生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるかどうかで支給の判定がされます。65歳が判定時点なのです。

つまり、65歳以降に配偶者ができても加給年金の対象にはなりません。

⚠️ 注意:婚姻届の提出期限

晩年に結婚される方は、婚姻届を65歳の前日までに提出することが必要です。65歳になってからでは加給年金の対象外になります。結婚を考えている方は必ず覚えておいてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 加給年金の支給判定は65歳到達時点が基準
  • 65歳以降に結婚しても加給年金はもらえない
  • 婚姻届は65歳の前日までに提出することが重要

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士KOBAYASHIちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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