経営セーフティ共済は絶対に解約するな!税理士が解説する隠れ融資機能と2年縛りルール
経営セーフティ共済を解約する前に知っておくべき「3つの落とし穴」と「隠れ融資機能」を徹底解説します。
顧問先のお客様から「経営セーフティ共済、解約してもいいですか?」というご質問をいただくことがあります。資金繰りが悪化すると、積み立てたお金を取り戻そうと解約に目が行きがちです。しかし、結論から言うと絶対に解約すべきではありません。その理由と、解約せずに資金調達できる方法を詳しく解説します。
📌 この記事のポイント
- 経営セーフティ共済を解約すると「会社防衛機能ダウン」「税負担アップ」「2年間の節税不可」の三重苦になる
- 2024年10月1日以降の解約分から「2年縛りルール」が適用される
- 積立額の最大95%を年利0.99%で借りられる「一時貸付」という隠れ融資機能がある
- 借り換え手続きをすれば実質借りっぱなしにすることも可能
経営セーフティ共済とは何か?基本をおさらい
経営セーフティ共済(正式名称:中小企業倒産防止共済)のメインの目的は連鎖倒産の防止です。取引先が倒産しそうになった時に、緊急で融資を受けられる制度です。
具体的には、取引先が倒産した際に掛金総額の10倍まで、無担保・無保証・無利子で融資を受けられます。積み立ての満額が800万円なので、最大8,000万円まで借りることができます。
⚠️ 注意
「無担保・無保証・無利子」とはいえ、この本来の共済金を使ってしまうと、今まで積み立てた掛金が没収されます。「無利子」という点には注意が必要です。
加入できるのは個人事業主と中小企業のみです。上場企業や医療法人は対象外となっています。また、加入には売掛金などの共済対象となる債権が必要で、設立初年度は原則加入不可です(ただし個人事業から法人化した場合など事業実績がある場合は初年度から加入可能)。
掛金と経費計上のルールは以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 月額掛金 | 最低5,000円〜最大20万円(常時変更可能) |
| 積立上限 | 800万円 |
| 経費計上 | 掛金は全額経費計上可能 |
| 前払い | 1年分まで前払いして経費算入可能(継続的な支払いは不要) |
| 満額返戻の条件 | 40ヶ月以上の支払いで解約時に満額返戻 |
⚠️ 経費計上に必要な書類を忘れずに
法人の場合は「特定の基金に対する負担金などの損金算入に関する明細書(別表10の7)」を申告書に添付する必要があります。個人事業主も同様の必要事項を記入して添付が必要です。この書類を忘れると、税務上は1円も経費に落とせません。くれぐれもご注意ください。
なお、掛金を経費計上できるのは厳密には「節税」ではなく課税の繰り延べ(税金の先送り)です。今期払わなければならない税金を将来に先送りするものであり、免税ではありません。この点を再認識しておきましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 経営セーフティ共済の本来の目的は連鎖倒産防止であり、取引先倒産時に掛金総額の10倍(最大8,000万円)を融資で受けられる
- 掛金は月5,000円〜20万円で全額経費計上可能(課税の繰り延べ)
- 40ヶ月以上支払えば解約時に満額返戻される
- 申告書への明細書添付を忘れると経費計上できないので注意
解約してはいけない理由①:会社防衛機能がダウンする
経営セーフティ共済を解約してしまうと、掛金が0になります。そうなると、いざ取引先が倒産した時に1円も借りられないという状況になります。
もちろん再度加入して掛金を積み立てることは可能ですが、一定額が積み上がるまでには時間がかかります。会社を守るという本来の目的からすれば、解約すべきではないのです。
また、まだ加入期間が40ヶ月未満の場合は、解約しても掛金が目減りして戻ってきます。損をするだけなので、40ヶ月を超えるまでは絶対に解約してはいけません。
📝 このセクションのまとめ
- 解約すると掛金が0になり、取引先倒産時の緊急融資が受けられなくなる
- 40ヶ月未満での解約は掛金が目減りして損をする
解約してはいけない理由②:解約すると税負担がアップする
節税の観点から考えると、経営セーフティ共済の「出口」が最も重要です。
加入して掛金を支払っている間は、掛金を経費化して利益を相殺し、課税を繰り延べることができます。ところが解約すると解約金が全額利益として計上されます。通常の利益に解約返戻金が加算され、大きな税負担が発生するのです。
もちろん、解約する年に解約返戻金を上回る赤字が出ているのであれば問題ありませんが、それ以外の場合はタイミングを慎重に考える必要があります。
解約のセオリーとして、以下のような経費をぶつけることが一般的です。
- 過去の赤字(繰越欠損金)をぶつける(法人は10年間、個人は3年間使用可能)
- 大規模修繕などの大型経費と同じ期に解約する
- 役員退職金の支払いと同じ期に解約する
⚠️ 個人事業主には特に注意
個人事業主の場合、役員退職金のような大型経費を使うことができません。そのため、経営セーフティ共済の出口戦略が組みにくく、個人的にはあまりお勧めしていません。
📝 このセクションのまとめ
- 解約すると返戻金が全額利益に計上され、大きな税負担が発生する
- 解約するなら繰越欠損・大規模修繕・役員退職金などの大型経費とタイミングを合わせることが必要
- 個人事業主は出口戦略が組みにくいため特に注意が必要
解約してはいけない理由③:2024年10月から「2年縛りルール」が新設された
これが最も重要な改正ポイントです。2024年度税制改正により、「2年縛りルール」が新設されました。
📌 2年縛りルールとは
経営セーフティ共済を解約した後に再加入しても、解約日から2年間は掛金を経費に落とせないというルールです。この改正は2024年10月1日以降の解約分から適用されます。
以前は、解約してまた加入して、また解約して加入して……という繰り返しで節税を最大化する方法が使われていました。しかし今後はこのやり方が実質的に封じられました。
具体的には以下の通りです。
| タイミング | 内容 |
|---|---|
| 解約直後〜2年未満 | 再加入は可能だが、掛金を経費に落とせない |
| 解約から2年経過後 | やっと掛金の経費計上が可能になる |
| 適用開始 | 2024年10月1日以降の解約分から適用 |
つまり、今後は一度解約してしまうと、2年間は節税効果がゼロになるということです。これは非常に大きなデメリットです。
📝 このセクションのまとめ
- 2024年10月1日以降の解約分から「2年縛りルール」が適用される
- 解約後に再加入しても、2年間は掛金を経費に落とせない
- 解約→再加入の繰り返しによる節税最大化は実質封じられた
資金繰りが苦しいなら「一時貸付」を使え!隠れ融資機能の全貌
「解約しない方がいいのはわかった。でも目先のお金がない」という場合はどうすればいいのか。答えは解約せずに経営セーフティ共済から直接お金を借りることです。
経営セーフティ共済には、積み立てた額の範囲内でお金を借りられる「一時貸付」という隠れ融資機能があります。これが非常に優れた機能です。
一時貸付が金融機関からの融資より優れている理由は主に4つあります。
- 課税されない:解約して収入になったわけではなく、お金を借りているだけなので税金がかからない
- 超低金利:年利0.99%という驚異的な低金利
- 入金スピードが早い:申請から約10日で入金される
- 実質借りっぱなしOK:借り換え手続きをすれば長期間返済不要にできる
📌 融資審査がほぼない
一時貸付は「すでに積み立てた金額の範囲内」での融資なので、実質的に融資審査はほとんどないと言っても過言ではありません。通常の金融機関からの融資よりもはるかにスピーディーに資金調達できます。
一時貸付の借入条件・限度額・返済方法を詳しく解説
一時貸付の詳細な条件を確認しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 借入限度額 | 解約手当金の95%の範囲内 |
| 借入可能時期 | 掛金納付期間が12ヶ月以上から |
| 12〜39ヶ月の場合 | 掛金総額×75%×95% |
| 40ヶ月以上の場合 | 掛金総額×95%(最大760万円) |
| 借入額の単位 | 30万円以上・5万円単位 |
| 借入目的 | 運転資金・設備資金など何でもOK |
| 借入期間 | 基本1年間(期限一括返済) |
| 金利 | 年0.99% |
| 利息の支払い方法 | 借入時に一括前払い(融資金額から差し引かれる) |
たとえば、掛金を満額800万円積み立てて40ヶ月以上経過している場合、最大760万円を年利0.99%で借りることができます。通常の金融機関でこれ以上の条件でお金を借りられる会社はそうそうありません。
⚠️ 返済が遅れた場合のペナルティ
返済期限までに返済も借り換え手続きもせずに経過してしまった場合、残念ながら年14.6%の延滞利息が発生します。さらに、そこから5ヶ月経過しても返済ができない場合は、未返済額が積み立てた掛金に充当(没収)される形になります。必ず期限内に返済か借り換え手続きを行いましょう。
「借り換え機能」で実質タコ足融資と同じ使い方ができる
一時貸付の最大の魅力は借り換え機能です。返済期限が来る前に借り換えの手続きをすることで、実質的に借りっぱなしにすることができます。
たとえば760万円を借りて、1年後に返せない場合でも、同額で借り換えの手続きをすれば、金利(年0.99%分)を支払うだけでさらに1年間借りっぱなしにすることができます。これは金融機関のタコ足融資(短期継続融資)と同じ仕組みです。
| 比較項目 | 解約した場合 | 一時貸付を使った場合 |
|---|---|---|
| 受け取れる金額(満額800万の場合) | 800万円 | 最大760万円 |
| 課税 | あり(解約返戻金が利益に計上) | なし(借入なので非課税) |
| 会社防衛機能 | 消滅 | 維持される |
| 2年縛り(節税不可期間) | 発生する | 発生しない |
| コスト | 税負担が発生 | 年利0.99%のみ |
この表を見れば、資金繰りが苦しい時に解約するよりも一時貸付を使う方が、あらゆる面で有利であることがわかります。
📌 一時貸付はあくまで「借入」
一時貸付は非常に便利な機能ですが、あくまでも「借りている」ことには変わりありません。いつかは返さなければならないお金です。もらえるお金ではないという点は必ず念頭に置いておきましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 一時貸付は積立額の最大95%を年利0.99%で借りられる隠れ融資機能
- 借入なので課税されず、会社防衛機能も維持される
- 借り換え手続きをすれば実質借りっぱなしにすることが可能
- 返済・借り換えを怠ると年14.6%の延滞利息が発生するので注意
- あくまで「借入」なので、いつかは返済が必要
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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