人件費の正しい考え方|労働分配率と給料の3倍ルールを税理士が解説
人件費を減らすより「給料をたくさん払える会社」を目指す考え方を解説します。
人件費を減らしたい…その前に考えるべきこと
経営する上で人件費ってつきものだと思うんですけど、これって減らしたりすることできるんですか?

減らしたりすることはできますよ。ただ、どれくらい減らしていいものなのかっていう基準がありますよね。

そうなんです。どれくらい減らしていいものなのかがいまいちわからないんですよ。基準が。

なので、その考え方のところを今日は教えますね。人件費の決め方や、どうすれば人件費をコントロールできるのかの部分も含めて、今日は人件費の考え方・仕組みを解説したいと思います。ぜひ、今後の皆さんの給料の設定などの参考にしていただければと思います。

損益計算書で人件費の構造を理解する
ホワイトボードを使って解説していきたいと思います。損益計算書を簡単に表示しました。万円単位だと思ってください。
じゃあ、これはいくらになりますか?

1500万…いや、1億5000万?

1億5000万。1億5000万の売上がありました。粗利が5000万あります。あ、利益が1億円。
ここで問題。社員何名なら1億円稼げてたら大体生産性高いと思いますか?役員も含めてね。

10人!

10人で1億稼げてたらまあまあ生産性いいでしょう。ということは1人当たり1000万。

正解!…いや、本当に適当に言ったよね?顔が適当でしたよ(笑)。

10人以下であれば生産性高いんですよ。1人当たり最低1000万は稼ぎ出してほしい。だから10人でもいいし、9人でもいいわけ。
給料、これ役員報酬も含めて3000万としましょう。給料には社会保険がかかってきます。損益計算書では「法定福利費」とあります。社会保険料にしてくれね。そうですね、3000万に対して500万。
あとは「福利厚生費」。福利厚生費って何かわかる?

福利厚生…具体的なのが出てこないですね。

福利厚生費は社員のために使う経費なんで、例えば社員旅行とか、社員との親睦会とか、住宅手当とか、制服代とか、そういう社員のためにかかる費用です。これも人件費なんですよ。
人件費って給料だけじゃなくて、社会保険も福利厚生費も人件費なんです。
その他固定費、これはいっぱいありますね。消耗品とか交際費とかいろいろもろもろ。これを差し引いたのが最後の経常利益で1000万。まあ、こういう会社があったとしましょう。

労働分配率とは?40〜50%が目安の理由
今日はちょっと労働分配率の話を少ししたいと思います。

難しそうな顔してますよ(笑)。

労働分配率、これ計算式で言うと粗利益に対して人件費が何%占めているかっていう話なんですね。
この損益計算書で言うと、粗利益1億円に対して人件費が何%占めているか。さて、何%占めているでしょう、この会社は?

難しい…。

全然難しくない。42%。正解、42%なんですよ。
全体が1億円、これが粗利益だと思ってください。1億円に対して人件費が4200万、これが42%なんですよね。これが労働分配率なんですよ。
で、残りその他経費が48%あって、残り10%が経常利益として残っている。これ、結構バランスのいい会社なんです。
労働分配率は40%から50%、大体これぐらいを意識して欲しい。全体の粗利益の40〜50%で人件費が収まるようなバランスを考えてほしいんですね。大体、人件費が半分でその他経費が半分で、残り経常利益が残る。全体の固定費の半分ぐらいを人件費が占める、まあこれぐらいの会社が多いんですよ。

赤字会社の人件費問題|労働分配率70%の危険性
今日の質問は「人件費を下げたい」でしたよね。なんで下げたいんですか?

利益が…利益が少ないんです。

例えば、粗利益が1億円もなかったとして、6000万ぐらいで、人件費が4200万あったとしたら、労働分配率はどうやって計算するんですか?わかりますか?

30%…そう、70%!

そう、70%。これ、労働分配率70%なんですよ。仮にこれが4800万使ってたら、これと合わせたら9000万。粗利益が6000万円なのに支出が9000万円で、赤字が3000万。
そうなんです、赤字3000万の会社なんですよ。

なんで赤字の会社作ったんですか、僕の会社なのに(笑)。

人件費下げたいって言うから(笑)。だって黒字の会社の人件費下げたいとは思わないでしょ?赤字で人件費下げたいってなるんです。
6000万の粗利なら人件費いくらにすればいいでしょう?

2000万くらいじゃないと?

2000万なら1000万ぐらい黒字になりますね。そう。

人件費を下げる方法|ボーナスで調整するのが正解
基本的に基本給は下げられないですよ。人件費を下げるにはポイントがあって、下げていい給料があるんですよ。

何ですか?

ボーナスです。ボーナスは別に支給しなくてもいいんですよ。毎年支給してて急にやめても、別にいいんですよ。まあ社員は嫌でしょうけど。でも基本給は正当な理由がない限りなかなか下げられない。
給料をコントロールするには、ある程度ボーナスでいくらか払うっていう枠を作っておくっていうのがポイントなんです。そうすると、いざという時は給料を下げられますよね。ボーナスをちょっと減らしてとかね。
でも基本給はなかなか減らせないし、首を切るのも正当な理由がないとなかなか切れない。

人件費を減らすのって、首を切るだけなんですかね?

まず人件費を減らすには、労働分配率70%はさすがにやっていけないので人件費を減らさないといけない。で、減らすためにはまずボーナスという枠を作っておくっていうこと。基本給をどんどん毎年上げていったら、減らせるものも減らせなくなっちゃう。まずそれを覚えておいてください。
あとは人件費を黒字にするには、その他経費の4800万もやっぱり削ってから。労働分配率は40%から50%ぐらいで収めるというのがまずポイント。

これって何か結果論的になっちゃいますよね。結果粗利が出てなかったから赤字になりましたってなるんで。

だから、人件費は最後ボーナスでプラスして調整するという方がいいです。ボーナスを削って調整するんじゃなくて、毎月基本給を払っていって、最後粗利が出たらプラスボーナスで支給する。そういう考え方の方がコントロールしやすい。
極端な話、基本給をめちゃくちゃ少なくしておくんです。例えば12月決算だとしたら、基本給をめちゃくちゃ少なくしておいて、12月まですごい給料少なくしとく。極端な話ですけどね。粗利がドーンと出たとなったら、最後12月にボーナスを払って、労働分配率40〜50%ぐらいに調整する。
削るんじゃなくて、最後プラスして調整するという考え方を持った方がいいですね。基本給はあまり上げすぎないっていうのがポイントですね。

給料の3倍の粗利を稼ぐ|人件費の基準を知る
10人って言ったじゃないですか。これ1つポイントで、基本的には分かりやすく言うと自分の給料の3倍以上の粗利を稼ぎ出してほしいっていう考え方があるんです。

それはどういうことですか?

例えば、月30万の給料の人は、90万の粗利を稼ぎ出してほしい。これの12ヶ月で1080万。月30万の給料なら年間1080万稼ぎ出してほしいんですよ、最低。
例えば1980万円の粗利を稼ぎ出したらどれぐらいになりますか?

1億800万?

1億800万ですね。これ10人いたらね。月30万の給料が10人だと300万、300万が10ヶ月…12ヶ月かけると3600万円ね。だから給料が3600万円。
そこに法定福利費とか福利厚生費を足すと、ざっくりだけど1400万ぐらいだとしましょう。法定福利費と福利厚生費が1400万。これの労働分配率は…

46%!

そう、46%!これちょうどいいぐらいじゃないですか。

ちょうどいいですね。

だからこれが基準なんですよ。自分の給料の3倍が基準なんです。そうすると労働分配率がちょうどいいぐらいに収まるっていうので、給料は考えてほしい。とりあえずまず自分の給料の3倍の粗利を稼ぎ出すこと。そうすると労働分配率がいい感じで収まっていく。3倍以上稼ぎ出したらもっと労働分配率が下がりますから。

労働分配率70%でも成立する会社の戦略
でも、うちのお客さんですごい会社があるんですよ。例えばこういう会社で、給料が3400万じゃなくて6160万。給料を6160万払って、法定福利費等を足すと7560万。7560万を粗利で割ると、労働分配率が70%。こういう会社があるんですよ。
70%の労働分配率で、その他経費が20%、最後10%残るみたいな感じで合計100%みたいな。
この会社はね、その他経費をめちゃくちゃ削減してるんです。水道光熱費とか家賃とか消耗品とか交際費とか、めちゃくちゃ削減して、削減した部分を全部給料に還元してるんですよ。

素敵!素敵ですね。

だから労働分配率はこれぐらいが基準なんだけど、その他経費を削ることによって、全然70%でもいけるんです。そういう考え方もあるんですよ。
労働分配率を下げればいいってもんじゃないですよ。上げて利益が出ていたらそれが一番いいわけですよ。だからその他経費を削減して、その還元力を高める。無駄遣いをなくすってことです。

人件費を削減しようじゃなくて、いかに人件費を払えるか、ということですね。

僕の場合は例えですけど、3億円ぐらいの粗利にしちゃうんですよ。そもそもの粗利を最大化させるんですよ。少人数で、5人で3億円稼ぐ。そうするとここの絶対値が大きくなる。だから給料をたくさん払えるでしょ。
そしたら逆にね、粗利3億ありました、例えば給料が7500万円、法定福利費が1500万、合わせると9000万。9000万を粗利3億で割ると、労働分配率は30%じゃないですか。
これを例えば3人で稼ぎ出してたら、1人当たりいくらになりますか?

2500万!

そう、2500万です。労働分配率が低くても、1人当たりの給料が2500万だったらすごくないですか。

すごいです!

だから、労働分配率が低くても、そもそもの絶対額が大きければ1人当たりの給料が大きくなっているという考え方もある。
労働分配率はあくまでも基準。さっきの会社みたいに高くても、その他経費が低ければ給料を高くできるし、労働分配率が低くても粗利の絶対値が高ければ給料をたくさん払える。会社によって戦略はいろいろあるので。
最低、1人の給料の3倍の粗利を稼ぎ出すこと。これが最低限。その上で労働分配率を高くするのか低くするのかは会社の戦略によって違うっていうことを抑えておいてください。

まとめ|給料を減らすより「たくさん払える会社」を目指す
ということで今日は、給料を減らすためにはどうすればいいのかっていう話だったけど、そもそも給料を減らすことを考えるんじゃなくて、給料をたくさん払える会社にしましょうっていう話です。
戦略はいろいろあるのでお話させていただきましたけど、基本は自分の給料の3倍の粗利を稼げるような仕組みを作る。それをちゃんと社員に伝えてあげることですね。ぜひ覚えておいてください。

そもそもの僕の考え方が間違ってたんですね。給料を減らしちゃダメなんですね。

赤字の時はしょうがないかもしれないけどね。これで社員に痛みを与えるのはやっぱり辛いじゃないですか。社員はどんどん離れていくから。いかに給料を払える会社か、ですね。

社員を一番に考えないとですね。

そうです。社員とその家族。その通りです。大事にしましょう。

大事にします!ありがとうございました。

終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 脱・税理士スガワラくん の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 脱・税理士スガワラくんを応援しています!
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