帳簿の提示がないとペナルティ加算!令和5年分確定申告から始まる加算税過重措置を解説
帳簿を見せられないと加算税がさらに重くなる新ルール、令和5年分から始まっています。
制度の概要:なぜ今、帳簿の提示が問われるのか
令和4年度の税制改正で、帳簿の提示がない場合に加算税を過重(上乗せ)する措置が発表されました。この運用スタートが令和5年分の確定申告からとなるため、自営業・フリーランス・個人事業主の方は必ず内容を把握しておく必要があります。
この制度が設けられた目的は大きく2つあります。
- 記帳義務の適正な履行を担保するため
- 帳簿の不保存や記載不備を抑止・防止するため
記帳をすることはビジネスを行う上での基本ルールです。その基本を守らせるために、税務調査の場で帳簿を提示できなかった場合には、通常の加算税にさらにペナルティが上乗せされる仕組みが導入されました。
📌 ポイント
税務調査が入った際に「帳簿を見せてください」と指示されたとき、帳簿がない・見せられない状態だと、加算税の過重措置が取られます。過小申告や無申告に対する加算税に、さらに上乗せされるイメージです。
📝 このセクションのまとめ
- 令和4年度税制改正で決定、令和5年分確定申告から運用開始
- 目的は記帳義務の適正な履行担保と、帳簿不保存・記載不備の抑止
- 税務調査時に帳簿を提示できない場合、加算税が過重される
ペナルティの具体的な内容:何%上乗せされるのか
加算税の過重措置は、帳簿の状況によって3つのパターンに分かれます。特に1つ目のパターンが最も重要で、帳簿をまったく用意していない方は要注意です。
| パターン | 状況 | 過重割合 |
|---|---|---|
| ① 帳簿の提示なし | 帳簿をつけていない、または見せることができない | +10% |
| ② 売上記載が1/2未満 | 帳簿はあるが、売上の記載が実際の1/2に満たない | +10% |
| ③ 売上記載が2/3未満 | 帳簿はあるが、売上金額のうち2/3未満しか記載されていない | +5% |
⚠️ 注意
この過重措置は、もともと発生している過小申告加算税や無申告加算税にさらに上乗せされます。たとえば税務調査で売上漏れが発覚して追加納税が必要になった場合、そこに加算税が課され、さらに帳簿がなければこの10%が追加で乗ってくるため、ダメージはかなり大きくなります。
📝 このセクションのまとめ
- 帳簿の提示ができない場合は加算税が+10%
- 売上記載が1/2未満でも+10%、2/3未満なら+5%
- 既存の加算税にさらに上乗せされるため、実質的なペナルティは相当大きくなる
適用はいつから?対象となる税目と期間
この過重措置は、令和6年1月1日以降に申告期限が到来するものが対象となります。対象となる税目は所得税・法人税・消費税の3つで、それぞれ以下のとおりです。
| 税目 | 対象となる期間 | 申告期限 |
|---|---|---|
| 所得税 | 令和5年分から | 令和6年3月15日締めの確定申告から |
| 法人税 | 令和5年10月決算期分から | 令和6年1月1日以後に到来する申告期限 |
| 消費税(個人) | 令和5年分から | 所得税と同様 |
| 消費税(法人) | 令和5年10月決算期分から | 法人税と同様 |
法人の場合、すでに税理士が関与していることが多く帳簿管理は比較的整備されていますが、起業したばかりの個人事業主やフリーランスの方で、帳簿のつけ方がよくわからない・実はしっかりつけていないという方は、令和5年分からすでにこのペナルティの対象となっていますので、早急に対策が必要です。
📝 このセクションのまとめ
- 令和6年1月1日以降に申告期限が到来するものが対象
- 個人事業主・フリーランスは令和5年分の確定申告(令和6年3月15日締め)から適用
- 所得税・法人税・消費税の3税目すべてが対象
提示すべき帳簿の範囲:何が「帳簿」として認められるのか
税務調査で必要とされる帳簿の種類は、申告の種類によって異なります。国税庁のQ&Aで公表されている内容は以下のとおりです。
| 申告の種類 | 調査に必要な帳簿 |
|---|---|
| 青色申告 | 仕訳帳・総勘定元帳 |
| 白色申告 | 売上帳(売上が確認できる帳簿) |
では、「帳簿」として認められるためには何が必要なのでしょうか。帳簿には次の3つの要素が記載されていることが重要です。
- 取引年月日
- 取引の相手先
- 金額(個々の取引ごと)
さらに、これらが整然かつ明瞭に記録されていることが求められます。
⚠️ 注意:売上合計をメモしただけのノートはNG
「何月何日の売上合計が10万円」というように、1日の売上を合計してメモしただけのノートは、帳簿とは認められません。取引ごとの相手先や個別金額が記載されていないため、上記3要素を満たさないからです。このようなメモしか手元にない場合、ペナルティの加算対象となります。
📝 このセクションのまとめ
- 青色申告者は仕訳帳と総勘定元帳が必要
- 白色申告者は売上帳(売上が確認できる帳簿)が必要
- 帳簿には「取引年月日・相手先・金額」の3要素が必要
- 売上合計のメモだけでは帳簿と認められない
ケースごとの判定:セーフとアウトの境界線
「売上合計のメモ+請求書の控えや領収書の控えを保存していれば大丈夫では?」と考える方も多いでしょう。この点について、国税庁のQ&Aでは一定の考慮がなされています。
📌 ポイント:メモ+書類保存でセーフになる条件
売上合計をメモしたノートしかない場合でも、請求書の控え・領収書の控えなど確認できる書類が適切に保存されている場合は、帳簿と見なして過重措置は行わないとされています。ただし、「適切に保存」の定義が重要です。
ここで問題になるのが「保存方法」です。以下の表でセーフとアウトを確認してください。
| 状況 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 売上合計メモ+書類を年月日順に整理して保存 | ✅ セーフ | 整然と保存されており、確認可能な状態 |
| 売上合計メモ+書類をダンボールに雑然と突っ込んでいるだけ | ❌ アウト | 保存はしているが整理されておらず、確認できる状態とは言えない |
| 帳簿も書類も何もない | ❌ アウト(+10%過重) | 帳簿の提示が不可能な状態 |
つまり、「とりあえず書類はある」というだけではセーフにならず、「年月日順に整理して保存している」ことが必要です。段ボールに無造作に詰め込んであるだけの状態は、過重措置の対象となる可能性があります。
📝 このセクションのまとめ
- 売上合計メモ+書類保存でも、年月日順に整理されていればセーフ
- 書類があっても雑然と保管しているだけではアウト
- 「整然かつ明瞭に記録・保存されている」ことが判定の鍵
帳簿の提示期限:いつまでに見せればいいのか
税務調査で「帳簿を見せてください」と指示された場合、いつまでに提示すればよいのでしょうか。判定のポイントは「遅滞なく」提示できるかどうかです。
- 見せてくださいと言われてから2〜3ヶ月もかかるのは「遅滞あり」でアウト
- 具体的な日数のルールはないが、指示を受けてから速やかに提示できることが求められる
また、税務調査には事前連絡がある場合がほとんどです。税理士に依頼している場合は税理士に先に連絡が入り、個人で申告している場合は経営者本人に直接連絡が来ます。抜き打ちの場合は事前連絡なしで来ることもありますが、基本的には調査開始日時の事前通知があります。
📌 ポイント:税務調査当日までに準備を
税務調査の場合は、調査開始日時までに帳簿を準備し、調査当日に担当者へ提示できる状態にしておくのがベストです。事前連絡があるため、その期間を活用して帳簿を整えましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 帳簿は「遅滞なく」提示することが求められる
- 税務調査は事前連絡があることがほとんどなので、調査開始日までに準備する
- 遅滞なく提示できない場合、加算税が過重される
まとめ:今すぐ帳簿をつけ始めるための対策
今回の制度変更を整理すると、以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度の内容 | 税務調査で帳簿を提示できない場合、加算税が過重される |
| 過重割合 | 帳簿なし・売上1/2未満記載:+10% / 売上2/3未満記載:+5% |
| 適用開始 | 個人:令和5年分確定申告(令和6年3月15日締め)から |
| 対象税目 | 所得税・法人税・消費税 |
| 必要な帳簿 | 青色:仕訳帳・総勘定元帳 / 白色:売上帳 |
帳簿のつけ方がわからない、まだ整備できていないという方には、クラウド会計ソフトの活用がおすすめです。クラウド会計を使えば、帳簿の作成が効率的にできるだけでなく、確定申告のハードルも大きく下がります。
⚠️ 注意
経営者・個人事業主として開業した以上、帳簿と経理は基礎中の基礎です。「税務調査なんて入らないだろう」と油断せず、万が一調査が入った時に帳簿がないという事態を避けるため、今すぐ帳簿の整備を始めてください。令和5年分からすでにペナルティの対象となっています。
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士河南のYouTubeチャンネル! の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士河南のYouTubeチャンネル!を応援しています!
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